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【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査 秋

団体での参加も含め,19人での調査になりました.講師はお馴染みの和田さん,大竹さん,佐久間さん,そして白川の4人です.現地に移動する前に,高原の自然館前で植生調査の方法について説明しました.不明な点への質問もあり,参加者のやる気が伺えました.現地では,はじめにパネルを使って,自然再生事業の概要について説明しました.各班で調査道具を持ち,夏の調査記録を分配しました.この記録に従って,調査地へと移動していきます.霧ヶ谷湿原の木道には番号が振ってあるので,簡単に場所を特定できます.今回は初めて参加される方が多かったのですが,各班とも順調に進みました.調査区が進につれて,植物の名前だけでなく「被度」や「郡度」などの評価も参加者の方自身でされるようになり,手際が良くなっていきました.しかし,慣れた頃には予定していた地点の調査を終えてしまいました.早く終わった斑は,それぞれの斑の講師に連れられて植物観察をして,ツリフネソウやアキグミの実を見つけたようです.すべての斑が調査を終えて戻ってきたところで,和田さんから,八幡湿原自然再生事業のきっかけとなった,自然史研究会による実験について説明していただきました.最後に,各班の状況を紹介していただき,感想を言い合いました.「わずか1平方メートルの中に,たくさんの植物があって驚いた」という方が多かったようです.また,講師の佐久間さんからは,夏の調査時とずいぶん植物が変わったという指摘がありました.大人数の調査でしたが,木道があるおかげで,湿原を傷めずに植生調査を体験できました.

夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
各班に別れて調査を進める.
各班に別れて調査を進める.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.小さな植物も見逃さないようによーく観察.
小さな植物も見逃さないようによーく観察.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原 秋のいきもの観察会

猛暑のニュースが続く中,すでに暑さとは無縁の八幡高原に22名の参加者が集いました.講師は夏の観察会に続き,和田先生と岩見先生です.高原の自然館前で,注意事項を確認した後,歩いて出発しました.湿原にたどりつくまでにも,満開のマツムシソウやそこにやってくる昆虫,草原に休むアカトンボなど,観察対象は盛りだくさんです.霧ヶ谷湿原の手前にある水口谷湿原では,ゴマナ,タンナトリカブトなど,秋の花が咲いています.ヨシの茎で休息するシュレーゲルアオガエルも見られました. 水口谷を抜けて霧ヶ谷の再生事業地にたどり着くと,カラコギカエデのトンネルが迎えてくれます.プロペラ状の実を付けていますが,少し数が少ないようです.足下はピンクのミゾソバと青いツユクサが彩ります.そのトンネルを抜けると,木道の始まりです.遠目には夏に比べて色褪せたように見える霧ヶ谷ですが,ゴマナやオタカラコウが点々と咲いています.最初のパネルでは,「導水路を使って水を行き渡らせる」という,再生事業の方法について説明していただきました.パネルのそば,湿原の中央を流れる河川を岩見先生がひとすくいすると,ムカシトンボのヤゴやサワガニなど,小さな生物が色々と入っています.細い木道を進んでいくと,アキアカネ,ノシメトンボ,ミヤマアカネなど,アカトンボの仲間が次々に見られます.再生した水路にはタカハヤが泳ぎ,フトヒルムシロが葉を広げていました.ぐるりと一周し,道路沿いのパネルのところでは,霧ヶ谷の変遷と再生の全体像,実験地について説明していただき,復路をたどりました.お昼過ぎまでの観察会でしたが,動物・植物ともに色々なものを観察することができ,また,湿原の再生も実感できる観察会でした.

出発してすぐ,マツムシソウには色々な虫がやってきていた. 出発してすぐ,マツムシソウには色々な虫がやってきていた.
ヌルデにできた虫こぶ. ヌルデにできた虫こぶ.
水口谷湿原のタンナトリカブト.
水口谷湿原のタンナトリカブト.
水口谷湿原では「散策マップ」を使って植物を確認. 水口谷湿原では「散策マップ」を使って植物を確認.
花盛りを迎えたソバナ. 花盛りを迎えたソバナ.
夏に咲いていたコオニユリは実になっていた. 夏に咲いていたコオニユリは実になっていた.
霧ヶ谷湿原の入口で,休憩がてら説明する和田先生. 霧ヶ谷湿原の入口で,休憩がてら説明する和田先生.
パネルを示しながらの導水方法についての説明を聞く. パネルを示しながらの導水方法についての説明を聞く.改修された水路から岩見先生が落ち葉をすくい上げた.

改修された水路から岩見先生が落ち葉をすくい上げた.
落ち葉の中にいた,小さなサワガニ. 落ち葉の中にいた,小さなサワガニ.橋の上から川底を覗き込む.

橋の上から川底を覗き込む.
霧ヶ谷湿原で見つけたカヤネズミの巣. 霧ヶ谷湿原で見つけたカヤネズミの巣.
タカハヤがたくさん見られた溜まり. タカハヤがたくさん見られた溜まり.導水路にはカワニナが見られた.

