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【イベント報告】キノコの観察会

気温が低い曇り空の中.集合場所の二川キャンプ場には24名の参加者が集合しました.今回の講師は川上嘉章先生です.各自でキノコを採取し,後で集めて種類分けをすることになりました.落ち葉が多く見つけにくい状況でしたが.紅葉が美しく季節の移り変わりを感じながら,楽しくキノコの採取を行いました. 2時間後,採って来たキノコを並べて川上先生が次々と名前をつけてくださいました.今年は雨が少なくキノコにとっては悪条件だったため,あまり多くのキノコが採れませんでした.30種類ものキノコが集まりました.食用としては中々味の良いチャノメツムタケ,幼菌時には食用になるホコリタケなどがありました.食毒のものも見つかり.中毒例が多いクサウラベニダケ.一本分の量を食してしまうと死に至る可能性のあるドクツルタケなどです.肉が大変辛いドクベニタケは.毒性はありますが噛むのは平気ということで,参加者と味見をしてみましたが.唐辛子を食べたような辛さでした.食べられると思い採ったものが毒だったり. 見た目が似ているキノコを見比べたりしながら先生の説明を聞き,驚いたり感心したりしました.キノコには毒が含まれているものも多く.以前食用できたものが毒性に変わることもあり注意が必要とのことです.おいしいキノコを探しだし味わう楽しさや,様々な形や色のキノコを見る楽しさなど,キノコには独特の魅力があるのだなぁと感じた観察会となりました.

木の種類で生えるキノコが違うそう. 木の種類で生えるキノコが違うそう.
どんどん分類していく川上先生. どんどん分類していく川上先生.
キノコの分類をするために,マジックで色分けをした. キノコの分類をするために,マジックで色分けをした.
時期により食用になるもの.胞子が出る頃は食べられない 時期により食用になるもの.胞子が出る頃は食べられない
食べられそうということで、たくさん集まったチャナメツムタケ. 食べられそうということで、たくさん集まったチャナメツムタケ.
派手でわかりやすい毒キノコ. 派手でわかりやすい毒キノコ.
続々と集まるキノコと参加者. 続々と集まるキノコと参加者.
自分の採取したキノコはどの分類?興味津々でのぞき込む. 自分の採取したキノコはどの分類?興味津々でのぞき込む.
図鑑で違いなどを確認しながら説明される川上先生. 図鑑で違いなどを確認しながら説明される川上先生.
アカマジックで書かれた“死に至る”の説明に,みんなからため息がでた. アカマジックで書かれた“死に至る”の説明に,みんなからため息がでた.

【イベント報告】サツキマスの観察会

冷え込んだ朝の高原センターに,32名の参加者が集まりました.その顔ぶれは親子連れや,釣り好きの人達が多いようです.今日の講師,内藤先生は,サツキマスという魚が,昔の芸北で,どのように認識されていたのか,近縁種との分類がどのように進んだのかなど,プロジェクターを使いながら,分かりやすく丁寧にサツキマスのことを教えて下さいました.特に,北米などにも遡上するサクラマスに対し,サツキマスは世界の中でも西日本にしか生息しない固有種であるというお話しは,とても興味深いものでした.また,水中での産卵の様子を撮影したビデオでは,サツキマスの習性やアマゴとの関係などが良く分かり,撮影の苦労話なども聞かせていただきました.室内で十分にレクチャーを受けた後,いよいよ本物のサツキマスを見に行きます.出発の前に,内藤先生は,産卵を終えて死んだサツキマスの標本を見せて下さいました.
サツキマスが遡上してくるのは小さな小川です.産卵場所を覗き込むと,大きなメスが川底の砂を巻き上げていました.内藤先生によると,既に産卵を終え,卵を守っているところだそうです.前日まではたくさんの個体が泳いでいたそうで,夜の内に産卵を終えたのだろう,ということでした.それでも,川の中を注意深く見てみると,婚姻色が出て赤くなったオスも見ることができました.観察の後には,ブラックバスなど外来種との関係,ダム建設など人間との関係など,参加者からも色々な質問が出ました.日本固有種のサツキマスがこれからも暮らしていけるような環境を残していきたいと思いました.[しらかわかつのぶ]

大きな写真を使いながら解説する内藤先生.
大きな写真を使いながら解説する内藤先生.
サツキマスが産卵する瞬間.参加者からは感嘆の声が上がった.
サツキマスが産卵する瞬間.参加者からは感嘆の声が上がった.
産卵を終えて死んだ,サツキマスのメス(上)とオス(下)の標本.
産卵を終えて死んだ,サツキマスのメス(上)とオス(下)の標本.
メスの体には,モリで突かれたような傷があった.(※この時期,サケ科魚類の捕獲は禁止されています)
メスの体には,モリで突かれたような傷があった.(※この時期,サケ科魚類の捕獲は禁止されています)
現地では,色々な質問が出ていた.
現地では,色々な質問が出ていた.
産卵場所を覗き込む.
産卵場所を覗き込む.
橋の上から観察した.
橋の上から観察した.
産卵を終え,卵に砂をかけるメス.
産卵を終え,卵に砂をかけるメス.

