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【活動報告】里山自然講座レポート(職員研修)

6月2日、ひろしま自然学校(北広島町豊平)で行われた「里山自然講座」に職員研修として、参加しました。
「里山自然講座」は、森の整備や木材の活用、生きもの調査など、子どもたちが楽しむ森を一緒に作ることを目的とした、里山保全ボランティアの育成講座です。
今回の講座では、ひろしま自然学校オリジナルの「里山いきものカード」「おさんぽMAP」「発見シール」という3つの教材を使い、子どもたちに自然に親しんでもらう自然体験を行いました。
研修を体験して、改めて気づいたことは「ビジュアルの強さ」です。カードも、地図もシールも、わかりやすい写真や、親しみやすい色、デザインであり、子どもの好奇心や探究心をそそり、自発的に学びたくなるような作りとなっていました。またカードをコレクションするという、シンプルですが、のめり込みやすい仕掛けもあり、小道具やビジュアル一つで、自然体験活動をより楽しめるものに出来るということを実感しました。
午前の座学では、「教材をどのように使うの」「どのような仕組みか」を中心に学びました。教材は、子どもたちに、周囲に様々ないきものがいることを実感してもらう、やる気を高めてもらう、一歩踏み込んで、生態系の仕組みをしってもらう、を目的に作られているそうです。
今回使う「里山いきものカード」は、春・夏版の16枚で、表にはいきものの写真、裏には説明が書いてありました。16枚、あるいは32枚という数字はカードをプリントする場合にちょうどいい数字だそうです。子どもは虫が好きだから、虫を多くした。見つけやすいいきものを選んだなど、周辺に生息・生育するいきものから16種を選ぶときの苦労とコツも伺いました。
午後は、ひろしま自然学校のフリースクールに参加している1家族に講座の参加者が1人か2人が付き、一緒に生きもの探しに出かけました。
約2時間のおさんぽの後は、屋内でまとめをしました。このときにはカードをもらうというだけでなく、色ごとにグループ分けをして「もらったカードを2枚使ってつながりを考える」という発表も行いました。「木はチョウのおうち」「イモムシは草を食べる」など、ただ単にカードを集めるだけでなく、いきものを可愛いと思うことから一歩踏み込んだ発表会です。
子どもたちの発表を受け継ぐように、カードの制作者のお一人でもあり講師の大丸さん(ひろしま自然学校)による「カードのいきものたちの仲間は、実は全て繋がっている」という、模造紙を使ってのお話もありました。かわいいイラストでわかりやすい語りでしたが「生態系」のお話であり、まさしく教材の「一歩踏み込んで生態系の仕組みを知ってもらう」という目標に繋がっていて、カードのお話から自然に生態系のお話へと繋げていくスムーズさに私は驚きました。
子どもたちも最後までしっかりと聞いていたのも印象的でした。フリースクールの子どもたちとお別れのとき、みんなとてもいい笑顔で、今回の自然体験は、子どもたちにとってもとても楽しく、勉強になったのではないかと思います。
今回は子ども対象の自然体験でしたが、研修で参加させてもらった自分自身がとても楽しく、わかりやすい学びでした。
西中国山地自然史研究会では「自然観察手帳」というフルカラーの冊子を毎年制作しています。当会が主催する自然観察会で、会員に資料として使ってもらうものですが、この手帳以外にも、ビジュアルを生かし、初心者や子どもたちにも、自然に親しみを感じてもらえるようなツールがいつか作れたら、より深みのある機会になりそうです。
研修の機会を設けてくださったひろしま自然学校さん、ありがとうございました。

今回の研修で使われた教材の1つ、「里山いきものカード」。
写真やイラスト、解説がとてもわかりやすく、子どもたちの好奇心を引き出すようなデザインとなっている。

「カエルおった!!」。おさんぽ時間で見つけたモリアオガエル。綺麗に擬態していても、子どもの目を欺くことはできなかったようだ。

トンボ、捕まえたよ!トンボのシールが貼れる!!

