投稿者「スタッフ」のアーカイブ

【ようこそ!】愛媛から八幡湿原へ ― 「森からつづく道」と歩いた一日

2025年9月6日(土)に愛媛県の NPO法人森からつづく道(もりみち) のみなさんが八幡湿原を訪ねてくださいました。北広島町内での視察の前に「ぜひ八幡湿原を歩きたい」と希望され、理事長や専門員とともにご案内しました。

高原の自然館、霧ヶ谷湿原(自然再生事業地)、尾崎沼湿原をめぐり、短い時間ながら意見を交わしながら歩く良い時間となりました。

もりみちは2013年に発足したNPO法人で、「人と自然との豊かな関わりを次代へ」を掲げ、植物・昆虫・鳥類などの調査・研究、自然に触れる体験づくり、情報発信などを行っています。フィールドの現場から自然の魅力や大切さを伝えている団体です。

私たち 西中国山地自然史研究会 の理念は「地域と自然の輝きを未来へ」。言葉は違っても、自然と人のつながりを次の世代へ手渡したいという根っこの想いに、共通するものを感じました。

いきものに詳しい方が多く、こちらも視点が広がりました。
愛媛と広島、海は隔てていますが、生物多様性の保全や次世代の育成という同じ方向を向く仲間として、これからもゆるやかに情報交換できればうれしいです。

もりみちのみなさん、ありがとうございました!

高原の自然館の館内を案内する上野理事長


お話上手なもりみちの副代表さん

「やっぱりあれをみておきたい」とどんどんあるくもりみちメンバーさんたち


記念に一枚!

ジュニアトレッキングガイド活躍!(2025.9.26)

芸北中学校では、高原の自然館も協力し、総合的な学習の時間に「芸北ジュニアトレッキングガイドになろう」という取り組みを行っています。1年生がジュニアトレッキングガイドとして実際にツアーを3回実施し、芸北の自然や地域の魅力を伝えます。
今日はその3回目。町内からのお客さまを前に、これまでの学びを生かしたガイドを披露しました。
1回目には聞き取りづらかった声も、今回はぐっと大きくなり、より分かりやすい資料を準備するなど、それぞれが工夫を重ねています。
高原の自然館では「この足跡をたどると自然館を一周できます。さて、この動物は何でしょう?」「この地図には芸北の山々が示されています。雲月山を知っていますか?」といったクイズ形式の解説も登場。自分たちで調べ、下見を重ね、何をどのように伝えるかを考え抜いたガイドは、来館者の興味を引きつけていました。
この活動を通して、生徒たちが芸北の自然に触れ、ふるさとの良さを体感し、自分たちの言葉で地域の魅力を語れるようになることは、将来のアイデンティティや郷土への誇りにつながる大きな一歩です。

ゆらゆら、すいすい──高原の自然館のいきものたち(2025.08.29)

8月も終わりに近づいてきました。
残暑が続く中でも、目に映るものに少しずつ秋の色が混ざり始めています。

朝、高原の自然館の周りを散策中、マツムシソウにとまるツマグロヒョウモンと遭遇しました。
ツマグロヒョウモンの名前の由来は、羽の模様がヒョウの体に似ていることと、端を意味する「ツマ」が黒いことです。
オスは敵から身を守るために、毒のあるチョウ“カバマダラ”に擬態するそうで、とてもゆるやかに飛翔します。
今朝も、マツムシソウの周りをゆらゆらと飛んでいました。

館内ではアブラボテとドジョウを生態展示しています。今日は冷凍赤虫を水槽の中に入れ、様子を観察しました。
水面に浮かぶ赤虫をアブラボテが素早く泳ぎ寄り、独り占めしようと次々と口に運びます。
一方ドジョウは落ち着いた様子で水面に沈んだ赤虫をじっと待ち構え、見つけると静かに吸い込むように食べます。
館内に立ち寄った際は、この小さな水槽の中で繰り広げられるいきものたちのやりとりも、ぜひ観察してみてください。
(見習いスタッフ)

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【参加報告】世界のあしたがみえるまち、つくば市の取り組み「森林バンク制度」を知る

