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【イベント報告】早春のトレッキング

  • 開催日時:2012年3月18日(日) 10:00
  • 講師:上野吉雄

 今年度最後の観察会となる「早春のトレッキング」が行われました.霧雨が降る中,高原の自然館に16名の参加者が集合し,講師の上野先生から出発前のお話を聞き,千町原に向けて出発しました.積雪は50cmほどで,木々の根元では色々な形の根開きが見られました.雪が解け地面が見えるところでは地面に溝のような跡が見つかりました.この溝はハタネズミが掘ったもので,雪と地面の間を掘り進み,草の根などを食べているそうです.自然館の裏手にあるパークゴルフ場の片隅では,タヌキが一ヶ所に多数のフンをしていました.これをタメフンというそうです.「タヌキは哺乳類の中でもコミュニケーションが発達している.タメフンもその手段の1つであり,自分の存在を知らせるために同じ場所にフンをする」と,解説されました.おーいの丘までの道では,常緑樹であるエゾユズリハがその葉を生き生きと広げていました.それとは反対に,前回の観察会ではよく見かけた,カンボクやツルウメモドキなどの実は目に見えて減っていました.食べる物が豊富にある環境では,それぞれ好みの物を優先して食べているのかな,と思いました.木々の間からはシジュウカラやコゲラの鳴き声が聞こえてきました.丘の麓から千町原では雪解け水が一ヶ所に集まって湿地になっている場所がありました.「ここは去年の秋の保全活動で手を入れた場所で,湿地に戻ったことでこのような場所を好む鳥が帰ってくるだろう」と,上野先生は話されました.湿地の中では,ハタネズミが穴を掘った跡や,アケボノソウの根生葉などを見つけました.また枝をかじった食痕や,橙色をした尿等のウサギの痕跡が見つかりました.千町原には餌となる低木が多数あり,近くには身を隠しやすい場所も多いためウサギが活動しやすい場所ということがわかります,他にも寒さから実を守る為に枝が真っ赤に染まったミズキや,冬でも葉を落とさないカシワ,鳥が好んで実を食べるキハダなどをみることが出来ました.雪の積もる千町原ですが,目を向ければ少しずつ春の兆しが見えてきていることを感じられた観察会になりました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「ハタネズミの行動が見れました.タヌキのタメフンを見ました」「雪の上に色々な種が落ちていた.うさぎの尿は植物の色素」「ハタネズミの穴.穴を踏んだら飛び出してくるかなと思ったがだめだった」「残雪の多さ.霧の風景」「うさぎの足跡.フンがたくさん」「不明の種.雨が面白いです.カンボクの実やキハダの実がにがいですネ」「ウサギの足あと.フン」「話を聞き自然に触れる事は良いと思います」「雪の中で動植物の冬ありかたを教えていただきよく判りました」「ハタネズミのフンが小さかった事.タヌキのタメフン」「うさぎのふんが多く飛びはねてる様を想像して楽しんだ」「残雪を踏みしめて歩く楽しみ」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「今日は天気もギリギリもててガスの中きれいな風景でした」「もう少し参加者が多ければと思った」「キリが幻想的だった」「大勢の参加で楽しかったです.」「寒いかと思ったが,風もなく良かった.雨が少し残念」「鳥やケモノ足跡少ないのが残念ですが来年も又来ます」「鳥が少なかった事.カンボク等の実がたくさん落ちていたことなど」「たいへん有意義でした」「あいにくのお天気ではあったが大変楽しかったです」「やはり少し春を感じた」

写真

自然館前の駐車場でお話を聞く.他にも団体が来ていて,閉館中でも賑やかだった.
自然館前の駐車場でお話を聞く.他にも団体が来ていて,閉館中でも賑やかだった.駐車場の植樹達.思い思いの形に根開きをしている.
駐車場の植樹達.思い思いの形に根開きをしている.出発前にかんじきを履く.
出発前にかんじきを履く.煙る千町原へ向かう.見晴らしの良い普段とは,違う景色に参加者から感嘆の声が聞こえた.
煙る千町原へ向かう.見晴らしの良い普段とは,違う景色に参加者から感嘆の声が聞こえた.あちこちに散らばるウサギの毛.ここで天敵に襲われたのだろうか.
あちこちに散らばるウサギの毛.ここで天敵に襲われたのだろうか.生き生きと葉を広げるエゾユズリハ.
生き生きと葉を広げるエゾユズリハ.カンボクに成った水滴の実.
カンボクに成った水滴の実.雪解け水でできた湿地を歩く.ここでもかんじきは強い味方になる.
雪解け水でできた湿地を歩く.ここでもかんじきは強い味方になる.千町原で見つけたフジの実.炒ってと食べると美味しいとのこと.
千町原で見つけたフジの実.炒ってと食べると美味しいとのこと.山際に立っていたミズメ.厳しい寒さを乗り越えたその枝は鮮やかな赤紫に染まっていた.
山際に立っていたミズメ.厳しい寒さを乗り越えたその枝は鮮やかな赤紫に染まっていた.一周して駐車場へ.出発前と比べて格段に霧が濃くなっていた.
一周して駐車場へ.出発前と比べて格段に霧が濃くなっていた.

