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【イベント報告】霧ヶ谷湿原 秋のいきもの観察会

  • 開催日時:2011年9月17日(土) 9:30
  • 講師:岩見潤治・大竹邦暁・和田秀次

 台風の接近で,天候の心配はありましたが,霧雨が少しある程度でときどき晴れ間も見られる中,高原の自然館に27名が集まりました.今回の講師は,岩見先生,大竹先生,和田先生です.今回の観察会は,八幡湿原のひとつでもある,霧ヶ谷湿原における自然再生事業の仕組みとその後の変化の観察です.
 歩き始めてすぐ,八幡の代表的な木であり,赤い実をつけるカンボク,かわいらしい花を咲かすアケボノソウ,別名,ジイソブとも呼ばれ,「じいさんのそばかす」で盛り上がった,ツルニンジンなど,湿原の外側からもたくさんの生き物を見つけました.
 霧ヶ谷湿原に入ってすぐはうっそうとした場所が続きます.ここは再生事業が行われる前からあったヤブだそうです.その中で,ハート模様を身にまとったカメムシや,長旅をしてきたアサギマダラなど,はじめましての仲間たちにもたくさん出会いました.
 木道があらわれると景色ががらりと変わります.アブラガヤやオタカラコウ,ツリフネソウ,キセルアザミなど,湿原生植物がたくさん観られるようになります.途中,参加者から,「湿原を再生する意味はあるのか?」という質問があり,その答えとして,和田先生は,「地球の生物が減少している.その原因は様々であるが,原生の自然が壊れていることは確か.湿原も同様で,生物の減少を防ぐためにも,湿原を再生させたほうがよい.」ということをおっしゃっておられました.学芸員の白川さんも,「森は多くあり,森に生きる生物は森に帰ることができるため増えている.一方,湿原は減少していて,湿原特有の生物たちはどんどん減っている.また,湿原再生は,その周辺地域の洪水を防ぐことに大いに役立つ.湿原再生は保全だけでなく,防災,今回のようなレクリエーションなどの多面的価値を生み出す.」ということを語られていました.
 帰りはアスファルトの車道の上を歩いて帰りました.普段ならただ歩くだけの道も,たくさんのことを知ってから見ると,がらっと景色の印象が変わりました.見たり触ったり匂ったり,感じながら「知る」って大事だと,わかってはいたものの,今回の観察会で改めてその大切さを知ることができました.
 今回の観察会ではいきものだけでなく,湿原における河川改修,導水路,観察路,伐採,側溝改良の5つの事業が実施された様子を見ました.その中で,植物を移動させるのではなく,環境を整え,あとは自然に生えてくるのを待つだけ,というこの再生事業の特色を実際に見て体感しました.同じ湿原でも,場所によって生息する植物が違ったりして,様々な湿原の様子を感じたのですが,この様子も年々変わっていくそうです.ここには書ききれないほどの魅力が八幡の自然にはあふれていて,まだまだ知りたいことばかりです.これからももっと感じ,知り続けていきたいと思います.[しんばらゆき]

みなさんの印象に残った物

「カンボクの実,カマキリのセンチュウ」「エゴネコアシアブラムシ」「つりふね草を触ったら中から種がはじけてびっくりしたのが印象に残っています.」「初めて出会った草花,水中生物,トンボ」「講師の先生方の誠実な説明が心に残りました.ありがとうございました.」「ツリフネ草の実がさわるとはじけること」「湿原の再生が皆さんの多くの知恵の結集で成功していてとてもうれしく思う」「霧の中での植物の観察」「湿原再生事業について」「湿原を再生したということ.」「ツリフネソウの種がはじけて飛ぶことを知った」「あけぼの草が多く自生している事」「ムカシトンボの幼虫とマアザミ,アケボノソウが一番いい時だった.」「山の天気は変わりやすい」「花がたくさんあってうれしかったです.今後もう少し勉強して,又参加したいです.」「カンボクの実が大変きれいでした.」「湿原の再生が,うまくいっている事」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「動物,昆虫が少なかったので少し残念.次回に」「生き物のこと,再生事業のこと,いろいろ聞けてよかったです.」「植物や動物,花の全てに名前があって,そういう形になった理由もあって,”ふつうのカマキリ”,”ただの草”,”ただの咲いてる花”から見る目が変わりました!!奥が深〜〜いと思いましたー!」「年に何度か訪れていますが,湿原再生の意義について学ぶことができました.水中生物,植物などで新たな知識を得て,次回の散策が楽しみです.視野が広まりとても充実した一日となりました.」「今まで知らなかった植物や生き物の名前がわかり,目の前でその名を呼びながら観察できたのがすばらしかったです.」「ムードがとても良かった.」「先生の説明がとてもわかりやすくてよかったです.」「勉強になりました」「わかりやすい説明で楽しかったです.」「初秋の湿原を楽しく歩けました.」「地元にいながら知らない事が理解できて良かった.」「動植物との関係が一度に見れてよかった」「いろいろ勉強になりました.」「おもしろかった」「今後もう少し勉強して,又参加したいです.」「今日は霧雨の中,霧ヶ谷湿原を歩いてみて3年前,2年前,1年前と変化があって良かったです.湿原性の植物も沢山見られて良かったです.」

