霧ヶ谷湿原の保全」カテゴリーアーカイブ

【イベント報告】霧ヶ谷実験地の植生調査

その朝は強い雨と雷で早朝に目が覚めました.雨だけならなんとかなるのですが,雷がひどく続くようなら中止も考えないといけません.そもそも参加者の方達が来られないかもしれません.それでも,研究会の携帯電話は鳴りませんでした.集合時間が近づくにつれ,次第に雨脚も弱くなり,参加者のみなさんも集まってきました.事務局の心配を余所に,みなさんはやる気満々です.まず,昨年までの経過について,学会で発表した内容を佐久間さんが紹介してくれました.再生事業の現場を見るのもはじめて,という方もあったので,まずは実際に再生が行われている現場を観察してから,3班に分かれて調査を開始しました.今回の調査でも,ずいぶんと湿地の植物が増えているような印象でした.また,実験地内のカラコギカエデが弱っていることが,目に見えて分かりました.水をまわしただけでも,湿地の植生に近づいていることが実感できました.実験地のまわりでは,ヒメシジミが飛び交い,冬虫夏草(?)も見ることができました.実際の事業地も変化が見られ,今後も霧ヶ谷から目が放せません.

調査を始める前に,館内でこれまでの経過を聞いた.
調査を始める前に,館内でこれまでの経過を聞いた.
再生事業地で堰などを見学した.
再生事業地で堰などを見学した.
水がたくさん流れる再生事業地.
水がたくさん流れる再生事業地.
全ての種の高さを測る.
全ての種の高さを測る.
雨だったので,雨野帳を使った.
雨だったので,雨野帳を使った.
冬虫夏草になるのかな?
冬虫夏草になるのかな?
まずは写真撮影から.
まずは写真撮影から.以前のデータと比較して確認.
以前のデータと比較して確認.
プロットを探して調査開始.
プロットを探して調査開始.
ヒメシジミは雄が多かった.
ヒメシジミは雄が多かった.
調査を終えて,記念撮影.
調査を終えて,記念撮影.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査

広島市内などでは豪雨の所もあったようですが,八幡高原では晴れ間も覗くお天気でした.今回の調査に集まったのは11人.4つの班に分かれて調査を行いました.各班3~5のプロットを調査したのですが,手際よく調査が進められ,お昼前には調査が終了しました.今年からは「ダンポール」という目印を立てておいたので,調査プロットを見つけやすくなったことも早かった要因だと思います.これについては,かなり前から指摘があったのですが,やっと方法が定着しました.これまでに参加したみなさん,手間をおかけしました.実験地の反対側では,薮が切り開かれ,自然再生工事が進んでいました.見晴らしが良くなった霧ヶ谷を見ると,なんだか感慨深いものがあります.こうして実験地の調査を続けてきたことが再生事業に繋がったことを思うと,これからも続けていかないといけないと改めて感じました.
自然館に戻り,調査のまとめをしました.初めて参加した方は,ほんのわずかの面積にたくさんの植物が生育していることや,調査の専門家の知識に驚かれていたようです.今回は現地で同定できなかった種はほんの数種だったので,午前中で解散しました.お昼ごはんを食べ終わるころには雨になり,今回もお天道様が味方してくれたんだな,と思いました.
調査指導をし,写真を提供してくださった大竹さん,渡邉さん,佐久間さん,小宮さん,ありがとうございました.

実験地と反対側にある,工事中の自然再生事業地を眺める.木が伐採されて,すっかり風景が変わった.
実験地と反対側にある,工事中の自然再生事業地を眺める.木が伐採されて,すっかり風景が変わった.
調査を始める前のレクチャー.
調査を始める前のレクチャー.
今回は4班に分かれて調査をした.
今回は4班に分かれて調査をした.
導水したプロットで,ヨシ,コバギボウシ,ヒメシロネなど,多様な湿地生植物が見られた.
導水したプロットで,ヨシ,コバギボウシ,ヒメシロネなど,多様な湿地生植物が見られた.
このプロットではイが優占していた.
このプロットではイが優占していた.
調査を終え,自然館の前でまとめをした.
調査を終え,自然館の前でまとめをした.
八幡湿原自然再生事業は,公園整備でも河川改修でもなく,湿原を再生する工事.
八幡湿原自然再生事業は,公園整備でも河川改修でもなく,湿原を再生する工事.
氾濫原を再現するために,コンクリートの側壁が壊され,河川の構造が変えられていく.
氾濫原を再現するために,コンクリートの側壁が壊され,河川の構造が変えられていく.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原実験地の植生調査

水路を設置してから3回目となる,夏の植生調査です.すっかり調査に慣れた方も,はじめての方も,合わせて16名が揃いました.高原の自然館で八幡湿原自然再生事業のパンフレットを見ながら,事業の内容や実験の意義についての説明をした後,調査地へと向かいました.
調査地では4つの班に分かれて,合わせて14個のプロットを調査しました.調査の指導をしていただいたのは,大竹邦暁さん,小宮啓吾さん,佐久間智子さんで,いずれも植物調査のプロです.各班とも問題なく調査を終えたようでした.今回は,杭の所に長いポールを立てていたので,プロットを見つけやすかったのも良かったようです.
調査が終わった後に感想を聞いてみると,継続的に参加している方からは,植生の変化のことが聞かれました.特に,一度ヒメシロネが増えた場所が,今年はヨモギが増えていたなど,小さな変化があることが挙げられました.また,あるプロットではコバギボウシがしっかりと増えていたそうで,これは嬉しい報告でした.
自然館に戻ってから一応解散とし,午後からは同定をしながら標本を作りました.雨が心配されましたが,1度ぱらついただけで済み,予定通りの調査を終えることができました.

