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【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査(秋)

  • 開催日時:2011年9月25日(日) 9:30
  • 講師:佐久間智子・白川勝信

 秋の涼しい風が吹く中で,日差しはじりじりと暑かったのですが,気温は低く,大変過ごしやすい季節になりました.今回は秋の植生調査,ということで参加者は9名.講師は和田先生,佐久間先生,白川先生でした.はじめに調査の仕方を教えていただき,3チームに分かれて作業を行いました.
 植生調査は,湿原再生事業が行われたことで,どのような変化があったかを知るために大変重要な作業です.私は今回初めて参加させていただきました.作業の流れは,まずチームに振り分けられた担当プロット1m×1mの範囲の中でどのような植物があるかをリストアップしていきます.その後,それぞれの植物の高さ,被度(プロット内のどれくらいの割合を占めているか),群度(どのように自生しているか)をメモしていきます.ミゾソバ,マアザミ,ツリフネソウなど様々な植物が観察されました.私以外の参加者の方はみなさん植生調査の経験者だったためか,調査はスムーズに進みました.みなさん植物の名前をたくさん覚えていて,あれだ,これだ,と指していく様子はとても格好良かったです.
 今回は植生調査が大きな目的ですが,それに伴って,植物を観察しながら,「どうしてこのような名前か?」 「見分け方は?」 といった話の盛り上がりが大きかったようでした.
 全体の結果は,昨年同時期の調査とは様子が大きく変化したところが多くありました.外来種が減って,湿原性の植物が増えているところもあり,喜ばしい結果がいくつか見られました.しかし,一部では水がうまく行きわたらず,地面が乾燥していて,フランスギクの様な外来種が多く生息しているような場所もありました.「このような場所は今後考えていかなければならない.」と和田先生はおっしゃっていました.
 『再生事業が自然破壊の原因になることもある.』それを防ぐためにも,再生事業の効果を確認するためにも,植生調査は大切なものであるし,続けていかなければならないそうです.今回,実際に植生調査をしてみて,たった一年で生息している植物や周りの様子が大きく変化していることを実感するとともに,逆にまだ課題が残る場所も存在することを確認しました.今後も植生調査を通して,年々変化していく湿原の様子を記憶だけでなく記録として残し続けていきます.[しんばらゆき]

みなさんの印象に残った物

「コウガイゼキショウとアオコウガイゼキショウの区別をはっきり教えてもらって良く分かりました.」「アブラガヤが大変増していた事.」「湿地が川の流れになっているところがあり,なんらかの手を入れる必要があるかも知れない.」「植物の共生できる力と光合成のすごさ.」「変化していっていることの説明を受けて興味深かった.」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「夏に比べ秋は,結実している種が多く,種の観察等もできて良かったです.」「去年,1昨年と参観しましたが年々変化が見られて楽しかったです.また参加して変化を見たいです.」「秋の調査は初めてなので来年とくらべるのが楽しみです.」「多様な植物の戦略に感心し,自分の無知を知った.」「おもしろかったです.知らないことだらけで.」

写真

晴天のもと,みんなで出発!
晴天のもと,みんなで出発!最初の調査地点では,全員で調査方法の確認と,種の確認をした.
最初の調査地点では,全員で調査方法の確認と,種の確認をした.設置された1m × 1mの調査区(プロット).
設置された1m × 1mの調査区(プロット).遊歩道の上から覗き込む.
遊歩道の上から覗き込む.3つの斑に別れて調査開始.こちらは3斑.
3つの斑に別れて調査開始.こちらは3斑.2斑は和田先生.
2斑は和田先生.取水堰からすぐの場所は,河原のような植生になっていた.
取水堰からすぐの場所は,河原のような植生になっていた.散策をする人がやってきた時には,広い木道や枝になった部分で離合した.
散策をする人がやってきた時には,広い木道や枝になった部分で離合した.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査(夏)

  • 開催日時:2011年6月25日(土) 9:30
  • 講師:佐久間智子・白川勝信

 梅雨を吹き飛ばすような快晴のなか,14人が高原の自然館に集合しました.自然館の横手で打ち合わせをしたあと,車で霧ヶ谷湿原に向かいました.木道入り口付近にある立て看板の前で,白川学芸員より調査の仕方と,霧ヶ谷湿原がどのような方法で,やぶから湿原へと変わっていくのかを解説していただきました.その後,木道に入って調査を開始しました.最初に,湿原の中に1mに区切った場所を設けます.その区切った中を,どれくらい植物が覆っているのか,どんな種類の植物が,どのくらいの割合で,どの程度の高さまで成長しているのか,などを調べます.3班に分かれて12箇所を調査しました.日差しが強く,気温も高い中での調査でしたが,時折湿原を吹き抜ける涼やかな風が,暑さを和らげてくれました.その後,調査が終わってまとめに入り,それぞれの班が調査の報告をしました.最も多い場所では29種類の植物が記録されました.一方,水があまり行き届いてない場所では,フランスギクやハルザキヤマガラシなどの外来種が多く残っていました,どの班からも,「去年と比べて湿原生の植物が増えている」との意見が出ていました.少しずつ湿原へとその姿を変えている霧ヶ谷湿原に,参加者は,植生調査への確かな手応えを感じているようでした.[ありみつまさかず]
 
 ※西中国山地自然史研究会会員の廣森幹一さんには班長をつとめていただきました.

