2009年度」タグアーカイブ

【イベント報告】八幡高原の野鳥観察会

冬の雲が空を覆い,気温も低い中での観察になりました.講師を含め,総勢5人という少人数で,自然館前・霧ヶ谷・大歳神社・尾崎谷・三島・滝ノ平・千町原と,テンポ良く回りました.自然館の前では,アトリの群れとツグミの群れを比べながら,ツグミの方がちょっとぷっくりしていること,群をつくることで天敵に襲われた時のリスクを下げられること,などを聞きました.湿原再生が進んでいる霧ヶ谷では,セグロセキレイが3羽,追いかけっこをしており,めずらしく木の枝に止まる姿も見られました.少し歩いていると,コガモが4羽ほど飛び立っていきました.ここではオシドリやアオシギなども確認されており,再生事業の影響がすでに現れているそうです.大歳神社では,目当てのシラガホオジロがいたそうですが,少し遠かったので,「アトリよりすこし大きいかなぁ」というくらいしか分かりませんでした.尾崎谷に移動すると,コガモが100羽以上の群れを作っていましたが,他の鳥は見られませんでした.それでも,堰堤の影から見ていると,近くの水面までやってきて,ゆっくり滑っていく姿を観察できました.羽の鮮やかな緑色も,しっかり見ることができました.三島郷ではカシラダカを間近に見ることができました.双眼鏡で見てみると,なかなかきれいな小鳥です.滝ノ平では期待した猛禽類は観察できませんでしたが,千町原に戻ると,ハイタカが扇谷の上あたりを飛んでいました.レンジャクが居ないなど,全体的には鳥が少なかった印象ですが,声を聞いたものも含めて数え上げると,19種類もの鳥を観察していました.アトリやカシラダカなどは,繁殖地のロシアで環境悪化が進んでいるために,数が激減したそうです.逆に,日本の環境が渡り鳥の数に影響することはないのだろうか,と少し考えさせられた観察会でした.これからも環境を整えながら,観察を続けていきたいものです.[しらかわかつのぶ]

高原の自然館前に集合.
高原の自然館前に集合.
枝に止まったツグミの群れを観察中.
枝に止まったツグミの群れを観察中.
これはアトリの群れ.
これはアトリの群れ.八幡湿原自然再生事業が進む霧ヶ谷湿原.
八幡湿原自然再生事業が進む霧ヶ谷湿原.
ここではセグロセキレイやコガモを確認.
ここではセグロセキレイやコガモを確認.
木の枝に止まるセグロセキレイ.
木の枝に止まるセグロセキレイ.
シラガホオジロを観察.社叢林の中に,アトリもやってきた.
シラガホオジロを観察.社叢林の中に,アトリもやってきた.
スコープで見ても,良く分かりません.
スコープで見ても,良く分かりません.
図鑑を手に,説明する上野先生.
図鑑を手に,説明する上野先生.
尾崎沼にやってきた.
尾崎沼にやってきた.
堰堤に隠れてカモを観察中.
堰堤に隠れてカモを観察中.
コガモが近くにやってきた.羽の青色が特徴.
コガモが近くにやってきた.羽の青色が特徴.
振り返ると八幡湿原は冬模様.
振り返ると八幡湿原は冬模様.
高原の自然館に戻り,観察した鳥についておさらいをした.
高原の自然館に戻り,観察した鳥についておさらいをした.

【イベント報告】紅葉と冬芽の観察会

前日から雨が降り,気温も雨もあがらないいまま観察会の日を迎えました.高原の自然館に11名の参加者が集合し,今回の講師である斎藤先生にお話を聞くことから始まりました.先生自作の資料を見ながら,花や葉がなくても,冬芽で木を見分けることができたり,木によって冬芽の特長が違うことなどを,詳しく教えていただきました.その後,車で掛頭山に移動し,車道沿いの木を観察しました.ミズナラ,リョウブ,ノリウツギなど全部で15種類の樹木を見ながら歩き,冬芽という観点から木の生長の過程や,植物の生き残りのための戦略のお話も聞きました.参加者からも,植物用語ついての質問などもあり,冷たい雨の中でしたが,熱気ある時間を過ごすことができました.「この木がどういう情報を持っているかということを想像するのが,冬芽を知る楽しさですよ」という斎藤先生のお話が印象的でした.それぞれの木に冬芽があり,それぞれに越冬の仕方があるということがわかり大変充実した観察会となりました.

