芸北トレッキングガイドの会」カテゴリーアーカイブ

【参加報告】芸北小・中学校合同公開研究会

芸北小・中学校は、4年間文部科学書研究開発学校の指定を受けて、「挑戦科」を設け、「社会の中で自立して生きる力を有した子どもの育成」を実施しています。
このプログラムの3年目にあたり、公開研究会がありました。

NPO法人西中国山地自然史研究会では、「芸北ジュニアトレッキングガイド」「せどやま教室」の単元にて、ゲストティーチャーとして関わっていることもあり、この研究会に招待されましたのでm当日の様子を、レポートします。
最初に、今回の研究会の説明会があり、小学校・中学校それぞれで、公開授業が行われました。
小5のクラスをのぞいてみると、これまでの授業の振り返りと、次回の取り組みの厳密な目標設定などが行われていました。
やってみる(体験)→えがく→振り返るのプロセスを繰り返すことで、資質や能力を育成するのが、挑戦科のスタイルです。
「やってみる(体験)」の関わりでは、せどやま教室において、野外で実際に木の運び出しなどをサポートしてきましたが、「えがく」「振り返る」の部分を、この授業でしっかりみることができました。
一人づつの自覚や、仲間との協働、大人たちへの働きかけなど、通常の教科ではない学びが身についていくことでしょう。
その後、分科会に移ります。
質疑応答などもあり、県外から参加された教師からの、「型通りの発表スタイルにとらわれず、もっと自分の想いを表現できてもよいのでは」という提案にとても共感しました。
また芸北小・中の挑戦科担当の先生からの発表では、学年ごとの子どもたちの様子がムービーで紹介されたり、挑戦科の背景にあるものや、育成するプロセスの説明などがありました。

「挑戦科」を通じて、地域・学校・家庭がつながりを強くもち、それぞれの強みを活かした関わりを深めていくことの大切さもよくわかりました。
NPO法人西中国山地自然史研究会では、「自然」「自然に関わる人」のデータや情報、ネットワークを多く持っていることが強みです。
地域の未来を担う子どもたち、教育現場での支援を継続していきたいと思います。

 

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【報告】芸北ジュニアトレッキングガイドサポート!(芸北中学校挑戦科)

芸北中学校1年生の挑戦科の授業で、芸北ジュニアトレッキングガイドとしての初仕事がありました!
大人のガイドさんのサポートを受けながら、中学生が考え、実施しました。
北広島町子ども農山村交流プロジェクトで。竹原市からきた小学生を雲月山トレッキングするガイドです。
緊張の面持ちで集合し、落ち着かない様子で待っています。
そこへ小学生もやってきて、ガイドスタートです。
最初は、「注意する事」をお手製の資料で紹介。
ちょっと笑いも起って、つかみはよかった??という表情で班に分かれます。
班の名前は「クリ「ナデシコ」「センブリ」だそうです。
自己紹介もぎこちなく始まりましたが、歩き始めるとにぎやかになってきました。
登山道沿いの植物や景色を紹介しています。
メモを見たり、大人のガイドさんにサポートしてもらいながら、キキョウ・ウメバチソウ・ススキ・オミナエシなどなどの解説です。
県境では 記念撮影をしたり、楽しんだようです。
頂上や下りを経て、ゴールし、ガイドも終了。
小学生のみなさんの感想はどうだったのでしょう?
ジュニアトレッキングガイドさんの取材は途中までの同行でしたので、後日またお話を聞いてみたいと思います。
次回は大人のガイドさんのサポートなしに、同じコースをガイドするそうです。
がんばってくださいね!!