写真

高原の自然館で,八幡湿原全般の話を聞いてから出発.
高原の自然館で,八幡湿原全般の話を聞いてから出発.ツルニンジンの解説をする大竹先生.
ツルニンジンの解説をする大竹先生.霧ヶ谷湿原の入口で,アサギマダラに出会った.
霧ヶ谷湿原の入口で,アサギマダラに出会った.霧ヶ谷湿原には,タムラソウ,アブラガヤなど,湿った場所を好む花が咲いていた.
霧ヶ谷湿原には,タムラソウ,アブラガヤなど,湿った場所を好む花が咲いていた.水生昆虫の説明をする岩見先生.川底をガサガサと探ってみると...
水生昆虫の説明をする岩見先生.川底をガサガサと探ってみると...ムカシトンボのヤゴ.小さい.
ムカシトンボのヤゴ.小さい.ママと参加のチビッコも,霧ヶ谷でくつろぎ中.
ママと参加のチビッコも,霧ヶ谷でくつろぎ中.河川での工法について説明する和田先生.もとは三面張りコンクリートの水路だったが,側壁を壊し,石が置かれた.
河川での工法について説明する和田先生.もとは三面張りコンクリートの水路だったが,側壁を壊し,石が置かれた.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原 夏の生き物観察会

  • 開催日時:2011年7月10日(日) 9:30
  • 講師:岩見潤治・大竹邦暁・和田秀次

 暑い日となることを予想させる青空のもと,21名が高原の自然館に集合しました.今回の講師は,岩見先生,大竹先生,和田先生です.自然館内で行程や諸注意を聞いたあと,湿原に向かって出発しました.歩き始めて間もなく,岩見先生が何かを捕まえました,アカウシアブです.捕まえたアブを見ながら「ハチは羽が4枚あるが,アブは2枚.後ろの羽は,退化してバランスを取るための器官になっている」とアブとハチの違いを教えていただきました.湿原に入る少し手前には,オカトラノオが小さな白い花をたくさん咲かせていてました.大竹先生が「尻尾状になっているように見えるが,空を向いている部分にだけ花を付けている」と,花の付いていない地面を向いている部分を見せながら解説されました.他にも,ザトウムシの仲間やトウキョウコマチグモ,ジキジキ…と鳴いているナキイナゴやコオニヤンマなどが姿を見せてくれました.
 水口谷湿原に入ると,涼やかな空気が私達を包んでくれました.たくさんの大きなハンノキが日差しを遮ってくれているからです.木道の傍では,ニホンカワトンボが.木道の傍にある植物に止まって,身体を休めていました.岩見先生が「カワトンボのオスは,羽に色があるものと透明なものがあり,色の有無がそのまま縄張りの有無になっている」と解説されました.植物に目を向けると.赤い実を付けたクマイチゴや,黄色い花がまぶしいハンカイソウなどが見られました.広い木道に出て一息ついていると「真上の木を見てみよう」と白川学芸員が声をかけました.見上げてみると,枝が折れて一カ所に引き寄せられた部分がありました.クマ棚です.見上げていた木はヤマザクラで,クマ棚は,実を付けていたサクランボを食べた時に作られたものでした.霧ヶ谷湿原と水口谷湿原をつなぐ道でも色々な生き物をみることが出来ました.きれいに葉っぱを巻いて,幼虫が育つ家を作るオトシブミの仲間,ノリウツギの花やクロツグミのさえずりを聞くこともできました.
 霧ヶ谷湿原に入って,最初に目に飛び込んできたのは,たくさんのクサレダマやサワヒヨドリの花が咲いている,花の絨毯のような光景でした.しばらく木道を進むと,川の水をせき止めている堤が見えてきました.和田先生が「霧ヶ谷湿原は,昔に行われた牧場開発で,水はけがよくなり,薮に変わってしまった.今はその川をせき止めて溢れさせ,導水路を伝って水が全体に広がるようにしている」と,水路の図を見せながら説明されました.木道を歩いていると,子ども達がトンボの抜け殻を見つけました.岩見先生に見せると,特徴的な大きなアゴの形からオニヤンマの抜け殻だということが分かりました.他にも,キセルアザミのつぼみやノハナショウブ,植物の上にはフキバッタの幼生やシオヤトンボ,水の中ではタカハヤやオタマジャクシなどが見られました.木道の終わりに差し掛かった時,参加者の一人が,近くの水たまりに向かって指差しています.よく目を凝らしてみると,胴の細いトンボがいました.グンバイトンボです.オスとメスが繋がっていて,水際に生える植物の茎の中に産卵している様子が確認できました.2つの湿原を時間をかけてじっくりと観察し,様々な生き物との触れ合いを通じて,自然がたくさんの生命を育んでいることを学んだ観察会になりました.〔ありみつまさかず〕※観察会での採集は,広島県及び北広島町から許可を得て行っています.