シールを貼っていったおさんぽMAP。こんなにもたくさんのいきものが見つかりました。

【活動報告】水口谷湿原の清掃を行いました(2024.4.12)

2024年4月25日(木)の、高原の自然館のオープンまであと約2週間となりました。
昨日4月12日(木)に、北広島町観光協会芸北支部、芸北トレッキングガイドの会、芸北高原の自然館の3団体共同で、高原の自然館近くの水口谷湿原の木道の清掃を行いました。
秋と冬の落ち葉が積もり、コケも生えてで大変滑りやすくなり、周囲から伸びた枝や木々で歩きにくくなっていた木道ですが、約3時間の作業で綺麗になりましたよ!!
これから木々が芽吹き、新緑が綺麗な季節になります。
是非、足をお運びくださいね♪

落ち葉が積もった木道。

ブロワーを使って落ち葉を吹き飛ばす。

あっという間にこんなに綺麗に。

木道を覆うように茂っていたササや、枝も綺麗になりました。

【参加レポート】深入山山焼き2024(2024.4.8)

2024年4月7日(日)におとなり安芸太田町の深入山山焼きが実施されました。深入山は毎年植物観察会を行なっている場所であり、西中国山地自然史研究会の専門員の先生たちは、昆虫・野鳥などのモニタリングを行なっている思い入れのある草原でもあります。
「未来に残したい日本の草原(未来に残したい日本の草原100選運営委員会編)」によると、深入山は1749年に山焼きを行ったという記録が残っており、ワラビ山・肥草山として利用するために山焼きが行われてきたようです。1971年から深入山の山焼きは旧戸河内町が松原自治会に委託されたものの、2017年に受託辞退があり、再編し、2018年から町職員を中心とした新体制となり、自然を活かした観光の推進の観点から「草原の維持・再生」を目的とし、火入れを行なう中、2023年より一般ボランティアの募集がスタートしました。その際、西中国山地自然史研究会では、ボランティア募集について情報提供を行ったご縁もあり、関係者がボランティアに参加しています。
2024年の今回は専門員3名、スタッフ1名がボランティアに参加(+観光参加)しましたので報告します。
※ボランティア参加要件には、SNSなどでの発信が推奨されています。よって感想には個人見解も含まれています。
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●A班担当
初めてボランティアとして参加しました。雲月山と比べて焼く範囲が広いため、数人の点火係の方が、山頂から斜面や谷を降りながら火を付けなければならないことが、危険を伴う大変な作業だと思いました。山全体が見えないことも雲月山とは異なる点かと思いました。安全に作業を行うための事前の話し合いや当日の連絡体制など、山焼きはチームワークだなぁと改めて感じました。
●B班担当
昨年に続き2度目のボランティア参加でした。今回は火付け役という責任のある役目でしたが、植生や地形、人員の配置等をみながら火付けのタイミングをある程度イメージできました。これまでに携わってきた深入山、蒜山や雲月山などでの山焼きの経験が活きたのではないかなと思います。怪我や事故なく終わったのであれば成功と思います。
●D班担当
火が思うように燃えずあせりが感じ取れました。私は南登山道脇に火をつけて7合目くらいまで登りました。本来の火付けルートでは無くイレギュラーなものでした。ほとんどササ草原になっており、前夜の降雨もあったのか、ほとんど燃えませんでした.観光目的で行われている山焼きであり,あまりに燃えないので途中で帰る見物の方が多かったです。できれば、ササを刈ってススキ草原にするともう少し燃えると思います。
●E班担当
初めての参加でどきどきしましたが、待ち時間の多い配置だったため、グループのみなさんと話をしたり、観察したりという時間が長くもて、交流することができました。可能であれば、ボランティアだけでなく職員のみなさんにも名札があれば、話しかけやすかったかもしれません。途中、各班の様子を見に来られた 橋本博明 町長とお話しできたのは、大きな出来事です。職員のみなさんと町長とのやりとりを見ているととても和やかで、いい町なんだろうなぁと想像しました。
深入山の一番東側を担当するグループだったため、火が入る山容は見えなかったものの、山裾や林縁に火をつけていく体験は初めてで、文字通り燃えました!深入山の山焼きを自分が担えたという充実感いっぱいに帰路につきました。
●観光参加
駐車場周辺にはキッチンカーや地元のお店の出店もあり、まさにお祭り気分。また、頂上部の点火、麓からの点火についてはしっかりとアナウンスがあり、観光客に優しい山焼きだなという印象を受けました。
少し残念だったのは、曇り空となり肌寒さが増したことに加え、昨夜の雨の影響もあってか山焼きの燃え方が激しくなく、ゆっくりじわじわと焼けていくという状態だったからか、麓からの点火、最初の頃の激しい延焼が終わると、多くの観光客が帰ってしまったということです。ボランティアの方々が下山して戻ってくるころには、観光客の姿はまばらという寂しい状況に…。
とはいえ、山焼きを楽しみにされている方との交流もでき、楽しい1日となりました。
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このように大きな行事を安全に実施された安芸太田町に敬意を表します。
西中国山地自然史研究会では、9月21日に深入山の植物観察会を予定しています。
今後もたくさんのいきものの観察や保全、いこいの場所、四季のある気持ちのよい風景などを楽しみに深入山を訪れたいと思います。

はらっぱーも、深入山の山焼きに行ってきました!!

