活動報告」カテゴリーアーカイブ

【活動報告】「支所カフェ〜モロッコでみたこと・かんじたこと〜」(2017.12.26)

芸北で研究をされていた大西舞さんが、大学院卒業後JICAの青年海外協力隊としてモロッコ王国に派遣され、環境教育のボランティアに2年間取り組まれ、帰国されましたので、お話を聞かせていただきました。
大西さんをよく知っている人から、はじめましての方まで、参加者14名で支所カフェはスタートしました。
異文化・「インシャーラーとマシムシュキル」「水の大切さ」という三つの視点でのお話となりました。
モロッコ王国について、気候や国民性、暮らしなど写真や質問を交えて教えていただきました。
衣食住と紹介がありましたが、一番わかりやすかったのは「衣」です。実際に大西さんが着て登場され、また参加者にも女性用のジェラバという民族衣装を貸していただきました。刺繍の美しさや、肌を隠すための長さある丈など、お話と合わせて聞くと興味が高まります。
また思った以上の気温(最高は50度!)にもびっくりでした。
JICAボランティアとは、「自分の持っている技術・知識や経験を開発途上国の人々のために生かしたい」という強い意欲を持つ20〜39歳の方が応募できるものだそうで、大西さんは「環境教育」という分野での挑戦でした。モロッコに行ってみると、色々な経由があり「子どもの障害者支援」の仕事からスタートしたそうです。苦労されたのは、言葉でのコミュニケーションで、研修で勉強をしていったフランス語ではなくアラビア語やベルベル語などを使われたそうです。
また、廃材をつかった教材の開発では、学校の先生にとても感謝されたそうで、「「舞が来てくれたおかげで多様な価値観を学んだ」という印象的なやりとりを聞きました。「ものや技術などやり方を持ち込んだのではなく、考え方が伝えられた」と聞き手の白川学芸員が高く評価していました。
また、大西さんより「インシャーラー」という言葉を教えていただきました。「神様の御心のままに」という意味で、特別なことばではなく日常的なもので、最初は魔法のような言葉だな、と感じましたが、最後に大西さんが話してくれた「モロッコに行って自分がどう変わったか?」の答えでわかりました。
イスラム教が優しい宗教だとわかり、モロッコ人の優しさや大らかさを体験で得て、「インシャーラー」「マシムシュキル」(問題ないよ)という言葉が響いたそうです。
「歓迎してくれるあたたかな人柄」といった芸北とモロッコの共通点もあったようです。
「芸北での研究がモロッコで役に立ちましたか?」という質問に対しては、「芸北の人たちのように地域に愛着をもってもらう、という方向性でボランティア活動にのぞむことができた」という答えをいただきました。
「水の大切さ」については、以前オーストラリアの報告会をしてくれた北広島町地域おこし協力隊の山口さんからも同じことを聞いた記憶があります。
世界的にみると日本は恵まれた環境にあるのだなぁと感じます。
異文化に触れ体験を聞くことで、視野が広がる時間となりました。
大西さんは、春からまたモロッコへ旅立たれるそうです。ご活躍を願っています。

【お知らせ】ハカセからのお返事(2017.12.21)

10月26日に実施した能源喫茶と、11月25日に実施した養生喫茶の会場にて、参加者よりいただいた質問に、それぞれのハカセがお返事をくださいましたので、お知らせします。

次回のハカセ喫茶は未定ですが、また2018年もみなさまにお会いできることを楽しみにしております。
ハカセ喫茶スタッフ一同)

