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芸北学講座2を開催しました

役場芸北支所にて芸北学講座が開かれました.
第2回となる今回は,観察会でお馴染みの内藤先生が講義をされました.
北広島町に流れる太田川・江の川水系の魚類・貝類について,地図や写真を交えながら,生息域や生態についてこれまで調査されて判明したことをお話いただきました.
標本を見ながら解説される内藤先生
途中,内藤先生が採取され,貯蔵室に寄贈されていた標本を使い,実際の大きさなどを確かめながら解説をされました.
参加者はメモをとり,時には質問をするなど,熱心に講義を受けていました.

【イベント報告】ゴギの繁殖観察会

  • 開催日時:2013年11月10日(日) 9:30
  • 講師:内藤順一

小雨が降り川の様子が心配される中,ゴギの繁殖観察会が行われました.
今回は内藤順一先生が講師の予定でしたが,都合により,奥山先生と白川学芸員が講師です.
ゴギはイワナの仲間で,頭部の白い斑点が特徴であること,主に中国山地の標高の高い冷水域に生息しており,イワナ属の中では西限に生息していること,採集圧や放流されたヤマメとの競合などにより個体数が減少し,広島県では絶滅危惧I類に選定されていることなどを白川学芸員がスライドを使って解説しました.続いて,オスとメスがペアになって泳いでいる姿や,メスが体全体を使って砂礫(されき)を掘り,産卵床を作っている場面,「舞の行動」と呼ばれる産卵後にゆらゆらと産卵床の回りを泳いでいる様子などを,内藤先生が撮影していたビデオを見ました.
事前学習の後は,実際にゴギを観察します.水の流れがゆるやかで,砂礫が堆積している場所に産卵床を作ります.水深の浅い場所をゆっくりと泳いでいるので,姿を観察しやすくなっているそうです.
現地に到着後,上流側と下流側に分かれてゴギの姿を探しました.参加者は産卵場所を覗き込んだり,双眼鏡を使って水面を眺めましたが,観察を始める直前に雨脚が強くなり,川が濁り始めていて,下流側ではゴギが確認できませんでした.「川が濁るのは砂礫などがたくさん流れているためで,その状態で産卵床を作ってもすぐにまた埋まってしまいます.水の流れも速くなるので,産卵をしたいゴギは流れがゆるやかな上流へと登っているのでしょう」と,奥山先生が話されました.上流側では産卵行動は見られませんでしたが,単独で行動しているゴギの姿を確認でき,「見れた!」「また現れるかも」と,期待を込めて観察する場面もありました.
観察できた時間は短く,見れた方も少数だったのが残念ですが,幻の魚といわれる貴重なゴギの姿を見ることが観察会となりました.「来年こそは産卵行動を見るぞ!」いう期待を込めて現地を後にしました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「雨で川にごっていて何も見られなく残念です」「ゴギの産卵期に樹木の紅葉が彩りを増すベストタイミング.雨でゴギが見えなくて残念です.」「雨」「見れなかった」「ゴギを双眼鏡で見たこと」「ゴギの産卵」「ゴギを双眼鏡でのぞいたこと」「ゴギがいる場所がこんなに水たまりの様な所で川幅がせまいこと」「雨とイワナの分布についてと分類」「ゴギの産卵ビデオ」「にごりが出ると産卵床を作らないこと」「いい話が聞けてよかった」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「紅葉がきれいでしたが,雨で観察会が残念でした.子供達が沢山来てたのに残念でした」「限られた環境に生きていることに尊さを感じた」「双眼鏡の景色がよかった」「今日は雨の中ゴギは見られなかったが,上流の厳しい環境の中で,生きていることが良く解った」「生息環境が見れてよかった」「よかった」「むずかしかった」「むずかしかった」「とても勉強になりました.この様な環境がずっと残ってほしいです」「とてもためになった」「他のイワナのことや生息地,各地域のゴギの特徴が知れて楽しかったし勉強になった.また機会があれば見に来たいです」「先生がおられなったのは残念でしたが,いいお話が聞けました」「産卵の現場が見られなかったのが残念」「見れなかったので残念」

