投稿者「スタッフ」のアーカイブ

ゆらゆら、すいすい──高原の自然館のいきものたち(2025.08.29)

8月も終わりに近づいてきました。
残暑が続く中でも、目に映るものに少しずつ秋の色が混ざり始めています。

朝、高原の自然館の周りを散策中、マツムシソウにとまるツマグロヒョウモンと遭遇しました。
ツマグロヒョウモンの名前の由来は、羽の模様がヒョウの体に似ていることと、端を意味する「ツマ」が黒いことです。
オスは敵から身を守るために、毒のあるチョウ“カバマダラ”に擬態するそうで、とてもゆるやかに飛翔します。
今朝も、マツムシソウの周りをゆらゆらと飛んでいました。

館内ではアブラボテとドジョウを生態展示しています。今日は冷凍赤虫を水槽の中に入れ、様子を観察しました。
水面に浮かぶ赤虫をアブラボテが素早く泳ぎ寄り、独り占めしようと次々と口に運びます。
一方ドジョウは落ち着いた様子で水面に沈んだ赤虫をじっと待ち構え、見つけると静かに吸い込むように食べます。
館内に立ち寄った際は、この小さな水槽の中で繰り広げられるいきものたちのやりとりも、ぜひ観察してみてください。
(見習いスタッフ)

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【参加報告】世界のあしたがみえるまち、つくば市の取り組み「森林バンク制度」を知る

オンラインでも参加できると聞き、迷わず参加したのがこちらのイベント。
👉 森を活かす、仕組みをつくる ~森林所有者と市民を結ぶ「つくば森林バンク制度」から考える~
会場は「watage」という若い世代の地域づくり拠点から。
私たちはオンラインで参加です。
最初に紹介されたのは Dear Tree Project
「クリエイティブメンテナンス」というキーワードで、まちとみどりの関係性を紡ぐ活動を展開されています。特に「何かが入る手前からの介入・デザインの必要性」という言葉が印象的でした。
続いての紹介は、ヒダクマ(株式会社 飛騨の森でクマは踊る)の取り組み。
「森に何があると続いていくのか」という問いを掲げ、森の見方や遊び方、都市のみどりとの関わりを提案。森を“かつてのスーパーマーケット・ガソリンスタンド・ホームセンター”とたとえる表現には思わず納得。これからの活動にも注目したいと感じました。
そしてつくば市の職員による、森林バンク制度の紹介。
生活に近い森林ゆえに苦情が多く、補助金で整備しても数年で藪に戻ってしまう現状から、「森林を所有する人」と「森林を活用したい人」をつなぐしくみを市が担い、整備人材=“まちのヒーロー”を育成する制度が生まれたそうです。
投票で「モデル森林」を選ぶ参加型の仕掛けなど、関わり代を広げる工夫も。
森林バンクの実績は、所有者登録171筆、利用者登録11人、サポーター登録3人1団体、成立2件とのこと。
「森と人をつなぐことを目指したが、人と人をつなぐことが大変だった」という言葉に、制度構築の難しさと同時に、人がつながるからこそ森も続いていくのだと実感しました。
森林の背景や、前提が芸北とは異なりますが、取り組む姿勢やアイデアなどとても参考になり、勇気をもらえる時間となりました。

【活動報告】「自然体験活動を通じた郷土教育」活動 @ 芸北(2025.8.25)

活動概要

本活動は、北広島町芸北B&G海洋センターからの依頼を受け、NPO法人西中国山地自然史研究会が協力して実施しました。
講師には、北広島町環境生活課の 原竜也さん を迎え、身近な川「滝山川」を舞台に生きもの調査を行いました。参加者は小学1年生から6年生までの28名。川に入って生きものを探す体験を通じて、川の豊かさと生物多様性を学びました。

安全のために

活動の冒頭で、原さんから川での注意点が伝えられました。

  • 走らない

  • 自分のひざより深いところには行かない

  • はだしにならない

子どもたちはルールを守りながら調査に臨みました。

調査方法

川の生きものを捕まえるために「手網」を使いました。すくうのではなく、仲間と協力して追い込むようにして捕獲する方法も教わりました。
チームで協力しながら活動する姿も見られました。

調査結果リスト

今回の調査で確認できた主な生きものは以下の通りです。

  • ブユ類

  • カワニナ類

  • サワガニ

  • コオニヤンマのヤゴ

  • シマイシビル

  • アカハライモリ

  • アカザ

  • ドジョウ

  • ハグロトンボのヤゴ

  • ムギツク

  • コヤマトンボのヤゴ

  • カワヨシノボリ

  • ヒゲナガカワトビケラの幼虫

  • タカハヤ

  • アブラボテ

滝山川には、魚類・甲殻類・水生昆虫・両生類など、多様な生物が暮らしていることを実際に確かめることができました。

講師のまとめ

原さんからは、「滝山川にはきれいな水にすむ生物がいる。この川にすむ生物が、これからもずっと暮らせるような環境であってほしい」とのお話がありました。

特に、アブラボテと二枚貝との関係について説明が印象的でした。アブラボテはメスが産卵管を二枚貝に差し込み、貝の中に卵を産みつけます。その際、カワシンジュガイもその「ゆりかご」として使われています。カワシンジュガイは芸北地域が世界最南限の生息地であり、魚と貝という異なる生きもの同士が命をつなぎあっている姿は、生物多様性を象徴するものとして強調されました。

子どもたちの様子

川面を覗き込みながら網を一生懸命使う子、少しおそるおそる水の中に足を踏み入れる子、それぞれのスタイルで調査に取り組みました。
「全然とれん!」「バケツ持ってきてー!」と声をあげながらも、水生昆虫や魚をつかまえて大喜び。観察を通じて、自然とふれあう楽しさを味わっていました。

