活動報告」カテゴリーアーカイブ

【イベント報告】カワシンジュガイ探検隊

  • 開催日時:2012年7月29日(日) 9:30
  • 講師:内藤順一

 夏らしく晴れ上がった日に,子ども一人を含む6人でカワシンジュガイの観察を行いました.北広島町に棲息するカワシンジュガイは世界の分布南限に位置する個体群です.1986年に発見された時にはすでに絶滅の危機にありましたが,芸北町が天然記念物に指定し,環境庁も関わって保護増殖事業が進められたことで,2007年には約1,200個体が棲息していることが確認されました.現在もアマゴの放流や,工事の際には一時的に保護するなど,継続的に保護されているため,個体数は増加していると考えられています.今回の観察会では,既知の棲息地で観察を行った後,川の下流に移動して,まだ棲息が確認されていない場所で探索を行いました.もしもカワシンジュガイが見つかれば,カワシンジュガイの分布限界が,少しだけ南下することになります.
 カワシンジュガイを観察した棲息地は,護岸の工事が行われた場所ですが,水生生物が棲みやすいように流路内に土が残されています.カワシンジュガイの棲息密度も高く,簡単に見付けることができました.棲息地の水深や水の温度などを確認してから,いよいよ本流に向かいました.
 支流が流れ込むところから川に下りていきました.水際をガサガサと探ってみると,網にはタカハヤやドジョウに混じってアブラボテも入ってきます.アブラボテはカワシンジュガイに卵を託すので,カワシンジュガイの棲息が期待できます.潜ったり,箱メガネを使ったりして,調査を始めました.しかし,しばらく探しても,いくつかの殻が見つかったものの,生きている個体は見つかりませんでした.
 今回の調査で,棲息の確認はできませんでしたが,いくつかのことが分かりました.ひとつは,流れてくるカワシンジュガイの大きさが4cm〜5cmだということです.カワシンジュガイは自分で泳いだりできないので,上流に移動するのはアマゴに寄生している幼生時代に限られ,基本的には出水時に下流に流されることになります.この日に見つかった殻が4cm〜5cmだったということは,このサイズの個体が流されやすいということかもしれません.また,この日はオオサンショウウオの幼生が4個体見つかりました.まだ鰓のある幼生が見つかったということは,この流域で繁殖していることの証拠です.カワシンジュガイの生きている個体は見つからなかったものの,大きな収穫のある,充実した観察会になりました.[しらかわかつのぶ]
 ※写真記録や現地の観察を,奥山秀輝さんにお手伝いいただきました.ありがとうございました.

みなさんの印象に残った物

「滝山川本流でみつかったこと.オオサンショウウオの幼生が見つかったこと」「川真珠貝の実物をはじめて見ることができよかったです.オオサンショウウオの幼生に会えたのもよかったです」「川の中を歩き,その楽しさを発見したこと」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「楽しかった.また行ってもらいたい」「とても楽しかったです」

写真

はじめに訪れた棲息地.
はじめに訪れた棲息地.白い壁は,改修されたところ.
白い壁は,改修されたところ.まずは箱メガネで観察.
まずは箱メガネで観察.すぐに,水底の大きなカワシンジュガイが見つかった.
すぐに,水底の大きなカワシンジュガイが見つかった.覗いてみると,石の間の砂地に体半分を埋めている.
覗いてみると,石の間の砂地に体半分を埋めている.手にとって,大きさや重さを実感.
手にとって,大きさや重さを実感.新たな棲息地を探して,本流に移動.
新たな棲息地を探して,本流に移動.ガサガサすると,アブラボテは見つかる.
ガサガサすると,アブラボテは見つかる.箱メガネでカワシンジュガイを探索中.
箱メガネでカワシンジュガイを探索中.そして時々魚とり.
そして時々魚とり.結局,殻だけが見つかった.
結局,殻だけが見つかった.見つかったからは,どれも同じくらいの大きさだった.
見つかったからは,どれも同じくらいの大きさだった.ガサガサの網に入ったオオサンショウウオの幼生.内藤先生が計測・記録をして,もとの場所に放流した.
ガサガサの網に入ったオオサンショウウオの幼生.内藤先生が計測・記録をして,もとの場所に放流した.

