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【イベント報告】可愛川の水生生物観察会

夏休み中の観察会とあって,参加者30人と大人数での開催となりました.まずは千代田公民館で講義からスタートです.今回の講師,内藤先生より“オオサンショウウオについて”という資料をいただき,プロジェクターで映し出される映像を見ながら,日本にはどんな両生類がいるのか,中国地方に生息するサンショウウオの環境,オオサンショウウオの生態などを先生の経験を交えてお話いただきました.オオサンショウウオがどのようなものを食べているかという調査の結果を写真で見せていただきましたが,アユやウグイなどの魚類はもちろんのこと,ガムシやツチガエル,スジエビやアオダイショウ,カワガラスの羽,丸ごと一株の白菜まで出てきたと聞き,オオサンショウウオの貪欲性が大変よく分かりました. 1時間ほどの講義を終え,現地の可愛川の上官井堰(じょうかんいぜき)へ移動しました.天気が良く,川の水も気持ちがいいので参加者はざぶざぶと川へ入ります.水生生物の観察会ということで,子ども達は魚を捕まえ「これは何の魚?」と先生に質問を重ねていました.一方大人の参加者は両川岸のヨシの茂みをのぞき込み,オオサンショウウオを探します.しばらくすると見つかったようで.調査のために次々と浅瀬へ運ばれて来ました.大きいのも小さいのもいます.内藤先生がマーカーを使い,個体ごとのチェックを行います.その結果,今回見つけた13匹のうち,7匹は新しく見つかった個体ということがわかりました.オオサンショウウオをよく見ると,前足の指の数は4本で,後ろ足は5本です.指の形も水中で立っていられるように少し曲がり,支えられる形になっていることを新たに知りました.こうやってオオサンショウウオを詳しく観察できることは,オオサンショウウオが生息できる今の川の環境のおかげです.とても貴重な経験をしたことを嬉しく思い,夏の思い出がまた増えた観察会となりました.

内藤先生による講義の様子. 内藤先生による講義の様子.
調査に使うマーカーやチップをみせていただく. 調査に使うマーカーやチップをみせていただく.
晴れていて気持ちのいい観察会日和. 晴れていて気持ちのいい観察会日和.
早速観察モード.準備はいいかーい!? 早速観察モード.準備はいいかーい!?
内藤先生もオオサンショウウオ探しに向かう. 内藤先生もオオサンショウウオ探しに向かう.
最初の一匹が到着.わりと小型の方かな? 最初の一匹が到着.わりと小型の方かな?
ヨシのしげみの下を探す大人達. ヨシのしげみの下を探す大人達.
オオサンショウウオと自分の手を比べると・・「指の数がおんなじだぁ」 オオサンショウウオと自分の手を比べると・・「指の数がおんなじだぁ」
「このあたりにいそう」とのぞきこむ内藤先生と参加者. 「このあたりにいそう」とのぞきこむ内藤先生と参加者.なかなか見ることのできないチャンスなのでじっと観察.

なかなか見ることのできないチャンスなのでじっと観察.
マーカーを使い,個体のチェックをする内藤先生. マーカーを使い,個体のチェックをする内藤先生.
うごきまわるオオサンショウウオ.けっこう素早い動き. うごきまわるオオサンショウウオ.けっこう素早い動き.これは一番小さい個体だった.

これは一番小さい個体だった.
もぐって魚を探すのが楽しい! もぐって魚を探すのが楽しい!
ユーモラスな顔つきのヨシノボリ. ユーモラスな顔つきのヨシノボリ.
調査後,オオサンショウウオをもとにいた場所に連れて行く. 調査後,オオサンショウウオをもとにいた場所に連れて行く.
水の中でうごめくオオサンショウウオ. 水の中でうごめくオオサンショウウオ.
最後のまとめをする内藤先生. 最後のまとめをする内藤先生.