【活動報告】2017.11.29 視察レポート

2017年11月29日(水)に受け入れた,芸北せどやま再生事業の視察に同行したのでレポートします.
芸北せどやま事業の取り組みの全容の見学を希望され,三菱総合研究所や県の職員の合計6名の方が来芸されました.
昔は山から肥料,燃料,建築材など,たくさんの恩恵を受けて生活していました.しかし今では山の木を切ってもお金にならない.山からもらっていたものが化学肥料や石油など,外部から手に入るようになったなどの理由で,放置林が増えてきています.その結果山林を維持するために,税金やボランティアといった人材が山に費やされるという,過去とは反対の現象が起きています.
その現状を変えるため,個人でも木を出しやすい仕組みを構成し,切り出された木を地域通貨で買い取り,加工販売し,山を保全しながら地域経済も活性化させようという取り組みが,芸北せどやま再生事業です.この取り組みの設立の経緯や,体制などを,スタッフより説明しました.
未来を担う地域の小学生たちが,真剣にせどやま授業に取り組んでいる姿をうつした動画では,教育の場面でも事業が活用されていることに驚いていました.
前日,庄原市の「東城木の駅」を視察されていたとのことで,木の駅で取り扱う針葉樹と,せどやまの広葉樹との扱いの違いや,地域経済の変化,芸北支所による「薪活」の取り組みについてなど,様々な質問も出て活発な意見交換となりました.
実際にせどやまの薪が使われている現場にも見学に行きました.
原油ではなく,主に薪を使って温泉を沸かしている,芸北オークガーデンの薪ボイラーや,同施設内の薪ストーブも,熱心に見学していました.薪が燃えた後の灰はどうしているのかなどの質問がありました.
昼食には芸北オークガーデンの「せどやま定食」をいただき,ほかの視察先や事例などの話で盛り上がりました.
細やかなヒアリングの時間もあり,視察は終了しました.
今回の視察で,各地の共通する課題や,視察の整理が協議できました.

【活動報告】三段峡開峡100周年記念式典レポート

2017年10月14日(土)に広島県安芸太田町にある国の特別名勝三段峡の開峡100周年を記念する,式典と講演会に参加したので報告します.
当日は気持ちよい天候に恵まれ,地域の方たちや三段峡に所縁のある人たちが大勢参加していました.中には小さな子供もおり,三段峡というものがいかに地域に愛されているか伝わってきました.
第一部の式典には,三段峡を世を広めるために尽力した熊南峰と斎藤露翠が登場する漫画「峡友」の関係者や,三段峡の今に関わっている方たちが登壇し,現在やこれからの三段峡の,観光や保全へ取り組みなどを聞くことができました.また,地元の小学生による三段峡憲章の息のあった朗読や,力強い太鼓の演奏などもあり,子供たちが担っていくであろう三段峡の希望ある未来を感じることができました.
第二部では芸北 高原の自然館の白川学芸員の基調講演と,NPO法人 三段峡-太田川流域研究会の本宮さんをコーディネーターとし,「峡友」の原作者である千田さん,三段峡でカヤック教室を行っている小林さん,黒淵周辺の観光を担っている(株)恐羅漢の社長の川本さん,白川学芸員が登壇したパネルディスカッションを聴講しました.
講演では,三段峡憲章の「三段峡は問いかける」という言葉の深みや,遊歩道の淵側にある,上に乗って転落することを防止するための石のオブジェなど,きっかけがないと気づかないこと,考えないことを知ることもでき,貴重な時間を過ごすことができました.
講演会終了後は,第三部の三段峡ツアーに参加しました.受付でもらったカラフルな名札でグループに分かれ,三段峡ガイドに案内されて三段峡を散策します.このツアーは一般的な観光ツアーではなく,「熊南峰が見た三段峡を体験する」のを目的としており,普段は歩かないような,整備された遊歩道以外の場所も多く歩きました.気をつけながら雑木林を抜けて沢へと降り,初めて目にする景色はまさに圧巻!これまでは何故熊南峰がそこまで三段峡にこだわったのかわかりませんでしたが,南峰が目にしたであろう景色を見て彼の気持ちがわかった気がします.川のせせらぎを間近に聞き,水しぶきがかかってきそうな場所で,三段峡を「見る」だけでなく,「五感で感じる」ことが出来,これこそが本来の三段峡の美しさであり素晴らしさなのだと実感しました.
今までに知らなかった三段峡を知ることができ,三段峡に関わる人たちや子供たちの情熱を感じることもできた,100周年を記念すべき1日となりました.[まえだふさ]


芸北 高原の自然館の白川学芸員による基調講演.


講演後のパネルディスカッションは思いの外盛り上がった.


このオブジェのような石は,縁の上を歩かせないという重要な役割を持つという.


遊歩道から降りて,熊南峰が見たかもしれない景色を眺めた.


間近に感じる水しぶきとせせらぎの音.三段峡の新たな一面を見つけた.

