投稿者「スタッフ」のアーカイブ

\熊本県阿蘇からお便り!/(2025.2.20)

阿蘇茅葺工房さんに、若手2人の茅刈り研修を受け入れていただきました。
阿蘇茅葺工房は雄大な阿蘇山の麓で育った高品質の茅を使い、親子四代にわたり日本の伝統文化である茅葺きの技術を継承していらっしゃいます。
ホームページのトップ写真が素敵です→ https://aso-kayabuki.jp/about.php
2014年の第10回 全国草原サミット・シンポジウム in 阿蘇で知り合ったご縁もあり、今回の研修につながりました。本当にありがとうございます。
受け入れてくださった方によると、2人ともすごく頑張り、茅刈りも上達したそう。
「このシーズンは広島ではなかなか茅刈出来ないと思うのでまたこれからもお互い協力していけたらいいですね」という温かいメッセージもいただきました。感激!
先日の東広島でのかやぶきシンポジウムで知り合った宮野先生(日本茅葺き文化協会)とミラクルな再会もあったとか!!
報告が楽しみです。
(スタッフこうの)

\山門茅葺き修復プロジェクトスタート!/(2025.2.16)

北広島町豊平にある浄土寺さんの山門の修復プロジェクトのキックオフにお誘いいただき、事務局スタッフと整備担当顧問で参加しました。
寺院好きな衆議院議員の先生や、門徒さん、地域の方、関係者の同級生、映画監督、保育所もあるので卒園生(一期生の75歳が寺総代)、スケッチが趣味の方、オオサンショウウオ研究者など総勢50名。
芸北茅プロジェクトの取り組みについて紹介したり、質問もたくさんありました。
本日、実行委員会が立ち上がったので、これからの動きに注目です。
町内に草原や茅場が新たに整備されることで生物多様性の寄与となり、茅葺きの技術がは引き継がれていくことは何よりも嬉しいことです。
西中国山地自然史研究会としても、協力隊として連携したいと思います。
広がれ!茅葺きの輪!!

続々と本堂に集まる。
中国新聞で報道があったのも大きい。
讃仏偈を唱えるところからスタート。

修復の記録。

歴史ある山門。まだ雪が残る。

\かやぶきシンポジウム2025参加!/(2025.2.14)