みなさんの印象に残った物

「クマシデ」「青りんごのにおいがするカメムシが印象にのこりました」「ゴマダラオトシブミが中にいる葉をみたこと(2)」「夏空のもと,生き物が生き生きしている姿に感動しました.」「ノハナショウブ,ミズチドリ,クサレダマ,ヌマトラノオが沢山咲いていたこと」「動くサナギ」「オトシブミの仲間.きれいに家をつくっていて驚きました」「ヒロシマサナエをはじめてみれてうれしかった」「グンバイトンボの産卵が見られた」「講師の優しさ」「注意して見ると沢山虫がいたこと」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「べんきょうになり,楽しかったです.知らないことが多いです」「八幡湿原も所によってちがいがわかってよかったと思います」「いろいろな昆虫や植物が見れてよかったです(4)」「ファミリーな気分で楽しかったです.」「湿原にもどりつつあって良かったです.」「いろいろ見られたり教えて下さってよかった(2)」「楽しい観察会でした(3)」

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ヤマザクラに出来ていたクマ棚.木には真っ赤なサクランボがなっていた.
ヤマザクラに出来ていたクマ棚.木には真っ赤なサクランボがなっていた.オトシブミについて話す岩見先生.葉の巻き方や使う枚数によって種類を見分けられる.
オトシブミについて話す岩見先生.葉の巻き方や使う枚数によって種類を見分けられる.出発前にお話を.アブに気をつけよう.
出発前にお話を.アブに気をつけよう.オカトラノオの解説をする大竹先生.下側を見ると花がついていなかった.
オカトラノオの解説をする大竹先生.下側を見ると花がついていなかった.両手にカワトンボ!
両手にカワトンボ!ヒメジョオンにとまるヒメシジミ.
ヒメジョオンにとまるヒメシジミ.導水路について説明する和田先生.
導水路について説明する和田先生.オニヤンマのヤゴの抜け殻.あごが大きく前に突き出している.
オニヤンマのヤゴの抜け殻.あごが大きく前に突き出している.

【イベント報告】山焼き後の雲月山植物観察会

  • 開催日時:2011年4月24日(日) 9:30
  • 講師:大竹邦暁・佐久間智子

 二年連続で山焼きが行われなかった雲月山ですが,山焼き後の春植物の観察会は予定通り開催されました.
 天気はよいものの,強風が吹く中,17名の参加者が雲月山の駐車場に集合しました.今回の講師は,大竹先生と佐久間先生です.
 最初に草原の成り立ちや,草原がなぜ大切なのか,といった内容を大竹先生からお話しいただき,次に佐久間先生からは「広島県における管理履歴の異なる半自然草原の比較」の資料をいただき,調査データをもとに,それぞれの草原の特長や植生のお話しをしていただきました.
 雲月山が多様性に富んでいる貴重な場所だということを頭の片隅に入れて,登山を開始しました.
 観察ポイントまでは,強風に注意しながら歩きました.ヤマヤナギの芽,オオバヤシャブシの花粉,トキワイカリソウの赤い葉,カラマツの芽吹き,アセビのつぼみなどをじっくり観察しました.登山道沿いに咲いていたショウジョウバカマが目を楽しませてくれました.
 途中に見える景色の中では,たたら製鉄が行われていた跡や牛が放牧されている場所の牛道,山焼きを行っている場所とそうでない場所の違いを説明していただきながら歩きました.
 参加者の中からも,15年前の山焼きの様子や50年前の草原の様子など,地元の方ならではの貴重なお話しを聞くことができました.
 雲月山の頂上では,強風も弱まり気持ちのよいお弁当タイムをゆっくりと過ごしました.ここでも山菜の食べ方,マムシの捕まえ方など芸北ならではのお話しを聞かせてもらいました.
 戻りは下の駐車場を目指して下山しました.昨年完成した登山道が一部雪のため崩れており,少しでも早い復旧が望まれます.
 途中緑色が濃い場所があり,そこへいってみることにしました.エゾノギシギシ,コスズメノカタビラなど本来なら自生していない植物が多くありました.放牧された牛によって種子が運ばれ生育しているとのことでした.草原の管理をどうしていくか?ということを考えさせられる場所でもありました.
 最後は道路を歩き,上の駐車場まで帰ります.ニオイタチツボスミレがひとつだけ咲いており,その姿を見ることができたのがとても嬉しかったです.
 いつもの年より咲いている花が少なかったり,山焼き後の植物の姿をみることが出来ませんでしたが,草原の重要性を十分に感じ,冬から春への移ろう季節を楽しめた観察会でした.[こうのやよい]

