- 開催日時:2011年4月24日(日) 9:30
- 講師:大竹邦暁・佐久間智子
二年連続で山焼きが行われなかった雲月山ですが,山焼き後の春植物の観察会は予定通り開催されました.
天気はよいものの,強風が吹く中,17名の参加者が雲月山の駐車場に集合しました.今回の講師は,大竹先生と佐久間先生です.
最初に草原の成り立ちや,草原がなぜ大切なのか,といった内容を大竹先生からお話しいただき,次に佐久間先生からは「広島県における管理履歴の異なる半自然草原の比較」の資料をいただき,調査データをもとに,それぞれの草原の特長や植生のお話しをしていただきました.
雲月山が多様性に富んでいる貴重な場所だということを頭の片隅に入れて,登山を開始しました.
観察ポイントまでは,強風に注意しながら歩きました.ヤマヤナギの芽,オオバヤシャブシの花粉,トキワイカリソウの赤い葉,カラマツの芽吹き,アセビのつぼみなどをじっくり観察しました.登山道沿いに咲いていたショウジョウバカマが目を楽しませてくれました.
途中に見える景色の中では,たたら製鉄が行われていた跡や牛が放牧されている場所の牛道,山焼きを行っている場所とそうでない場所の違いを説明していただきながら歩きました.
参加者の中からも,15年前の山焼きの様子や50年前の草原の様子など,地元の方ならではの貴重なお話しを聞くことができました.
雲月山の頂上では,強風も弱まり気持ちのよいお弁当タイムをゆっくりと過ごしました.ここでも山菜の食べ方,マムシの捕まえ方など芸北ならではのお話しを聞かせてもらいました.
戻りは下の駐車場を目指して下山しました.昨年完成した登山道が一部雪のため崩れており,少しでも早い復旧が望まれます.
途中緑色が濃い場所があり,そこへいってみることにしました.エゾノギシギシ,コスズメノカタビラなど本来なら自生していない植物が多くありました.放牧された牛によって種子が運ばれ生育しているとのことでした.草原の管理をどうしていくか?ということを考えさせられる場所でもありました.
最後は道路を歩き,上の駐車場まで帰ります.ニオイタチツボスミレがひとつだけ咲いており,その姿を見ることができたのがとても嬉しかったです.
いつもの年より咲いている花が少なかったり,山焼き後の植物の姿をみることが出来ませんでしたが,草原の重要性を十分に感じ,冬から春への移ろう季節を楽しめた観察会でした.[こうのやよい]
みなさんの印象に残った物
「牛の休む場所が他と植物が違うことなど,初めて知りました.夏にしか来たことがなかったので,驚きました.」「牛が運んだ地元の植物群」「いろんな人の話を聞けてよかった.」「早春の花の観察,季節外れの残雪が印象的でした.」「車道を抜けて山に入ったときの寒さと風の強さ.まだまだ春には遠い感じがしたこと.」「アカマツとクロマツ」「地の人の話.」「牛のふんの中の様子.植生が大きくかわるのを知った.」「4/24にしては寒く,例年よりは2種間くらい遅れている.」
参加したみなさんの感想(抜粋)
「説明がとても丁寧で,わかりやすかったです.地元の方の話が聞けてとてもよかったです.」「雲月の文化史が講師の方,地元の方の話で勉強になった.」「楽しいひとときをありがとうございました.」「好天に恵まれ.快適な観察会でした.」「寒く風が強かったですが,お弁当を食べる頃は大変気持ちよく観察会ができ,よいお話を地元の人,先生方に聞けてよかったです.」「たのしかった.」「先生方だけでなく,いろんな人の話が聞けるのでよかった.」「風が強かったけど,楽しかった.」「今年の雪の多さにおどろき.」
写真
参加者がぞくぞく集合.やっぱり雲月山の観察会は人気度高し.
ヤマヤナギの説明をする佐久間先生.
旧芸北町の町章のマークを背中に岩倉山頂上をめざす.
山の中腹に残るたたら跡について説明する大竹先生.
過去の山焼きについて話す地元の参加者に皆耳をかたむける,
赤茶色のハート型がめだっていたトキワイカリソウの葉.
ショウジョウバカマを撮る少女.
小さいけれどマツムシソウの葉.今年の秋に花を咲かせる準備.
登山道沿いに可憐に咲くショウジョウバカマ.個体で色の違いがあるのがおもしろい.
キジムシロも花を咲かせていた.
島根県側には芽吹きのはじまったカラマツがあった.
濃い緑色の正体を確かめに,現地へ向かう.
雪で崩れてしまった登山道.
見たものを先生にすぐ聞くことができるのが,観察会の楽しいところ.
日当りがよい場所のためか,ひとつだけ咲いていたニオイタチツボスミレ.
谷筋にところどころある残雪.
雲月山を下る.帰り道が早いのはなぜだろう?
最後のまとめ.早春の草原を感じた観察会だった.