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【イベント報告】大潰山の春植物観察会

  • 開催日時:2013年5月18日(土) 9:30
  • 講師:暮町昌保・佐久間智子

 春の里山として定番となった大潰山の観察会には12人の参加者が集いました.今回も大佐スキー場のレストハウスをお借りして,登山の前に大潰山の来歴を学習しました.地元の苅屋形地区からの参加者もあり,佐久間先生のお話に加えて,昔の山との関わり方などもお聞きすることができました.
 室内での講義の後,車に分乗して登山口に向かいます.車から降りると,早速観察の始まりです.暮町先生からが「昨年の観察会で見付けた」フデリンドウを見せて下さいました.足下をよーく観察すると,小さな花がたくさん開いています.
 登山道に入ってからは,ツリバナ,ミヤマガマズミ,ウスギヨウラクなど,低木がたくさんの花を付けていました.今年は特に花が多いように感じます.また,林床には,今日のメインであるスミレの仲間が咲いていました.ニョイスミレがちょうど盛りの頃で,オオタチツボスミレ,タチツボスミレ,スミレサイシンなどは既に終わりかけでした.登山道の途中には,チゴユリ,タチシオデ,コケイラン小さな草花が見られました.ギンリョウソウはまだ顔を出し始めたばかりでした.
 大きな炭焼き窯跡のところで一休みすると,そこから先は少し急坂になります.頂上に近づくとダイセンミツバツツジの株が増えてきます.ただ,今年は花付きが少ないようで,登山道では花が少ないように感じました.登山道沿いに見えたメギやアケビの小さな花には,参加者から「良く見るとかわいい!」と感激の声が上がっていました.フモトスミレやニオイタチツボスミレなど,登山道の下の方では見られなかった種も観察できました.
 山頂では,晴れ渡った空の下で,お弁当を食べ,大佐側の下山ルートに向かいました.こちらでは,レンゲツツジやキシツツジなども見られました.とても急なルートなので,一気に湿地までくだりました.湿地ではバイケイソウやハンカイソウが大きな葉を広げていました.
 最後に,大佐スキー場の駐車場でまとめをして解散しました.天気も良く,登山には最適の日でした.花も多く,ツツジの仲間,スミレの仲間を堪能できました.[しらかわかつのぶ]

みなさんの印象に残った物

「ツツジの種類がよく分かりました」「スミレの種類が少しおぼえられたこと」「麓スミレが2輪あったこと」「スミレの種類の多さにおどろいた」「天気も良く楽しかった」「ダイセンミツバツツジがたくさん見られた事」「特にスミレ類の種がよくわかりました」「山の上の方にキシツツジがあること.川だけじゃないのねェ〜」「つつじ,すみれ」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「花だけではなく,木も教えていただいてよかったです」「とっても勉強になりました.他の季節にも参加したいと思います」「カラスシキミ見にきたが発見できず」「これからも勉強したい」「スミレの解説が非常に良かった」「初めて参加させて頂いてとても楽しかったです!」「とても楽しかったです」「ワイワイ楽しかった」「よかったです」

具体的に

「今回ぐらいの人数が説明を聞きやすく良い」「行動しやすい人数で説明も聞きやすく良かったです」「参加人数も少なかったためか,分かりやすく説明してもらった所」「多くの種類のスミレや木を見ることができた」

自由記入

「先生のコメントもあったが秋にも実施してほしいですネ」「又是非参加させていただきますのでよろしくお願いします!」「ありがとうございました.又参加させて下さい」

写真

大佐スキー場のレストハウスで,佐久間先生のレクチャーを聴いた.
大佐スキー場のレストハウスで,佐久間先生のレクチャーを聴いた.フデリンドウについて解説される暮町先生.
フデリンドウについて解説される暮町先生.大潰山は,登山口から見どころがたくさんある.
大潰山は,登山口から見どころがたくさんある.ハウチワカエデ.もう実が膨らみはじめていた.
ハウチワカエデ.もう実が膨らみはじめていた.アセビの新芽.
アセビの新芽.ギンリョウソウは,顔も覗かせたばかり.
ギンリョウソウは,顔も覗かせたばかり.花火のようなタチシオデの花.
花火のようなタチシオデの花.オトコヨウゾメ.
オトコヨウゾメ.カシワ.芽生えとともに咲く.
カシワ.芽生えとともに咲く.山頂にあってもキシツツジ.
山頂にあってもキシツツジ.アケビがたくさんの花を付けていた.
アケビがたくさんの花を付けていた.コバノガマズミ.
コバノガマズミ.ふもとではレンゲツツジが咲いていた.
ふもとではレンゲツツジが咲いていた.炭窯について話される暮町先生.
炭窯について話される暮町先生.大きな炭窯.周りの植生,水,土と,条件が整ったところにしか作られない.
大きな炭窯.周りの植生,水,土と,条件が整ったところにしか作られない.ダイセンミツバツツジ.今年は花が少ない.
ダイセンミツバツツジ.今年は花が少ない.ツツジの小径を下る.
ツツジの小径を下る.かつては使われていた山.
かつては使われていた山.ゲレンデの下で,まとめをする佐久間先生.
ゲレンデの下で,まとめをする佐久間先生.ウスギヨウラク
ウスギヨウラク

【イベント報告】サクラソウ観察会

  • 開催日時:2013年5月6日(月) 9:30
  • 講師:暮町昌保・下杉孝・白川勝信

 遅咲きの桜の花が散る中、美和東文化センターに●名が集まりました。今回は、美和東文化センター近くの休耕田4aに栽培されているサクラソウと「美和のサクラソウ群落(町天然記念物)」と名付けられた北広島町枕地区、熊城山の山麓の自生地での観察会です。
  観察会に先立ち、美和東文化センターで事前の学習が行われました。最初に高原の自然館の白川学芸員から、美和のサクラソウについて次のような説明がありました。
  日本のサクラソウは氷河期、大陸と日本が陸続きの時に、中国大陸から日本にたどりつき、北海道から九州にまで分布し、その土地の環境に適したものが自生している。筑波大学の本城正憲さんが全国の生育地の葉緑体DNA変異を調査した結果、美和のサクラソウは本来の自生であることが分かった。一方、八幡地区のサクラソウは、埼玉県のサクラソウ集団から見いだされたものと同じ遺伝子タイプで、鳥取県日南町を経て八幡に持ち込まれた可能性がある,とのお話でした.
  続いて、自生地の保護活動をしている地元溝口地区の「サクラソウを育てる会」代表の下杉より次のような報告をしました。
  今から40年前に自生地を発見し,以降保護活動を続けている。サクラソウの自生地の中を町道が通ることになったため、町に保護柵を設けてもらった。2000年に「サクラソウを育てる会」を設立、自生地の草刈や美和小学校児童と連携による観察など行っている。また、溝口地区をサクラソウの里にすることにし、2000年に八幡のサクラソウをバイオ技術で増殖したものを美和東文化センター近くの休耕田に約1000本植え付けて管理している。自生地のサクラソウが系統的に見ると貴重な集団であることが判明し、栽培地のサクラソウとの交雑が危惧されるところとなった。当初、栽培したものは各家庭に配り、サクラソウの里づくりを目指していたが,急遽変更し栽培地のサクラソウの持ち出しを禁止、自生地のサクラソウと交雑を避けるよう配意している,といった保全活動の現状を話しました.
  次に植物に詳しい暮町先生が白色のサクラソウを持ってこられ、栽培種の話をされました。
  江戸時代に、サクラソウの栽培ブームがあり様々な品種が作り出されており,この白花のサクラソウは三倍体で一般に、三倍体植物は不稔性で種をつけないので交雑しないとのことでした.
  学習の後は、現地に移動しサクラソウの観察をしました。最初に栽培地の観察です.花は最盛期を迎え、よく咲いていました。花弁は細めで花の色は濃いさくら色で茎の長さも一定でクローンの特質が一見して分かりました。
  続いて自生地に移動、小川沿いの少し湿り気のある場所の柵内に咲いていました。花の色も淡いピンクや紫など様々で,花弁の形も切れ込みの深いものやほとんど切れ込みのないもの、花弁がラメを散らしたように光るものや茎の長短、開花時期の違うものなどを見ることができました。白川学芸員の話によると14種類くらいあると思われるとのことでした。
  参加者は、それぞれ写真におさめたり、双眼鏡で眺めたりしながら五月晴れの朝の一時を楽しみました。(しもすぎ たかし)

みなさんの印象に残った物

「多様なサクラソウの花」「少し自生地が小さくなったのでは」「ミツバチの足跡」「花の時期が丁度よかった」「さくら草の色ちがいが判明(少しづつちがう)が良く分かったこと」「サクラソウのYタイプ」「管理されるのが大変だと強く感じた」「サクラソウの遺伝子とからめた話が興味深かった.その知識で自生地の花を見ると,よく花の違いがどのようにして生じたか,おもしろかった」「サクラソウの自生地で個体差がよくわかりました」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「1種類の植物をじっくりながめていろいろなことがわかった」「がんばって保全しましょう」「サクラソウとトラマルハナバチとモグラやネズミの穴の話がとても好きでした」「皆さん熱心に話を聴いて下さりありがたく思いました.天候に恵まれた」「双眼鏡でマルハナバチ?足跡が自然だとわかった」「同じYタイプでもいろいろ額があるのですネ!」「この自然(サクラソウ)が残っていくことを願う」「短時間ではあったけど,内容が濃かった」「サクラソウの受粉にハチが必要でそのハチが住むためにモグラの穴が必要といった自然界の連鎖がこの小さな空間でもあることがよくわかりました」

具体的に

「座学でのお話がよくわかった.ためになった」「興味を深める知識や,応援したくなる取り組みについて丁寧に説明してもらえたのがとても良かったです」「資料もgoodです」「良い資料をいただきました」「皆さんがサクラソウを守るために努力されていることがよくわかりました」

自由記入

「はじめに説明や資料の提供があり,より理解できた.保護に対する考え方が理解出来た」「自生地の整備をもう少し何度もされては」「また来年も,今年との違いを見てみたいと思いました.ありがとうございました」「いろんな額の状態を絵柄があればより理解しやすかったです.柵外の他の植物も少し説明,観察しかったです」「できることはやりたい.広く皆さんにしらせていただきたい(草刈り等)」「今後とも行事に参加したい」「よくわかりやすく説明していただきありがとうございました」

写真

美和東文化センターで事前学習を行う.三輪地区のサクラソウの歴史を話す白川学芸員.
美和東文化センターで事前学習を行う.三輪地区のサクラソウの歴史を話す白川学芸員.自生地の保護活動を続ける下杉さんから,保護活動の現状を聞かせていただいた.
自生地の保護活動を続ける下杉さんから,保護活動の現状を聞かせていただいた.暮町先生からは,栽培種のサクラソウについてお話を頂いた.
暮町先生からは,栽培種のサクラソウについてお話を頂いた.自生地のサクラソウ.花の白くかすれた部分は,トラマルハナバチの足跡だそう.
自生地のサクラソウ.花の白くかすれた部分は,トラマルハナバチの足跡だそう.栽培地で花を咲かせるサクラソウ.遺伝子の違いからか,乾いた場所でも育つ.
栽培地で花を咲かせるサクラソウ.遺伝子の違いからか,乾いた場所でも育つ.

【イベント報告】カスミサンショウウオの産卵調査

  • 開催日時:2013年4月29日(月) 9:30
  • 講師:内藤順一

 毎年,霧ヶ谷湿原で行われているカスミサンショウウオの産卵調査に,9名の参加者が高原の自然館に集合しました.最初に館内で講師の内藤先生が,北広島町に生息するサンショウウオの種類や,今回調査するカスミサンショウウオの生態,これまでの調査見つかった卵塊の場所などを解説されました.卵塊の数を調べると,それを産みに来た親の数も分かり,産卵場所を記録することで湿原がどのように変化しているのかもわかるようになる,とカスミサンショウウオが湿原の指標を表すいきものであることもわかりました.解説の後は,調査に入ります.手順としては,水の流れがほとんどなく,少し深い水の溜まりを探すことから始めました.卵塊や成体を発見したら場所と数,卵塊なら中の胚の数と成長具合も調べて記録します.今回は2班に分かれて,霧ヶ谷湿原へ向かいました.私は内藤先生の班で,川の上流側を調査することになりました.調査する場所は,車道の近くのカンボクが立ち並ぶ周辺,川を渡った木道付近,そこから奥に進んだ山際の3箇所です.カンボクの周りでは見つけることができませんでしたが,木道付近と山際では卵塊を見つけることができました.どちらも卵塊を新しい場所で発見し,とくに山際に関しては「前回の調査ではここよりも木道に近い場所で卵塊が見つかり,ここでは見つからなかった,今回はその逆が起こっている.より適する場所が山際近くにできたのでそこで産卵するようになったのかもしれない」と内藤先生は話されました.カスミサンショウウオ以外にも色々なカエルの卵塊や成体を見つけることができ,卵塊の数や胚の成長具合を同様に記録していきました.変わらないように見えて,少しずつ変わっていく霧ヶ谷湿原を,文字通り肌で感じることのできた産卵調査となりました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「カスミサンショウウオの親が見れたこと」「卵の中で幼生が育っていて,ちょうど生まれてきたのでおどろきました」「一番最初に卵塊を見つけたこと.あの「ムニョッ」とした感覚は忘れられないですね」「全員が卵塊を発見できた事.イバラの多さ」「落ち葉の小さな水たまりに,沢山卵?幼生が見つかったのでおどろきました.同じ所に数匹分のたまごがあるので,場所の好みが同じなんだなーと実感しました」「カスミさんしょうおをさわったこと」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「探すのが楽しかったし,色んな生き物が見れて楽しかった」「普段は入れない所を歩いて貴重な体験でした.ありがとうございました.毎年の調査で,産卵場所が広がっていることがわかり,研究大切さを感じました.」「イバラに手こずりましたが,2時間,充実した時間が過ごせました.ありがとうございました」「今年は発生が早く,親個体が見れないと思ったが,親が見れてよかった」「イバラに刺されて痛かったです.貴重な体験ができて,とても楽しかったです」「おもしろかったからまたいきたい」

具体的に

自由記入

「また参加してみたいです」「調査は継続することが大切ですね.また来年も参加します!!お疲れ様でした.ありがとうございました」「次回も楽しみにしています」「とても楽しかったです.また,ちょうさをがんばってください」

写真

自然館内で座学中.カスミサンショウウオの個体毎の違いを写真で教えていただいた.
自然館内で座学中.カスミサンショウウオの個体毎の違いを写真で教えていただいた.調査開始.深すぎず浅すぎず,タカハヤなどがいないところを探す.
調査開始.深すぎず浅すぎず,タカハヤなどがいないところを探す.カスミサンショウウオの卵塊を発見!2対1組で産みつけられているのが特徴.
カスミサンショウウオの卵塊を発見!2対1組で産みつけられているのが特徴.地図を確認しながら,場所と胚の数,成長具合を記入する.
地図を確認しながら,場所と胚の数,成長具合を記入する.ここはどうだろう・・・?
ここはどうだろう・・・?アザミの中でじっとしていたアマガエル
アザミの中でじっとしていたアマガエル成体も見つかった.産卵してから移動したのか,同じ溜まりの中では卵塊が見つからなかった.
成体も見つかった.産卵してから移動したのか,同じ溜まりの中では卵塊が見つからなかった.胚の数を確認する.
胚の数を確認する.自然館に戻り,今回の調査で卵塊が確認された場所を報告し合った.
自然館に戻り,今回の調査で卵塊が確認された場所を報告し合った.

2013年度の観察会日程

 2013年度のイベント計画について

2013年度のイベント計画をお知らせします.なお,日程は変更になる場合がありますので,毎回の苅尾電波塔にご注意ください.

※キノコの観察会の日程を変更しました.(2013.5.2)

2013 年

4月

27日 山焼き後の雲月山植物観察会
29日 カスミサンショウウオの産卵調査

5月

6日 サクラソウの観察会
18日 大潰山の春植物観察会
19日 ブナ林の野鳥観察会

6月

9日  龍頭山の野鳥観察会
15日 モリアオガエル観察会
22日 昆虫観察会
23日 霧ヶ谷湿原の植生調査(夏)
未定 霧ヶ谷湿原夏の生き物観察会

7月

15日 ブッポウソウの観察会
21日 夏休み親子観察会
28日 カワシンジュガイ探検隊

8月

3日 千町原 夏の保全活動
10日 可愛川の水生生物観察会

9月

15日 霧ヶ谷湿原秋の生き物観察会
21日 霧ヶ谷湿原の植生調査(秋)
29日 深入山の植物観察会

10月

5日 キノコ観察会→10月12日に変更
6日 サツキマス保全の試み

11月

4日 紅葉・冬芽の観察会
10日 ゴギの産卵の観察会
17日 八幡高原の野鳥観察会
23日 千町原 秋の保全活動

12月

1日 かんじき作り

2014年

1月

18日 冬を生きる動物の生態

2月

9日 雪原のトレッキング

3月

8日 早春のトレッキング

※参加には事前申込が必要です.
※日程は変更になる場合がありますので,自然館ホームページにてご確認ください.