活動報告」カテゴリーアーカイブ

令和3年度野生生物保護功労者表彰記念講演会を開催しました(2021.5.31)

当会の副理事長でもある、上野吉雄博士が令和3年度野生生物保護功労者表彰(林野庁長官感謝状)を受けたことを記念し、本日5月30日の15時より、上野博士によるウェブでの講演会を実施しました。
22名に参加いただいた「西中国山地の生物多様性保全に向けた地域での取り組み」というタイトルで行われたウェブ講演会。主に「八幡湿原」「ブッポウソウ」「ゴマシジミ」について、上野博士が今までに芸北地域で実施した保全活動と現在の状況、そして目標とする「これから」を約40分にわたってお話いただきました。
八幡湿原にはイワミサンショウウオやスナヤツメ、カラフトゴマトビケラなど希少性の高い、生きものが数多く生息していること、日本では珍しくなったブッポウソウは、保全活動の成果で北広島町(特に芸北地域)では良く目にすることが出来るようになったこと、草原性のチョウであるゴマシジミは、近隣の生息地である雲月山、深入山ともに多くて20個体しか生息していないことなど、様々な環境での希少生物の話を聞き、上野博士の行って来た保全活動の大変さや重要さを認識できました。
また、今年で高原の自然館は開館して20周年だということも紹介いただきました。
「八幡湿原をラムサール条約に登録したい」「北広島町のブッポウソウの数を増やし、町の鳥にする」「ゴマシジミの生息数を増やす」という大きな目標の表明で、講演は締めくくられました。
ともに、普及や保全活動を進めてきた高原の自然館の白川学芸員からは、「上野博士は、生き物の変化をつぶさに観察されている。またその変化を見逃さず、草原、湿原など環境の保全を自ら先頭にたち進めておられ、尊敬している。今回の表彰は大変喜ばしいこと。」とコメントがありました。
講演後には、白川学芸員の呼びかけで拍手を送りました。今後も、西中国山地自然史研究会では、上野博士とともに、地域での生物多様性保全に向けて取り組みを進めていきたいと思います。

【活動報告】支所カフェVol.15「八甲田山の空、六ヶ所村の湖」(2021.4.8)

2021年4月8日に支所カフェを開催したので、レポートします。
聞き手は浄謙寺の浄謙恵照さん。
北広島町各地から9名のみなさんが集まってくださいました。
三次からもおひとり。全部で13名での支所カフェとなりました。
今回は、高原の自然館の学芸員 白川 勝信さんによる、青森県を訪れたお話です。
参加者に振る舞われたのは「なかよし」というお菓子。チーズ×いかのやみつきになるうまい味でした。
スライドでは青森を代表する「ねぶた」と「奥入瀬渓谷」の紹介も。
黒々とした玄武岩、所々の氷瀑(ひょうばく)の様子もダイナミック!
そして「天は我々を見放した」という悲劇の言葉も残されている八甲田山のお話。
お天気に恵まれた雪山登山。とても青空が美しく、なかなか見ることのできないエビフライやモンスターと名付けられた樹氷の写真や急斜面をそりですべる動画があり、リアルな現地の様子が伝わってきました。
また、同行したご友人山本さんの、ユニークなガイドの様子も興味深く、グッズや食べ物など、わくわくするような紹介が続きました。
ここで休憩に入り、

QQGLOVE

を実際に手にはめてみました。

「役場の公用車などに備えるのもいいかもー」という声もありました。実現してほしいです。
そして、六ヶ所村のお話。
「水と緑と、風と科学と」という観光向けキャッチフレーズからもわかるように、原子力風力発電、太陽光発電、天然ガスのコジェネなどあらゆる発電施設があるようです。
芸北とほぼ同じ面積の村ですが、人口は1万人とケタが違います。
前情報なしに訪れたという六ケ所原燃PRセンター。
ここは原子燃料サイクル施設を紹介する施設。
白川さんからは、見学の様子とともに、「原発の是非ではなく、見方を変えて話したい」という前提で「ごみ」の話題となりました。
ごみは自分たちがいらないもの、ですが、施設見学を通じて「いらないものはどこに行っているのか?」ということを考えさせられたそうです。
看板が写った一枚の写真からは、村内には一般の人が入れない場所、使えない場所があり、ここからうかがえることは、スタンダードな暮らしってなんだろう?という正解がないであろう問いかけもありました。
「引き受けること」というキーワードから、国内唯一の射爆場の飛行機の爆音映像もありました。
「私たちの安全な暮らしには、誰かが何かを引き受けている」ということがわかる旅で、「僕たちの暮らしはだれかのくらしにつながっている」と話題が締められました。
聞き手からは、「六ヶ所村はけったいな村だという印象だったが、自己責任という言葉が思い浮かんだ」「自分たちの地域が引き受けていたらこういう暮らし、ということがイメージできた。他人事ではない」という感想もありました。
参加したみなさんも、青森県の魅力、そして違った一面を感じ、少しモヤモヤも残ったカフェになったかもしれません。
  

【活動報告】芸北トレッキングガイドの会ミーティング(2021.4.6)

