2月24日(火)に実施された講座について、レポートします。
広島県生物多様性人材育成講座の8回目が開催されました。第1回目の講座と同じく高原の自然館の学芸員しらかわハカセが、今回の講師です。 この講座は今回が最後の回です。改めて「生物多様性とは何か?」を学びます。
受講生11名とスタッフ2名がグループに分かれ、テーブルに着きました。 しらかわハカセのお話は「改めてもう一度、“生物多様性の正体とは?”」というフレーズで始まりました。
北広島町では全国の自治体に先駆けて、生物多様性の保全の条例が制定されています。その取り組みの独自性や内容について詳しく解説していただきました。
様々な生物が息づいていることを「生物多様性」とし、その関係性がとぎれずにつながっていることを指します。私たちのフィールドでは現在どのような状況でしょう?3つの危機を通して、そんな話題をグループでも話しました。
またしらかわハカセはたくさんの書籍を紹介されました。
県内外の生物多様性や環境に関わる書籍です。これらは「どこで何が調べられているか。住所録のようなもの。」だそうです。しかし、「この地域で何を守るのか、何を大事にするのか」が書かれている書籍はたくさんはありません。
そこで、「自分たちだったらどの本を作りたい?」というグループへの問いかけがありました。グループワークでは「豊岡の戦略がナイス。いきものだけじゃない地域のいいところが書いてある。自分の地域にも欲しい。人が大事。地元を知る事が大事。」「山菜の食べ方。動物の食べ方。山で生きる為のノウハウ。昔を知り、未来に伝えたい。」「植物の方言。地域独特の言葉が興味深い。」といった意見が出ました。
このことから、データを集め、形に残し、過去を積み重ねることは、とても需要なことである、と気づきました。
北広島町生物多様性の保全に関する条例は、町民の豊かな生活を保証することが目的で作られています。そこで、町民にとっての「豊かさ」とは何か、が大切になってきます。
しらかわハカセはそれを「生物多様性は農村の文化や行事が育んできた。ここのつながりがとぎれようとしているので、制度・経済の観点からも、社会のしくみを整え、地域のアイデンティティを再認識する」ことが、豊かさだと位置づけられました。そのことに、受講生も共感し、大きくうなづいていました。
具体例として、芸北せどやま再生事業の紹介もあり、「保全のための保全から、活用のための保全(管理)へ」という非常に重要なキーワードを学びました。
まとめでは、4つのことを示していただき、生物多様性の正体に少し近づけたような気がしました。
受講生から「画一化された都市の話を聞いて、それを実感している。商店が消えている。地元に残るものがないことを改めて感じた。」という経済的視点の感想や、「生物多様性を自分の暮らしの中に見つける事ができ、今が豊かだということを感じた。」といった発見の感想、「地元での意識の統一化の工夫は?」といったテクニックへの質問など、話題が尽きない講座となりました。
全8回の講座を通して、少しでも生物多様性について学び、伝える技術が身に付いていただければ嬉しく思います。
最後に、受講回数の規定により講座修了と認められた4名に、広島県自然環境課の村田さんより、修了証書が授与されました。
これからも、受講生たちが、この講座で培った知識・技術・意識を持って、各フィールドでのご活躍されることを祈りながら、閉講としました。