【イベント報告】夏休み親子観察会 −水辺の生きものを観察しよう!−

  • 開催日時:2012年7月22日(日) 9:30
  • 講師:内藤順一・佐久間智子

 夏休みが始まり,すっきりとした快晴のなか親子合わせて24人が自然館前に集合しました.
 最初の会のあと今回の観察場所である霧ヶ谷湿原に向かいます.湿原に到着すると.講師である内藤先生と佐久間先生から.今回の調査について「水の中にはどのような生きものがいて,どんなふうにくらしているのかを自分たちで実際に探して,図鑑で見たり,質問したりして調べてみましょう」というお話がありました.
 そのあと.4班にわかれてそれぞれ上流,下流の調査を開始しました.最初は堰を降りて下流に向かいました.班それぞれにバケツを持って,2カ所で調査を開始します.水の冷たさに少し驚きつつも,一人が網を持ち,もう一人が近くの石をめくり上げては,洗い流すように石についた付着物を網に落としていきます.それを何度か繰り返していくと,バケツの中には砂や泥に混じって色々なものが動いています.
 ある程度時間が経った所で上流と場所を交代します.上流は下流に比べて.流れが急の場所もあれば.水の流れがほとんど止まったように感じる場所もあり.下流とはまた違った生物に出会えそうに感じました.ここでもそれぞれの班が2カ所の調査を行いました.
 川から上がり,4班全員が合流すると,バケツの中身をバットに出して.同じ種類は一緒の容器に,違う物は新しい容器へと見つけた生物を分けていきます.タカハヤに気を取られ,バケツの中に他の生物がいるのか分からないと言っていた班の子ども達も,じっくり探すと色々な生物を見つけることができました.容器に分けるのが終わると,内藤先生が1種類ごとに解説してくださいます.様々なヤゴやヘビトンボの幼虫,姿のよく似たカゲロウやトビゲラの見分け方などです.中でも普段見つけることが難しい.ボルボックスの発見には皆さん驚いていました.これは群体とよばれる生態を持つそうです.
 最後に今日一番印象に残ったいきものの絵を紙コップに描きました.そのコップを使って佐久間先生が川の生態系を表したタワーを作りました.「生物は他の様々な生物とつながっており.環境が崩れれば生態系も崩れてしまう」という事を分かりやすく解説してもらい,自然の大切さを学びました.
 自分で探すことで興味をより持てたり,どういった場所にどんな生物が生きているのかを自分の目で見ることができて有意義な親子観察会となりました.

みなさんの印象に残った物

「自然の美しさ」「いっきに魚を8ぴきとれたこと」「ヘビトンボをみたこと(2)」「魚などをとった時」「川に入って色々な生物を捕まえて,観察したこと(2)」「川でカニをとれたこと(4)」「水がきれいだったこと」「ボルボックスを見たこと(2)」「川の水が冷たくてびっくりしました.上流,下流で生き物が違うことも勉強になりました」「川にこんなにたくさんの生き物がいるというのがすごかったです(2)」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「普段目にしない水の中の小さな生き物に注目できて良かったです」「楽しく,いろいろ学ぶことができました」「川にはいっていろいろな生物をとれたから,楽しかったです(4)」「とりのこえがきれいでした」「いろんな生きものがいてすごかった」「親の方が勉強になりました(生きものの名前をほとんど知らなかったので)」「図かんを見ながら説明してくれたので分かりやすい(2)」「ふだんはしないことができてよかったです.家でも水の中の虫や魚等をとってかん察したいです」「なかなかこういうきかいはないので,とてもよかったです」「楽しかった(4)」