参加者の声

  • 絶滅危惧種がいたのがわかった。川をきれいにしたいと思った。

  • 住んでいる魚から水の状態がきれいかどうかがわかる、ということを知った。

  • 家の近くでもいきものをみたり、川の水を調べてみたい。

さいごに

本活動を通じて、子どもたちは川といきものが人の暮らしと深くつながっていることに気づき、「川を守りたい」「自分のまちが好き」という気持ちが強くなったように思います。
今後もこうした体験を積み重ねることで、自然を大切に思い、郷土に誇りをもつ心を次世代につないでいく活動を、地域で連携していきます。

 

 

【活動レポート】8月8日は“はっぱの日”―知的好奇心がかけめぐる吾妻山

2025年8月8日(金)、庄原市立比和自然科学博物館が主催する「吾妻山グリーンラリー」に参加してきました。
高原の自然館の活動に活かせるヒントがあるのでは?と期待を胸に、スタッフ・専門員あわせて7名で挑戦しました。グループ申込ということで、私たちは「研究会チーム」と「スミレチーム」に分かれ、集合場所の博物館へ向かいました。

スタートからすでに楽しい
博物館では、宮永学芸員からイベント趣旨の説明がありました。
オリエンテーションとして「検索表を使った葉っぱの探し方」をインストラクターがレクチャーしてくださいました。
丁寧かつテンポの良い進行で、実際に木本を検索表で追いながら正解にたどり着く爽快感を味わいました。
普段なんとなく見ていた植物も、「部位を丁寧に観察する」という新鮮な視点を得ることができました。
午後は標高1000mのフィールドへ
午後からはいよいよ吾妻山へ移動しました。
草原、青い空、澄んだ空気…それだけで気持ちが高まりました。
黄色いネッカチーフと代表者ビブスを身につけると、競技感がぐっと増しました。
チェックポイントごとに番号札のついた樹木があり、検索表を使って種名を記入していきました。
グループだからこそできる視点の補完や、途中で出会った生きものとの触れ合いも楽しく、吾妻山の自然を満喫できました。
継続37年という重み
このグリーンラリーは、故・中村慎吾先生が小学生や先生方と考案し、37年も継続しているイベントです。
競技性と学びが自然に融合し、インストラクターとの会話や予期せぬ発見が「今だけ・ここだけ」の体験を生み出しています。
そして結果は…
全ポイントを回りゴール、採点を終えてドキドキの結果発表。
なんとスミレチームが1位、研究会チームが2位でした。
帰り道も「あの木は難しかったね」「ヤマナメクジの通り道があった」「草原の草刈りの頻度は?」と話題が尽きませんでした。
継続の背景にある“遊び心”という理念
比和自然科学博物館は「遊びは研究の母」という理念を掲げています。
博物館は研究の場であると同時に学習の場であり、遊び心は知的好奇心と置き換えることができるといいます。
この考え方がグリーンラリーの原点であり、37年間続いてきた理由ではないかと推察します。
単なるレクリエーションではなく、フィールドの中で“遊びながら知る”仕掛けこそが、このプログラムを特別なものにしていると感じました。
フィールド型学習イベントのヒント
検索表を“楽しみ”に変えるしかけ
単なる同定作業ではなく、クイズ形式や制限時間を設けることで没入感が増します。
フィールド+人の力
インストラクターが立ち、参加者との会話を生むことで、知識以上の“記憶”が残ります。
「遊びは研究の母」という視点が、企画の方向性と継続性を支えています。
おわりに
来年の開催日は2026年8月8日(土)です。
この記事を読んでくださったみなさんも、ぜひ予定を確保して“はっぱの日のフィールドの学び”を体験してみてください。
きっと新しい発見とときめきがみつかるはずです。

意気込みはナンバーワン!目指すは一位、スミレチーム。

どんなイベントか、あまり考えずに誘われるままに参加。こんな楽しい時間になるとは!!

インスタラクターさんたちのオリエンテーションも熱い!!

検索表グッズ

チーム紹介タイム。

ネッカチーフが似合う!

どれどれ・・とインストラクターさんを交えての検索タイム。

子どもにもわかりやすい解説で、種名を導くインスストラクターさんたちの話術!

草原にたつ。

スタートを待つ研究会チーム。

1番。手強かった。

2番。小坊主という場所で。

3番。

4番。

5番。

6番。実が長く垂れていた。

7番。

8番。

9番。

10番の写真を撮り忘れ。11番。

 

チェックポイントにもインストラクターさんが。

迷わずブナ!

 

元館長さんもインストラクターとして活躍。

13番の問題。

13番には危険ないきものが近くに・・

カエンタケだ!!

14番。

15番。ラストです。

研究会チームで。

 

景品つき!

表彰式。スミレチームが真っ先に呼ばれました。

記録証。

\千町原 夏の装い/(2025.7.7)

快晴が続く八幡高原。日中の強い陽ざしに、そろそろ一雨ほしいところです。
そんな中、千町原では夏の草原らしい風景が広がってきました。今、とりわけ目を引くのがハンカイソウ。大きな葉を広げ、鮮やかな黄色の花を高く咲かせています。道沿いにも多く見られるため、車の中からでもその存在感がはっきりわかります。
対照的に、その隣で静かに、けれど力強く背を伸ばしているのがススキです。いまはまだ穂が出る前。茎も葉も青々とし、夏の光を受けて風にそよぐその姿には、凛とした美しさがあります。秋には黄金色に染まるススキ原ですが、この季節の「青さ」は、いまだけのもの。
広い空の青と、風にそよぐ草原の緑。そして、ところどころに咲くハンカイソウの黄色。その取り合わせが、千町原の夏の装いを見せてくれています。