- 開催日時:2013年1月14日(月) 10:00
- 講師:上野吉雄
みぞれのような雪が時折降っては止む曇り空の中,高原の自然館前に23名が集まりました.当日は60cmほどの積雪で,昨年に比べると5分の1と少ない積雪でしたが,参加した子どもたちは雪を楽しんでいました.
講師は上野先生です.今回は自然館の裏から “おーいの丘”を回り,千町原を通り,道路に出て一周して戻るコースで,かんじきやスノーシューを履いて出発しました.
出発をしてすぐにテンがいた痕跡を見つけました.雪を通ってできた道の大きさや,足の形からわかるそうです.「テンは民家の屋根裏に入ってネズミを捕ったり,住み着いて冬を超すこともある」と教えていただきました.また,雪の重みで寄生した宿主の木から落ちたヤドリギを見つけました.ヤドリギの実は冬場に鳥類が食べるエサになるそうで,落ちていた枝にはほとんど実が残っていませんでした.
新雪に足をとられ,苦戦しながらも進んでいくと,今度は背の低い木からウサギの食跡を見つけました.ウサギの食跡は枝の部分がナイフで切った様に鋭く尖るのが特徴で,他の動物との区別がつくそうです.他にも,ヒヨドリの鳴き声を聞き,雪の上で生活するトビムシやクロカワゲラという小さな小さな虫を見つけました.トビムシはお腹にバネのようなものがあり,雪の上をとび回って逃げてしまうので私は姿をみることができませんでした.
小川を抜けると,立派なヤマナラシの木がありました.木の周りの雪がうっすらと黄色く染まっていて,最初は「何かの動物の尿かな?」と思っていると,尿ではなく樹液だと知りました.この樹液は凍結を防ぎ,それが枝先から出たのではないかとのことでした.また,樹液の匂いなのか,うっすらと甘い香りがするそうですが,残念なことに寒さで鼻が詰まり,その匂いを感じることができませんでした.
千町原と道路の境目では,より多くのトビムシを見つけました.ここではしっかりと姿をみることができ,さらには,アリやハチ,クモを見つけました.どれも普段よく見る姿とは違い,体が小さく,動きがゆっくりとしていました.
道路にでるといつも見慣れていた景色とは印象が変わり,出発場所が見えてくるまで自分がどこを歩いているのか分からないほどでした.除雪された地面に足をおろして,雪の深さや,去年の積雪量に驚きつつ,観察会は終了となりました.
前夜からの積雪で足跡は見られませんでしたが,食跡や小さな昆虫など,意識をしなければ見られない光景や生きものを確認することができました.寒い季節でも様々な方法で,雪の上や雪の中で生活しているものがたくさんいるということを知ることができて.とても有意義な観察会となりました.
みなさんの印象に残った物
「虫が多かった(3)」「雪,クモ」「トビムシ(2)」「小さい昆虫が見られたこと」「雪の中に生き物があんなにいるのには驚いた.」
参加したみなさんの感想(抜粋)
「かんじきが面白かった」「大勢の参加で楽しかったです」「楽しかった(2)」「はじめての雪上散歩でとても楽しかったです」「雪の上で暮らしている虫がいるとは思わなかった.すごく面白かった!!」「雪の中でも色んなことが見られて良かった」「昨夜の雪で動物の足跡がなくて残念」
写真
足下にきをつけてゆっくりと出発.せつげんではどんな者が見えるかな?
大きなヤマナラシは葉も落ちて雪で白くなっていたが,樹液を出して,寒い中でも生きていることを見せてくれた.
肉眼で見るのは難しい,小さなトビムシ.雪の上で元気に飛んでいた.
一面白色に染まったことで見慣れているはずの道路も,どこか幻想的な景色に見えた.
鳥達がほとんど食べてしまったヤドリギに少しだけ実が残っていた.
クロスカントリーを使うと,下り道も楽々と通過.
小さな小さなカワゲラが見えるかな?