2021年4月5日(月)に、芸北トレッキングガイドの会の会議に参加したので報告します。
内容は、2020年度の振り返りと、2021年度の予定決めです。
今年も湿原や雲月山トレッキングのガイドの予約がすでに何件も入っていました。
「湿原は行けるけど、雲月山は体力的にちょっと難しい・・」というメンバーが増えてきましたので、体力のあるガイドさん、絶賛募集中!!となりました。
続いて、高原の自然館の白川学芸員が、青森県を訪れた際に、素晴らしいガイドである山本さんに出会ったことに関して、情報共有がありました。
小さなグループでのプラベートガイドという位置づけでの話題です。
・安心なガイド
・道具を配って使わせてくれる
・食べ物の紹介
・自分の興味の延長線
・「青森」をガイドする
というキーワードで、具体的なエピソードの紹介がありました。
雪の八甲田山という極めて特別感のある場所で、なかなか見ることのできない光景の写真からも、その面白さが伝わってきました。
「爆裂噴火口をはじめ、地質や地形の話はおもしろい」「○○にいくなら、××を見るといいよーという案内」「いい写真をたくさん撮ってもらえて楽しい」「名産ほどでもないけれど、地元の気軽に手に入るけど珍しい食べ物が嬉しかった」などなど、私たち芸北トレッキングガイドにも真似できるヒントがたくさんありました。
また、  という手袋の手の甲側に心肺蘇生法の手順やコツが表示されているアイテムの紹介もあり、AEDだけではない備えができることも新たな収穫でした。
「ガイドは技術だけでなく、人柄もある。この人に会いたいと思わせるガイドになりたい」といった参加ガイドの感想もありました。
5月から予約も入り、芸北トレッキングガイドはスタートします。
西中国山地自然史研究会では、ガイド養成を担当していますので、養成講座や情報提供をしっかり実施していきたいと思います。

【活動報告】キャリア朝会「教えてセンパイ」VOL.25(2021.1.26)

西中国山地自然史研究会は、芸北分校生徒会活動の一端をサポートをさせていただいています。
今年度7回目開催となった1月26日(火)のキャリア朝礼に同行しましたので、報告します。
今回のセンパイは八幡出身で美和在住の池田千恵美さんです。
芸北分校の卒業生でもある池田さんは、急なお願いにも関わらず、とてもユニークなキャリアのロードマップを資料として準備してくださいました。
それをみながら、その背景にある想いや、時々の決断に関わるメッセージを伝えていただきました。
芸北分校で生徒会長を務めたエピソード、銀行での1円の処理作業に困ったこと、会社員を経験したからこそ身についた技術など、経験に基づいているメッセージが強く伝わってきました。
・「どうせ」ではなく「せっかく」芸分に来たんだから「せっかく」と言う言葉で過ごしなさいという印象に残った芸北分校入学時の祝辞(のちほど聞くところによると当時教育長であった水野尚志氏の祝辞だったそう)
・みなさんの背中には、自由な羽がある。軌道修正しながらトライしてほしい
・背中を押してくれる仲間がいることが力になっている
・高校2年生の時に出会ったことば「夢を夢のままにせず、その夢に向かって努力する事が生きる事だ!」 を大切にしている
印刷会社、大手銀行というキャリアを経て、現在は畑生活(農業)をしている池田さん。オンラインでデザインの勉強もこなしながら、3つのアルバイトもかけもちしながら、「楽しいなって思いながら過ごす人生」を過ごされています。すごい!
カラフルな自作のジャム(商品です)も見せてくださいました。
生徒からは、「マイナス面の意見を言う仲間がいたらどう接するか」「自分も将来果樹園で働いきたいと考えているが、池田さんはどんな果樹を栽培しているのか」という2つの質問が出ました。
「仲間から言葉を引き出し深いところまで聞くことを大切にしている」「新しい果樹にも挑戦していているところ。DOHOスタイルという農業の技術も学んでいる」という回答がありました。
自分の流儀を持ちながらも、仲間や家族を大切にしている池田さんの畑づくりや商品にとても興味がわきました。
畑の見学はウエルカムだそうです。
池田さんの活動や商品についてはこちらから
屋号: Monpe du Rita
※ジャムやピクルス、絶品です。

NPO法人西中国山地自然史研究会は、今年度もキャリア朝礼に関わらせていただきました。次年度も!というお声がけを担当の先生からいただきましたので、引き続きコーディネートしていければと思います。ご協力くださったみなさん、本当にありがとうございました。



【活動報告】キャリア朝会「教えてセンパイ」VOL.24(2020.12.1)

西中国山地自然史研究会は、芸北分校生徒会活動の一端をサポートをさせていただいています。
今年度6回目開催となった12月1日(火)のキャリア朝礼に同行しましたので、報告します。
今回のセンパイは千代田在住の作業療法士雪田和也さんです。
雪田さんは千代田中学校、高陽高校を経て、リハビリテーションカレッジ島根で学び、作業療法士として豊平病院に勤務ののち、現在は雄鹿原診療所の作業療法士として勤められています。
白バイに乗りたかったという夢もあったそうですが、作業療法士という道を選び、専門学校時に実習の中で出会った方に「自分のことを知らないと患者さんのことを理解できない」ということから自分史を作ったエピソードがとても印象に残りました。
理学療法士は運動機能の回復のスペシャリストであるのに対して、作業療法士は日常生活をスムーズに送るためのリハビリテーションを行う生活支援のスペシャリストだそうです。
診療所内でリハビリをすることもあれば、患者さんのお宅を訪問し、その場でリハビリをすることも多く、「相手がどんな人か」ということがとても重要で、「相手を知るために自分を知る」という意識が役に立っているそうです。医療現場で働くことを目指す生徒も多く、雪田さんの経験や意識していることに興味が集まったようでした。
「仕事をしていて印象に残ったことは?」という質問には「手が上がりにくくなった高齢者から、リハビリをうけて料理ができるようになったよ、という言葉を聞いたこと」という回答がありました。
仕事の内容や、雪田さんのキャリアを形成する考え方を聞かせていただき、作業療法士は、高齢者をはじめ、暮らしに不安を抱いている人に寄り添うことができる、患者やその家族、ひいては地域にとっても大切な存在だなぁと改めて感じました。