2025年2月14日(金)、近畿大学工学部と東広島市が主催の「かやぶきシンポジウム2025」に参加しました。これは茅葺きコモンプロジェクトの一環で、地域課題の解決を目指す東広島市・近畿大学Town&Gown(タウン・アンド・ガウン)構想の新たな取り組みだそうです。
シンポジウムの目的は、ユネスコ無形文化遺産である「茅葺き技術」を次世代に継承し、茅葺き古民家を保存再生するため、若手の茅葺き職人を招聘し、茅葺きのこれまでとこれからを語り合うことで、案内があった瞬間、NPOスタッフ3名専門員1名ですぐさま参加を決めました。
最初の上野弥智代さん(日本茅葺文化協会事務局長)からは、日本の茅葺きと草原のこと。
日本茅葺文化協会のスタートや、取り組みも改めて聞くことができ、特に各地で実施されている茅葺フォーラムのタイトルを見ると、その時期ごとのキーワードから潮流が見えてきました。
全国の茅場や草原の状況、国際的な情報なども有益で面白いお話しでした。
オランダの職人のコメントの紹介で「日本の茅葺きはエコとユイから学ぶものが大きい」という言葉がとても印象的でした。
次は、東広島市地域おこし協力隊の櫻井さんから話題提供。大学生の頃から茅葺きに魅せられた櫻井さんが、地元(志和エリア)で広げてきた活動をたっぷり教えてもらいました。「藝州流」という茅葺き手法の紹介があり、櫻井さんの今後の展望とも関連していますが、足元の地域に加え、広島県内全体で茅に関わるネットワークを作ることで茅の魅力や活用に取り組んでいこう!という呼びかけがとてもよかったです。2月も茅刈りが続くようなので、ぜひ参加してみようと思います。
そして、沖元太一さん(アースビルディング)からは、茅葺きのこれまでとこれからというタイトルでボリュームある発表がありました。社名は訳すると「地球人具」となるそうです。「地球」という規模で人の技術を継承し、素材に対して敬意を払う姿勢が感じられました。深い!
東日本大震災でのエピソードや、エコサイクルの考え方、世界や日本の茅葺き建築の紹介などを聞いているとあっという間に時間が経ちました。
未来へのヒントは、茅葺きのように過去や足元になるのではないか、という投げかけにも頷いている参加者が多かったように思います。
最後の茅葺談義では、企画者の市川先生(近畿大学)の進行で、会場とのやりとりが始まり、全体でつくっていくような時間になりました。
会場には100名近い参加者がおり、茅葺きに住む人、茅葺きをする人、茅に関心がある人、これから関わってみたい人などなどがいました。
指名があったお一人は、熊野町で茅葺きに住まわれている方でした。ご自身のおうちの維持のことに加え、近くの熊野第二小学校の水車小屋の茅葺き葺き替えについての紹介がありました。
茅葺きにこめられた想い、そしてつないでいきたい気持ちをとつとつとお話しされ、来場されていた校長先生にマイクが渡り、葺き替えについてのバトンを受け取った経緯などをお話しされました。
実は、この小学校の葺き替えについても芸北茅プロジェクトが関わっており、その旨もご紹介いただきました。
会場で芸北茅プロジェクトからは、茅刈りをする人を増やしたいとコメントをしましたが、閉会後にいろいろな方が声をかけてくださいました。
私たちは連携やつながりをもって、茅葺きや草原保全をすすめていきたいと考えていましたが、このシンポジウムを機に、そのことが夢のようなことではなく、確実に進めていける手応えが持ちました。
そういった機会をいただき感謝の気持ちでいっぱいです。
一方で、茅場の持ち方や継続していく体制などにも課題は残ります。
さまざまな方の知見や経験をつないでいきながら、芸北茅プロジェクトを進めていく新たな力が湧いてきました。
シンポジウム後の懇親会も大変楽しかったです。
企画いただいた主催者のみなさん、素敵な場をありがとうございました。
(スタッフこうの)

櫻井さんのお話しのグラレコ。

民家から万博の茅葺きまでもりだくさん!

北広島の話題もたくさん!
ちょうど中国新聞で報道された浄土寺(豊平)の茅葺き替えのホットな話題も。
イラストがさすが。

茅葺き談義では、茅葺職人の紹介から。
春から入社の大学生の自己紹介。

茅ソファが置かれた壇上。
そしてグラフィックレコーディングをするのは、茅文協理事の方!

沖元さんの想いが込められた社名の説明。

平日にもかかわらず約100名の来場。
関心の高さが窺える。
受付などを手伝っていた学生さんの多さにもびっくり!
ホールも素敵。

 

【活動報告】「ひろしまの自然史博物館のこれから」レポート(2025.1.26)