【活動報告】エコカフェ@芸北(2017.12.18)

エコカフェは「楽しもう!北広島町の生物多様性」を目的とした、誰でも参加できるトークイベントです。今年で3年目となり、町内4カ所にて実施を予定しています。
12月17日(日)に深々と雪が降り積もる芸北で、1回目のエコカフェが、「地域の食」をテーマに開催されましたので、レポートします。
遠くは島根県松江市からも参加があり、32名のみなさんと、お話とカフェを楽しみました、
今回の話し手は、大朝にある「ふぁーむbuffo」の岩崎奈穂さんと、芸北にある淨謙寺の淨謙恭子さんのお二方です。聞き手は広島大学の近藤俊明さんで、お菓子と飲み物は昭和レトロ雑貨と喫茶のお店「コルビジェ」による出張カフェで、おいしいコーヒーと緑茶、パウンドケーキ2種類をいただきました。
岩崎さんの農園の名前である「buffo」とは、イタリア語で楽しむという意味があり、農業を楽しみたいとの岩崎さんの思いから名付けた、というエピソードが披露されました。岩崎さんは大の動物好きだそうで、進学した北海道の大学で、牛にかかわる実習をしていた時に「あれ?牛のえさは輸入なんだ・・」と疑問に思ったことをきっかけに、自分で農業しようと考え、埼玉県で有機農法の勉強をし、1999年に大朝にUターンをして自然循環型の農業をスタートされました。現在は、鶏・鴨・ヤギ・犬・ねこなど約700匹の従業員に囲まれて、農場を運営されています。ここで従業員と表現したのは、ヤギは除草のため、犬は番犬、猫はエサなどを狙うネズミ対策とともに働く仲間だからという理由で、人間の従業員は岩崎さんだけ、というお話では参加者の笑いを誘っていました。鶏を平飼いし、合鴨農法で稲や鴨を育て、地域の人に卵を配達しながら、くず野菜を集めて鶏のエサにするという方法を聞く中で、農園を始める前から「鶏に人間の食べないものを食べてもらって農業をしていこう」との岩崎さんの考えも教えていただきました。
「地球上に生き物は1千種類いるが、その中で分けると生産者・消費者・分解者しかいない」と聞き手の近藤さんが相づちを打ち、参加者の興味をさらに引き出していました。

次は、淨謙寺でイタリアン精進料理を提供している淨謙恭子さんのお話です。嫁ぎ先であるお寺で精進料理をだしており、当時はカルチャーショックを受けられたそうです。
料理は「出汁も動物性のものを使わず作る」よう教えられことから話が始まり、かねてから自分の住む奥原地域で「何かできないか」と考えてた淨謙さんは、子育てが落ち着いた10年前、娘さんがきっかけで本願寺出版のイタリアン精進料理の本に出会ったそうです。
淨謙さんは、地元の野菜を使った自家製ソース・うつわ・癒しの空間の3つにこだわり、また食材を無駄にすることなく最後まで食べきることをポリシーとされています。
たとえば柚子、皮はピールや柚子胡椒に、種は種酒・最後のカスはお風呂へ入れて入浴剤としているそうです。また、野菜も、クズはお宝袋に入れて出汁をとったり、たい肥にしたりと最後まで使っています。
地元野菜を大切にして、本来なら捨てられてしまう「受粉のために育てたリンゴ」や広島在来の豆など、地域の人に作ってもらい料理を作られています。
たくさんの野菜が使われ、美しく盛られたお料理の数々に、会場のあちこちから「行ってみたいね。」「食べてみたい」という声があがっていました。
最近、お客様から「ごき(器)ねぶり」といううつわも舐りたくなるほどおいしい豆を紹介してもらったというお話もあり、食材や地域をたいせつにする淨謙さんの思いがあふれ出ていました。「精進料理は動物性を使わないことで、命の有難さに感謝するもの」近藤さんからの言葉に、大きく頷く場面も見られました。
参加者からの感想では、「淨謙寺の取り組みは、地域の者も元気が出ていて、とてもありがたい!」との言葉もありました。
最後に、主催の北広島町教育委員会の新中さんより、お二人の取り組みへの感想があり、「地域の中で資源を循環させ、地元の食材を使うことで、食から考える生物多様性保全となり、低酸素ライフスタイルを目指したい」という締めくくりで、第1回目エコカフェは閉会しました。
次回は、来年2月に実施予定とのアナウンスがありました。こちらも楽しみにしています。
(インターン:NPO法人三段峡-太田川流域研究会 本宮宏美)