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【イベント報告】カスミサンショウウオの産卵調査

風が冷たい朝でしたが,18名の参加者が高原の自然館に集合しました.毎年行われている両生類の産卵調査です.水辺のいきものの調査ということで,3歳から小学校中学年まで7名と,子供の参加も多くありました.まず高原の自然館内のパネル展示や模型を見ながら,内藤先生よりサンショウウオの生態や生息環境の説明を聞きました.サンショウウオにも様々な種類があり,芸北では4種類が生息しているとのことでした.参加者から質問も飛び出し,現地に行くのが楽しみになってきました.現地へ行く途中,道路沿いのコンクリートマスの中にカスミサンショウウオの卵塊があるというので立ち寄り,観察しました.卵塊の中でさらに卵胞に包まれた状態のカスミサンショウウオの赤ちゃんは,「胚」と呼ばれる状態でした.初めて卵塊を見た方もおられ,実物を見ることができ,びっくりしながらも喜んでいました.二川キャンプ場に車を止め,4班に分かれて霧ヶ谷湿原の両生類の産卵調査の開始です.工事により設置した水路以外にも,水がたまり自然に湿地になっているところを,注意深く観察します.卵や幼生,成体を見つけたら,場所や数を記録します.「あ,こっちに卵があるよー」「これはもうオタマジャクシになっているね」などと話しながら,どんどん進みます.カスミサンショウウオ,ヤマアカガエル,アマガエルなどの両生類以外にも,カナヘビ・アオダイショウ・コオイムシ・トビケラ・ヤゴ・オオルリ・オオタカなど色々な種類のいきものを見ることができました.また,ハルザキヤマガラシの花や,ヒメザゼンゾウやバイケイソウ,ハンカイソウの葉を見つけたりもしました.山際に咲いているコブシがとてもきれいでした.時間になったので,調査地からひきあげ,班ごとの報告をしました.カスミサンショウウオの卵塊を多く確認した班,ヤマアカガエルの卵塊や幼生を多く確認した班と,場所によっての結果があらわれました.最後に内藤先生にまとめをしていただき,自然再生事業の工事によって,湿地にすむいきものは増えているということが分かりました.寒い中でしたが,実際にいきものに触れることもでき楽しい観察会となりました.

高原の自然館内のパネルでサンショウウオの分布を説明する内藤先生. 高原の自然館内のパネルでサンショウウオの分布を説明する内藤先生.
「カスミサンショウウオの赤ちゃんって,こんな形なんだねー.あ,目がどこかわかるよ!」 「カスミサンショウウオの赤ちゃんって,こんな形なんだねー.あ,目がどこかわかるよ!」
調査地の霧ヶ谷湿原内へと進む. 調査地の霧ヶ谷湿原内へと進む.
GPSで場所をおとす「ポイント屋」さん,数や種類を確認して報告する「報告係」さん,データを書き込む「記入係」さんとの見事な連携プレーで調査は進む. GPSで場所をおとす「ポイント屋」さん,数や種類を確認して報告する「報告係」さん,データを書き込む「記入係」さんとの見事な連携プレーで調査は進む.
ヤマアカガエルを見つけたよ! ヤマアカガエルを見つけたよ!
カスミサンショウウオの卵のうを見つけた.透明なので,中の様子がよくわかる.じっくり観察. カスミサンショウウオの卵のうを見つけた.透明なので,中の様子がよくわかる.じっくり観察.
アマガエルの成体.きれいな緑色だった. アマガエルの成体.きれいな緑色だった.
道路に近く,流れのない水路にヤマアカガエルの卵塊がたくさん見られた. 道路に近く,流れのない水路にヤマアカガエルの卵塊がたくさん見られた.
ところどころで見かけたヒメザゼンソウの若葉. ところどころで見かけたヒメザゼンソウの若葉.
木道の下をのぞきこむ・・と水たまりになっていたところにヤマアカガエルの卵塊があった. 木道の下をのぞきこむ・・と水たまりになっていたところにヤマアカガエルの卵塊があった.
水路沿いに咲いていたハルザキヤマガラシ. 水路沿いに咲いていたハルザキヤマガラシ.
最後に各班からの報告.自分の班とは違う結果に,参加者も興味津々だった. 最後に各班からの報告.自分の班とは違う結果に,参加者も興味津々だった.

【イベント報告】山焼き後の植物観察会

早朝はマイナスの冷え込みでしたが,観察会の始まる頃には太陽も高く青空で,気持ちのいい雲月山の植物観察会の始まりとなりました.あいにく今年の山焼きは中止になりましたが,人が手を加えることで維持される草原の重要性について,まわりの山々を見ながら,和田先生に説明していただきました.広島県で火入れがされている雲月山・千町原・深入山の植物の種数について佐久間先生から,今回は調査結果の初資料について説明していただき,貴重な植物が生息する環境だと言うことを改めて実感できました.そして,登山の始まりです.まずヤマヤナギの雄花・雌花,キジムシロ,センボンヤリ.草丈の低いこの時期に一生懸命咲いている花.オトコヨモギ・リュウノウギクの新芽を観察しました.以前参加した山焼きの経験談などを話しながら,稜線づたいに散策しました.タイムスケジュール通りに山頂で昼食をとることができました.放牧準備の電柵用の杭が所々においてありました.牛が放牧されることで,畑の草がびっしり生えてきている所,緑の色が違いました.ショウジョウバカマがずら〜と咲いている所はショウジョウバカマの小道と名付けて歩き,ニオイタチツボスミレのにおいをかいだり,ゆっくり山歩きを楽しんだ観察会でした.