冬芽の図鑑を紹介していただいた.これを見ると植物用語もよくわかる.
冬芽の図鑑を紹介していただいた.これを見ると植物用語もよくわかる.
肉眼で見えない細部はルーペで観察.
肉眼で見えない細部はルーペで観察.
斎藤先生が顕微鏡を使って観察し,作成した資料を見ながらイヌブナとブナの違いの解説をじっくりと聞く.
斎藤先生が顕微鏡を使って観察し,作成した資料を見ながらイヌブナとブナの違いの解説をじっくりと聞く.
斎藤先生が用意してくださったイヌブナとブナの枝.
斎藤先生が用意してくださったイヌブナとブナの枝.
参加者からもどんどん質問が出た.
参加者からもどんどん質問が出た.
この日もきたひろネットの取材クルーが参加.
この日もきたひろネットの取材クルーが参加.
雨の中でも熱心にお話される斎藤先生.
雨の中でも熱心にお話される斎藤先生.
枝の出方で木の名前がわかる.これはリョウブ.
枝の出方で木の名前がわかる.これはリョウブ.
アカマツも,場所によって枝の張り方が違っていると教えていただく.
アカマツも,場所によって枝の張り方が違っていると教えていただく.
クリの木を見ながら,今年伸びた枝を観察する.
クリの木を見ながら,今年伸びた枝を観察する.

【イベント報告】キノコの観察会

気温が低い曇り空の中.集合場所の二川キャンプ場には24名の参加者が集合しました.今回の講師は川上嘉章先生です.各自でキノコを採取し,後で集めて種類分けをすることになりました.落ち葉が多く見つけにくい状況でしたが.紅葉が美しく季節の移り変わりを感じながら,楽しくキノコの採取を行いました. 2時間後,採って来たキノコを並べて川上先生が次々と名前をつけてくださいました.今年は雨が少なくキノコにとっては悪条件だったため,あまり多くのキノコが採れませんでした.30種類ものキノコが集まりました.食用としては中々味の良いチャノメツムタケ,幼菌時には食用になるホコリタケなどがありました.食毒のものも見つかり.中毒例が多いクサウラベニダケ.一本分の量を食してしまうと死に至る可能性のあるドクツルタケなどです.肉が大変辛いドクベニタケは.毒性はありますが噛むのは平気ということで,参加者と味見をしてみましたが.唐辛子を食べたような辛さでした.食べられると思い採ったものが毒だったり. 見た目が似ているキノコを見比べたりしながら先生の説明を聞き,驚いたり感心したりしました.キノコには毒が含まれているものも多く.以前食用できたものが毒性に変わることもあり注意が必要とのことです.おいしいキノコを探しだし味わう楽しさや,様々な形や色のキノコを見る楽しさなど,キノコには独特の魅力があるのだなぁと感じた観察会となりました.

木の種類で生えるキノコが違うそう. 木の種類で生えるキノコが違うそう.
どんどん分類していく川上先生. どんどん分類していく川上先生.
キノコの分類をするために,マジックで色分けをした. キノコの分類をするために,マジックで色分けをした.
時期により食用になるもの.胞子が出る頃は食べられない 時期により食用になるもの.胞子が出る頃は食べられない
食べられそうということで、たくさん集まったチャナメツムタケ. 食べられそうということで、たくさん集まったチャナメツムタケ.
派手でわかりやすい毒キノコ. 派手でわかりやすい毒キノコ.
続々と集まるキノコと参加者. 続々と集まるキノコと参加者.
自分の採取したキノコはどの分類?興味津々でのぞき込む. 自分の採取したキノコはどの分類?興味津々でのぞき込む.
図鑑で違いなどを確認しながら説明される川上先生. 図鑑で違いなどを確認しながら説明される川上先生.
アカマジックで書かれた“死に至る”の説明に,みんなからため息がでた. アカマジックで書かれた“死に至る”の説明に,みんなからため息がでた.