4班に分かれて,早速調査開始.
4班に分かれて,早速調査開始.
みんなで小さなプロットに見入る.
みんなで小さなプロットに見入る.
こちらは対照区.ヨモギが多い.
こちらは対照区.ヨモギが多い.
初参加でも,即戦力.
初参加でも,即戦力.イとヒメシロネが増えたプロット.
イとヒメシロネが増えたプロット.
こちらはコバギボウシが叢生した.
こちらはコバギボウシが叢生した.
斜面下部ではオタカラコウとヨシが増えた.
斜面下部ではオタカラコウとヨシが増えた.
調査後に感想を言い合った.
調査後に感想を言い合った.
標本づくり&同定会.
標本づくり&同定会.
いろんな図鑑を駆使して調べる.
いろんな図鑑を駆使して調べる.
樹木も,小さいときには姿が違う.
樹木も,小さいときには姿が違う.
先輩といえど,譲れない!
先輩といえど,譲れない!

【イベント報告】カスミサンショウウオの産卵調査

はじめに,集まった20名の参加者のみなさんと一緒に自然館内の展示を見ながらお話を聞きました.講師の内藤先生より,ヒダサンショウウオ,ハコネサンショウウオ,ブチサンショウウオ,カスミサンショウウオ,オオサンショウウオの生態や生息環境の違いなどの解説がありました.今回調査するカスミサンショウウオは,止水性の湿地に生息し,低地型,高地型と分けられ,芸北では標高が高いのにもかかわらず,尾に黄条がある低地型の個体が生息しているとの事でした.
その後,二川キャンプ場に移動しました.調査方法を教えてもらい,4斑に別れ,班長さんについて調査開始です!野外での観察会にはもってこいの晴天でした.私は道路より西側の調査をする3斑になりました.生息していそうな水がたまったところを目をこらしてみたり,手を差しこみ卵塊があるかチェックしました.
すぐには見つかりませんでしたが,「あったーー!!」という子どもの声にみんなが集まり,卵塊を手にとりじっくり観察しました.すでに幼生の形になっている胚を見て,「かわいいね」という声があがっていました.卵の数を数え,卵塊を元通りにかえし,無事ふ化することを願いました.何カ所かで卵塊は発見しましたが,成体の姿は見あたりませんでした.
しばらく歩くと,道路沿いの側溝で,おびただしい数の卵塊を発見しました.側溝の水深は深く,ふつうなら産卵する環境ではないことから,成体がなんらかの理由で側溝に落ち,そこで産卵せざるを得ない状況になったのだろうという予想がなされました.ここでは卵塊が44個,成体が3匹見つかりました.
最後にキャンプ場に帰り,各班の報告を聞き,まとめをしました.カスミサンショウウオ以外にも,コオイムシ,アカハライモリ,ヤマアカガエルの卵やニホンヒキガエルの姿も見ることができました.今回の観察会では,子どもの参加者が多く,実際に自分たちで歩いてさがし,見て触れることができ,楽しそうに,そして興味深そうに卵塊や成体を観察していた姿が印象的でした.

自然館の中で解説を聞いてから出発.
自然館の中で解説を聞いてから出発.
解説する内藤先生.
解説する内藤先生.
大人も子どもも真剣?
大人も子どもも真剣?卵嚢の形をしっかりと覚えて,班ごとに散開.
卵嚢の形をしっかりと覚えて,班ごとに散開.
それぞれの持ち場で調査の開始.
それぞれの持ち場で調査の開始.
早速卵塊が見つかった.
早速卵塊が見つかった.
再生事業地内の水路は,とても産卵ができる環境ではなかった.
再生事業地内の水路は,とても産卵ができる環境ではなかった.
マアザミがある場所に行っても,ヤマアカガエルの卵塊が一つあるだけだった.
マアザミがある場所に行っても,ヤマアカガエルの卵塊が一つあるだけだった.
とある場所で大量の卵塊を見つけた.
とある場所で大量の卵塊を見つけた.
たくさんの卵嚢が見つかったのは,実は道路側溝の枡.カスミサンショウウオは,仕方なくここで産卵していた.
たくさんの卵嚢が見つかったのは,実は道路側溝の枡.カスミサンショウウオは,仕方なくここで産卵していた.
引き上げてみるとこんなにたくさんあった.
引き上げてみるとこんなにたくさんあった.
同じ場所で成体も見つかった.
同じ場所で成体も見つかった.
一房ずつ,胚の数を数えた.
一房ずつ,胚の数を数えた.
カスミサンショウウオ以外にも,イロイロと発見がある.これはお腹の色が鮮やかなイモリ.
カスミサンショウウオ以外にも,イロイロと発見がある.これはお腹の色が鮮やかなイモリ.
再び,二川キャンプ場駐車場に集合し,各々の調査結果を報告しあった.
再び,二川キャンプ場駐車場に集合し,各々の調査結果を報告しあった.
カスミサンショウウオの生息環境と産卵環境について説明を聞いた.
カスミサンショウウオの生息環境と産卵環境について説明を聞いた.
2班は東側でいくつかの卵塊を見つけた.やはり山裾が重要な場所らしい.
2班は東側でいくつかの卵塊を見つけた.やはり山裾が重要な場所らしい.
子供達も感想を発表した.
子供達も感想を発表した.
こちらも何か探索中.
こちらも何か探索中.
オオコオイムシは,雄が卵を背負って守る.
オオコオイムシは,雄が卵を背負って守る.
調査が終了し,午後には実験区の整備作業を行った.
調査が終了し,午後には実験区の整備作業を行った.
これで,水路から水が回るようになった.
これで,水路から水が回るようになった.