みなさんの印象に残った物

「湿地の植物をじっくり見たのは初めてでしたが,まだまだ知らない植物が多く楽しかったです.」「最初に参加したときと非常に草花が多くなっているのに驚きました.」「昨年度と比較し,種数が目に見えて増加したこと.」「昨年よりフランス菊が少なかった.」「活動の中で多くの植物に触れながら,鳥のさえずりなのも聞こえたこと.」「トモエソウ」「前回来させてもらった時より,種数も増え見違えた.その変化が印象深かった.」「湿地性の植物がたくさん増えて驚いた.」「霧ヶ谷湿原の様子.初めて見ました.」「種類が増えたプロットがあった.」「湿地の植物の種多様性が意外にあって興味深かった.」「みんなずいぶんと手際が良くなりました.」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「楽しく参加できたことは良かったです.」「アットホームな雰囲気で調査できてよかった.」「外来種が多い.」「わからないことばかりでしたが,グループで活動することで楽しくできたので,また来たいと感じました.」「参加してとてもよかったと思いました.」「やっぱり楽しい.」「引き続き素晴らしい湿原に変わっていくことを楽しみに,また参加したいと思います.」「また参加します.」「植物がしだいに変化しているのを感じることができました.」「湿地の植物も奥が深くておもしろかった.」「暑かったです.高原を渡る風が心地よかったでーす!」

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集合場所ではヒキガエルがお出迎え.
集合場所ではヒキガエルがお出迎え.ミゾソバが群生.この辺りは湿原に戻ってきている.
ミゾソバが群生.この辺りは湿原に戻ってきている.フランスギクの高さを計測中.足が埋まる程の高さのなので動きにくかった.
フランスギクの高さを計測中.足が埋まる程の高さのなので動きにくかった.調査終了.木陰で涼んだ.
調査終了.木陰で涼んだ.調査の前に手順の説明.調査場所の1つ.外来種であるフランスギクが目立つ.
調査の前に手順の説明.調査場所の1つ.外来種であるフランスギクが目立つ.植物の高さを計測中.
植物の高さを計測中.これは何の植物だろう?みんなで考えた.
これは何の植物だろう?みんなで考えた.小さなハンノキ(写真左下)に見守られながら調査を継続.
小さなハンノキ(写真左下)に見守られながら調査を継続.調査の結果は,冊子となって公表されている.
調査の結果は,冊子となって公表されている.水量が多い調査箇所も.
水量が多い調査箇所も.調査場所の1つ.外来種であるフランスギクが目立つ.
調査場所の1つ.外来種であるフランスギクが目立つ.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査 秋

団体での参加も含め,19人での調査になりました.講師はお馴染みの和田さん,大竹さん,佐久間さん,そして白川の4人です.現地に移動する前に,高原の自然館前で植生調査の方法について説明しました.不明な点への質問もあり,参加者のやる気が伺えました.現地では,はじめにパネルを使って,自然再生事業の概要について説明しました.各班で調査道具を持ち,夏の調査記録を分配しました.この記録に従って,調査地へと移動していきます.霧ヶ谷湿原の木道には番号が振ってあるので,簡単に場所を特定できます.今回は初めて参加される方が多かったのですが,各班とも順調に進みました.調査区が進につれて,植物の名前だけでなく「被度」や「郡度」などの評価も参加者の方自身でされるようになり,手際が良くなっていきました.しかし,慣れた頃には予定していた地点の調査を終えてしまいました.早く終わった斑は,それぞれの斑の講師に連れられて植物観察をして,ツリフネソウやアキグミの実を見つけたようです.すべての斑が調査を終えて戻ってきたところで,和田さんから,八幡湿原自然再生事業のきっかけとなった,自然史研究会による実験について説明していただきました.最後に,各班の状況を紹介していただき,感想を言い合いました.「わずか1平方メートルの中に,たくさんの植物があって驚いた」という方が多かったようです.また,講師の佐久間さんからは,夏の調査時とずいぶん植物が変わったという指摘がありました.大人数の調査でしたが,木道があるおかげで,湿原を傷めずに植生調査を体験できました.

夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
各班に別れて調査を進める.
各班に別れて調査を進める.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.小さな植物も見逃さないようによーく観察.
小さな植物も見逃さないようによーく観察.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.