2025年1月26日。
ひろしま環境ミーティング2024(似島歓迎交流センター)の分科会として、「ひろしまの自然史博物館のこれから」をテーマに集まりました。
企画者7名に加え、広島以外にも京都・滋賀・大阪からの参加があり、総勢24名で、考えを深める時間となりました。
最初は、各施設・団体を知ってもらうため、出張博物館の時間です。それぞれブースごとのテーマを持ち、学芸員やスタッフが解説します。
(1)芸北 高原の自然館(北広島町)「せどやまのいきもの」
(2)さとうみ科学館(江田島市)「里海の宝~カブトガニ~」
(3)三段峡ビジターセンターLoupe(安芸太田町)「三段峡の絶滅危惧種~ヤマセミとオオサンショウウオ~」
(4)広島大学総合博物館(東広島市)「自然史博物館ってどんなところ?
(5)オオサンショウウオと暮らすまちづくり会(東広島市)「保全を考えるボードゲーム」
解説に耳を傾けたり、活動を聞いたりといきもの好き、博物館好きの方は十分に楽しんでいただけたのではないでしょうか?
そして、みなさんに席についていただき、司会の黒島さん(広島大学総合博物館)より登壇者の紹介がありました。この分科会の発起人の河野(芸北 高原の自然館)からは、なぜこの分科会を持とうかとおもったこと、どんな会にしたいか、ということをお話しし、各施設からのリレートークに入ります。河野(芸北 高原の自然館)に続き、西原直久さん(さとうみ科学館)、井上 嵩裕さん (三段峡ビジターセンターLoupe)、山崎大海さん(オオサンショウウオと暮らすまちづくり会)、清水 則雄さん(広島大学総合博物館)の順番です。
それぞれの施設・団体から特色や強み、課題、これから実現していきたいことなどを5分という短い時間ですが、紹介しました。
この時点でキーワードがたくさん出てきました。
・学芸員不足(守り手の不足)
・地域まるごと博物館(エコミュージアム・キャンパスまるごと博物館・野外博物館)
・多世代(人材循環)
・フィールドワーカーの減少(育成と支援)
・企業連携
・資金不足(官民問わず)
・高齢化(活動の衰退,守り手の持続可能性)
・第三の学び場
・ネットワーク型
・地域資源の維持
・パートナーシップ,相互協力
・県標本(6万点の標本群)
・地域活性化に資する施設
その後、意見交換では、
・学芸員(人手)の不足について,クリアしていくには何が必要か?
・自治体が博物館の設置者の場合の話をいただいたが,そのほかではどうか?NPOの場合には?
・フィールドワーカーの減少について。自然史博物館はフィールドベースの博物館。その活動を支えるフィールドワーカーの減少にどう対応するか?
などがあがりました。
ここでは、長年野鳥の調査をしているフィールドワーカーの上野 吉雄さん(NPO法人西中国山地自然史研究会)からもコメントがありました。
最後に、「自分たちができるアクション」として参加者からの声をいただきました。時間不足で、2名にしか発言してもらう機会がなかったのが悔やまれますが、貴重なコメントがありました。
・県標本を活用したイベントを実施してはどうか。標本解説会を定期的に開くのが良い。自分の専門分野で実現可能。
・はく製師のような標本を作る人の仕事がないため,標本を守る前に作り上げることができない。海外同様に,そういう職種を認めてもらうことが重要。ワークショップは,機器や設備の関係からまずは大学での実施が現実的。ワークショップ等の活動を,専門家とコラボしながら,行政が認めるまでやり続けることが必要。
その後の立ち話では、キャラバンカーでの出前博物館のアイデアもありました。
みなさんの自然史博物館に対する熱い思いや、自然史に関する危機感、新しいことへの期待やわくわくを強く感じた分科会となったように思います。
昨年の夏にこの分科会を「やってみよう!」と思い立ち、幾度かの打ち合わせを経てこの機会を持てたことに感謝します。
(素敵な写真を撮ってくださった中井さんにも感謝!)
次の動きも予定しています。仲間も増えそうです!
以前河野が寄稿した中国新聞オピニオンの記事では、このように文章を締めています。
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「広島県内の自然史を後世に残すには?」。大きな問いに答えるためにも、牧野博士のように地をはう研究者たちの努力の成果に触れることができ、市民が自然への関心を高め、保全・活用に関わりを持てる場が急がれる。自治体間パートナーシップの広がりに期待したい。
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自治体間(行政)ではないものの、県内4ヶ所の施設や団体がつながったことは間違いなく、ここからのネットワークの広がりと、「広島県内の自然史を後世に残す」というおおきなうねりを作っていくんだ!という決意をもった「ひろしまの自然史博物館のこれから」となりました。
(スタッフ 河野弥生)