具体的に

「とてもよい」「楽しい」「悪天候にも関わらず,対応して下さりありがとうございました」「よかった」「はじめて知ったことがありました」「場所が分からなかった.会場案内がほしかった」

自由記入

「ゴギだけでなく,色々な川に棲む生き物についてもっと知りたいです」「またこういう機会があればぜひ参加したいです」「色んな催しに参加したい」

写真

観察会には子供達がたくさん参加した.
観察会には子供達がたくさん参加した.講師の奥山先生と白川学芸員.
講師の奥山先生と白川学芸員.スライドを移しながら解説する白川学芸員.
スライドを移しながら解説する白川学芸員.色と記号でイワナ属の種類を解説中.「隣合ったものは似ていますが,両端のものはかなり違います」
色と記号でイワナ属の種類を解説中.「隣合ったものは似ていますが,両端のものはかなり違います」内藤先生が撮影されたビデオを見る.メスが産卵床を掘る姿が鮮明に映っていた.
内藤先生が撮影されたビデオを見る.メスが産卵床を掘る姿が鮮明に映っていた.傘や合羽を装備して観察開始.
傘や合羽を装備して観察開始.下流を探す奥山班.奥山先生から産卵に適した場所を教えていただく.
下流を探す奥山班.奥山先生から産卵に適した場所を教えていただく.産卵床はあの辺りかな.
産卵床はあの辺りかな.観察会には良くない天気だが,カエルには絶好の活動日和.
観察会には良くない天気だが,カエルには絶好の活動日和.観察会終了後もゴギを探す.雨が弱まりゴギの姿も見られた.
観察会終了後もゴギを探す.雨が弱まりゴギの姿も見られた.

【イベント案内】ゴギの繁殖観察会

  • 開催日時:2013年11月10日(日) 9:30
  • 集合場所:大朝公民館
  • 講師:内藤順一
  • 準備:基本セット,双眼鏡(自然館でも用意します),防寒具
  • 定員数:30名
  • 参加費:
    • 一般=300円
    • 賛助会員=100円
    • 正会員・中学生以下=無料

中国山地の脊梁部に生き残っているイワナ(ゴギ)の観察会です.ゴギは用心深い魚ですが,繁殖期は日中でも観察することができます.事前に学習した後,現地で生息環境や繁殖の様子を観察します.広葉樹の森の大切さが実感できる観察会です.

⇒お申し込みはこちらから

【イベント報告】ゴギの産卵の観察会

  • 開催日時:2012年11月11日(日) 9:30
  • 講師:内藤順一

 前日からの雨のなか,6名の参加者が大朝公民館に集合しました.うち2名は小学生の女の子です.夏休みにスケッチしたゴギのイラストを披露してくれました.実際川に潜った時に見かけたそうで,一瞬だったにもかかわらず,特長をよくとらえて描かれており,講師の内藤先生も絶讃のスケッチでした.
 ゴギは中国地方に生息するイワナの種類で日本の固有種です.一番大きな特長は,頭頂部に瞳大の白い斑点をもっていることです.生息地やゴギの発見,研究の経緯,名前の由来を,内藤先生が詳しく解説されました.
 またゴギは広島県では絶滅危惧Ⅰ類で,たいへん希少な種だそうです.
 ゴギが産卵する場所を産卵床といい,メスが川の底を掘って作ります.内藤先生が記録された産卵前後のゴギの行動も見せていただきました.長年観察されている内藤先生の視点での解説は,ゴギのメス・オスそれぞれの動きの特長が大変よくわかりました.例えば産卵前のメスは体をくの字にして腰をゆらすこと,オスがメスをつつき産卵を促す動きをすること,産卵後メスは30分〜1時間「舞」と呼ばれる行動をし,砂をかけて卵を守ることなどです.
 同じサケ科のサツキマスの産卵も見せていただきました.サツキマスは産卵後すぐ砂をかける行動が,ゴギと異なる点だそうです.そこには産卵環境の違いもあるとのことでした.
 「それぞれの種が工夫をして命のうけわたしをしているんだよ」という内藤先生の言葉が印象的でした.
 内藤先生が撮影したばかりの,大朝地域のゴギの映像も見せていただきました.特長は鼻やヒレが鮮やかなオレンジ色だそうです.
 ゴギの撮影のおまけで,これも絶滅危惧Ⅰ類のカワネズミが川底を横切るの映像もみせていただきました.
 座学が終わる頃,雨も弱まり現地へ向かうこととなりました.
 [こうのやよい]
 