【イベント報告】雪原のトレッキング

  • 開催日時:2012年2月19日(日) 10:00
  • 講師:上野吉雄

 朝の気温は氷点下18度と低く,チラチラと雪が舞い降りる中,「雪原のトレッキング」が行われ,16名の方が高原の自然館に集合しました.講師の上野先生からお話を聞いた後,雪原を歩き始めました.週末から降り続いた雪は深さ150cm以上となり,かんじきを履いていても膝下まで沈み込むほどでした.まずは自然館の周辺を観察します.山麓庵の屋根にはテンが移動している跡が見られました.上野先生は「柱をつたって天井裏に入り,同じく屋内に移動しているネズミを探している」とテンが柱を登った時に付けた爪痕を指差しながら話されました.次に霧ヶ谷湿原へ向けて出発しました.途中にある水口谷湿原の入口に差し掛かると,ゆっくりとした羽ばたき方が特徴的であるカケスに出会いました.「カケスは冬の間は主にドングリを食べる.秋に貯食しておいたものを掘り起こして食べるが,そのまま忘れさられたものは春になると芽吹くので,植物の分布拡大に一役買っている事になる」と解説されました.霧ヶ谷湿原に入る遊歩道では,ヤドリギの実を手に取ることができました.上野先生が実を手に付けて揺らし,どれだけ粘着力があるのかを実演していただきました.普段は手の届かない高さにあるヤドリギですが,降り積もった雪の上を歩ける冬ならではの体験です.霧ヶ谷湿原内では,雪に閉ざされていない小さな池がいくつか見られました.「このような池にはカエルや両生類が捕食者のいない春の早いうちに山からやってきて産卵をする.特にヤマアカガエルは産卵をした後に山に戻り,暖かくなるまで再び冬眠する」と上野先生は話されました.この他にも,クロモジやミズメなどの冬芽や,ヒヨドリやシジュウカラの羽ばたいている姿などを観察できました.新雪のため,動物の痕跡は少なかったものの,湿原や植物,野鳥などを普段とは違う視点から観察することができました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「コナラとミズナラの判明」「カケスの跳び方が平泳ぎのようでした」「新雪の白さに感動(2)」「雪の湿原」「鳥が少ないこと(2)」「雪の多さ!前回(2年前)とはずいぶん違いました(2)」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「寒いけど楽しかった(2)」「去年より動物の跡は少なかったが面白い話が聞けた(2)」「寒くもなく新雪歩き良かった」「貴重な体験ができました」「動物の足跡がほとんどなかったのが印象的でした(2)」

写真

自然館前にうず高く積もった雪.今にも屋根に届きそう.
自然館前にうず高く積もった雪.今にも屋根に届きそう.山麓庵の茅葺き屋根を移動したテンの足跡を観察する.
山麓庵の茅葺き屋根を移動したテンの足跡を観察する.雪の付く木々は日光を美しく反射させ,参加者の目を楽しませる.
雪の付く木々は日光を美しく反射させ,参加者の目を楽しませる.クロモジの冬芽.枝はしなやかに曲がり,雪の重みでも折れにくいことを聞いた.
クロモジの冬芽.枝はしなやかに曲がり,雪の重みでも折れにくいことを聞いた.コナラの実.ミズナラの実と比べてみるとその名の通り実が小さい.
コナラの実.ミズナラの実と比べてみるとその名の通り実が小さい.看板も雪の中でじっと春を待つ.
看板も雪の中でじっと春を待つ.霧ヶ谷湿原にある水溜まり.春になると産卵のために色々な生物が集まってくる.
霧ヶ谷湿原にある水溜まり.春になると産卵のために色々な生物が集まってくる.上野先生の親指からぶら下がるヤドリギの実.多少揺らしても落ちないほどの粘着力がある.
上野先生の親指からぶら下がるヤドリギの実.多少揺らしても落ちないほどの粘着力がある.ミズメの枝を嗅いでみる.湿布のような独特の香りがした.
ミズメの枝を嗅いでみる.湿布のような独特の香りがした.

