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【イベント報告】ゴギの観察会(大朝)

  • 開催日時:2011年11月3日(木) 9:30
  • 講師:内藤順一

 少し雲がかかって,過ごしやすい気温の中,大朝公民館に12名の方が集合しました.今回の講師は内藤先生です.備北では,広島県の天然記念物に指定されている,ゴギの産卵の様子を見てみよう,という今回の観察会,まずは,公民館内で先生のお話を聞きました.瞳大の白い斑紋が,頭部まであるのが特徴であること,澪筋から外れた,砂礫が堆積しているところに産卵すること,河川の開発などで,産卵場所が少なくなったり,川の遡上ができなくなったりして,数が減少していることなど,色々なことを話されました.また,産卵している様子をビデオに撮影したものを上映していただきました.オスとメスが並んで泳いでいる姿や,オスがメスにすり寄って産卵を促しているところ,口を大きく開けて産卵している瞬間や,産卵後に,「舞の行動」と呼ばれる,メスが身体をくねらせながら周囲を泳いている様子などを見ることができました.お話を聞いた後は,実際にゴギを観察しに行きます.車で現場まで向かいました.川岸から覗いてみると,ゆったりと泳いでいるゴギの姿を見ることができました.体長などから,2年目の個体だということが分かりました.内藤先生は「これくらいの大きさの溜まり(?)だと4,5匹くらいは泳いでいる」と言われました.また「今年は,まだ気温があまり下がっていないから,本格的に産卵を始めるのはもう少し先になるだろう」と話されました.引き続き観察していると「小さい個体もいますね」と,白川学芸員が,観察していた場所からすこし離れた場所を指し示しました.先ほどの個体よりもかなり小さく,まだ1年目の個体だということが分かりました.今年は産卵しないためか,泳いでいる場所も,川の流れが早くなる瀬頭周辺を泳いでいました.内藤先生が「ちょっと頭上を見てください」と言われました.見上げてみると,そこには植樹されたスギがありました.「ゴギは基本的に何でも食べるが,その大部分は誤って木から水面に落ちてしまった落下昆虫などを食べている.木が伐採されると,その昆虫が落ちてこなくなる.スギやヒノキなどの植樹されたものは昆虫の幼虫が少なく,枝を横に広げていくものの方がよいので,そのような樹木を残していくのが重要だ」と話されました.参加された方々は,ゴギが泳ぐ姿を写真におさめたり,ゴギの理解を深めようと積極的に内藤先生に質問されたりしました.河川工事や,森林の伐採,別の魚の放流などにより,その個体数が減っているゴギを,守るためにはどうすればよいのか,考える機会となった観察会でした.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「ゴギがイワナの仲間だと知ったこと」「ゴギとサツキマスの産卵場所の区別がついたこと」「ゴギの生息環境が見れたこと」「山の空気はおいしい」「ゴギのオスのきれいなオレンジ色.」「ビデオの産卵の画像の説明にこもる先生の熱意」「二年目,一年目のゴギが見られた事」「尾びれの橙色がきれいだった」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「里山の自然を大切にしたい」「ゴギという魚に興味が持てた」「ゴギの状況がきびしいことがわかった.内藤先生の話しはわかりやすかった」「ゴギを見ることができて良かった」「八幡に比べてゴギが見やすかったです.」「はじめてゴギを知りました」「今後いつまでもゴギの住める場所が残る事を望んでいます」「環境を守持して命をつないでほしい」

写真

公民館でゴギについて学習する.内藤先生がどの辺りに産卵するかを黒板に書かれている.
公民館でゴギについて学習する.内藤先生がどの辺りに産卵するかを黒板に書かれている.観察場所に到着.ゴギはいるかな?
観察場所に到着.ゴギはいるかな?ゆっくりと泳ぐ2年目のゴギ.ヒレの端がきれいなオレンジ色に染まっていた.
ゆっくりと泳ぐ2年目のゴギ.ヒレの端がきれいなオレンジ色に染まっていた.川の上に張り出した樹木.観察場所からは少し離れていたが,このような樹木があることが,ゴギにとって重要.
川の上に張り出した樹木.観察場所からは少し離れていたが,このような樹木があることが,ゴギにとって重要.こちらは1年目のゴギ.流れが速くなる瀬頭を行ったり来たりしていた.
こちらは1年目のゴギ.流れが速くなる瀬頭を行ったり来たりしていた.内藤先生お手製の水中撮影機器.産卵の瞬間などを,多数撮影してきた自慢の一品.
内藤先生お手製の水中撮影機器.産卵の瞬間などを,多数撮影してきた自慢の一品.撮影機器の話しをする内藤先生.家には,これまでの試作品がたくさんあるそう.
撮影機器の話しをする内藤先生.家には,これまでの試作品がたくさんあるそう.

