- 開催日時:2013年9月29日(日) 9:30
- 講師:大竹邦暁・佐久間智子
山登りに丁度良い涼しい気温の中,深入山の植物観察会が行われました.深入山は毎年火入れが行われ,草原生の植物が数多く生育しています.そんな植物の秋の姿を観察します.深入山の麓にあるいこいの村ひろしまに11名が集合し,登山前に深入山について事前学習を行いました.講師の大竹先生,佐久間先生から,深入山は,大きな花崗岩とその上を覆う流紋岩によって形成されていること.江戸時代には踏鞴場(たたらば)が作られ,なくなった後は放牧地や草刈り場として利用されていたこと.近隣にある雲月山と比べ,帰化植物の種類が少ないことなどを聞きました.
事前学習の後は山に登りながら植物観察を行います.南登山口から山頂を目指し,林間コースを通って下山するルートを歩きました.登山道の入口から,ウメバチソウやリンドウ,秋の七草の1つであるキキョウなどが咲いていました.休憩中に大竹先生が「土の色に注目してください」と声をかけられました.「深入山の土の色が赤い理由は,土の中の鉱物が酸化しているからです.酸性で土に含まれる栄養が少ないのが特徴で,地形の起伏が大きい場所でよく見られます」と解説されました.
山頂でお昼をとった後,林間コースを通って下山しました.ヤマボウシ,アラゲナツハゼ,ミヤマガマズミなどの低木を観察しながら歩きました.途中,道の脇にキバナアキギリが群生している場所がありました.「吸蜜しにやってきた虫が花弁に乗ると,てこの原理で上から雄しべが降りてきて,虫に花粉を付ける仕組みになっているんですよ」と,佐久間先生が解説されました.解説中にハナバチが吸蜜にやって来て,実際に雄しべがおりてくる様子を観察でき,参加者からは感嘆の声が上がりました.この他に,花の中の模様が黄色いミヤジマママコナやアキチョウジなどが見られました.
下山後,先生方がまとめの話をされて解散となりました.もうすぐ訪れる紅葉の季節を楽しみに思いながら,深入山を後にしました.[ありみつまさかず]
みなさんの印象に残った物
「登りが疲れました」「ミヤジマママコナ等めずらしい植物があったことです」「深入山の上と下の植物がちがうところ.石が板状に割れているところがとても興味深かった」「ウメバチソウ・マツムシソウが沢山咲いていた.前もっての勉強も役立ちました」「キバナアキギリを1年ぶりに見たこと」「地質によっても植物にも大きく関わっていることあるということ」「花・景色・樹木・地質と全て勉強になりました」
参加したみなさんの感想(抜粋)
「楽しかったです」「草原生植物が多く残っていたことです」「あつくもなく山登りにはとても良い気候で気持ち良く一日が過ごせました」「同じ仲間の植物の区別のしかたをくわしく教えてもらってよかったです」「講師の先生方の密度の濃いお話を十分聞かせていただき,とても満足しています」「登りが少しきつかったですが,ゆっくりと観察しながらで行けたのでよかったです」「わからない植物の名前を教えてもらったこと」
具体的に
「いつものことですが講師が素晴らしいと思います」
自由記入
「ありがとうございました.また参加したいと思います」「同じ場所で季節をかえて実施していただきたいと思います.事務局の方,お世話になりました」「今後も観察会を続けてください.参加できてとてもよかったです」
写真
深入山や戸河内地区の地質について話される大竹先生.
続いて佐久間先生が,深入山の歴史や生育している植物の種類などを解説された.
登山道入口.今回は南登山道を登った.
ウメバチソウが盛りを迎えていた.登山道入口脇には,自生地として保護された場所がある.
ポツポツと樹木がある.幹の低い場所は黒くなっている.
樹木を撫でると灰が手に付いた.ある程度まで成長すると,幹が少し焦げても耐えられることを聞いた.
アキノキリンソウ.奥には秋の七草の1つであるキキョウも見える.
草原が広がる登山道を歩く.風が吹くたびに揺れるススキの姿と音から,秋の風情が感じられた.
山頂付近に咲いていたムラサキセンブリ.観察会では2株見つかった.
山頂からは近隣の山が見渡せる.
山頂に到着.お昼を摂った後,林間コースを通って下山した.
足元の大きな流紋岩について解説される大竹先生.
キバナアキギリの解説をされる佐久間先生.雄しべが降りて来る仕組みを見せていただいた
登山道入口の脇でまとめをする.お疲れ様でした.