佐久間先生から初公開の資料を使って,説明があった.
佐久間先生から初公開の資料を使って,説明があった.
晴天に恵まれ,いざ出発!
晴天に恵まれ,いざ出発!
キジムシロに出会った.
キジムシロに出会った.
おなじみ,旧芸北町のマーク.「北」に見えるかな?
おなじみ,旧芸北町のマーク.「北」に見えるかな?
山肌の横線についての説明.たたら製鉄かんな流しの跡を見る.
山肌の横線についての説明.たたら製鉄かんな流しの跡を見る.
カラマツの枝振りは,風の吹く影響を受けている.
カラマツの枝振りは,風の吹く影響を受けている.
昼食後山頂で記念撮影.
昼食後山頂で記念撮影.
山焼きをされているところ・されていないところの違いを比べる.
山焼きをされているところ・されていないところの違いを比べる.
いろいろな色のショウジョウバカマ.
いろいろな色のショウジョウバカマ.
「三本でもセンボンヤリ」(和田先生)
「三本でもセンボンヤリ」(和田先生)
車道の脇にも様々な植物があった.
車道の脇にも様々な植物があった.

【イベント報告】自然再生勉強会

2007年から始まった広島県による自然再生事業の工事が完了しました.この機会に自然再生事業の全容や現地の様子,湿原の動植物についての勉強会を開催しました.47名の参加者のみなさんと,高原の自然館を出発し,水口谷湿原を通り,一旦道路にでて霧ヶ谷湿原のオープニングセレモニーに参加し,霧ヶ谷湿原の木道を歩くというコースで歩きました.昆虫担当の岩見先生は,湿地になっているところや,水路にザルをいれ,水中にすむいきものを紹介してくださいました.中でもサナエトンボとオニヤンマのヤゴが印象的でした.両生類・魚類担当の内藤先生からは,カスミサンショウウオの卵塊やヤマアカガエルのオタマジャクシを教えていただいたり,シマヘビやジムグリの赤ちゃんをつかまえ,生態を教えていただきました.ヘビにさわっているときの子どもたちの瞳は真剣で.きらきらと輝いていました.動物担当の上野先生からは,湿原の上を飛ぶハイタカを教えていただきました.植物担当の暮町先生,佐久間先生,和田先生からは,歩きながら見ることのできた,植物の名前や生態を教えていただきました.高原の自然館の白川学芸員は,工事による場所の変化やいきものの生息の変化など,自然再生事業全体のお話や,湿原の成り立ちやそこにすむいきものの生態など多くのことを説明しました.途中に雨が降り,大変寒い中での勉強会となりましたが,それぞれの専門の先生から.興味深いお話が聞けたり,寒い中だからこそ春を感じることができたりと,湿原の恵みを大いに体感しました.途中で参加したオープニングセレモニーでは,霧ヶ谷湿原の入り口のテープカットも行われ,完成した喜びをみんなで分かち合いました.様々な方に楽しんでもらえる場所,さらには湿原や自然について考えたり感じたりできる場所であり続けるよう,みんなで知恵と力を出し合い.この霧ヶ谷湿原を見守っていきたいと願います.

水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった. 水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった.
ハンカイソウのつぼみが少しだけ. ハンカイソウのつぼみが少しだけ.
ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった. ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった.
細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した. 細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した.
カスミサンショウウオの卵塊を発見. カスミサンショウウオの卵塊を発見.
霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった. 霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった.
オープニングセレモニー会場に着くと,あたたかい甘酒が迎えてくれた.かりお茶屋にて販売中. オープニングセレモニー会場に着くと,あたたかい甘酒が迎えてくれた.かりお茶屋にて販売中.
霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった. 霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった.
霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ. 霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ.
はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!? はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!?
岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生. 岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生.
まだ動きの鈍いカナヘビ. まだ動きの鈍いカナヘビ.
主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中. 主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中.
水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ. 水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ.
ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ. ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ.
丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ. 丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ.

