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【イベント報告】霧ヶ谷湿原 夏のいきもの観察会

前日からの雨があがらず,降ったり止んだりの中で,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会が行われました.参加者は12名です.今回の講師は,植物担当の和田先生と昆虫担当の岩見先生です.自然館を出発し,水口谷湿原を通り,霧ヶ谷湿原へ向いました.カラコギカエデがたくさん実をつけており,和田先生からカラコギカエデの実について教えていただきました.手にとって飛ばしてみると,実にはプロペラ状の翼があるので,風にのってくるくると舞うようにして落ちました.これが種が遠くまで飛ばされる秘密のようです.木道ではハンカイソウやチダケサシ,トモエソウ,ホソバヨツバムグラ,コバギボウシ,オカトラノオ,ヒヨドリバナ,オトギリソウ,など,花を咲かせた植物をたくさん見ることができました.また,雨の中でも飛んでいたルリシジミやアサヒナカワトンボの姿も見ることができました.水辺では,トビケラの幼虫やヤゴを観察しました.トビケラは種類によって巣の素材が異なり,小石で作ったもの,枯れ葉でつくったものといろいろ観察できました.水中で移動している姿をみつけ,びっくりしました.他にもしっぽが3つのモンカゲロウの幼虫や,「ちょろ」と呼ばれるヒラタカゲロウの仲間の幼虫,ススキの葉を巻き巣にしているカバキコマチグモ,ハートマーク模様のエサキモンキツノカメムシなど,様々ないきものの姿を見て,名前やどんなくらしをしているのかをじっくり教えていただきました.霧ヶ谷湿原の木道を歩いていると,モリアオガエルもいました.イカルやホオジロの鳴き声も聞こえます.数時間歩いてみただけでも,湿地性の植物や動物を確認することができ,霧ヶ谷湿原が工事によって湿原化し,もとの湿原の姿を取り戻しているんだなぁと実感しとてもうれしかったです.生物の多様性が問われる現在ですが,私たちの身近にある自然から学ぶことは多く,こういった場所を大切にすることが重要なんだなと再確認しました.得るものが多く,とっても楽しい観察会でした.

自然館に集合して,元気に出発! 自然館に集合して,元気に出発!カラコギカエデの実をとばしてみよう!

カラコギカエデの実をとばしてみよう!和田先生がお手本を.

和田先生がお手本を.岩見先生も .「こうやって遠くまで種が散布されるんだね,ふむふむ.」 岩見先生も .

「こうやって遠くまで種が散布されるんだね,ふむふむ.」
岩見先生の秘策でヤマカガシの観察.毒を持つヘビなので注意が必要. 岩見先生の秘策でヤマカガシの観察.毒を持つヘビなので注意が必要.
「ヘビのしっぽはどこからか」の説明をする内藤先生.ウロコの数がヒントのよう.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘビのしっぽはどこからか」の説明をする内藤先生.ウロコの数がヒントのよう.
木の上にホオジロを発見.双眼鏡で観察する. 木の上にホオジロを発見.双眼鏡で観察する.土を掘り起こした跡があった.「イノシシのしわざでしょう」と上野先生.

土を掘り起こした跡があった.「イノシシのしわざでしょう」と上野先生.
きれいな花だ〜と近寄ってみると,外来種のワルナスビ. きれいな花だ〜と近寄ってみると,外来種のワルナスビ.
ススキの葉になにかあるぞ?近寄ってみると・・ススキの葉になにかあるぞ?近寄ってみると・・
葉を折り曲げて作った巣が!巣主のカバキコマチグモがいた. 葉を折り曲げて作った巣が!巣主のカバキコマチグモがいた.
近くにオスもいた. 近くにオスもいた.
原始的な顔つきだね,と話題になったカワゲラの成虫. 原始的な顔つきだね,と話題になったカワゲラの成虫.サナエトンボのヤゴかな?

サナエトンボのヤゴかな?水の中をザルですくって,中を見てみると・・

水の中をザルですくって,中を見てみると・・湿原の中でひときわ目を惹くハンカイソウ.

湿原の中でひときわ目を惹くハンカイソウ.オカトラノオがたくさん咲いていた.

オカトラノオがたくさん咲いていた.

岩見先生,おすすめのオトシブミの図鑑. 岩見先生,おすすめのオトシブミの図鑑.この場所にはどんないきものが住んでいるのかな?楽しみ〜.

この場所にはどんないきものが住んでいるのかな?楽しみ〜.ノハナショウブの姿も見える.紫の花弁の中の黄色いすじが特長だそう.

ノハナショウブの姿も見える.紫の花弁の中の黄色いすじが特長だそう.