【イベント報告】ゴギの観察会(大朝)

曇り空の中,10名の参加者が大朝公民館に集合しました.ゴギの観察会は大朝地区では今回が初めてです.どんな観察会になるのかわくわくしながら,まずは室内で内藤先生からお話を聞きました.ゴギとは中国山地の源流に生息するイワナ類で,体に有する瞳大の白い斑紋が頭部まであるのが特長です.資料を見ながら,ゴギの発見,他のイワナ類との区別,名前の由来などのお話を聞きました.続いて,生息地域の様子や,産卵の様子をビデオに撮ってある映像を見ながら,詳しく解説していただきました.メスが産卵床を作るため,流れの淀むような場所を選び,尾びれを使って懸命に砂などを取り除いている場面があり,産卵の準備の様子が大変よくわかりました.オスとペアになってからも,産卵までに長い時間をかけるそうで,内藤先生の撮影は時には10時間にも及ぶと聞きました.そのご苦労のおかげで,産卵の映像も見ることができました.メスが産卵床に尻ビレを埋め込むようにして産卵し,オスがそれにあわせて放精します.オスが産卵を促すために何度も側に行っては離れ・・を繰り返していたのが印象的でした.メスは産卵が終わるとその周りを体をくねらせるようにして泳ぐ「舞の行動」が始まります.現地でもこの様子をみることができ,幸運でした.知識を得た後は,実際のゴギを観察にいきました.紅葉がピークを迎え,とても気持ちのいい空気の中,ゴギに出会うことができました.ゴギが生息できる環境は限られており,小渓流の中でも小さな淀みがあること,ゴギのえさとなる昆虫の棲む広葉樹の森が必要であることと教えていただきました.ゴギが生息していることは,生き物の多様性があるという証だとわかりました.参加者からの質問より,ゴギの寿命はほぼ4年であること,オスが川をパトロールしてメスを探すこと,産卵後オスは次のメスを探しにいくことなど,ゴギの生態を詳しく知ることができ,大変有意義な観察会となりました.「幻の魚ゴギ」といわれるゆえんにも触れることができました.

内藤先生のお話を資料を見ながらじっくりと聞く.
内藤先生のお話を資料を見ながらじっくりと聞く.調査中の体験や苦労話など,内藤先生ならではのエピソードもあり興味深かった.
調査中の体験や苦労話など,内藤先生ならではのエピソードもあり興味深かった.内藤先生作成の資料.種名の考察や地方名などがあげられておりおもしろい.
内藤先生作成の資料.種名の考察や地方名などがあげられておりおもしろい.「あ,おるおる!」と静かに興奮.
「あ,おるおる!」と静かに興奮.そおっと観察.肉眼でも見えるくらい近く,観察にはぴったりの場所だった.
そおっと観察.肉眼でも見えるくらい近く,観察にはぴったりの場所だった.葉の色と似ていてわかりにくいが,ペアのゴギがいる.
葉の色と似ていてわかりにくいが,ペアのゴギがいる.寄り添うようにして泳ぐオスとメス.
寄り添うようにして泳ぐオスとメス.ゴギの生息環境は小さな渓流で,小さな淀みがあるところ.
ゴギの生息環境は小さな渓流で,小さな淀みがあるところ.取材中のNHKの撮影クルーが水中カメラでゴギを撮影中.水中での様子がよくわかった.
取材中のNHKの撮影クルーが水中カメラでゴギを撮影中.水中での様子がよくわかった.最後にアンケートを実施.いつもご協力ありがとうございます.
最後にアンケートを実施.いつもご協力ありがとうございます.

【イベント報告】熊城山の植物観察会

大朝のテングシデ公園からは山頂まで道が付いている熊城山ですが,今回は予定を変更して,サクラソウの自生地に駐車して,芸北と大朝の区域界から登りました.道路沿いを歩いただけでも,ヤマボウシやハンショウヅル,フタリシズカなど,いろいろな植物が目を楽しませてくれました.登り口は,スギとヒノキの植林です.境界を進んでいったので,林床が明るくて植物が多いスギ林と,暗くて林床が空いているヒノキ林の違いが良く分かりました.少し水平に進んだ後,若い雑木林の中をまっすぐに登っていきます.ここでは,花の白いコアジサイがきれいに咲いていました.頂上に向かう前に,鞍部で昼食を取りました.鞍部からはかなり急な尾根を登っていきました.植林の中なのですが,境界の印に残したのでしょう,大きなブナが見られました.脇には実を付けたハナイカダもポツポツと見られました.山頂に近づくと,オシダがたくさんありれました.シダの松村先生に教えていただいたので,みなさん覚えたことでしょう.山頂に出ると,大朝からの道路が上がってきています.ここにはたくさんの植栽樹があり,少し異様な樹林になっています.植樹の観察はそこそこに,早々と下り始めました.下りで何度か道を迷いそうになりましたが,境界木のブナが正しい道を教えてくれました.帰りにはサクラソウの自生地も見学して,解散しました.
出発前にルートを確認.
出発前にルートを確認.
フタリシズカがたくさん咲いていた.
フタリシズカがたくさん咲いていた.
道路にせり出したヤマボウシ.今年は花付きが少ない?
道路にせり出したヤマボウシ.今年は花付きが少ない?
実になったキブシ.
実になったキブシ.
植林の中を進む.斜面上のスギ林と下部はヒノキ林で,林床が全く違っている.
植林の中を進む.斜面上のスギ林と下部はヒノキ林で,林床が全く違っている.
クマが皮を剥いだコシアブラ.
クマが皮を剥いだコシアブラ.
コアジサイの花.この山の個体は,白い花が多かった.
コアジサイの花.この山の個体は,白い花が多かった.
鞍部に登ると,また植林に出た.分水嶺で昼ご飯.
鞍部に登ると,また植林に出た.分水嶺で昼ご飯.
実を付けたハナイカダ.従って,これは雌株.
実を付けたハナイカダ.従って,これは雌株.
新芽の出たハイイヌガヤ.
新芽の出たハイイヌガヤ.
山頂近くには,大きな岩があった.
山頂近くには,大きな岩があった.
急な斜面を登った.
急な斜面を登った.
山頂で植栽の話しを聞く.どこかに行ってるのはダレですか!?
山頂で植栽の話しを聞く.どこかに行ってるのはダレですか!?

【イベント報告】寒曵山の植物観察会

朝は冷え込んで風も冷たいくらいでした.集合場所のわさーる大朝から寒曳山スキー場の駐車場へ移動し,おおまかなルートの説明があった後,20名でゲレンデ内を散策しながら登り始めました.スキーシーズン準備のためススキが刈り取られ,その他の植物も紅葉したり種になっていたりと,いつもと趣の違う観察会でした.それでもゲレンデのそこここにセンブリが咲き,それだけでみんな感激でした.センボンヤリの春の解放花と秋の閉鎖花の話では,各々が種子の話で先生に質問攻めの場面もありました.紫の濃いリンドウを見つけると我も我もと写真撮影,真っ赤なアリノトウグサも可愛らしく咲いていました.ゲレンデを終えて稜線に入ると,道が狭いために一列になってしまい,後ろの方は先生のお話が聞こえにくい場面もありましたが,コマユミ・ミヤマガマズミ・コバノガマズミの赤い実.シラヤマギク・リュウノウギク・ガンクビソウ・ツリガネニンジンなど観察できました.山頂は晴れ渡り気持ちの良い昼食時間でした.てんぐ岩まで観察し,引き返してゲレンデを再び下山.大変な急斜面をみんな必死で降りて,オオイワカガミ・キクバヤマボクチ・オケラなど見ました.まとめをして確認すると,植物約40種,動物約10種が観察されていました.ゆったりとしたペースの中,セイヨウオオマルハナバチの話や温暖化の話が出たり,ホオジロの羽の残骸から調理をする猛禽類の話など幅広い観察会でした.

寒曳山スキー場駐車場にて今日の概要説明.
寒曳山スキー場駐車場にて今日の概要説明.
本日の講師は佐久間智子先生.
本日の講師は佐久間智子先生.
いざ,登るぞ.
いざ,登るぞ.
たくさんのセンブリに感激.
たくさんのセンブリに感激.
ノウサギのフン.
ノウサギのフン.
これはイヌコウジュかヒメジソか?先生の説明を聞く.
これはイヌコウジュかヒメジソか?先生の説明を聞く.
植物を取り囲んでメモ,または撮影順番待ち.
植物を取り囲んでメモ,または撮影順番待ち.
ナギナタコウジュ.匂いがする.
ナギナタコウジュ.匂いがする.
山の上にもアメリカセンダングサ.
山の上にもアメリカセンダングサ.
陽を浴びてリンドウ開花.
陽を浴びてリンドウ開花.
先生の「これはですね〜」みんな真剣にのぞき込む.
先生の「これはですね〜」みんな真剣にのぞき込む.
猛禽に食べられたであろうホオジロの尾羽.
猛禽に食べられたであろうホオジロの尾羽.
センブリ一年生.
センブリ一年生.
イナカギク.
イナカギク.
ゲレンデもだいぶ上まで登り,木本の説明.
ゲレンデもだいぶ上まで登り,木本の説明.キブシの実.
キブシの実.
クマのフン.かなり古い.センチコガネが育っている.
クマのフン.かなり古い.センチコガネが育っている.
コマユミの実.
コマユミの実.
クリに今年のクマ棚あり.
クリに今年のクマ棚あり.
お天気もよく見晴らしの良い山頂で昼食です.
お天気もよく見晴らしの良い山頂で昼食です.
ミヤマガマズミの実.
ミヤマガマズミの実.
てんぐ岩の上から周囲を展望.
てんぐ岩の上から周囲を展望.
行きは良い良い.帰りは…かなりの斜面をジグザグに降りる.
行きは良い良い.帰りは…かなりの斜面をジグザグに降りる.
ゲレンデの横には刈り残しススキが輝いていた.
ゲレンデの横には刈り残しススキが輝いていた.
キクバヤマボクチ.
キクバヤマボクチ.
「さて,今日は何をみましたか?みんなで読み合わせしましょう.」
「さて,今日は何をみましたか?みんなで読み合わせしましょう.」

【イベント報告】畳山の植物観察会

思いがけず,好天に恵まれ,21名の参加で始まりました.今回は北広島町の自然学術調査のメンバーも加わり,それぞれの得意分野をおおいに発揮していただいて,参加者は大変勉強になりました.
瑞穂スキー場の畳コースからの登山では,駐車場横の草むら・植林の中などでオオアワガエリ・ホウチャクソウ・オオナルコユリ・フタリシズカ・ヤグルマソウ・ヒメシラスゲ・オクノカンスゲ等々が見つかり,なかなか進まないので,「先が長いので急ぎましょう」と声がかかったりもしました.トラツグミやツツドリの声も聞こえました.傾斜がかなり急で少し遅れると先生の話を聞き逃し,「今のは何?」と他の人に尋ねたり,写真も撮りたいし,聞いたこともないような植物の名前の書取などかなり忙しく 改めて名もない草花などないことを実感しました.サンヨウブシ(数少ない無毒のトリカブト)の群落もあり,オヒョウというアイヌの人が織物に使った木や,コバンノキ・ミヤマハハソなども見られました.トチノキやハクウンボク・オオバアサガラなど今まさに花の時期のものもありました.ゲレンデの中にはコナスビやミミナグサ・ジシバリなど田んぼの畦に見られるような,草刈りのしてある湿った所を好むような植物もたくさん見られました.一応三角点まで行こうということで,しばし藪こぎをして,背丈ほどもありそうなササの中を前進,少し,雨がぱらつきましたが,無事お昼ご飯となりました.みんなで集合記念写真を撮り,午後は調査と帰路に着く人に分かれました.帰りに駐車場ゲート付近でアカショウビンの声も聞こえました.山岳会の強者もいましたがハードな山道で翌日皆さんどうだったのかな?と心配された観察会でした.

駐車場横の植林地境での植生.
駐車場横の植林地境での植生.
先生の説明を真剣に聞く.
先生の説明を真剣に聞く.
サンヨウブシの群落.
サンヨウブシの群落.
コバンノキ.
コバンノキ.スキー場の建物周辺でオオタカの羽 その他鳥の羽多数.
スキー場の建物周辺でオオタカの羽 その他鳥の羽多数.
キツリフネの群落.
キツリフネの群落.
ホウチャクソウの実.
ホウチャクソウの実.
オヒョウの木.
オヒョウの木.ハンショウヅル.
ハンショウヅル.ミヤマハハソ.枝先花が付くのが特徴.
ミヤマハハソ.枝先花が付くのが特徴.ツルアジサイ.
ツルアジサイ.ヤグルマソウ.
ヤグルマソウ.
少しピンクがかったハルジオン.茎の中は空洞.
少しピンクがかったハルジオン.茎の中は空洞.
急斜面のゲレンデを登る.
急斜面のゲレンデを登る.
ヤブデマリが花盛りでした.
ヤブデマリが花盛りでした.
サワグルミ.
サワグルミ.
山際にもゲレンデ内にも見られました.アカショウマ.
山際にもゲレンデ内にも見られました.アカショウマ.
山頂付近のゲレンデ内にアカモノ発見.
山頂付近のゲレンデ内にアカモノ発見.
藪こぎ終了.やれやれ.
藪こぎ終了.やれやれ.
頑張って藪こぎして畳山三角点に登頂しました.
頑張って藪こぎして畳山三角点に登頂しました.