【イベント報告】冬を生きる動物たちの生態

  • 開催日時:2012年1月15日(日) 10:00
  • 講師:上野吉雄

 新年最初の観察会となる「冬を生きる動物達の生態」の観察会が実施されました.天候は曇りでしたが,高めの気温に弱い風と,歩きやすい一日になりました.高原の自然館に14名の方が集合し,講師である上野先生に今回の観察会のポイントなどを教わりました.今回は自然館の裏手から“おーいの丘”を通って千町原まで行き,道路に出て自然館の正面へと戻る,というコースを歩きます.雪の深さは60cmほどで,しばらく雪が降らなかったためか雪の上もしっかりとしていました,かんじきやスノーシューを履いて歩き始めるとすぐに痕跡を見つける事が出来ました.上野先生に見ていただくと,テンのものであることが分かりました.そのそばにはフンもあり,フンを見ると何を食べているのか知る事ができます,このテンは植物の実を食べていたことが分かりました.自然館の裏手を登っていくとウサギの痕跡を発見しました.後足と前足の跡がそれぞれ特徴的で,足跡を見ればどの方向に進んでいたか分かります.進んでいる方向には背の低い木があり,その枝には食痕がありました.ウサギが枝を食べるとその先が鋭く尖るため,すぐにウサギによるものだと分かるそうです.山道に入るとネズミの足跡を見つけました.上野先生は「足跡に混じって真ん中に一本,線が通っているのが分かる.これは長い尻尾が引きずられてついたもので,八幡の山に住む尻尾が長いネズミとなると,この足跡はアカネズミのものだろう」と話されました.アカネズミは木の根元の,雪が積もっていない場所に続いていて,昨晩はそこを寝床にしていたことがわかりました.冬に活動しているのは哺乳類だけではありません.雪の上でよく眼を凝らすと,トビムシの仲間が跳びはねているのが分かります.他には雪の上を歩き回るクロカワゲラの仲間や,ガガンボなどの小さな昆虫達を観察することができました.「食べ物が少ない冬だけど,そのかわり天敵も少なく,寒さなどに適応が出来れば以外と過ごしやすいのかもしれない」ということを昆虫達を眺めながら考えました.千町原を歩いているとどこからか鳥のさえずる声が聞こえてきました,辺りを見回してみるとツグミの群れを見つけました.「例年ならカラ類などの冬鳥がたくさんさえずっているが,今年の冬はそれが聞こえない.一昨年の猛暑で木の実ができず,その年の冬の豪雪と春の到来の遅さが重なって,木の実を主食とする冬鳥と留鳥が多く命を落とした.50年鳥の観察を続けているが,こんなに静かな冬山は初めて」と上野先生が話されました.じっと息を潜めて春を待つようなイメージがある冬ですが,実際は様々な生き物達が活動をし,またその痕跡をはっきりと見られ,生き物達の様子を理解しやすい季節であると感じた観察会でした[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「うさぎが多いこと」「色々な足あとを見れた」「重歯目のウサギの鋭角の食痕,おしっこのあと.親ウサギは1.5m位飛んだ足跡」「鳥が非常に少なかった事.気候が大変影響する事だと思いました」「ネズミの足跡を見たこと」「テンの足が5本なのがわかりました(2)」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「楽しかったけどつかれました」「楽しかった(3)」「テン,ウサギ,アカネズミ,ヤマドリ等の足跡の観察が良く出来た事」「鳥が一昨年の猛暑が原因で死んで,今日もほとんど見れなくて残念でした(2)」「1本の体操,頭の体操に良かったと思います」「下りがたのしかったです」

写真

雪に埋もれる山麓庵.屋根の雪が落ちて周囲に高く積もっている.
雪に埋もれる山麓庵.屋根の雪が落ちて周囲に高く積もっている.かんじきやスノーシュー,クロスカントリー用のスキー板と,雪の上を歩くための道具が勢揃いした.
かんじきやスノーシュー,クロスカントリー用のスキー板と,雪の上を歩くための道具が勢揃いした.ウサギの食痕.先端が鋭く斜めに尖っているのが特徴.
ウサギの食痕.先端が鋭く斜めに尖っているのが特徴.雪山を登る.途中では色々な生き物が活動している痕跡を発見できた.
雪山を登る.途中では色々な生き物が活動している痕跡を発見できた.八幡に自生する常緑樹の1つのエゾユズリハ.色々な生き物がその葉を食べる.
八幡に自生する常緑樹の1つのエゾユズリハ.色々な生き物がその葉を食べる.「おーいの丘」から千町原へと下る.スキー板の出番!
「おーいの丘」から千町原へと下る.スキー板の出番!実を多数残しているツルウメモドキ.実を食べる野鳥が少ないためかこのような木があちこちで見つかった.
実を多数残しているツルウメモドキ.実を食べる野鳥が少ないためかこのような木があちこちで見つかった.ヤマドリが舞い降りたあと.その足跡を辿ると,先ほどのツルウメモドキまで続いていた.
ヤマドリが舞い降りたあと.その足跡を辿ると,先ほどのツルウメモドキまで続いていた.ヤマウサギの足跡.右の参加者の足元から,中央の上野先生までの距離を一足で跳んでいる.
ヤマウサギの足跡.右の参加者の足元から,中央の上野先生までの距離を一足で跳んでいる.雪の上を歩き回るカワゲラの仲間.
雪の上を歩き回るカワゲラの仲間.トレッキング終了後に感想を言い合う.
トレッキング終了後に感想を言い合う.

【イベント報告】巣箱・かんじき作り

  • 開催日時:2011年12月3日(土) 10:00
  • 講師:暮町昌保・坂井健作

 雨が強く降り,肌寒い空の下,八幡高原センターに10名が集合しました.今回の講師は暮町先生と坂井先生です.最初に先生達の紹介と挨拶があり,暮町先生から巣箱の作り方や設置する際のポイントなどの説明を受けました.設置する場所は入口の周りに枝などがない場所にすることや雨水が入り込まないように,入口を少し下向きに作ることなどを話されました.その後,巣箱とかんじき班に分かれて作業を始めました.暮町先生による巣箱作りでは,まずは図面に沿って板材に線を引いてはのこぎりで切り出していきました.次に入口を作ります,今回はシジュウガラやヤマガラなどを対象としているため,大きさを2.8センチメートルにしました.この穴が大きすぎると,他のスズメなどが巣を作ってしまうことがあるので,大きさが変わらない様に慎重に穴をあけていきました.最後に切り出した板材を組み立てます.板材が途中で割れない様に,あらかじめドリルで穴をあけ,そこに釘を打って組み立てていきました.坂井先生はかんじき作りを担当します.まず,かんじきに使うひもの準備です.8メートル以上のものを2本ずつ用意します.その後,ミヤマガマズミやヒノキの枝などを湯がいて作られた,かんじきの枠を坂井先生から分けていただきました.ここから「きたひろしまの達人」に認定された,坂井先生の技を教えていただきます.ヒョイヒョイっとひもを巻き付けながら説明されていく先生の手元を見ながら,一緒にかんじきを作っていきます.途中で分からないところがあった時は,先生に再度見せていただいたり,一緒に作っている参加者の方と教え合ったりしながら,少しずつ完成に近づけていきました.最後に「おとこむすび」と呼ばれる頑丈な結び方で終わるのですが,ここが一番難しくこれまで何度かかんじき作りに参加されている方も苦戦されているようでした.完成したかんじきを履いてみたり,組み立てた巣箱を見せてもらうなど,集まった方の距離を近くに感じられたすばこ・かんじき作りとなりました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「ガマズミの枝でワクを作る作業が大変だったと思います.出来上がりがきれいだった」「みんなで教えあいながらのかんじき作り」「かんじきの結線が工夫されていること」「おとこ結び」「ひもの通し方が難しかった」「男結びがむずかしい.内藤先生のタゴガエルの写真」「くぎをうつのがたのしかった」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「男むすびがなかなかむつかしい.来年も作りたい」「伝統の技を教えていただきありがとうございました」「続けてほしい」「早く雪上を歩きたい」「出来上がった「カンジキ」で雪の上を歩きたいと思います」「カンジキを作りに来て4回目ですがいつまでたっても男結びがむずかしい」「さいしょはむずかしかったけどだんだんなれてきた」

具体的に

「コーヒーが出るなんて.スダジイが出るなんて」

写真

暮町先生から板材の切り出し方や入口の大きさなどを聞く.
暮町先生から板材の切り出し方や入口の大きさなどを聞く.かんじき作りの講師は坂井先生.教わりながら縄を巻き付けていく.
かんじき作りの講師は坂井先生.教わりながら縄を巻き付けていく.かかと部分を製作中.先生!ここはどうすれば?
かかと部分を製作中.先生!ここはどうすれば?右足用が完成.続いて左足用にとりかかる.
右足用が完成.続いて左足用にとりかかる.完成.この後は足の甲やかかとへの巻き付け方を教わった.
完成.この後は足の甲やかかとへの巻き付け方を教わった.こちらは巣箱作り.先生と力を合わせて板材を切る.
こちらは巣箱作り.先生と力を合わせて板材を切る.板材に釘を打つ.割れない様にあらかじめドリルで小さく穴を空けておいた.
板材に釘を打つ.割れない様にあらかじめドリルで小さく穴を空けておいた.完成した巣箱と一緒に記念撮影.
完成した巣箱と一緒に記念撮影.暮町先生からいただいたスダジイの実.
暮町先生からいただいたスダジイの実.炒ったスダジイをいただく.実の甘さが口の中いっぱいにひろがった.
炒ったスダジイをいただく.実の甘さが口の中いっぱいにひろがった.