【イベント報告】カワシンジュガイの観察会

フィールドに出る前に,まず芸北文化ホールで「カワシンジュガイの繁殖生態と保護」と題して,資料・パソコンを使っての講義がありました.カワシンジュガイの分布域や.氷河期の生残りで絶滅危惧種であること.北広島町の天然記念物であることの説明がありました.また.北広島町(旧芸北町)での発見と同定依頼の際の話や,保護・繁殖依頼により研究を続けられた経緯,ほ場整備後の河川の環境指導など,写真を見ながら興味深い話をたくさんしていただきました.発見当時から芸北でずっとカワシンジュガイに関わって来たということで近藤紘史理事長も参加していただいて,昔はこどもの頃から「立ちっ貝」といって川でたくさん見ていた話や,戦時中の食糧難の時代には,おいしくなかったけど食用にした話も聞きました.中国地方での分布・発見の経緯や現状,日本全国での調査研究・参考見学の話もおもしろく聞かせていただきました.実際に繁殖生態の解明や写真説明は個体数が少ない中で,長年の地道な研究で大変な御苦労があったのだろう事が想像されました.アブラボテと「相利共生」と考えられていたが,「片利共生」であったこと,アマゴのエラに4月から2ヶ月寄生してから川底での生活に移行すること,生息域の河川環境やアマゴの生息域,アマゴ解禁の影響などいろいろ考えさせられることの多い話でした.講義質問の終了後,現地へ移動して実際にカワシンジュガイとご対面です.川の水が「冷たい」と実感しながら,流れのある中央ではなく川の端の草の根元の方に意外と簡単にカワシンジュガイを見つけることができて,「ここにも」,「ここにも」,とみなさん大喜びです.周辺を泳いでいるアブラボテの雄の婚姻色を確認したり.カワムツの雄の婚姻色の赤色を観察しました.「久しぶりに見た」とサワガニを捕まえる人,箱眼鏡で水中をのぞきっぱなしの人,石に張り付いているプラナリアを観察する人と,みなさん講義・現地観察とも十分楽しまれたのではないでしょうか.

芸北文化ホールにて,講義の始まり. 芸北文化ホールにて,講義の始まり.
カワシンジュガイとアブラボテ カワシンジュガイとアブラボテ「立ちっ貝」と呼ばれるいろいろな淡水二枚貝の紹介.

「立ちっ貝」と呼ばれるいろいろな淡水二枚貝の紹介.
「ここらを探してみてください」と言われ懸命に探す参加者. 「ここらを探してみてください」と言われ懸命に探す参加者.
「いた,いた」とそぉっと観察. 「いた,いた」とそぉっと観察.
アブラボテの雄の婚姻色. アブラボテの雄の婚姻色.
きたひろネットによる水中撮影. きたひろネットによる水中撮影.
観察会終了後,内藤先生から補足説明があった. 観察会終了後,内藤先生から補足説明があった.
カワシンジュガイが生息する 河川環境. カワシンジュガイが生息する 河川環境.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原 夏のいきもの観察会

前日からの雨があがらず,降ったり止んだりの中で,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会が行われました.参加者は12名です.今回の講師は,植物担当の和田先生と昆虫担当の岩見先生です.自然館を出発し,水口谷湿原を通り,霧ヶ谷湿原へ向いました.カラコギカエデがたくさん実をつけており,和田先生からカラコギカエデの実について教えていただきました.手にとって飛ばしてみると,実にはプロペラ状の翼があるので,風にのってくるくると舞うようにして落ちました.これが種が遠くまで飛ばされる秘密のようです.木道ではハンカイソウやチダケサシ,トモエソウ,ホソバヨツバムグラ,コバギボウシ,オカトラノオ,ヒヨドリバナ,オトギリソウ,など,花を咲かせた植物をたくさん見ることができました.また,雨の中でも飛んでいたルリシジミやアサヒナカワトンボの姿も見ることができました.水辺では,トビケラの幼虫やヤゴを観察しました.トビケラは種類によって巣の素材が異なり,小石で作ったもの,枯れ葉でつくったものといろいろ観察できました.水中で移動している姿をみつけ,びっくりしました.他にもしっぽが3つのモンカゲロウの幼虫や,「ちょろ」と呼ばれるヒラタカゲロウの仲間の幼虫,ススキの葉を巻き巣にしているカバキコマチグモ,ハートマーク模様のエサキモンキツノカメムシなど,様々ないきものの姿を見て,名前やどんなくらしをしているのかをじっくり教えていただきました.霧ヶ谷湿原の木道を歩いていると,モリアオガエルもいました.イカルやホオジロの鳴き声も聞こえます.数時間歩いてみただけでも,湿地性の植物や動物を確認することができ,霧ヶ谷湿原が工事によって湿原化し,もとの湿原の姿を取り戻しているんだなぁと実感しとてもうれしかったです.生物の多様性が問われる現在ですが,私たちの身近にある自然から学ぶことは多く,こういった場所を大切にすることが重要なんだなと再確認しました.得るものが多く,とっても楽しい観察会でした.