導水路にはカワニナが見られた.
最後に,高原の自然館で全体を振り返って終了した. 最後に,高原の自然館で全体を振り返って終了した.

【イベント報告】可愛川の水生生物観察会

夏休み中の観察会とあって,参加者30人と大人数での開催となりました.まずは千代田公民館で講義からスタートです.今回の講師,内藤先生より“オオサンショウウオについて”という資料をいただき,プロジェクターで映し出される映像を見ながら,日本にはどんな両生類がいるのか,中国地方に生息するサンショウウオの環境,オオサンショウウオの生態などを先生の経験を交えてお話いただきました.オオサンショウウオがどのようなものを食べているかという調査の結果を写真で見せていただきましたが,アユやウグイなどの魚類はもちろんのこと,ガムシやツチガエル,スジエビやアオダイショウ,カワガラスの羽,丸ごと一株の白菜まで出てきたと聞き,オオサンショウウオの貪欲性が大変よく分かりました. 1時間ほどの講義を終え,現地の可愛川の上官井堰(じょうかんいぜき)へ移動しました.天気が良く,川の水も気持ちがいいので参加者はざぶざぶと川へ入ります.水生生物の観察会ということで,子ども達は魚を捕まえ「これは何の魚?」と先生に質問を重ねていました.一方大人の参加者は両川岸のヨシの茂みをのぞき込み,オオサンショウウオを探します.しばらくすると見つかったようで.調査のために次々と浅瀬へ運ばれて来ました.大きいのも小さいのもいます.内藤先生がマーカーを使い,個体ごとのチェックを行います.その結果,今回見つけた13匹のうち,7匹は新しく見つかった個体ということがわかりました.オオサンショウウオをよく見ると,前足の指の数は4本で,後ろ足は5本です.指の形も水中で立っていられるように少し曲がり,支えられる形になっていることを新たに知りました.こうやってオオサンショウウオを詳しく観察できることは,オオサンショウウオが生息できる今の川の環境のおかげです.とても貴重な経験をしたことを嬉しく思い,夏の思い出がまた増えた観察会となりました.

内藤先生による講義の様子. 内藤先生による講義の様子.
調査に使うマーカーやチップをみせていただく. 調査に使うマーカーやチップをみせていただく.
晴れていて気持ちのいい観察会日和. 晴れていて気持ちのいい観察会日和.
早速観察モード.準備はいいかーい!? 早速観察モード.準備はいいかーい!?
内藤先生もオオサンショウウオ探しに向かう. 内藤先生もオオサンショウウオ探しに向かう.
最初の一匹が到着.わりと小型の方かな? 最初の一匹が到着.わりと小型の方かな?
ヨシのしげみの下を探す大人達. ヨシのしげみの下を探す大人達.
オオサンショウウオと自分の手を比べると・・「指の数がおんなじだぁ」 オオサンショウウオと自分の手を比べると・・「指の数がおんなじだぁ」
「このあたりにいそう」とのぞきこむ内藤先生と参加者. 「このあたりにいそう」とのぞきこむ内藤先生と参加者.なかなか見ることのできないチャンスなのでじっと観察.

なかなか見ることのできないチャンスなのでじっと観察.
マーカーを使い,個体のチェックをする内藤先生. マーカーを使い,個体のチェックをする内藤先生.
うごきまわるオオサンショウウオ.けっこう素早い動き. うごきまわるオオサンショウウオ.けっこう素早い動き.これは一番小さい個体だった.

これは一番小さい個体だった.
もぐって魚を探すのが楽しい! もぐって魚を探すのが楽しい!
ユーモラスな顔つきのヨシノボリ. ユーモラスな顔つきのヨシノボリ.
調査後,オオサンショウウオをもとにいた場所に連れて行く. 調査後,オオサンショウウオをもとにいた場所に連れて行く.
水の中でうごめくオオサンショウウオ. 水の中でうごめくオオサンショウウオ.
最後のまとめをする内藤先生. 最後のまとめをする内藤先生.

【イベント報告】カワシンジュガイの観察会

フィールドに出る前に,まず芸北文化ホールで「カワシンジュガイの繁殖生態と保護」と題して,資料・パソコンを使っての講義がありました.カワシンジュガイの分布域や.氷河期の生残りで絶滅危惧種であること.北広島町の天然記念物であることの説明がありました.また.北広島町(旧芸北町)での発見と同定依頼の際の話や,保護・繁殖依頼により研究を続けられた経緯,ほ場整備後の河川の環境指導など,写真を見ながら興味深い話をたくさんしていただきました.発見当時から芸北でずっとカワシンジュガイに関わって来たということで近藤紘史理事長も参加していただいて,昔はこどもの頃から「立ちっ貝」といって川でたくさん見ていた話や,戦時中の食糧難の時代には,おいしくなかったけど食用にした話も聞きました.中国地方での分布・発見の経緯や現状,日本全国での調査研究・参考見学の話もおもしろく聞かせていただきました.実際に繁殖生態の解明や写真説明は個体数が少ない中で,長年の地道な研究で大変な御苦労があったのだろう事が想像されました.アブラボテと「相利共生」と考えられていたが,「片利共生」であったこと,アマゴのエラに4月から2ヶ月寄生してから川底での生活に移行すること,生息域の河川環境やアマゴの生息域,アマゴ解禁の影響などいろいろ考えさせられることの多い話でした.講義質問の終了後,現地へ移動して実際にカワシンジュガイとご対面です.川の水が「冷たい」と実感しながら,流れのある中央ではなく川の端の草の根元の方に意外と簡単にカワシンジュガイを見つけることができて,「ここにも」,「ここにも」,とみなさん大喜びです.周辺を泳いでいるアブラボテの雄の婚姻色を確認したり.カワムツの雄の婚姻色の赤色を観察しました.「久しぶりに見た」とサワガニを捕まえる人,箱眼鏡で水中をのぞきっぱなしの人,石に張り付いているプラナリアを観察する人と,みなさん講義・現地観察とも十分楽しまれたのではないでしょうか.

