2017年10月14日(土)に広島県安芸太田町にある国の特別名勝三段峡の開峡100周年を記念する,式典と講演会に参加したので報告します.
当日は気持ちよい天候に恵まれ,地域の方たちや三段峡に所縁のある人たちが大勢参加していました.中には小さな子供もおり,三段峡というものがいかに地域に愛されているか伝わってきました.
第一部の式典には,三段峡を世を広めるために尽力した熊南峰と斎藤露翠が登場する漫画「峡友」の関係者や,三段峡の今に関わっている方たちが登壇し,現在やこれからの三段峡の,観光や保全へ取り組みなどを聞くことができました.また,地元の小学生による三段峡憲章の息のあった朗読や,力強い太鼓の演奏などもあり,子供たちが担っていくであろう三段峡の希望ある未来を感じることができました.
第二部では芸北 高原の自然館の白川学芸員の基調講演と,NPO法人 三段峡-太田川流域研究会の本宮さんをコーディネーターとし,「峡友」の原作者である千田さん,三段峡でカヤック教室を行っている小林さん,黒淵周辺の観光を担っている(株)恐羅漢の社長の川本さん,白川学芸員が登壇したパネルディスカッションを聴講しました.
講演では,三段峡憲章の「三段峡は問いかける」という言葉の深みや,遊歩道の淵側にある,上に乗って転落することを防止するための石のオブジェなど,きっかけがないと気づかないこと,考えないことを知ることもでき,貴重な時間を過ごすことができました.
講演会終了後は,第三部の三段峡ツアーに参加しました.受付でもらったカラフルな名札でグループに分かれ,三段峡ガイドに案内されて三段峡を散策します.このツアーは一般的な観光ツアーではなく,「熊南峰が見た三段峡を体験する」のを目的としており,普段は歩かないような,整備された遊歩道以外の場所も多く歩きました.気をつけながら雑木林を抜けて沢へと降り,初めて目にする景色はまさに圧巻!これまでは何故熊南峰がそこまで三段峡にこだわったのかわかりませんでしたが,南峰が目にしたであろう景色を見て彼の気持ちがわかった気がします.川のせせらぎを間近に聞き,水しぶきがかかってきそうな場所で,三段峡を「見る」だけでなく,「五感で感じる」ことが出来,これこそが本来の三段峡の美しさであり素晴らしさなのだと実感しました.
今までに知らなかった三段峡を知ることができ,三段峡に関わる人たちや子供たちの情熱を感じることもできた,100周年を記念すべき1日となりました.[まえだふさ]
芸北 高原の自然館の白川学芸員による基調講演.
講演後のパネルディスカッションは思いの外盛り上がった.
このオブジェのような石は,縁の上を歩かせないという重要な役割を持つという.
遊歩道から降りて,熊南峰が見たかもしれない景色を眺めた.
間近に感じる水しぶきとせせらぎの音.三段峡の新たな一面を見つけた.