みなさんの印象に残った物

「牛の休む場所が他と植物が違うことなど,初めて知りました.夏にしか来たことがなかったので,驚きました.」「牛が運んだ地元の植物群」「いろんな人の話を聞けてよかった.」「早春の花の観察,季節外れの残雪が印象的でした.」「車道を抜けて山に入ったときの寒さと風の強さ.まだまだ春には遠い感じがしたこと.」「アカマツとクロマツ」「地の人の話.」「牛のふんの中の様子.植生が大きくかわるのを知った.」「4/24にしては寒く,例年よりは2種間くらい遅れている.」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「説明がとても丁寧で,わかりやすかったです.地元の方の話が聞けてとてもよかったです.」「雲月の文化史が講師の方,地元の方の話で勉強になった.」「楽しいひとときをありがとうございました.」「好天に恵まれ.快適な観察会でした.」「寒く風が強かったですが,お弁当を食べる頃は大変気持ちよく観察会ができ,よいお話を地元の人,先生方に聞けてよかったです.」「たのしかった.」「先生方だけでなく,いろんな人の話が聞けるのでよかった.」「風が強かったけど,楽しかった.」「今年の雪の多さにおどろき.」

写真

参加者がぞくぞく集合.やっぱり雲月山の観察会は人気度高し.
参加者がぞくぞく集合.やっぱり雲月山の観察会は人気度高し.ヤマヤナギの説明をする佐久間先生.
ヤマヤナギの説明をする佐久間先生.旧芸北町の町章のマークを背中に岩倉山頂上をめざす.
旧芸北町の町章のマークを背中に岩倉山頂上をめざす.山の中腹に残るたたら跡について説明する大竹先生.
山の中腹に残るたたら跡について説明する大竹先生.過去の山焼きについて話す地元の参加者に皆耳をかたむける,
過去の山焼きについて話す地元の参加者に皆耳をかたむける,赤茶色のハート型がめだっていたトキワイカリソウの葉.
赤茶色のハート型がめだっていたトキワイカリソウの葉.ショウジョウバカマを撮る少女.
ショウジョウバカマを撮る少女.小さいけれどマツムシソウの葉.今年の秋に花を咲かせる準備.
小さいけれどマツムシソウの葉.今年の秋に花を咲かせる準備.登山道沿いに可憐に咲くショウジョウバカマ.個体で色の違いがあるのがおもしろい.
登山道沿いに可憐に咲くショウジョウバカマ.個体で色の違いがあるのがおもしろい.キジムシロも花を咲かせていた.
キジムシロも花を咲かせていた.島根県側には芽吹きのはじまったカラマツがあった.
島根県側には芽吹きのはじまったカラマツがあった.濃い緑色の正体を確かめに,現地へ向かう.
濃い緑色の正体を確かめに,現地へ向かう.雪で崩れてしまった登山道.
雪で崩れてしまった登山道.見たものを先生にすぐ聞くことができるのが,観察会の楽しいところ.
見たものを先生にすぐ聞くことができるのが,観察会の楽しいところ.日当りがよい場所のためか,ひとつだけ咲いていたニオイタチツボスミレ.
日当りがよい場所のためか,ひとつだけ咲いていたニオイタチツボスミレ.谷筋にところどころある残雪.
谷筋にところどころある残雪.雲月山を下る.帰り道が早いのはなぜだろう?
雲月山を下る.帰り道が早いのはなぜだろう?最後のまとめ.早春の草原を感じた観察会だった.
最後のまとめ.早春の草原を感じた観察会だった.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査 秋