芸北文化ホールにて,講義の始まり. 芸北文化ホールにて,講義の始まり.
カワシンジュガイとアブラボテ カワシンジュガイとアブラボテ「立ちっ貝」と呼ばれるいろいろな淡水二枚貝の紹介.

「立ちっ貝」と呼ばれるいろいろな淡水二枚貝の紹介.
「ここらを探してみてください」と言われ懸命に探す参加者. 「ここらを探してみてください」と言われ懸命に探す参加者.
「いた,いた」とそぉっと観察. 「いた,いた」とそぉっと観察.
アブラボテの雄の婚姻色. アブラボテの雄の婚姻色.
きたひろネットによる水中撮影. きたひろネットによる水中撮影.
観察会終了後,内藤先生から補足説明があった. 観察会終了後,内藤先生から補足説明があった.
カワシンジュガイが生息する 河川環境. カワシンジュガイが生息する 河川環境.

【イベント報告】こども観察会〜植物標本をつくろう〜

「夏休み企画」ということで,子ども限定の標本作り教室を開催しました.講師の佐久間先生は,普段から,お仕事でも自分の調査でも標本を作っている専門家です.今回は北広島町内外から6組9人の子どもさんと保護者の方たちが参加されました. はじめに,山麓庵で植物標本についての説明を聞きました.標本を作る目的や,どのように活用されるのかなど,実際に携わっている佐久間先生の話は,とても興味深いものでした.特に「標本にすれば100年でも保存できる」ということに,子ども達もびっくりしていたようです.実物の植物標本も見せて頂き,花や種が付いている方が良いこと,葉の裏側も見えるように工夫することなどを説明していただきました. 一通りの説明を聞いたら,いよいよ植物体の採取です.草本は根から掘り取ること,樹木は適当な大きさで枝を切り取ることなど,実演を見せてもらった後は,親子で力を合わせて標本を集めました.一人20種が目標です.大きな草本は腕の長さで折れば新聞に収まること,よけいな木の枝を切り落とす時には,枝の付き方が分かるように少し残して切り落とすことなど,ちょっとした工夫も守りながら採取しました. 採取ができたら,もう一度山麓庵に戻って,いよいよ標本を挟んでいきます.ただ挟むのではなく,新聞紙の破り方,置くときの新聞紙の向き,葉の広げ方など,細かい点にも注意しながら進めていきます.保護者の方に手伝ってもらいながら,みんな頑張っていました.大きな草がとくにたいへんそうでした.標本が出来上がったら,挟んだ標本の管理や台紙への張り方について説明があり,最後に先生から全員にラベル用紙が配られました.このラベル用紙は,先生が実際に使っているもので,参加者からは「カッコイイ」という声も上がっていました.それぞれの家で,きっと良い標本が出来上がったことでしょう.

山麓庵で説明をする佐久間先生. 山麓庵で説明をする佐久間先生.
実物の標本を持ってきてくださった. 実物の標本を持ってきてくださった.初めて見る植物標本に,みんな興味津々.

初めて見る植物標本に,みんな興味津々.
並べると,植物標本はやっぱり美しい. 並べると,植物標本はやっぱり美しい.
講義を受けたら,いよいよ植物採取. 講義を受けたら,いよいよ植物採取.
採取のしかたをしっかり聞く. 採取のしかたをしっかり聞く.草本は根から掘り取る. 草本は根から掘り取る.
長い標本は腕の長さで折る. 長い標本は腕の長さで折る.
子どもの腕はまだ短いので,お母さんの腕を拝借. 子どもの腕はまだ短いので,お母さんの腕を拝借.標本が集まったら,もう一度山麓庵へ.

標本が集まったら,もう一度山麓庵へ.新聞を破ることから開始.

新聞を破ることから開始.説明通りにできるかな... 説明通りにできるかな...半分にした新聞紙に挟んでいく.

半分にした新聞紙に挟んでいく.
大物は,みんなで力を合わせて. 大物は,みんなで力を合わせて.
完成したら,ダンボールで挟んで縛ってできあがり. 完成したら,ダンボールで挟んで縛ってできあがり.
上手く挟めているかな・・・? 上手く挟めているかな・・・?