自然館に集合して,元気に出発! 自然館に集合して,元気に出発!カラコギカエデの実をとばしてみよう!

カラコギカエデの実をとばしてみよう!和田先生がお手本を.

和田先生がお手本を.岩見先生も .「こうやって遠くまで種が散布されるんだね,ふむふむ.」 岩見先生も .

「こうやって遠くまで種が散布されるんだね,ふむふむ.」
岩見先生の秘策でヤマカガシの観察.毒を持つヘビなので注意が必要. 岩見先生の秘策でヤマカガシの観察.毒を持つヘビなので注意が必要.
「ヘビのしっぽはどこからか」の説明をする内藤先生.ウロコの数がヒントのよう.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘビのしっぽはどこからか」の説明をする内藤先生.ウロコの数がヒントのよう.
木の上にホオジロを発見.双眼鏡で観察する. 木の上にホオジロを発見.双眼鏡で観察する.土を掘り起こした跡があった.「イノシシのしわざでしょう」と上野先生.

土を掘り起こした跡があった.「イノシシのしわざでしょう」と上野先生.
きれいな花だ〜と近寄ってみると,外来種のワルナスビ. きれいな花だ〜と近寄ってみると,外来種のワルナスビ.
ススキの葉になにかあるぞ?近寄ってみると・・ススキの葉になにかあるぞ?近寄ってみると・・
葉を折り曲げて作った巣が!巣主のカバキコマチグモがいた. 葉を折り曲げて作った巣が!巣主のカバキコマチグモがいた.
近くにオスもいた. 近くにオスもいた.
原始的な顔つきだね,と話題になったカワゲラの成虫. 原始的な顔つきだね,と話題になったカワゲラの成虫.サナエトンボのヤゴかな?

サナエトンボのヤゴかな?水の中をザルですくって,中を見てみると・・

水の中をザルですくって,中を見てみると・・湿原の中でひときわ目を惹くハンカイソウ.

湿原の中でひときわ目を惹くハンカイソウ.オカトラノオがたくさん咲いていた.

オカトラノオがたくさん咲いていた.

岩見先生,おすすめのオトシブミの図鑑. 岩見先生,おすすめのオトシブミの図鑑.この場所にはどんないきものが住んでいるのかな?楽しみ〜.

この場所にはどんないきものが住んでいるのかな?楽しみ〜.ノハナショウブの姿も見える.紫の花弁の中の黄色いすじが特長だそう.

ノハナショウブの姿も見える.紫の花弁の中の黄色いすじが特長だそう.

【イベント報告】霧ヶ谷の観察会 秋のいきもの観察会

早朝から激しい雨が降る中,17名の参加者が自然館に集合しました.夏の観察会に続き,植物担当の和田先生,昆虫の岩見先生が講師です.自然館で湿原の概要についてお話頂いた後,霧ヶ谷湿原へ移動し,今年度の工事予定地で木道をつけるルートを歩きました.雨が降っているため,歩きにくい場所もありましたが,目に入ってくる植物や昆虫の説明を聞いていると,時間が経つのがとても早く感じました.ツリフネソウの蜜を吸うマルハナバチと花のつくりとの関係や,アケボノソウの蜜線が花びらにあることなど,植物と昆虫の密接な関係をユーモアを交えてのお話で,楽しみながら観察することができました.葉の裏でトンボが休んでいたり,しずくが付いたカンボクの実を眺めたりと,雨の中ならではの発見があった観察会となりました.夏と秋の観察会で,霧ヶ谷湿原の中を歩いてみると,湿地生の植物や動物が増えていることを感じることができました.来年には観察路が完成する予定なので,霧ヶ谷湿原はもっと身近な場所になることと思います.帰り道に見たオオヘリカメムシの匂いは,思った以上にいい匂いで驚きました.[こうのやよい]