団体での参加も含め,19人での調査になりました.講師はお馴染みの和田さん,大竹さん,佐久間さん,そして白川の4人です.現地に移動する前に,高原の自然館前で植生調査の方法について説明しました.不明な点への質問もあり,参加者のやる気が伺えました.現地では,はじめにパネルを使って,自然再生事業の概要について説明しました.各班で調査道具を持ち,夏の調査記録を分配しました.この記録に従って,調査地へと移動していきます.霧ヶ谷湿原の木道には番号が振ってあるので,簡単に場所を特定できます.今回は初めて参加される方が多かったのですが,各班とも順調に進みました.調査区が進につれて,植物の名前だけでなく「被度」や「郡度」などの評価も参加者の方自身でされるようになり,手際が良くなっていきました.しかし,慣れた頃には予定していた地点の調査を終えてしまいました.早く終わった斑は,それぞれの斑の講師に連れられて植物観察をして,ツリフネソウやアキグミの実を見つけたようです.すべての斑が調査を終えて戻ってきたところで,和田さんから,八幡湿原自然再生事業のきっかけとなった,自然史研究会による実験について説明していただきました.最後に,各班の状況を紹介していただき,感想を言い合いました.「わずか1平方メートルの中に,たくさんの植物があって驚いた」という方が多かったようです.また,講師の佐久間さんからは,夏の調査時とずいぶん植物が変わったという指摘がありました.大人数の調査でしたが,木道があるおかげで,湿原を傷めずに植生調査を体験できました.

夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
各班に別れて調査を進める.
各班に別れて調査を進める.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.小さな植物も見逃さないようによーく観察.
小さな植物も見逃さないようによーく観察.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.

【イベント報告】霧ヶ谷の植生調査 夏

昨年度に自然再生工事が完了した霧ヶ谷湿原で,工事直後の状態を調べるための植生調査を行いました.昨年にも,木道設置予定ルートに沿って調査をしましたが,木道設置工事のために重機が動いた影響が見られるため,今回の調査を「工事完了直後の調査」と位置付け,今後続けられるモニタリングの基礎データとすることにしました. 参加者9人が3つの斑に別れて,調査を進めていきました.今回は,大竹邦暁さん,佐久間智子さん,白川の3人が班長です.1m×1mの調査枠を設置し,枠の中に生えている植物を全て記録するとともに,種ごとに被度(どのくらい覆っているか)・郡度(どのくらいまとまって生えているか)・高さを記録し,写真を撮影しました. 同じように重機の影響を受けているように見えても,プロットごとに生えている植物の種類や繁茂状況は少しずつ異なっていたようです.多くの調査区で見られたのがミゾソバとイでした.また,アメリカセンダングサやフランスギクなど,外来種が多く生育する調査区もありました.一方で,外来種がほとんど見られない場所もあり,工事直後にも多様な植物群落が見られることが分かりました. 調査の後,調査をしながら感じたことを話し合いました.昨年は広く繁茂していた外来種が少なかったこと,水の流れが変わった場所があったことなどが感想として上がりました.雨の心配をしていましたが,ほとんど降られずに,12プロットの調査を1時間30分ほどで終えることができました.今後は,もう重機が入ることは無いはずです.今日の結果をもとに,静かに霧ヶ谷湿原の変化を見守って行きましょう.

赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる. 赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる.
3斑に別れて調査を進めた. 3斑に別れて調査を進めた.
小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす. 小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす.
植物の高さを測る. 植物の高さを測る.
最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した. 最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した.
プロット1(木道No.118番付近) プロット1(木道No.118番付近)
プロット2 プロット2
プロット3(木道No.107番付近) プロット3(木道No.107番付近)
プロット4(木道No.96番付近) プロット4(木道No.96番付近)
プロット5(木道No.86番付近) プロット5(木道No.86番付近)
プロット6(木道No.82番付近) プロット6(木道No.82番付近)
プロット7(木道No.77番付近) プロット7(木道No.77番付近)
プロット8(木道No.71番付近) プロット8(木道No.71番付近)
プロット9(木道No.68番付近) プロット9(木道No.68番付近)
プロット10(木道No.63番付近) プロット10(木道No.63番付近)
プロット11(木道No.47番付近) プロット11(木道No.47番付近)プロット12(木道No.51番付近)

プロット12(木道No.51番付近)