芸北茅プロジェクト

事業について

芸北の原風景

かつて芸北の民家は、茅(ススキ)で屋根が葺かれていたそうです。一軒の屋根を葺くのに大量の茅が使われたため、各集落には必ず「茅畑(かやばた)」と呼ばれるススキ原がありました。時代が移り、トタンや瓦が普及すると、茅は使われなくなり、茅葺きの建物が並ぶ風景は姿を変えていきました。そして今、茅葺きの技術を持った人はほとんど居なくなり、茅葺き屋根を葺ける人や技術が芸北から消えつつあります。

事業の背景:茅葺き屋根の減少

茅葺き屋根の減少は、野生の生きものにも変化をもたらしました。ススキが使われなくなったことでススキ原は森になりました。すると、キキョウ、カワラナデシコ、オミナエシなどの草原の生きものたちが姿を消し、森はツキノワグマやイノシシなど獣の潜み場になりました。茅葺きの建物は昔ながらの風景を作っていただけでなく、ススキ原の景観や生きものを守り、獣が里に出てくるのを防いでいたのです。

芸北茅プロジェクトの目的

私たちが進める芸北茅プロジェクトは、芸北に生えている茅を活用することで、伝統的な建築物や技術を伝えるとともに、ススキ原の生物を守り、地域通貨の流通を通じて地域を活性化させる取り組みです。芸北中学校とPTAが中心となって取り組むことで、子どもたちが地域の資源や自然、経済について学ぶ機会を作っています。

取り組みに参加してください

プロジェクトの推進には、茅を出荷してくださる「刈り人さん」の協力が欠かせません。ぜひ、地域の茅を刈り取って茅金市場に出荷してください。

藝州茅

芸北茅プロジェクトでは、長さ180cm以上の真っ直ぐなススキを、直径20cm〜25cmに束ねたものを「藝州茅」として市場に受け入れています。出荷の際はご確認ください。

事業内容

茅の受け入れと、せどやま券の発行

1年に一度「茅金市場」を開いて、地域のみなさんから茅を受け入れます。
受け入れの際には検品して、出荷量に応じてせどやま券と交換します。
せどやま券は、地域の商店で利用できます。

茅の保管と販売

受け入れた茅は、保管場所で換気をしながら保管して販売します。
茅は個人宅から文化財建築まで様々なところで使われます。

カヤプロを通じた学び

茅金市場での茅受入れを担うのは、芸北中学校の生徒です。
市場の広報活動や、入荷時の検品、地域通貨の発券など、地域資源の流通に関わることで、地域資源の活用や生物多様性の保全方法について学びます。

受賞等履歴

さとやま未来大賞2017 in ひろしま『未来のたね賞』(2017年)

  • 主催:広島県 https://hirosato500.com/contents/5410/
  • 趣旨: 中山間地域にあるものを活かして、新しい価値の創造につなげている好事例を「さとやま未来大賞」として顕彰し、その活躍を応援するとともに、プロセスやノウハウを共有することによって、取組のさらなる普及をめざす。

事業支援

  • 2020年度
    2016年に芸北中学校を中心に始まった芸北茅プロジェクト(茅プロ)を推進することにより1)ススキを資源化することによる地域経済の活性化、2)ススキ草原を適切に管理することによる草本の保全や野生生物との境界づくり、3)刈った茅が屋根材として使われることによる文化財建築や茅葺き技術の伝承、4)子どもたちが茅プロに関わることによる学びの場づくり、の4項目を実現のための活動に、ゆうちょ エコ・コミュニケーション(環境保全団体への寄附)からご支援いただくことが決定しました。「ゆうちょ エコ・コミュニケーション」とは、環境保全活動に地域住民 とともに取り組む団体を支援することで、ゆうちょ銀行と地域社会・地域 住民の相互コミュニケーションを深め、地域社会の持続的発展に貢献する ことを目指す取り組みです。
  • 2021年度
    2020年度から継続し、ゆうちょ エコ・コミュニケーション(環境保全団体への寄附)からご支援いただくことが決定しました。

japan post eco communication

芸北茅プロジェクト実行委員会

  • 北広島町立芸北中学校(価値化部門、事務局)
  • 芸北中学校PTA(事業化部門)
  • 認定NPO法人 西中国山地自然史研究会(事業化部門、事務局)
  • 北広島町教育委員会(事業化部門)
  • 北広島町立 高原の自然館(価値化部門)

お問い合わせ先

  • 藝州茅を買いたい:北広島町教育委員会:080-5812-1864
  • 茅金市場に茅を出したい:北広島町立芸北中学校:0826-35-0151
  • 視察をしたい,その他全般:西中国山地自然史研究会:080-6334-8601

紹介冊子

芸北茅プロジェクトの内容は,以下の冊子もご覧下さい.

芸北茅プロジェクト冊子

芸北茅プロジェクト−芸北の茅を使ってふる里を守ろう!−