橋本町長の熱のこもった挨拶からスタート。

班ごとに仕分けられた火入れグッズ

山焼き時の服装はこれだ!!

おべんとうタイム

キブシと消防車。後ろでは火が走る。

E班のようす。

軽快に班を回る橋本町長。ボランティアにも声をかけてもらえた。

少しずつ燃え上がる

B班のようす。

D班のようす。

 

山焼き後の深入山

 

 

【イベント報告】ひろしま環境ミーティング2023 in 江田島に参加しました。


1月27日、28日の二日間に渡り、江田島の国立江田島青少年交流の家で、ひろしま環境ミーティング2023 in 江田島 〜環境でつながるひろしまのわ〜が行われました。
このミーティングは、2017年、2018年に行われたNPO法人自然体験活動推進協議会(CONE)主催の「自然体験活動フォーラム in 江田島」を前身としたイベントです。CONEから実行委員会が運営を引き継ぎ、コロナ禍でウェブ開催を挟みながら、今年度は西中国山地自然史研究会も会員になっている環境パートナーひろしまが主催となり、4年ぶりの江田島での実施となりました。
西中国山地自然史研究会スタッフは、職員研修の一環として参加しました。
テーマを自然体験活動だけではなく、環境全体に広げたこともあり、自然体験活動を行っている団体から、生物多様性について普及活動を行っている人、森のようちえんの関係者、釣りのプロフェッショナルなど、自然や環境に興味を持ったり、関わりのある仕事をしている様々なバックグラウンドを持つ人たちなど、総勢56名の参加がありました。〜環境でつながるひろしまのわ〜のサブタイトルのとおり、今まで出会ったことがない人たちと、新しいつながりのわが出来そうでわくわくします。
今回のミーティングは初日の全体会、初日、2日目の分科会、2日めの全体会と、大きく3つに分けて行われました。
初日の全体会では、大学を卒業後、今年度に東北から江田島に配属され、色々と勉強し始めたばかりだという、初々しい青少年交流の家のスタッフや、孫がいるという方と話す機会もあり、世代、経験を超えての交流が出来ました。
分科会は計2日にわたり、8つのテーマで行われました。国連で行われたSDGsサミット2023年の報告会から、ドイツで行われている自然保育についての発表、自然栽培の農園の話など、多種多様なテーマがあり、それぞれ時間を忘れてしまうほどの盛り上がりを見せたようです。2日目の隙間時間には、1日目に行われた一部の分科会のプチ発表会もあり、参加者の皆さんは熱心に聞き入っていました。
中学2年生から孫のいる世代まで、幅広い世代が参加した今回のミーティング。普段出会うことがないような人との新しい出会いあり、以前のフォーラムでお会いしたことがある人との再会がありと、人とつながるという楽しさ、面白さを知ること出来た機会となりました。 このつながりにより、新しいアイデアや視点が生まれることもあり、「つながってわになる」ということは、これからのひろしまの環境教育や自然体験活動のさらなる発展には、とても重要になるものだと感じました。2日間という短い期間でしたが、自然体験、環境教育の幅広さを実感するとともに、熱意を持ったたくさんの人たちや、そのつながりによる、新しい可能性を感じられたものともなりました。
西中国山地自然史研究会でも「つながったわ」を大切にし、これからのイベントや高原の自然館に役立てることが出来たらと思います。来年、江田島でまたつながる機会があれば、少しでもつながりで成長出来た姿を見てもらえるように精進していきたいと思います。

【お知らせ】高原の自然史23号が公開されました(2023.8.16)

高原の自然史は北広島町教育委員会が発行する学術雑誌です。菌類から動植物まで多様な生物に関する記載をはじめ、湿原やブナ林の生態・人間活動と自然の関わりという人文社会的な研究までを広く扱っています。西中国山地の自然をより深く理解していただけるよう、多数の貴重な写真とともに最新の研究成果を紹介いたします。研究者だけでなく、自然を愛するすべての人に読んで頂きたい雑誌です。

芸北 高原の自然館 出版物
高原の自然史23号
広島県北広島町におけるクロバナヒキオコシの初記録

※電子版のみ
※23号はただいま編集中です。随時、更新・掲載します。