【イベント報告】ブッポウソウの観察会

梅雨の真っ只中で天候も悪く,参加者があるのだろうかと思いながら,受付を開始しました.13名の参加があり,またブッポウソウの飛翔も観察でき,まずまずの観察会でした. 今年3月6日に研究会で暮町先生の指導により,ブッポウソウ用の巣箱を10個製作し,4月3日に芸北地区の電柱に巣箱を架けました.しかし,今年の入巣がなく,今回の観察会は数年前に架けられた別の場所の巣箱に営巣しているブッポウソウを観察することにしました. 靄(もや)が出て視界が悪いという天候が幸いしたのか,巣箱周辺を飛翔するブッポウソウ(♂)を観察することができましたが,逆に構造色である濃青緑色や白い斑紋・朱色の嘴(くちばし)は今一歩でした. 観察を終え,文化ホールでブッポウソウの生態や食性について説明がありました. まず,巣箱をかけるようになった経緯を上野先生が説明されました.それによると,以前は電柱が木製であったが,コンクリート柱に取り替えられるにしたがって営巣が少なくなり,それらを補完するために中国電力やNTTなどの支援により,巣箱の設置が推奨されたということです.ブッポウソウは東南アジアから「夏鳥」として日本に渡る希少種で,環境省の絶滅危惧Ⅱ類,広島県の絶滅危惧Ⅰ類に選定されており,県内では約150ペアと推測され,個体数の少ない種であるが,中部以北では県当たり数ペアと少なく,中国地方は比較的観察しやすいという説明がありました.ヒトに依存した繁殖場所が,ヒトによって改変され,保護すべき野鳥であることの説明でした. 県内では,三次市吉舎地区や作木地区でもその取り組みがあることが紹介され,また温井ダム周辺での巣箱架けの説明もありました.温井ダム周辺では,警報灯に巣箱が取り付けられ,繁殖期の生態や雛の成長の様子が図版を使って説明されました.ブッポウソウは巣材を運ばない野鳥なので,巣箱の底には大鋸屑を敷き,卵が転がらないようにされたそうです.餌はコガネムシ類が主なもので,薄明薄慕の時間帯に活発になり,約30秒~1分の間隔で,雛に餌を運んだ観察例を紹介されました.また,胃内容物から,プラスチツク・貝殻・プルトップなどが確認され,それらが臼としての役割についても説明されました.主食がコガネムシ類であることから,比較的標高の低い地域に営巣し,コガネムシが活動する日没後に活動する夜行性であることも納得できました.昼間はトンボ類やセミ類を捕食し,夜間にコガネムシ類を捕食するそうです. また,暮町先生からはブッポウソウの鳴声について説明がありました.特に「声のブッポウソウ」と呼ばれるコノハズクと間違われていることの説明でした.また巣箱の入り口が80mmであること,ヤマガラやシジュウガラは27mm,スズメは30mmであることなどの生態的説明があり,古木が不足している現状では「巣箱架け」は必要な行為であることが説明されました.最後に,今回の観察会により営巣場所がわかり,日を改めて観察することにより,子育てや雛の巣立ちが観察できることを知り,野鳥保護にも興味・関心が高まりました.

フィールドスコープを使って,観察開始. フィールドスコープを使って,観察開始.約50メートルまで接近できた.

約50メートルまで接近できた.雨が降る中,ブッポウソウの濃紺色は確認できなかったが,思ったより近くで見ることができよかった! 雨が降る中,

ブッポウソウの濃紺色は確認できなかったが,思ったより近くで見ることができよかった!文化ホールにもどり,上野先生,暮町先生から,資料を見ての説明があった.

文化ホールにもどり,上野先生,暮町先生から,資料を見ての説明があった.

【イベント報告】霧ヶ谷の植生調査 夏

昨年度に自然再生工事が完了した霧ヶ谷湿原で,工事直後の状態を調べるための植生調査を行いました.昨年にも,木道設置予定ルートに沿って調査をしましたが,木道設置工事のために重機が動いた影響が見られるため,今回の調査を「工事完了直後の調査」と位置付け,今後続けられるモニタリングの基礎データとすることにしました. 参加者9人が3つの斑に別れて,調査を進めていきました.今回は,大竹邦暁さん,佐久間智子さん,白川の3人が班長です.1m×1mの調査枠を設置し,枠の中に生えている植物を全て記録するとともに,種ごとに被度(どのくらい覆っているか)・郡度(どのくらいまとまって生えているか)・高さを記録し,写真を撮影しました. 同じように重機の影響を受けているように見えても,プロットごとに生えている植物の種類や繁茂状況は少しずつ異なっていたようです.多くの調査区で見られたのがミゾソバとイでした.また,アメリカセンダングサやフランスギクなど,外来種が多く生育する調査区もありました.一方で,外来種がほとんど見られない場所もあり,工事直後にも多様な植物群落が見られることが分かりました. 調査の後,調査をしながら感じたことを話し合いました.昨年は広く繁茂していた外来種が少なかったこと,水の流れが変わった場所があったことなどが感想として上がりました.雨の心配をしていましたが,ほとんど降られずに,12プロットの調査を1時間30分ほどで終えることができました.今後は,もう重機が入ることは無いはずです.今日の結果をもとに,静かに霧ヶ谷湿原の変化を見守って行きましょう.

赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる. 赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる.
3斑に別れて調査を進めた. 3斑に別れて調査を進めた.
小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす. 小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす.
植物の高さを測る. 植物の高さを測る.
最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した. 最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した.
プロット1(木道No.118番付近) プロット1(木道No.118番付近)
プロット2 プロット2
プロット3(木道No.107番付近) プロット3(木道No.107番付近)
プロット4(木道No.96番付近) プロット4(木道No.96番付近)
プロット5(木道No.86番付近) プロット5(木道No.86番付近)
プロット6(木道No.82番付近) プロット6(木道No.82番付近)
プロット7(木道No.77番付近) プロット7(木道No.77番付近)
プロット8(木道No.71番付近) プロット8(木道No.71番付近)
プロット9(木道No.68番付近) プロット9(木道No.68番付近)
プロット10(木道No.63番付近) プロット10(木道No.63番付近)
プロット11(木道No.47番付近) プロット11(木道No.47番付近)プロット12(木道No.51番付近)

プロット12(木道No.51番付近)

苅尾の昆虫観察会

梅雨の季節で雨を心配しましたが大丈夫です,とご連絡頂きましたので集合場所の高原の自然館に急ぎました.国道186号線から県道307号線に入ったあたりから霧が流れ始め,二川キャンプ場から霧ヶ谷湿原のかけて前が見えない程霧が濃くなり,雨の心配をしながら恐る恐る走り自然館に着きました.自然館に近づくにつれて車窓から良い匂いがして何の花の匂いか気になりましたので,日野さん(森林インストラクター)にお聞きしたところ,即座にハルガヤに含まれるクマリン(桜餅の桜の葉の香り)と教えてくださり,自然館横の草地が刈り取られ,余計に強く匂うのだと教えて頂きました.私には初めての経験で感動しました.観察会ではいろんな方とお目に掛かれて,色々なことを教えて頂けるのも楽しいことです. 観察会は昨年同様苅尾山の雪霊水前の駐車場にライトトラップを設置しました.いつも蛾を観ている私には,種類数,個体数ともに少なく不満の残るものでした.参加した方からも昨年より虫が少ないと言う声がしていました.色々な花では開花が遅れていると実感していましたが,採集した蛾を昨年の蛾と比べて観なければ,はっきりしませんが蛾も遅れていると感じました.特に昨年たくさん来たミヤマクワガタは一匹も見られず,今年もと張り切っていた子供達には残念な結果になってしまいました.昨年と1日しか違わないのに自然は暦どうりにはいかないもので,特定の虫の発生を予測するのは難しいものです.比較的小さいガマガエルが灯にきた虫を食べに出てきたところを子供達に捕まり,遊び相手になっていました.皆さんが帰られた後,一回り大きなガマガエルがでてきました.私がどんなに動こうともまったく警戒することなく,懸命に虫を食べていました.動作が緩慢でその動作を見ていると楽しくなります.しかし彼・彼女?のとって食べられるとき食べておかなければと虫を追っている姿を見ると自然のなかで生きるのは大変なことなのだと感じられました.オオミズアオを食べようとしましたが余りの大きさにすぐあきらめてしまい,おい,おい挑戦しろよと言ってしまいました.結構楽しく彼・彼女?とすごしました.やはり例年どうり大型のオオミズアオ,ハネナガブドウスズメ等が子供達に人気がありましたが,大型の蛾は2種類のみで物足らなかったと思いましたが,「楽しかった」「おもしろかった」と言って頂いたので,ひとまず安心しました.

清水先生が採集用のビンを準備中. 清水先生が採集用のビンを準備中.図鑑を見て「去年はこんなガがいたよー」とお話中. 図鑑を見て「去年はこんなガがいたよー」とお話中.ちょうど20時に点灯,採集開始! ちょうど20時に点灯,採集開始!光に集まる昆虫に集まる参加者. 光に集まる昆虫に集まる参加者.背中にハート模様があるエサキモンキツノカメムシ. 背中にハート模様があるエサキモンキツノカメムシ.翅の形や模様が特長的なウスキツバメエダシャク.とてもきれい. 翅の形や模様が特長的なウスキツバメエダシャク.とてもきれい.たくさんのハクモンヒトリ. たくさんのハクモンヒトリ.アンケートを書き込み中. アンケートを書き込み中.帰り際.のそのそ歩いていたヒキガエル. 帰り際.のそのそ歩いていたヒキガエル.

【イベント報告】龍頭山の野鳥観察会

早起きのおかげで,きれいな朝焼けを見ることができました.6時に豊平のどんぐり村に集合し,参加者がそろったところで龍頭山へ移動しました.今回の講師は上野先生です.車から降りるとすぐに鳥の声が聞こえてきました.アカマツやスギの混合林では,ヒヨドリ・カケス・ホオジロの姿が見えます.にぎやかな鳴き声はヒヨドリで,果実をエサにしていること,ホオジロは「一筆啓上・・」と鳴き,縄張りを主張して鳴いていること,カケスは小鳥の雛を食べること・・などそれぞれの鳥の特長やエサとしているものなどのお話を聞きました.しばらくこの場所から観察し.他にもエナガの群れやコゲラ,カワラヒワ,キビタキ,メジロ,シジュウカラなどを確認しました.キビタキのおなかの色がとても黄色く鮮やかなのが印象的でした.少しずつ上へと移動し,アオゲラのドラミングを聞いたり,キジバトのウォーキングを見たりしました.お目当てのアカショウビンはお天気が良すぎたためか,姿も声も確認できませんでした.しかし,ヒヨドリやカワラヒワの鳴き声を何度も聞くことができたので.鳴き声の特長がわかったようになった気がします.また,鳥を見るには林内より林緑の方がよいことも教えていただきました.登山口の小さな池では,今年もモリアオガエルの卵や幼生をねらうシマヘビの姿を見ることができました.そこから引き返して,前龍頭が見える大原堤という池に向かいました.去年は同じ場所でカワセミを観察しましたが,今年は確認できませんでした.しばらく池上のツバメや水辺のトンボを観察していると,道路向かいのスギ林の近くに黒いシルエットの鳥が見えました.ヒナのエサであるミミズを取りにきたクロツグミのオスでした.警戒しつつも土をつつき,ミミズを探しているようです.前回の苅尾の野鳥観察会ではクロツグミの美しい鳴き声を聞きましたが,今回の龍頭山では姿を見ることができました.時間になったので,もとの場所まで帰り,最後のまとめをしました.全部で21種類の野鳥を参加者で確認しました.毎年来る場所でも.ちょっとした気候の違いで,鳥の姿を見ることができたりできなかったりするんなだなぁと感じました.さわやかな空気の中,たくさんの鳥声を聞き,ひとときでも鳥博士になった気分の観察会となりました.

電線にとまっている鳥を観察.なんだろう? 電線にとまっている鳥を観察.なんだろう?
胸の模様がネクタイのようなシジュウカラ. 胸の模様がネクタイのようなシジュウカラ.
上野先生によると,林内より林緑の方が鳥の姿はよく見られるということで,この場所はベストポジション. 上野先生によると,林内より林緑の方が鳥の姿はよく見られるということで,この場所はベストポジション.
フィールドスコープをのぞくと,鳥の姿がすぐそこに! フィールドスコープをのぞくと,鳥の姿がすぐそこに!
きたひろネットも撮影中,鳥が撮れましたか?? きたひろネットも撮影中,鳥が撮れましたか??
にぎやかにさえずっていたヒヨドリ.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にぎやかにさえずっていたヒヨドリ.
ヒヨドリの羽が落ちていた.何者かに食べられた跡だ. ヒヨドリの羽が落ちていた.何者かに食べられた跡だ.
例年通り,モリアオガエルの卵塊,そしてそれをねらうヘビを見た.

例年通り,モリアオガエルの卵塊,そしてそれをねらうヘビを見た.

スイカズラのいい香りが漂う.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スイカズラのいい香りが漂う.
ヒヨドリの好物,サクラの実. ヒヨドリの好物,サクラの実.
え〜と,さっきの鳥は何だっけ!?と図鑑をめくる. え〜と,さっきの鳥は何だっけ!?と図鑑をめくる.
エサを求めて地面をつつくクロツグミがいた. エサを求めて地面をつつくクロツグミがいた.
黒い鳥がいる〜!との声があがり,参加者の視線の先には・・ 黒い鳥がいる〜!との声があがり,参加者の視線の先には・・