オンラインでも参加できると聞き、迷わず参加したのがこちらのイベント。
👉 森を活かす、仕組みをつくる ~森林所有者と市民を結ぶ「つくば森林バンク制度」から考える~
会場は「watage」という若い世代の地域づくり拠点から。
私たちはオンラインで参加です。
最初に紹介されたのは Dear Tree Project
「クリエイティブメンテナンス」というキーワードで、まちとみどりの関係性を紡ぐ活動を展開されています。特に「何かが入る手前からの介入・デザインの必要性」という言葉が印象的でした。
続いての紹介は、ヒダクマ(株式会社 飛騨の森でクマは踊る)の取り組み。
「森に何があると続いていくのか」という問いを掲げ、森の見方や遊び方、都市のみどりとの関わりを提案。森を“かつてのスーパーマーケット・ガソリンスタンド・ホームセンター”とたとえる表現には思わず納得。これからの活動にも注目したいと感じました。
そしてつくば市の職員による、森林バンク制度の紹介。
生活に近い森林ゆえに苦情が多く、補助金で整備しても数年で藪に戻ってしまう現状から、「森林を所有する人」と「森林を活用したい人」をつなぐしくみを市が担い、整備人材=“まちのヒーロー”を育成する制度が生まれたそうです。
投票で「モデル森林」を選ぶ参加型の仕掛けなど、関わり代を広げる工夫も。
森林バンクの実績は、所有者登録171筆、利用者登録11人、サポーター登録3人1団体、成立2件とのこと。
「森と人をつなぐことを目指したが、人と人をつなぐことが大変だった」という言葉に、制度構築の難しさと同時に、人がつながるからこそ森も続いていくのだと実感しました。
森林の背景や、前提が芸北とは異なりますが、取り組む姿勢やアイデアなどとても参考になり、勇気をもらえる時間となりました。

【活動報告】「自然体験活動を通じた郷土教育」活動 @ 芸北(2025.8.25)

活動概要

本活動は、北広島町芸北B&G海洋センターからの依頼を受け、NPO法人西中国山地自然史研究会が協力して実施しました。
講師には、北広島町環境生活課の 原竜也さん を迎え、身近な川「滝山川」を舞台に生きもの調査を行いました。参加者は小学1年生から6年生までの28名。川に入って生きものを探す体験を通じて、川の豊かさと生物多様性を学びました。

安全のために

活動の冒頭で、原さんから川での注意点が伝えられました。

  • 走らない

  • 自分のひざより深いところには行かない

  • はだしにならない

子どもたちはルールを守りながら調査に臨みました。

調査方法

川の生きものを捕まえるために「手網」を使いました。すくうのではなく、仲間と協力して追い込むようにして捕獲する方法も教わりました。
チームで協力しながら活動する姿も見られました。

調査結果リスト

今回の調査で確認できた主な生きものは以下の通りです。

  • ブユ類

  • カワニナ類

  • サワガニ

  • コオニヤンマのヤゴ

  • シマイシビル

  • アカハライモリ

  • アカザ

  • ドジョウ

  • ハグロトンボのヤゴ

  • ムギツク

  • コヤマトンボのヤゴ

  • カワヨシノボリ

  • ヒゲナガカワトビケラの幼虫

  • タカハヤ

  • アブラボテ

滝山川には、魚類・甲殻類・水生昆虫・両生類など、多様な生物が暮らしていることを実際に確かめることができました。

講師のまとめ

原さんからは、「滝山川にはきれいな水にすむ生物がいる。この川にすむ生物が、これからもずっと暮らせるような環境であってほしい」とのお話がありました。

特に、アブラボテと二枚貝との関係について説明が印象的でした。アブラボテはメスが産卵管を二枚貝に差し込み、貝の中に卵を産みつけます。その際、カワシンジュガイもその「ゆりかご」として使われています。カワシンジュガイは芸北地域が世界最南限の生息地であり、魚と貝という異なる生きもの同士が命をつなぎあっている姿は、生物多様性を象徴するものとして強調されました。

子どもたちの様子

川面を覗き込みながら網を一生懸命使う子、少しおそるおそる水の中に足を踏み入れる子、それぞれのスタイルで調査に取り組みました。
「全然とれん!」「バケツ持ってきてー!」と声をあげながらも、水生昆虫や魚をつかまえて大喜び。観察を通じて、自然とふれあう楽しさを味わっていました。

参加者の声

  • 絶滅危惧種がいたのがわかった。川をきれいにしたいと思った。

  • 住んでいる魚から水の状態がきれいかどうかがわかる、ということを知った。

  • 家の近くでもいきものをみたり、川の水を調べてみたい。

さいごに

本活動を通じて、子どもたちは川といきものが人の暮らしと深くつながっていることに気づき、「川を守りたい」「自分のまちが好き」という気持ちが強くなったように思います。
今後もこうした体験を積み重ねることで、自然を大切に思い、郷土に誇りをもつ心を次世代につないでいく活動を、地域で連携していきます。