【イベント報告】霧ヶ谷の植生調査 夏

昨年度に自然再生工事が完了した霧ヶ谷湿原で,工事直後の状態を調べるための植生調査を行いました.昨年にも,木道設置予定ルートに沿って調査をしましたが,木道設置工事のために重機が動いた影響が見られるため,今回の調査を「工事完了直後の調査」と位置付け,今後続けられるモニタリングの基礎データとすることにしました. 参加者9人が3つの斑に別れて,調査を進めていきました.今回は,大竹邦暁さん,佐久間智子さん,白川の3人が班長です.1m×1mの調査枠を設置し,枠の中に生えている植物を全て記録するとともに,種ごとに被度(どのくらい覆っているか)・郡度(どのくらいまとまって生えているか)・高さを記録し,写真を撮影しました. 同じように重機の影響を受けているように見えても,プロットごとに生えている植物の種類や繁茂状況は少しずつ異なっていたようです.多くの調査区で見られたのがミゾソバとイでした.また,アメリカセンダングサやフランスギクなど,外来種が多く生育する調査区もありました.一方で,外来種がほとんど見られない場所もあり,工事直後にも多様な植物群落が見られることが分かりました. 調査の後,調査をしながら感じたことを話し合いました.昨年は広く繁茂していた外来種が少なかったこと,水の流れが変わった場所があったことなどが感想として上がりました.雨の心配をしていましたが,ほとんど降られずに,12プロットの調査を1時間30分ほどで終えることができました.今後は,もう重機が入ることは無いはずです.今日の結果をもとに,静かに霧ヶ谷湿原の変化を見守って行きましょう.

赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる. 赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる.
3斑に別れて調査を進めた. 3斑に別れて調査を進めた.
小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす. 小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす.
植物の高さを測る. 植物の高さを測る.
最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した. 最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した.
プロット1(木道No.118番付近) プロット1(木道No.118番付近)
プロット2 プロット2
プロット3(木道No.107番付近) プロット3(木道No.107番付近)
プロット4(木道No.96番付近) プロット4(木道No.96番付近)
プロット5(木道No.86番付近) プロット5(木道No.86番付近)
プロット6(木道No.82番付近) プロット6(木道No.82番付近)
プロット7(木道No.77番付近) プロット7(木道No.77番付近)
プロット8(木道No.71番付近) プロット8(木道No.71番付近)
プロット9(木道No.68番付近) プロット9(木道No.68番付近)
プロット10(木道No.63番付近) プロット10(木道No.63番付近)
プロット11(木道No.47番付近) プロット11(木道No.47番付近)プロット12(木道No.51番付近)

プロット12(木道No.51番付近)

【イベント報告】自然再生勉強会

2007年から始まった広島県による自然再生事業の工事が完了しました.この機会に自然再生事業の全容や現地の様子,湿原の動植物についての勉強会を開催しました.47名の参加者のみなさんと,高原の自然館を出発し,水口谷湿原を通り,一旦道路にでて霧ヶ谷湿原のオープニングセレモニーに参加し,霧ヶ谷湿原の木道を歩くというコースで歩きました.昆虫担当の岩見先生は,湿地になっているところや,水路にザルをいれ,水中にすむいきものを紹介してくださいました.中でもサナエトンボとオニヤンマのヤゴが印象的でした.両生類・魚類担当の内藤先生からは,カスミサンショウウオの卵塊やヤマアカガエルのオタマジャクシを教えていただいたり,シマヘビやジムグリの赤ちゃんをつかまえ,生態を教えていただきました.ヘビにさわっているときの子どもたちの瞳は真剣で.きらきらと輝いていました.動物担当の上野先生からは,湿原の上を飛ぶハイタカを教えていただきました.植物担当の暮町先生,佐久間先生,和田先生からは,歩きながら見ることのできた,植物の名前や生態を教えていただきました.高原の自然館の白川学芸員は,工事による場所の変化やいきものの生息の変化など,自然再生事業全体のお話や,湿原の成り立ちやそこにすむいきものの生態など多くのことを説明しました.途中に雨が降り,大変寒い中での勉強会となりましたが,それぞれの専門の先生から.興味深いお話が聞けたり,寒い中だからこそ春を感じることができたりと,湿原の恵みを大いに体感しました.途中で参加したオープニングセレモニーでは,霧ヶ谷湿原の入り口のテープカットも行われ,完成した喜びをみんなで分かち合いました.様々な方に楽しんでもらえる場所,さらには湿原や自然について考えたり感じたりできる場所であり続けるよう,みんなで知恵と力を出し合い.この霧ヶ谷湿原を見守っていきたいと願います.

水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった. 水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった.
ハンカイソウのつぼみが少しだけ. ハンカイソウのつぼみが少しだけ.
ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった. ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった.
細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した. 細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した.
カスミサンショウウオの卵塊を発見. カスミサンショウウオの卵塊を発見.
霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった. 霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった.
オープニングセレモニー会場に着くと,あたたかい甘酒が迎えてくれた.かりお茶屋にて販売中. オープニングセレモニー会場に着くと,あたたかい甘酒が迎えてくれた.かりお茶屋にて販売中.
霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった. 霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった.
霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ. 霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ.
はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!? はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!?
岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生. 岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生.
まだ動きの鈍いカナヘビ. まだ動きの鈍いカナヘビ.
主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中. 主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中.
水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ. 水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ.
ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ. ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ.
丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ. 丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ.