- 開催日時:2012年12月1日(土) 13:30
- 講師:斎藤隆登
八幡高原では,木が葉を落とし,いつ雪景色になってもおかしくない時期です.この日も白いものが舞っていました.それでも,8名が参加して,樹木の観察会が実施されました.
野外で観察をする前に,高原の自然館内で,齋藤先生に「冬の樹木の見方」を教えて頂きました.樹木を見る際に,夏であれば葉や花を頼りにしますが,冬には皮目や,冬芽,枝振りなどがヒントになります.冬の観察では,夏とは少し違った視点が必要で,難易度が高いようにも思えます.しかし,皮目・冬芽・枝振りなどは,夏にも見ることができるので,実は,冬に樹木を見ておくことで,夏の観察も,より楽しくできることになります.そんな話しを,実物の枝や資料を見ながら聞かせて頂きました.特に,斉藤先生が配布してくださった,自筆の線画が101種掲載されている「広島県産落葉樹木冬芽図譜」は,広島県内に生育する樹木のスケッチが載っており,みなさんに好評でした.
室内で講義を聴いた後,おーいの丘まで歩きながら観察をしました.ツノハシバミ,ヤマザクラ,コマユミ,ウワミズザクラ,クリ,ヤマボウシ,コナラ,ミズナラ,クロモジ,ヌルデなど,どれも身近な植物ですが,冬の姿を観察することで,新たな一面が見えてきます.ヌルデは葉の主軸が冬芽を包んでいること,クロモジの冬芽は花を付けるものと葉だけのもので形が違うことなど,冬だからこそ見えてくる特徴があることに気付きました.
冷え込みが厳しく,外を歩いたのはわずかな時間でしたが,室内の講義があったおかげで「どのような部分に着目すれば良いのか」を気にしながら観察することができました.植物観察の楽しみが広がった観察会でした.[しらかわかつのぶ]
みなさんの印象に残った物
「ウワミズザクラの芽」「冬芽をじっくり見ればひとつひとつ特長があり面白いです.雪山に登る際に楽しみが増えました」「花芽と葉痕とのあとが見られたので良かった」「ふだん気づかない所も細かく観察でき,検索の手助けになります」「木々がしっかり冬芽をつけ来春を迎える準備をしていたこと」
参加したみなさんの感想(抜粋)
「天候が少しきびしかったが,とても参考になりました.説明がよくわかりました」「寒かった〜」「はじめて冬芽の観察会に参加しました」「先生はよく観察されていると思いました」「小雪の中で寒い日ではあったけど,大変楽しく冬芽の観察が出来よかったです」
写真
斉藤先生から図鑑などを見ながら,「どこに着目するのか」という話しがあった.
実物の枝と,先生自筆の図版を見ながらお話しを聞いた.
小さい冬芽はルーペで観察.
じっくり観察.
屋内の講義の後は,観察のため,外に出た.
ここでもルーペが登場.
並んで生えている木を比べながら観察した.
たくさんの冬芽を付けたクロモジ.
クリの冬芽は,クリの実のように三角形.
ヌルデの芽鱗痕を観察中.
帰ってきた頃には,青空の下に,雪を頂いた苅尾山が見えた.