【イベント報告】早春のトレッキング

暖かい2月の風が,雪をすっかり溶かしてしまいました.小雨模様ながら気温は低くなく,まさに春先のトレッキングとなりました.参加者は14人.講師の佐久間先生に案内されながら,自然館を出発しました.水口谷から流れてきた小川では,ネコヤナギの新芽が雨に濡れていました.雪があっても無くても,ネコヤナギはこの時期に芽を開きます.花が咲くまでにはもう少し時間がかかりますが,八幡高原で春を予感させる植物です.雪が無くなったワタデガハラでは,冬の間にハタネズミが餌を探した溝が見えます.点々と見えるモグラ塚は,春の訪れを待っていたモグラが「ようやく土を出せる」と喜んでいる姿を想像させます.水口谷湿原の植物は,まだじっとしているようでしたが,雪解け水が多くながれていました.ミズガ垰に登っていくと,そこから霧ヶ谷湿原へと新しい散策道が続いています.カンボクとカラコギカエデのトンネルを抜けると,視界が開け,木道が伸びています.遠くには,アテツマンサクが1株,黄色い花を咲かせていました.川沿いには,もうフキノトウが出ていました.再生事業でコンクリートが撤去された水路には砂が貯まり,自然の河川のようになっていました.霧ヶ谷湿原の導水路に生き物たちの姿は見えませんでしたが,暖かくなれば,カエルの卵やタカハヤが見られる,楽しい木道になることでしょう.帰りに水口谷の山際を通るときに,僅かに雪が見られましたが,扇谷の上から見た苅尾にも,ほとんど雪がありませんでした.自然館に戻ると13時になろうとしていました.花はほとんどありませんでしたが,時間がアッという間に過ぎた,充実した観察会でした.

高原の自然館前から観察を開始.講師は佐久間先生. 高原の自然館前から観察を開始.講師は佐久間先生.
ネコヤナギがひらきはじめていた. ネコヤナギがひらきはじめていた.
ワタテガハラにはたくさんの「モグラ塚」.ハタネズミが雪ノ下で餌を探したトンネルも,雪が解けて溝になっていた. ワタテガハラにはたくさんの「モグラ塚」.ハタネズミが雪ノ下で餌を探したトンネルも,雪が解けて溝になっていた.
水口谷湿原では,雪解けで水が豊富だった. 水口谷湿原では,雪解けで水が豊富だった.
出来上がったばかりの,霧ヶ谷湿原の木道. 出来上がったばかりの,霧ヶ谷湿原の木道.
少し広い木道.車いすでも通れるようになっている. 少し広い木道.車いすでも通れるようになっている.
扇谷の上から千町原を望む.191スキー場の雪も,ずいぶん少なくなった. 扇谷の上から千町原を望む.191スキー場の雪も,ずいぶん少なくなった.

【イベント報告】雪原のトレッキング

日焼けしそうなほど良く晴れた中,32名もの参加者が高原の自然館へ集合しました.講師は前回に続いて上野先生です.1月の観察会では,千町原方面を歩いたので,今回は自然再生事業が行われている霧ヶ谷湿原方面に行くことになり,スキー板を履いた子供達を先頭に,賑やかな出発となりました.前日まで雪が降っていたので,足跡が見つからない心配がありましたが,多くの足跡が見つかりました.前回の観察会で多く見られたウサギの足跡はあまり見つかりませんでしたが,テンの足跡を見つけることができ,テンが活発に動いている姿が思い浮かびました.同じように見えるフンでも別の動物のフンであったり,別の物に見えても同じ動物であったりと,動物の食事や体調により違っている事がわかりました.昨年工事が行われた霧ヶ谷湿原では工事が終わっており,新たに設置された木道を歩いて行きました.しばらく進んでいくと鳥の羽が沢山落ちており,上野先生に調べてもらうと,ツグミのようでした.弱っているところをテンに捕まってしまったらしく,羽以外は綺麗に食べられていました.自然館に戻る途中,大きなノウサギが木の陰で休憩していたようですが,すぐに逃げてしました.ノウサギが休んでいた木の根元を見てみると,そこから大きな足跡が続いており肉球の形がよくわかりました.日差しが強く,戻るときは汗をかくほどでしたが,雲一つない青空,真っ白な雪景色を歩くのは気持ちがよく,とても良いトレッキングとなりました.(しんぽうゆうすけ)

自然館の裏の丘に上がる.クロカンスキー,かんじき,スノーシューなど,装備はさまざま. 自然館の裏の丘に上がる.クロカンスキー,かんじき,スノーシューなど,装備はさまざま.
サロンパス臭がするというミズメの臭いをかぐ.「ちょっとくさいー」 サロンパス臭がするというミズメの臭いをかぐ.「ちょっとくさいー」
テンがツグミを食べた跡があり,子どもたちはびっくりした顔をしていた. テンがツグミを食べた跡があり,子どもたちはびっくりした顔をしていた.
振り返ると霧ヶ谷湿原が広がり,奥には苅尾山が見えた. 振り返ると霧ヶ谷湿原が広がり,奥には苅尾山が見えた.
雪の上をよーくみると,トビムシがたくさんいた.小さすぎてよく見えないので,ルーペで観察. 雪の上をよーくみると,トビムシがたくさんいた.小さすぎてよく見えないので,ルーペで観察.
ウサギが飛びだしてきた木の根元.少し隙間があり,そこで休んでいたらしい. ウサギが飛びだしてきた木の根元.少し隙間があり,そこで休んでいたらしい.
点々と続くテンの足跡. 点々と続くテンの足跡.