写真

冷たい水もなんのその.突き進んでいく男子たち.
冷たい水もなんのその.突き進んでいく男子たち.網を立てて,足下に気をつけながら,二人で協力して川下の石を動かして探索中.
網を立てて,足下に気をつけながら,二人で協力して川下の石を動かして探索中.石の裏をそろりとめくる.
石の裏をそろりとめくる.石の裏にいたヤゴ.トンボの種類はあとで先生に聞いてみよう!
石の裏にいたヤゴ.トンボの種類はあとで先生に聞いてみよう!網の中になにかいる!どんな生きものかな?
網の中になにかいる!どんな生きものかな?サワガニを発見!上流では多く発見.
サワガニを発見!上流では多く発見.みんなで生きものを分けていくよ.どんな生きものがどれだけいるかな?
みんなで生きものを分けていくよ.どんな生きものがどれだけいるかな?小さい生きものも見逃さないように,みんな真剣に探している.
小さい生きものも見逃さないように,みんな真剣に探している.虫めがねを使うのは楽しいなぁ.
虫めがねを使うのは楽しいなぁ.生きものの特長や生息地を,内藤先生が図鑑を使って教えてくれたよ!
生きものの特長や生息地を,内藤先生が図鑑を使って教えてくれたよ!佐久間先生の解説中.
佐久間先生の解説中.子どもだけではなく,大人も初めて見る生きものに興味津々.
子どもだけではなく,大人も初めて見る生きものに興味津々.調査して,印象に残った生きものを紙コップに描く.何を描こうか思案.
調査して,印象に残った生きものを紙コップに描く.何を描こうか思案.生きものを描いた紙コップでできたピラミッド.いったい何が始まるのかな?
生きものを描いた紙コップでできたピラミッド.いったい何が始まるのかな?ピラミッドを川の生態系に見立てて,佐久間先生が一つ一つの生きものが大事だということを教えてくれた.
ピラミッドを川の生態系に見立てて,佐久間先生が一つ一つの生きものが大事だということを教えてくれた.観察会が終わっても子どもたちみんな,まだまだ元気.
観察会が終わっても子どもたちみんな,まだまだ元気.

【イベント報告】ブッポウソウの観察会

  • 開催日時:2012年7月15日(日) 9:30
  • 講師:松田賢

観察会にはもってこいの快晴の中,23名の方が参加されました.
まず,松田先生による講義を聴きました.講義では広島県や芸北地域で,ブッポウソウを保全するためにどのような活動を行っているのか,ブッポウソウの生態研究などを説明されました.その中で,繁殖を促すために巣箱を設置したが,闇雲に数を増やすだけでは営巣数が増える訳ではないことや,給餌の回数が多く,朝早くから日暮れまで雄雌交代で給餌をしていること,硬い甲虫類を好んで食べ,それらを捕獲するために夜に近い時間になると給餌活動がより活発になるということを初めて知り,印象に残りました.また,保全の結果,広島県での絶滅危惧のランクがⅠ類からⅡ類に下がったという話には驚きました.
講義の後は巣箱のある場所に移動し,松田先生とブッポウソウの観察を続けている川小田の上田さんと二人で解説をしてもらいながら実際に観察します.巣箱には複数の雛がいて,代わる代わる周りを伺うように顔を出しては,口をパクパクさせていました.ですが,親が給餌しに現れないので不思議に思っていると「雛は巣立ち直前で,巣立ちを促すために給餌活動を減らしているのだろう」という説明がありました.親鳥を待つ間,前日に上田さんが撮影された親鳥の写真を見せてもらったり,そのときの様子を聞きながら,時折巣箱の周りを参加者みんなでみまもっていると,親鳥が巣箱から少し離れた位置に止まりました.親鳥は巣箱に近づこうとせず,時折周囲を回っては,離れて,また戻るということを繰り返していました.先ほどの説明にあった巣立ちの促しを実際に確認しつつ,給餌はもうやらないのかと,半ば諦めだした頃,親鳥が巣箱に近づき給餌を行いました.本当に一瞬のことで,見た人も見られなかったも気分が高まり,「もう一度給餌しないか」「巣立ちの瞬間も見たい」と期待を込めて巣箱を見つめましたが,残念ながら何度か給餌したものの,巣立ちを見ることはできませんでした.
見られなかったものもありましたが,巣立ち直前の雛や成長を促す親鳥が見れて,貴重な観察会となりました.

