【イベント報告】ゴギの産卵の観察会

  • 開催日時:2012年11月11日(日) 9:30
  • 講師:内藤順一

 前日からの雨のなか,6名の参加者が大朝公民館に集合しました.うち2名は小学生の女の子です.夏休みにスケッチしたゴギのイラストを披露してくれました.実際川に潜った時に見かけたそうで,一瞬だったにもかかわらず,特長をよくとらえて描かれており,講師の内藤先生も絶讃のスケッチでした.
 ゴギは中国地方に生息するイワナの種類で日本の固有種です.一番大きな特長は,頭頂部に瞳大の白い斑点をもっていることです.生息地やゴギの発見,研究の経緯,名前の由来を,内藤先生が詳しく解説されました.
 またゴギは広島県では絶滅危惧Ⅰ類で,たいへん希少な種だそうです.
 ゴギが産卵する場所を産卵床といい,メスが川の底を掘って作ります.内藤先生が記録された産卵前後のゴギの行動も見せていただきました.長年観察されている内藤先生の視点での解説は,ゴギのメス・オスそれぞれの動きの特長が大変よくわかりました.例えば産卵前のメスは体をくの字にして腰をゆらすこと,オスがメスをつつき産卵を促す動きをすること,産卵後メスは30分〜1時間「舞」と呼ばれる行動をし,砂をかけて卵を守ることなどです.
 同じサケ科のサツキマスの産卵も見せていただきました.サツキマスは産卵後すぐ砂をかける行動が,ゴギと異なる点だそうです.そこには産卵環境の違いもあるとのことでした.
 「それぞれの種が工夫をして命のうけわたしをしているんだよ」という内藤先生の言葉が印象的でした.
 内藤先生が撮影したばかりの,大朝地域のゴギの映像も見せていただきました.特長は鼻やヒレが鮮やかなオレンジ色だそうです.
 ゴギの撮影のおまけで,これも絶滅危惧Ⅰ類のカワネズミが川底を横切るの映像もみせていただきました.
 座学が終わる頃,雨も弱まり現地へ向かうこととなりました.
 [こうのやよい]
 
 こどもたちも期待していた野生のゴギペアの姿を実際に目の当たりにでき,とてもうれしかったようです.実際に見てみると,白い斑紋だけでなく,黒点が意外に目立ったことが,印象に残りました.なんと言っても砂底の白を背景に,婚姻色の赤が一際きれいに映えていたのが印象的でした.短時間でしたが,メスが横になって産卵床を掘る姿も二度も見れ,興奮しました.[まつださとし]

みなさんの印象に残った物

「ゴギの色がとてもあざやかでおどろきました.」「ゴギの産卵行動と繁殖戦略」「ゴギの体の色がとてもきれいだったこと(2)」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「また見たい」「とても貴重な体験でした.ありがとうございました.」「サケ科やイワナ全般のお話も聞け,全体像がよく分かりました.ゴギの不思議な生態がきれいな映像とともに説明を受け,とてもよく理解できました」「ゴギについてよく分かりました.ありがとうございました.」

写真

観察会開始前に,内藤先生にスケッチをみてもらう小学生.
観察会開始前に,内藤先生にスケッチをみてもらう小学生.夏休みに描いたスケッチをみせてもらった.細部まで描かれ,特長もつかめており,すごいスケッチ力!観察力にびっくり.
夏休みに描いたスケッチをみせてもらった.細部まで描かれ,特長もつかめており,すごいスケッチ力!観察力にびっくり.内藤先生からゴギの解説.江戸時代の書物「芸藩通史」には「呉岐」との表記があったらしい.
内藤先生からゴギの解説.江戸時代の書物「芸藩通史」には「呉岐」との表記があったらしい.全国的に見ると,ゴギの生息地はきわめて狭いことがわかった.
全国的に見ると,ゴギの生息地はきわめて狭いことがわかった.ゴギの特長は,頭頂に瞳大の白い斑点を有すること.学名にも反映されている.
ゴギの特長は,頭頂に瞳大の白い斑点を有すること.学名にも反映されている.ゴギの産卵の動画は何度見ても神秘的!命をつなぐ姿に感動した.
ゴギの産卵の動画は何度見ても神秘的!命をつなぐ姿に感動した.生息地の環境は,水深10〜20センチで,流れの淀むところ.
生息地の環境は,水深10〜20センチで,流れの淀むところ.現地にて.産卵床が見えた.
現地にて.産卵床が見えた.