【報告】自然と地域の関わりを考えたい 大学生のためのスタディーツアーin芸北

2024年9月13日・14日に受け入れをしました。
このツアーは、学生団体の「緋熊と黒潮」(通称:くましお)が運営するもので、北海道から福岡まで全国の大学から16名の大学生が2泊3日で実施され、その中の2日間を西中国山地自然史研究会が担当しました。
募集要項には「開催地となる広島県北広島町は、中国山地のふもと、広島県と島根県の県境に位置します。地域経済の活性化と環境保全を両立する「芸北せどやま事業」や、自治体による生物多様性地域戦略の策定などの取り組みが高く評価されています」という案内が掲載され、それを体験したい、学びたいという大学生が集まってくれたようです。
最初に、原さん(北広島町環境生活課)の案内で、おーいの丘、高原の自然館、霧ヶ谷湿原にてフィールドワークを行いました。土砂降りに遭い、濡れながらも八幡の自然や環境に触れていただきました。
その後、山麓庵で、学生も受け入れ側も自己紹介をします。
大学生たちの学んでいる分野は「プログラミング」「建築」「化学」「農業と観光」「都市と農村のデザイン」「地学・地理」「ライフサイクルマネジメント」「まちづくり」「グリーンインフラ」「雪崩と森林」「昆虫の行動」「理科教育」「世界遺産学」「ブナ林の回復」「景観と郷土愛」など多岐にわたって、これを聞くだけでもわくわくしました。
今回の芸北での滞在で期待していることとしては、「現代での自然資源の活用法」「里山の復興や持続性」「自然と人間の共生」「この場所のファンに会う」「湿原の生態系の復元」などがあげられてました。特に、「オオサンショウウオに会いたい」というリクエストの多さにびっくりし、その人気の高さは活動のヒントになるなぁと感じました。
こちらからは、原さん、上野理事長、スタッフ河野も自己紹介をしました。
どんなメンバーで二日間すごすのか共有したところで、原さんより北広島町の自然と環境の取り組みのレクチャーがありました。
生物多様性条例やカーボンニュートラル宣言、森林ビジョンなど北広島町の取り組みを広く紹介いただきました。
芸北での1日目は、周囲の自然環境を体験し、自治体としての取り組みを知ってもらうところで終了しました。
芸北での2日目は、芸北支所会議室からスタートしました。
受け入れメンバーが少し代わり、上野理事長・スタッフ河野に加え、スタッフ八木・山岸専門員、芸北出身大学生の河野小雪さんの5名です。
西中国山地自然史研究会の取り組みの紹介、具体的な事例として「芸北せどやま再生事業」「芸北茅プロジェクト」をスタッフ八木から説明しました。
また、専門員の役割紹介を山岸専門員(昆虫分野)が担当し、生物多様性の保全(資源の利用と循環・観光・教育・景観の保全・暮らしの豊かさ)の根拠や土台となる自然史研究を専門員が中心となって行っている、という紹介がとてもよかったです。
そして、せどやま教室や茅プロジェクトの一期生となる河野小雪さんからは、授業で学んだことの紹介がありました。小中学生だった当時の思い、そして現在振り返ってみると感じたことが等身大の言葉で紹介され、参加の大学生にも響いたようです。
座学が終わると、芸北オークガーデンにて、食事をしました。ゆっくり話せる機会で、大学で学んでいること、これからのことなど対話することができました。本気で里山の再生や地域の魅力づくりに取り組む姿、そしてその原点となる出来事などを聞くと、これからの社会で活躍する世代に期待が高まりました。
せどやま市場では、担当スタッフの曽根田が案内役となりました。「価格変動などがある中、なぜ買取額をずっと一定にしているのか?」という質問に対して「木を集めるために必要なことだし、NPOがやっているという意味がそこにあるから」という回答がありました。この言葉が一番印象に残った、という大学生もいたようです。
一通りの見学が終わると、会議室に戻り、二手にわかれて座談会となりました。最終日に、①芸北の里山の現状を踏まえた上で予想される未来と芸北の里山の理想的な未来について考える②二つの未来を比べて、そのギャップを埋めるためにしなければいけないこと、できることを施策を発表する、という時間があるそうなので、その材料になる疑問や質問を座談会形式で1時間ほど話しました。
最終日の発表は、大学生だけで行なったようですが、後日動画や成果物を見せていただきました体験したことや、自分たちの経験やアイデアを盛り込んだものとなっており、もっと深掘りして聞いてみたいなという感想を持ちました。
二日間という短い期間でしたが、芸北での取り組みや、活動を実際のプレイヤーを交えて紹介、そして交流できたことは、私たちにとっても大きな学びでした。
里山の課題はたくさんありますが、このようにフォールドワークや対話を通じて、専門的な視点、多様なアイデアを出してもらい、実践者を育てていく取り組みにも力をいれたいと思います。
今回、くましおの事務局を担う大朝出身の大学生掘田まる美さんの企画でしたが、「私の仲間たちに地元を紹介したい!」という情熱で実現したスタディツアーです。「郷土愛」というテーマをこれからもしっかり追いかけてほしいです。