みなさんの印象に残った物

「鳥の観察には,待つことが大事だということ」「巣立ち前のブッポウソウのひな(3)」「雛が巣箱から顔を出したこと」「ヒナが3羽もいたのにはビックリでした」「巣立ちを促す親鳥の様子がけなげな事」「親鳥の広げた羽の色が見れてよかった」「雛も見る事ができたし,えさやりも見る事ができた事(3)」「ヒナのくちばし,体色(2)」「説明がよかったです」「ブッポウソウの止まっている姿や巣の雛が見られたこと」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「お天気も晴れて親切に観察できるムードを作っていただき,感謝しています」「自分の家の前に巣箱を作ってみます」「レクチャーがとても興味深く面白かった」「のんびりできました」「もっともっとブッポウソウが増えれば良いですね」「相手も生きているのかは人間の都合どうりにはいかない」「ブッポウソウの観察も大変でした」「ブッポウソウ,ヒナも見れたし,写真もたくさん見せてもらってよかったです」「里山でこんな普通に見れるとは思わなかった」「昨年からブッポウソウを見たいと思っていましたので見る事ができて良かったです」「ヒナを見られたのは良かった(2)」「楽しかったです」「近くで見られてよかった」「貴重な機会をありがとうございました(2)」

写真

双眼鏡を手に観察開始巣箱の様子はどうだろう?
双眼鏡を手に観察開始巣箱の様子はどうだろう?ご近所に住む上田さんが観察しているブッポウソウの写真.青い羽と赤いクチバシが鮮やか.
ご近所に住む上田さんが観察しているブッポウソウの写真.青い羽と赤いクチバシが鮮やか.巣箱では雛が顔を出しては周りを見ている.
巣箱では雛が顔を出しては周りを見ている.貴重な一瞬を撮るため,真剣な表情で見守る参加者.
貴重な一瞬を撮るため,真剣な表情で見守る参加者.近くを飛んでいたウスバキトンボ.
近くを飛んでいたウスバキトンボ.緑の中で,白い花をきれいに咲かせていたオカトラノオ.
緑の中で,白い花をきれいに咲かせていたオカトラノオ.携帯電話での撮影にチャレンジ.うまく撮れるかな?
携帯電話での撮影にチャレンジ.うまく撮れるかな?ブッポウソウの親子を観察する親子.
ブッポウソウの親子を観察する親子.写真を資料にブッポウソウの解説をする松田先生.
写真を資料にブッポウソウの解説をする松田先生.地面を這っていたフトミミズ.見つけた人は大きさにビックリ.
地面を這っていたフトミミズ.見つけた人は大きさにビックリ.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原 夏のいきもの観察会

  • 開催日時:2012年7月8日(日) 9:30
  • 講師:大竹邦暁・松田賢・和田秀次

 毎回いろいろな発見がある霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.今回は植物担当の和田先生・大竹先生,昆虫担当の松田先生が講師陣です.加えて参加者に,鳥の専門家である上野先生・魚類両生類の専門家内藤先生であるもそろい,とても心強いメンバーで出発しました.
 湿原に着くまでにもさまざまないきものに出会いました.日本の中で繁殖地はこの八幡高原だけ!というミヤマホオジロの姿と鳴き声をキャッチ!比較的近くの木のてっぺんで堂々とした鳴き声を披露してくれ,みなさんカメラを向けたり,双眼鏡で覗き込んでいました.
 さらに進み,このあたりはヘビが多いところ・・という場所があります.参加者みんなで目を凝らして草むらをみてみると,じっとしているまだら模様のニホンマムシが見つかりました.危険な動物に対してただ闇雲に怖がるだけではなく,どんなところにおり,どんな姿をしているかということをきちんと知っておく必要があると思いました.
 霧ヶ谷湿原に着いてからも観察が続きます.
 この日はトンボもたくさん飛んでおり,アサヒナカワトンボ・グンバイトンボ・シオヤトンボ・ヒロシマサナエなど8種類確認され,中でもヒロシマサナエの見分け方を松田先生にじっくり解説していただきました.
 アブとハチの違いは「羽の枚数の違い」に加え,「口の構造の違い」も教えていただき,新たな発見がありました.
 植物ではクサレダマ,ノハナショウブ,ハンカイソウ,など湿地に生育する植物が花を咲かせていました.ミズチドリや サワヒヨドリ,オカトラノオはつぼみだったり,まだ咲き始めであったので,これから咲く姿が楽しみだなぁと期待を持ちました.
 霧ヶ谷湿原では和田先生より自然再生事業の概要や現状を聞きました.途中に立てられている解説板には霧ヶ谷湿原で見ることのできるいきものの写真が掲載されており,「今日はこれをみたね〜」「こんな花も咲くんだね〜」と参加者同士で会話が盛り上がっていました.
 一回りして,とても午前中だけでは時間が足りませんでしたが,お昼もすぎたので駆け足で帰り道を急ぎました.
 帰り際,ふわりと舞っていたアサギマダラの姿を見れたのは幸運でした.
 最後に印象に残ったものを一人ずつ発表して解散となりました.私自身は,ヒロシマサナエの見分けるポイントが“胸縫線を見る”と教わったこと,淡い黄色の花がかわいらしかったクサレダマが大変印象に残りました.秋のいきもの観察会も楽しみです![こうのやよい]

みなさんの印象に残った物

「ヒヨドリバナとサワヒヨドリの違いがわかった」「ミズイロオナガシジミを見れた,きれいだった」「マムシを見たことです」「ミズイロオナガシジミ,アサヒナトンボとミヤマカワトンボ」「オニヤンマを見たこと,その他いろいろなトンボが見れたこと.」「ミヤマホオジロ」「初夏の空気の中に息づく植物,鳥,昆虫の息」「ヒロシマサナエ,ラクダムシ」「ラクダムシ,ミヤマホオジロ」「ウラギンヒョウモン」「ラクダムシ」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「一般の人の参加をもっと多くしたいですね」「植物,昆虫,両生類を幅広く教わった」「色々な植物やこん虫が観察できてよかったです.」「丁ねいなせつめいありがとうございます」「鳥も植物も色々見れて充実してました」「講師陣が豪華で楽しかった」「芸北へ来るといつも自然を借りて生きているのだなあと思います.湿原の保護活動をしている皆さんの努力に拍手を送ります」「皆さんの話がとてもマニアックで,ためになりました」「たくさんの昆虫が見れてよかった」「数年ぶりに来て再生事業がすすんでいるようでたのもしく思えた」「参加者の方もいろいろくわしくて楽しかったです」

写真

今回新たに講師をしてくださる松田先生.昆虫だけではなくたくさんのことをご存知.
今回新たに講師をしてくださる松田先生.昆虫だけではなくたくさんのことをご存知.出発してすぐ!ミヤマホオジロの姿をキャッチ!かわりばんこに覗き込む.
出発してすぐ!ミヤマホオジロの姿をキャッチ!かわりばんこに覗き込む.クマイチゴの実.地元では炭窯のあったあとによく見かけるので「カマイチゴ」ともいうらしい.
クマイチゴの実.地元では炭窯のあったあとによく見かけるので「カマイチゴ」ともいうらしい.カワトンボにもいろいろ種類があり,これは「アサヒナカワトンボ」.
カワトンボにもいろいろ種類があり,これは「アサヒナカワトンボ」.数日前の大雨と風で水がでた様子がわかった.
数日前の大雨と風で水がでた様子がわかった.初夏の彩りクサレダマ.
初夏の彩りクサレダマ.内藤先生にカスミサンショウウオの幼生を見せていただいた.
内藤先生にカスミサンショウウオの幼生を見せていただいた.ハンカイソウにとまるクロアゲハ.色のコントラストが美しい!
ハンカイソウにとまるクロアゲハ.色のコントラストが美しい!まだまだ寄り道中.
まだまだ寄り道中.高原の自然館の前で最後のまとめ.充実した観察会でした!
高原の自然館の前で最後のまとめ.充実した観察会でした!

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査(夏)

  • 開催日時:2012年6月24日(日) 9:30
  • 講師:大竹邦暁・佐久間智子・白川勝信・和田秀次

 夏の霧ヶ谷湿原で,植物の調査をしました.この調査は,霧ヶ谷で実施された「八幡湿原自然再生事業」の効果を,植生の回復具合から確認するためのもので,西中国山地自然史研究会では,工事が完了した2009年以来,毎年6月と9月に同じ場所で調査を続けています.工事終了から4年目の今回は,植生調査が初めてというお二人を含む,7人で実施しました.
 現地に行く前に,湿原再生の意味やねらい,その方法などの説明を,高原の自然館で和田先生から聞きました.霧ヶ谷湿原は,かつては地域の人の草刈り場でしたが,戦時中に陸軍の演習地として買い上げられて以来,地元の人による利用はありませんでした.終戦後には,開拓団として入植した方もありましたが,長くは続きませんでした.昭和の中頃には,国が食料自給率を高めるために行った「大規模草地改良事業」の国内第1号地として開発が進められました.霧ヶ谷湿原の環境が大きく変わったのはこの時です.土地を乾燥化させるための排水路が掘られ,本線の水路はコンクリートの三面張りになったため,湿原は失われました.この牧場も,1980年頃には閉鎖になりましたが,排水路は残ったため,湿原はもとには戻りません.再生事業は,人間活動によって失われた自然のしくみを,元通りに戻すとりくみです.
 このような背景を知った上で,現地で調査を行いました.予め設置されている12プロットで,植物の種類や高さを丹念に調べていきます.今回は調査の専門家が3人も参加されているので,初めて参加された方も,花が付いていない株でも見分けることができるようになったようでした.
 植生調査は地道な調査ですが,続けることで見えてくるものがあります.今年は霧ヶ谷湿原の工事を点検する年です.これを機会に,今までのデータもまとめていきたいと思います.[しらかわかつのぶ]

みなさんの印象に残った物

「カヤの種類の多さ」「ハンノキがたくさんあったこと!」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「初めてのことなので手間取りました.」「とても勉強になりました.またやらせてもらいたいと思います.」

写真

調査地点は木道に沿っているので,木道に座りながら記録ができる.
調査地点は木道に沿っているので,木道に座りながら記録ができる.調査区内の全ての種を記し,高さを測る.
調査区内の全ての種を記し,高さを測る.プロットを設置している様子.
プロットを設置している様子.4人で1m×1mの調査.1人は記録係.
4人で1m×1mの調査.1人は記録係.ハンノキ林の下は,マアザミ,ヌマガヤ,オニスゲ,ヒメシロネ,クサレダマなど,湿原生の種が多く見られた.
ハンノキ林の下は,マアザミ,ヌマガヤ,オニスゲ,ヒメシロネ,クサレダマなど,湿原生の種が多く見られた.初心者でも,だんだんと調査になれてくる.
初心者でも,だんだんと調査になれてくる.ミゾソバが繁茂した中に,大きなアブラガヤの株が生えている調査区.
ミゾソバが繁茂した中に,大きなアブラガヤの株が生えている調査区.湿原の植物と,ススキや外来種が一緒に生えているプロット.場所によって植生はずいぶん違う.
湿原の植物と,ススキや外来種が一緒に生えているプロット.場所によって植生はずいぶん違う.