【イベント案内】霧ヶ谷湿原の植生モニタリング 秋

前日の観察会では「寒い寒い」という声も聞かれましたが,調査の日はお日様が覗きました.今回の調査には,初めての人3人を含む7人が集まりました.まずは高原の自然館に集合し,再生事業の経過や,西中国山地自然史研究会の関わり,これまでの調査で分かったことなどを確認しました.基礎知識を共有したところで,霧ヶ谷に出発しました. 今回は,広島県が実施する遊歩道設置工事の最中なので,全員がヘルメットを被り,3斑に別れて調査地に向かいます.1m×1mの中に,どんな植物がどのくらい生育しているのか,見落としの無いように植生を調査していきました.遊歩道沿いに点々と設置された調査地には,夏の調査の際にダンポールを立てているので,簡単に見つかります.1区画の調査が終わった班は前に進み,次の調査地を調べる,という風に,追い越し・追い越されながら進んでいきました.調査地の中には,湿原生の植物が多いところもあれば,外来種ばかりのところ,種数が極端に少ないところなど,場所によって環境も植生も違うことが実感できました.お昼頃には調査を終え,調査結果の概要を報告しあいました.やはり,場所によって種組成に大きく違いがあり,外来種もたくさん見られるようでした.今後,アメリカセンダングサをはじめとする水田雑草が繁茂する場所ができるかもしれません.モニタリングを続けることが大事だと感じました.ともあれ,調査地を歩く間には,アケボノソウの群生や,たくさんのオオコオイムシも見ることができました.少しずつではありますが,ノイバラの薮だった場所が,湿原の性質を取り戻していると実感できました.

はじめに,高原の自然館で調査方法やこれまでの経緯を確認. はじめに,高原の自然館で調査方法やこれまでの経緯を確認.
再生が進む霧ヶ谷. 再生が進む霧ヶ谷.
ヘルメットを被って,いざ出発. ヘルメットを被って,いざ出発.
河川敷のような場所.湿地の植物は少ないが,種数は多い. 河川敷のような場所.湿地の植物は少ないが,種数は多い.
湿原が回復している場所.マアザミ,アブラガヤなどが生育していた. 湿原が回復している場所.マアザミ,アブラガヤなどが生育していた.
1班の調査風景. 1班の調査風景.
2班の調査風景.そして3班の様子は写していませんでした... 2班の調査風景.そして3班の様子は写していませんでした...
最後に,全員で調査結果を確認. 最後に,全員で調査結果を確認.
この日は中国新聞からも取材に来ていただきました. この日は中国新聞からも取材に来ていただきました.

【イベント報告】霧ヶ谷の観察会 秋のいきもの観察会

早朝から激しい雨が降る中,17名の参加者が自然館に集合しました.夏の観察会に続き,植物担当の和田先生,昆虫の岩見先生が講師です.自然館で湿原の概要についてお話頂いた後,霧ヶ谷湿原へ移動し,今年度の工事予定地で木道をつけるルートを歩きました.雨が降っているため,歩きにくい場所もありましたが,目に入ってくる植物や昆虫の説明を聞いていると,時間が経つのがとても早く感じました.ツリフネソウの蜜を吸うマルハナバチと花のつくりとの関係や,アケボノソウの蜜線が花びらにあることなど,植物と昆虫の密接な関係をユーモアを交えてのお話で,楽しみながら観察することができました.葉の裏でトンボが休んでいたり,しずくが付いたカンボクの実を眺めたりと,雨の中ならではの発見があった観察会となりました.夏と秋の観察会で,霧ヶ谷湿原の中を歩いてみると,湿地生の植物や動物が増えていることを感じることができました.来年には観察路が完成する予定なので,霧ヶ谷湿原はもっと身近な場所になることと思います.帰り道に見たオオヘリカメムシの匂いは,思った以上にいい匂いで驚きました.[こうのやよい]