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広島県生物多様性人材育成講座 第八回目〜生物多様性とは〜

2月24日(火)に実施された講座について、レポートします。

広島県生物多様性人材育成講座の8回目が開催されました。第1回目の講座と同じく高原の自然館の学芸員しらかわハカセが、今回の講師です。
この講座は今回が最後の回です。改めて「生物多様性とは何か?」を学びます。

受講生11名とスタッフ2名がグループに分かれ、テーブルに着きました。
しらかわハカセのお話は「改めてもう一度、“生物多様性の正体とは?”」というフレーズで始まりました。

北広島町では全国の自治体に先駆けて、生物多様性の保全の条例が制定されています。その取り組みの独自性や内容について詳しく解説していただきました。
様々な生物が息づいていることを「生物多様性」とし、その関係性がとぎれずにつながっていることを指します。私たちのフィールドでは現在どのような状況でしょう?3つの危機を通して、そんな話題をグループでも話しました。

またしらかわハカセはたくさんの書籍を紹介されました。
県内外の生物多様性や環境に関わる書籍です。これらは「どこで何が調べられているか。住所録のようなもの。」だそうです。しかし、「この地域で何を守るのか、何を大事にするのか」が書かれている書籍はたくさんはありません。

そこで、「自分たちだったらどの本を作りたい?」というグループへの問いかけがありました。グループワークでは「豊岡の戦略がナイス。いきものだけじゃない地域のいいところが書いてある。自分の地域にも欲しい。人が大事。地元を知る事が大事。」「山菜の食べ方。動物の食べ方。山で生きる為のノウハウ。昔を知り、未来に伝えたい。」「植物の方言。地域独特の言葉が興味深い。」といった意見が出ました。
このことから、データを集め、形に残し、過去を積み重ねることは、とても需要なことである、と気づきました。

北広島町生物多様性の保全に関する条例は、町民の豊かな生活を保証することが目的で作られています。そこで、町民にとっての「豊かさ」とは何か、が大切になってきます。
しらかわハカセはそれを「生物多様性は農村の文化や行事が育んできた。ここのつながりがとぎれようとしているので、制度・経済の観点からも、社会のしくみを整え、地域のアイデンティティを再認識する」ことが、豊かさだと位置づけられました。そのことに、受講生も共感し、大きくうなづいていました。

具体例として、芸北せどやま再生事業の紹介もあり、「保全のための保全から、活用のための保全(管理)へ」という非常に重要なキーワードを学びました。

まとめでは、4つのことを示していただき、生物多様性の正体に少し近づけたような気がしました。

受講生から「画一化された都市の話を聞いて、それを実感している。商店が消えている。地元に残るものがないことを改めて感じた。」という経済的視点の感想や、「生物多様性を自分の暮らしの中に見つける事ができ、今が豊かだということを感じた。」といった発見の感想、「地元での意識の統一化の工夫は?」といったテクニックへの質問など、話題が尽きない講座となりました。

全8回の講座を通して、少しでも生物多様性について学び、伝える技術が身に付いていただければ嬉しく思います。
最後に、受講回数の規定により講座修了と認められた4名に、広島県自然環境課の村田さんより、修了証書が授与されました。
これからも、受講生たちが、この講座で培った知識・技術・意識を持って、各フィールドでのご活躍されることを祈りながら、閉講としました。

手を広げるとオープンな関係を示せる、とのことで早速実践。

手を広げるとオープンな関係を示せる、とのことで早速実践。

修了書授与

修了書授与

グループワークの様子。

グループワークの様子。

熱心に聞き入る受講生。

熱心に聞き入る受講生。

「植物名の方言は興味深いねー」

「植物名の方言は興味深いねー」

たくさんの書籍・おすすめ本もおしえてもらった。

たくさんの書籍・おすすめ本もおしえてもらった。

「豊岡の戦略はすごいね」

「豊岡の戦略はすごいね」

最後の回は意見がたくさん出て盛り上がった!

最後の回は意見がたくさん出て盛り上がった!

しらかわハカセが講師とあって、いつもより多い受講生。

しらかわハカセが講師とあって、いつもより多い受講生。

芸北小・中学校合同公開研究会が開催

本日芸北小・中学校合同公開研究会が開催されました。
その中の報告発表で、高原の自然館しらかわハカセや、芸北トレッキングガイドの会も協力させていただいた芸北中学校一年生の挑戦科授業も事例として紹介されました。
「挑戦科」は、今年度から同校が文部科学省研究開発学校に指定され始まった、全国のモデルになるトップランナーの取り組みです。
「社会の中で自律して生きる力を有した子どもの育成」を研究主題に、公開授業、分科会、記念講演などが行なわれました。
それぞれの単元作りは「自然」「人」「文化・産業」をキーワードに「適度な負荷」「試行錯誤」をしながら学びます。また「くりかえし」チャレンジする事も重要です。授業スタイルも、「めざす自分」を想定し、手だてを考えて、体験します。
地域・学校・家庭が一体となった取り組みで、子どもたちだけでなく関わる人すべてにとって挑戦です。
プログラムとしては、「芸北の森林資源を活かす炭焼きに挑戦」や「これからの自分や芸北を考える古民家カフェに挑戦」など、発達過程に合わせた活動が授業となります。平成28年度までこの学習は続きます。
私たちも関わりを持ち、将来の芸北を担う子ども達を、地域で育てるお手伝いができればと思います。

 全体式

芸北小・中の挑戦科担当の先生から研究経過報告があった

芸北小・中の挑戦科担当の先生から研究経過報告があった

協力団体にNPO法人が。

協力団体にNPO法人が。

「めざせ!芸北ジュニアトレッキングガイド」の紹介

「めざせ!芸北ジュニアトレッキングガイド」の紹介

広島県生物多様性人材育成講座 第六回目〜広島県の地形と地質〜

10月9日(木)に実施された講座について、レポートします。

北広島町生物多様性専門委員であり、日本地質学会や日本火山学会などに所属されている河原富夫先生が、今回の講師です。広島県域で長年フィールド調査を続けておられる専門家の河原先生から、私たちの暮らしの風土を作っている地形や地質環境について講義いただきました。
まずは地球の歴史・年代の区分の解説がありました。続いて日本列島の地体構造のお話では、断層や特徴など、資料を見ながら紹介がありました。日本地図を見ながら、断層が多いところ、少ないところがあるように見えましたが、「研究者が少ないから解明できていない場所もある」ということも聞きました。
広島県域の地質になると、受講生も身近な話題となり、所々で質問も飛び出していました。
休憩時間を使って、先生が集めた岩石に触れさせていただきました。
広島県に多い花崗岩や流紋岩にも様々な種類があることや、石によっては「磁鉄鉱」が含まれており、それを先生のお手製の道具で確かめたりしました。
その後、北広島町の地質にも触れていただき、豊平では「残丘」というめずらしい地形があったり、苅尾山や雲月山で見る岩は高田流紋岩であることも教えていただき、受講生からは「ガイド時に実践で役立つ知識だ」との感想もありました。
また先生は最近頻発している土石流や火山噴火など自然災害にも触れられ、地形や地質を知る事は、防災の面でも重要な事だと感じました。
受講生からは「早速近所の地形や地質、断層を考えながら歩いてみたい」「遠くの地形を見る目を持とうと思った」という意見もあり、「現地講義も受けてみたい」という要望もありました。
私たちいきものがすむ環境の基盤である地形や地質を理解し、大きな視点を持って暮らしを続けることの大切さを感じた講座となりました。

地形と地質について、どんなお話が聞けるのか期待が高まる受講生

地形と地質について、どんなお話が聞けるのか期待が高まる受講生

広島県の地質図。地質で色分けされ、断層も書き込まれている。

広島県の地質図。地質で色分けされ、断層も書き込まれている。

磁鉄鉱が含まれているかどうか、実験中。

磁鉄鉱が含まれているかどうか、実験中。

受講生も岩石類を手にとって間近で観察。

受講生も岩石類を手にとって間近で観察。

先生は先の土石流災害の現地にも足を運ばれたそう。

先生は先の土石流災害の現地にも足を運ばれたそう。