【イベント報告】サツキマスの観察会

冷え込んだ朝の高原センターに,32名の参加者が集まりました.その顔ぶれは親子連れや,釣り好きの人達が多いようです.今日の講師,内藤先生は,サツキマスという魚が,昔の芸北で,どのように認識されていたのか,近縁種との分類がどのように進んだのかなど,プロジェクターを使いながら,分かりやすく丁寧にサツキマスのことを教えて下さいました.特に,北米などにも遡上するサクラマスに対し,サツキマスは世界の中でも西日本にしか生息しない固有種であるというお話しは,とても興味深いものでした.また,水中での産卵の様子を撮影したビデオでは,サツキマスの習性やアマゴとの関係などが良く分かり,撮影の苦労話なども聞かせていただきました.室内で十分にレクチャーを受けた後,いよいよ本物のサツキマスを見に行きます.出発の前に,内藤先生は,産卵を終えて死んだサツキマスの標本を見せて下さいました.
サツキマスが遡上してくるのは小さな小川です.産卵場所を覗き込むと,大きなメスが川底の砂を巻き上げていました.内藤先生によると,既に産卵を終え,卵を守っているところだそうです.前日まではたくさんの個体が泳いでいたそうで,夜の内に産卵を終えたのだろう,ということでした.それでも,川の中を注意深く見てみると,婚姻色が出て赤くなったオスも見ることができました.観察の後には,ブラックバスなど外来種との関係,ダム建設など人間との関係など,参加者からも色々な質問が出ました.日本固有種のサツキマスがこれからも暮らしていけるような環境を残していきたいと思いました.[しらかわかつのぶ]

大きな写真を使いながら解説する内藤先生.
大きな写真を使いながら解説する内藤先生.
サツキマスが産卵する瞬間.参加者からは感嘆の声が上がった.
サツキマスが産卵する瞬間.参加者からは感嘆の声が上がった.
産卵を終えて死んだ,サツキマスのメス(上)とオス(下)の標本.
産卵を終えて死んだ,サツキマスのメス(上)とオス(下)の標本.
メスの体には,モリで突かれたような傷があった.(※この時期,サケ科魚類の捕獲は禁止されています)
メスの体には,モリで突かれたような傷があった.(※この時期,サケ科魚類の捕獲は禁止されています)
現地では,色々な質問が出ていた.
現地では,色々な質問が出ていた.
産卵場所を覗き込む.
産卵場所を覗き込む.
橋の上から観察した.
橋の上から観察した.
産卵を終え,卵に砂をかけるメス.
産卵を終え,卵に砂をかけるメス.

【イベント案内】霧ヶ谷湿原の植生モニタリング 秋

前日の観察会では「寒い寒い」という声も聞かれましたが,調査の日はお日様が覗きました.今回の調査には,初めての人3人を含む7人が集まりました.まずは高原の自然館に集合し,再生事業の経過や,西中国山地自然史研究会の関わり,これまでの調査で分かったことなどを確認しました.基礎知識を共有したところで,霧ヶ谷に出発しました. 今回は,広島県が実施する遊歩道設置工事の最中なので,全員がヘルメットを被り,3斑に別れて調査地に向かいます.1m×1mの中に,どんな植物がどのくらい生育しているのか,見落としの無いように植生を調査していきました.遊歩道沿いに点々と設置された調査地には,夏の調査の際にダンポールを立てているので,簡単に見つかります.1区画の調査が終わった班は前に進み,次の調査地を調べる,という風に,追い越し・追い越されながら進んでいきました.調査地の中には,湿原生の植物が多いところもあれば,外来種ばかりのところ,種数が極端に少ないところなど,場所によって環境も植生も違うことが実感できました.お昼頃には調査を終え,調査結果の概要を報告しあいました.やはり,場所によって種組成に大きく違いがあり,外来種もたくさん見られるようでした.今後,アメリカセンダングサをはじめとする水田雑草が繁茂する場所ができるかもしれません.モニタリングを続けることが大事だと感じました.ともあれ,調査地を歩く間には,アケボノソウの群生や,たくさんのオオコオイムシも見ることができました.少しずつではありますが,ノイバラの薮だった場所が,湿原の性質を取り戻していると実感できました.

はじめに,高原の自然館で調査方法やこれまでの経緯を確認. はじめに,高原の自然館で調査方法やこれまでの経緯を確認.
再生が進む霧ヶ谷. 再生が進む霧ヶ谷.
ヘルメットを被って,いざ出発. ヘルメットを被って,いざ出発.
河川敷のような場所.湿地の植物は少ないが,種数は多い. 河川敷のような場所.湿地の植物は少ないが,種数は多い.
湿原が回復している場所.マアザミ,アブラガヤなどが生育していた. 湿原が回復している場所.マアザミ,アブラガヤなどが生育していた.
1班の調査風景. 1班の調査風景.
2班の調査風景.そして3班の様子は写していませんでした... 2班の調査風景.そして3班の様子は写していませんでした...
最後に,全員で調査結果を確認. 最後に,全員で調査結果を確認.
この日は中国新聞からも取材に来ていただきました. この日は中国新聞からも取材に来ていただきました.