 こどもたちも期待していた野生のゴギペアの姿を実際に目の当たりにでき,とてもうれしかったようです.実際に見てみると,白い斑紋だけでなく,黒点が意外に目立ったことが,印象に残りました.なんと言っても砂底の白を背景に,婚姻色の赤が一際きれいに映えていたのが印象的でした.短時間でしたが,メスが横になって産卵床を掘る姿も二度も見れ,興奮しました.[まつださとし]

みなさんの印象に残った物

「ゴギの色がとてもあざやかでおどろきました.」「ゴギの産卵行動と繁殖戦略」「ゴギの体の色がとてもきれいだったこと(2)」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「また見たい」「とても貴重な体験でした.ありがとうございました.」「サケ科やイワナ全般のお話も聞け,全体像がよく分かりました.ゴギの不思議な生態がきれいな映像とともに説明を受け,とてもよく理解できました」「ゴギについてよく分かりました.ありがとうございました.」

写真

観察会開始前に,内藤先生にスケッチをみてもらう小学生.
観察会開始前に,内藤先生にスケッチをみてもらう小学生.夏休みに描いたスケッチをみせてもらった.細部まで描かれ,特長もつかめており,すごいスケッチ力!観察力にびっくり.
夏休みに描いたスケッチをみせてもらった.細部まで描かれ,特長もつかめており,すごいスケッチ力!観察力にびっくり.内藤先生からゴギの解説.江戸時代の書物「芸藩通史」には「呉岐」との表記があったらしい.
内藤先生からゴギの解説.江戸時代の書物「芸藩通史」には「呉岐」との表記があったらしい.全国的に見ると,ゴギの生息地はきわめて狭いことがわかった.
全国的に見ると,ゴギの生息地はきわめて狭いことがわかった.ゴギの特長は,頭頂に瞳大の白い斑点を有すること.学名にも反映されている.
ゴギの特長は,頭頂に瞳大の白い斑点を有すること.学名にも反映されている.ゴギの産卵の動画は何度見ても神秘的!命をつなぐ姿に感動した.
ゴギの産卵の動画は何度見ても神秘的!命をつなぐ姿に感動した.生息地の環境は,水深10〜20センチで,流れの淀むところ.
生息地の環境は,水深10〜20センチで,流れの淀むところ.現地にて.産卵床が見えた.
現地にて.産卵床が見えた.

【イベント報告】ゴギの観察会(大朝)