【イベント報告】紅葉と冬芽の観察会

  • 開催日時:2011年11月26日(土) 9:30
  • 講師:斎藤隆登

 紅葉と冬芽の観察会は,快晴に加えてほとんど風もない絶好の散策日和の中での開催となりました.高原の自然館に7名の方が集合しました.今回の講師は斎藤先生です.出発の前に自然館でお話を聞きました.「冬芽」といいながら夏の終わり頃から芽が出来ていること,冬の寒さを乗り越えるために様々な方法で芽を守っていることなどを話されました.その後,車で観察場所まで向かいました.今回の観察場所である苅尾の中腹に車を停めて,観察を始めました.まずはミズナラに注目しました.先生お手製の道具で冬芽のついた枝を引き寄せ,手にとりながら「冬芽を守る1つとして,芽鱗(がりん)というもので芽を覆う方法がある.また,芽鱗が剥がれ落ちてできた痕を芽鱗痕(がりんこん)と呼び,それを見ることで若い枝の年齢を知ることが出来る」と解説されました.この他にも,1つの場所に2つの冬芽をつけるエゴノキや,落ちた枝の痕がふくらんで目立つウワミズザクラ,つやのある赤紫色の枝先が特徴的なミズキなど,冬芽以外の特徴も交えながら,19種類の樹木について教えていただきました.参加者は,先生が引き寄せた枝を,ルーペを使って観察したり,先生が描かれた,冬芽の線画集を見て特徴を調べるなど,思い思いに冬芽の観察を楽しんでいました.また2本の木を見比べて,「まっすぐ成長している大きな木と,その方向に枝をのばさず道路に向かっている若い木など.日光を求めて成長している様子が,この時期になるとよく分かる」と,葉を落としている時期の楽しみ方も教えていただきました.すっかり冬支度を終えた苅尾の木々を,いつもより1歩踏み込んで見ることができた観察会となりました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「冬は樹木が夏と全く違う感じでびっくりです.」「キハダの身をかいだがサンショウ?みたいでした.食べられた方はにがいとのコメントがありました」「ミズキの枝が赤く印象に残りました.」「オトコヨウゾメの冬芽と果実」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「天気に恵まれて楽しかったです.」「冬の山の楽しみ方が1つ出来たと思いますがもっと多くの人達が参加されると良いと思います」「風もなく気持ちが良かった.キハダの実がにがかった」「情報量の少ない時にどう特徴ををつかまえるか新しい視点で植物を見ることができました」

具体的に

「時間もっと長くても良いと思います.多くの樹木もみたいです」「観察のポイントがよくわかりました」

自由記入

「天気が良く気持ちよく参加できました.」

写真

自然館内でお話を聞く.配られた資料は,斎藤先生が描かれた冬芽の線画集.
自然館内でお話を聞く.配られた資料は,斎藤先生が描かれた冬芽の線画集.観察場所付近の側溝に積もった様々な落ち葉.今年は暖かく,雪もわずかに積もっている程度.
観察場所付近の側溝に積もった様々な落ち葉.今年は暖かく,雪もわずかに積もっている程度.ミズナラの冬芽を観察.先生お手製の道具で枝を引き寄せる.
ミズナラの冬芽を観察.先生お手製の道具で枝を引き寄せる.ミズナラの冬芽.先端には複数の冬芽ができていた.
ミズナラの冬芽.先端には複数の冬芽ができていた.ルーペを使ってじっくりと観察.
ルーペを使ってじっくりと観察.途中で出会ったザトウムシの仲間.暖かいせいか,もう1匹見かけた.
途中で出会ったザトウムシの仲間.暖かいせいか,もう1匹見かけた.道路側に向かって成長している木を見上げる.
道路側に向かって成長している木を見上げる.ミズキの冬芽.赤紫色の枝が葉の落ちた山に華やかさを与える.
ミズキの冬芽.赤紫色の枝が葉の落ちた山に華やかさを与える.