最初に自然館の中で,自然再生事業についての説明があった.
最初に自然館の中で,自然再生事業についての説明があった.
霧ヶ谷湿原は工事中のため,ヘルメットを着用した.
霧ヶ谷湿原は工事中のため,ヘルメットを着用した.
雨の中イザ出発!
雨の中イザ出発!
雨で増水した水路.ごうごうと音をたてていた.
雨で増水した水路.ごうごうと音をたてていた.
キセルアザミの名前の由来「煙管」を実演しながら説明する和田先生.
キセルアザミの名前の由来「煙管」を実演しながら説明する和田先生.
ネナシカズラ!
ネナシカズラ!
強めの雨の中,活動している虫もわずかながら観察できた.
強めの雨の中,活動している虫もわずかながら観察できた.
イナゴにのど仏があることを初めて知った.
イナゴにのど仏があることを初めて知った.
サクラバハンノキの幼木.
サクラバハンノキの幼木.ヘラオオバコの葉は,本当にへらのようだ.
ヘラオオバコの葉は,本当にへらのようだ.ウナギをつかめるトゲがある、アキノウナギツカミ.みんなでトゲをさわってみた.
ウナギをつかめるトゲがある、アキノウナギツカミ.みんなでトゲをさわってみた.
ツリフネソウの花の中を観察する.雨宿りをしている虫もいた.
ツリフネソウの花の中を観察する.雨宿りをしている虫もいた.
真っ赤な実を多数つけたカンボク.雨の中で映える赤色.
真っ赤な実を多数つけたカンボク.雨の中で映える赤色.ミヤコグサの花.図鑑で調べると「脈根草」が名前の由来だった.
ミヤコグサの花.図鑑で調べると「脈根草」が名前の由来だった.
虫がとまると花粉がつくのか,ハギの花をさわって実験してみる.
虫がとまると花粉がつくのか,ハギの花をさわって実験してみる.
青リンゴのように甘酸っぱい香りがしたオオヘリカメムシ
青リンゴのように甘酸っぱい香りがしたオオヘリカメムシ
最後に,芸北で開催される草原サミットのご説明があった.
最後に,芸北で開催される草原サミットのご説明があった.

【イベント報告】カワシンジュガイの観察会

前日の観察会でオオサンショウウオに人気を取られたのか,参加者8名での観察会となりました.雲行きの怪しい日でしたが,大雨にならないかぎり観察会は決行です.前日に続き,講師は内藤先生です.現地に出発する前に,芸北文化ホールでカワシンジュガイの生態や生息環境についてのお話を聞きました.カワシンジュガイの幼生は,アブラボテに寄生して子孫を増やすと考えられていましたが,カワシンジュガイの個体が確認されている北海道にアブラボテは生息していませんでした.そこで研究を進めていくと,アマゴに寄生することがわかったそうで,その研究過程が面白いと感じました.アマゴの採取によるカワシンジュガイの寄生先の減少や, シンジュガイ人気による過剰な採取という人間の都合による理由から,絶滅の危機になっているというお話を聞き,保護の重要性が分かりました.先生からのお話が終わると,車で現地へ移動しました.きたひろネットの方が取材される中,観察もはじまりましたが,みなさんカメラを気にせずジャブジャブと川に入り,カワシンジュガイを探しはじめました.数個のカワシンジュガイを見つけましたが,死骸も多くありました.なんとか長生きしてほしいものです.泳いでいる魚の中にアブラボテがいました.二枚貝に卵を生み付ける彼らも,カワシンジュガイなどの二枚貝の減少により絶滅の危機にあります.
一つのいきものを守る事は,他のいきものを生かす事にも繋がることを実感しました.一度手を加えてしまった環境は難しく,これからも今の環境を維持するのは難しいのかもしれません.芸北に生息するカワシンジュガイを守っていくためにも,多くの人達に現状を知ってもらいたいと思います.(しんぽゆうすけ)

出発前に事前学習をした.
出発前に事前学習をした.
新種のコガタカワシンジュガイ.
新種のコガタカワシンジュガイ.
目的地へ到着した.
目的地へ到着した.
汚れを気にせず探索開始!
汚れを気にせず探索開始!
「何処にいるかな〜?」
「何処にいるかな〜?」
潜ってしまいそうな勢いの子どもたち.
潜ってしまいそうな勢いの子どもたち.
カワシンジュガイを発見.「大きい!!」
カワシンジュガイを発見.「大きい!!」
多数のアブラボテが潜んでいた.
多数のアブラボテが潜んでいた.