最初に自然館の中で,自然再生事業についての説明があった.
最初に自然館の中で,自然再生事業についての説明があった.
霧ヶ谷湿原は工事中のため,ヘルメットを着用した.
霧ヶ谷湿原は工事中のため,ヘルメットを着用した.
雨の中イザ出発!
雨の中イザ出発!
雨で増水した水路.ごうごうと音をたてていた.
雨で増水した水路.ごうごうと音をたてていた.
キセルアザミの名前の由来「煙管」を実演しながら説明する和田先生.
キセルアザミの名前の由来「煙管」を実演しながら説明する和田先生.
ネナシカズラ!
ネナシカズラ!
強めの雨の中,活動している虫もわずかながら観察できた.
強めの雨の中,活動している虫もわずかながら観察できた.
イナゴにのど仏があることを初めて知った.
イナゴにのど仏があることを初めて知った.
サクラバハンノキの幼木.
サクラバハンノキの幼木.ヘラオオバコの葉は,本当にへらのようだ.
ヘラオオバコの葉は,本当にへらのようだ.ウナギをつかめるトゲがある、アキノウナギツカミ.みんなでトゲをさわってみた.
ウナギをつかめるトゲがある、アキノウナギツカミ.みんなでトゲをさわってみた.
ツリフネソウの花の中を観察する.雨宿りをしている虫もいた.
ツリフネソウの花の中を観察する.雨宿りをしている虫もいた.
真っ赤な実を多数つけたカンボク.雨の中で映える赤色.
真っ赤な実を多数つけたカンボク.雨の中で映える赤色.ミヤコグサの花.図鑑で調べると「脈根草」が名前の由来だった.
ミヤコグサの花.図鑑で調べると「脈根草」が名前の由来だった.
虫がとまると花粉がつくのか,ハギの花をさわって実験してみる.
虫がとまると花粉がつくのか,ハギの花をさわって実験してみる.
青リンゴのように甘酸っぱい香りがしたオオヘリカメムシ
青リンゴのように甘酸っぱい香りがしたオオヘリカメムシ
最後に,芸北で開催される草原サミットのご説明があった.
最後に,芸北で開催される草原サミットのご説明があった.

【イベント報告】カワシンジュガイの観察会

前日の観察会でオオサンショウウオに人気を取られたのか,参加者8名での観察会となりました.雲行きの怪しい日でしたが,大雨にならないかぎり観察会は決行です.前日に続き,講師は内藤先生です.現地に出発する前に,芸北文化ホールでカワシンジュガイの生態や生息環境についてのお話を聞きました.カワシンジュガイの幼生は,アブラボテに寄生して子孫を増やすと考えられていましたが,カワシンジュガイの個体が確認されている北海道にアブラボテは生息していませんでした.そこで研究を進めていくと,アマゴに寄生することがわかったそうで,その研究過程が面白いと感じました.アマゴの採取によるカワシンジュガイの寄生先の減少や, シンジュガイ人気による過剰な採取という人間の都合による理由から,絶滅の危機になっているというお話を聞き,保護の重要性が分かりました.先生からのお話が終わると,車で現地へ移動しました.きたひろネットの方が取材される中,観察もはじまりましたが,みなさんカメラを気にせずジャブジャブと川に入り,カワシンジュガイを探しはじめました.数個のカワシンジュガイを見つけましたが,死骸も多くありました.なんとか長生きしてほしいものです.泳いでいる魚の中にアブラボテがいました.二枚貝に卵を生み付ける彼らも,カワシンジュガイなどの二枚貝の減少により絶滅の危機にあります.
一つのいきものを守る事は,他のいきものを生かす事にも繋がることを実感しました.一度手を加えてしまった環境は難しく,これからも今の環境を維持するのは難しいのかもしれません.芸北に生息するカワシンジュガイを守っていくためにも,多くの人達に現状を知ってもらいたいと思います.(しんぽゆうすけ)

出発前に事前学習をした.
出発前に事前学習をした.
新種のコガタカワシンジュガイ.
新種のコガタカワシンジュガイ.
目的地へ到着した.
目的地へ到着した.
汚れを気にせず探索開始!
汚れを気にせず探索開始!
「何処にいるかな〜?」
「何処にいるかな〜?」
潜ってしまいそうな勢いの子どもたち.
潜ってしまいそうな勢いの子どもたち.
カワシンジュガイを発見.「大きい!!」
カワシンジュガイを発見.「大きい!!」
多数のアブラボテが潜んでいた.
多数のアブラボテが潜んでいた.