  • 開催日時:2011年11月3日(木) 9:30
  • 講師:内藤順一

 少し雲がかかって,過ごしやすい気温の中,大朝公民館に12名の方が集合しました.今回の講師は内藤先生です.備北では,広島県の天然記念物に指定されている,ゴギの産卵の様子を見てみよう,という今回の観察会,まずは,公民館内で先生のお話を聞きました.瞳大の白い斑紋が,頭部まであるのが特徴であること,澪筋から外れた,砂礫が堆積しているところに産卵すること,河川の開発などで,産卵場所が少なくなったり,川の遡上ができなくなったりして,数が減少していることなど,色々なことを話されました.また,産卵している様子をビデオに撮影したものを上映していただきました.オスとメスが並んで泳いでいる姿や,オスがメスにすり寄って産卵を促しているところ,口を大きく開けて産卵している瞬間や,産卵後に,「舞の行動」と呼ばれる,メスが身体をくねらせながら周囲を泳いている様子などを見ることができました.お話を聞いた後は,実際にゴギを観察しに行きます.車で現場まで向かいました.川岸から覗いてみると,ゆったりと泳いでいるゴギの姿を見ることができました.体長などから,2年目の個体だということが分かりました.内藤先生は「これくらいの大きさの溜まり(?)だと4,5匹くらいは泳いでいる」と言われました.また「今年は,まだ気温があまり下がっていないから,本格的に産卵を始めるのはもう少し先になるだろう」と話されました.引き続き観察していると「小さい個体もいますね」と,白川学芸員が,観察していた場所からすこし離れた場所を指し示しました.先ほどの個体よりもかなり小さく,まだ1年目の個体だということが分かりました.今年は産卵しないためか,泳いでいる場所も,川の流れが早くなる瀬頭周辺を泳いでいました.内藤先生が「ちょっと頭上を見てください」と言われました.見上げてみると,そこには植樹されたスギがありました.「ゴギは基本的に何でも食べるが,その大部分は誤って木から水面に落ちてしまった落下昆虫などを食べている.木が伐採されると,その昆虫が落ちてこなくなる.スギやヒノキなどの植樹されたものは昆虫の幼虫が少なく,枝を横に広げていくものの方がよいので,そのような樹木を残していくのが重要だ」と話されました.参加された方々は,ゴギが泳ぐ姿を写真におさめたり,ゴギの理解を深めようと積極的に内藤先生に質問されたりしました.河川工事や,森林の伐採,別の魚の放流などにより,その個体数が減っているゴギを,守るためにはどうすればよいのか,考える機会となった観察会でした.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「ゴギがイワナの仲間だと知ったこと」「ゴギとサツキマスの産卵場所の区別がついたこと」「ゴギの生息環境が見れたこと」「山の空気はおいしい」「ゴギのオスのきれいなオレンジ色.」「ビデオの産卵の画像の説明にこもる先生の熱意」「二年目,一年目のゴギが見られた事」「尾びれの橙色がきれいだった」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「里山の自然を大切にしたい」「ゴギという魚に興味が持てた」「ゴギの状況がきびしいことがわかった.内藤先生の話しはわかりやすかった」「ゴギを見ることができて良かった」「八幡に比べてゴギが見やすかったです.」「はじめてゴギを知りました」「今後いつまでもゴギの住める場所が残る事を望んでいます」「環境を守持して命をつないでほしい」

写真

公民館でゴギについて学習する.内藤先生がどの辺りに産卵するかを黒板に書かれている.
公民館でゴギについて学習する.内藤先生がどの辺りに産卵するかを黒板に書かれている.観察場所に到着.ゴギはいるかな?
観察場所に到着.ゴギはいるかな?ゆっくりと泳ぐ2年目のゴギ.ヒレの端がきれいなオレンジ色に染まっていた.
ゆっくりと泳ぐ2年目のゴギ.ヒレの端がきれいなオレンジ色に染まっていた.川の上に張り出した樹木.観察場所からは少し離れていたが,このような樹木があることが,ゴギにとって重要.
川の上に張り出した樹木.観察場所からは少し離れていたが,このような樹木があることが,ゴギにとって重要.こちらは1年目のゴギ.流れが速くなる瀬頭を行ったり来たりしていた.
こちらは1年目のゴギ.流れが速くなる瀬頭を行ったり来たりしていた.内藤先生お手製の水中撮影機器.産卵の瞬間などを,多数撮影してきた自慢の一品.
内藤先生お手製の水中撮影機器.産卵の瞬間などを,多数撮影してきた自慢の一品.撮影機器の話しをする内藤先生.家には,これまでの試作品がたくさんあるそう.
撮影機器の話しをする内藤先生.家には,これまでの試作品がたくさんあるそう.