投稿者「スタッフ」のアーカイブ

広島県生物多様性人材育成講座 第七回目〜雪原のトレッキング【野外講習】〜

2月8日(日)に実施された講座について、レポートします。

第七回目は野外講座として、「雪原のトレッキング」に同行し、講師の知識や技術をフィールドで学びました。今回の受講生は4名です。

冬まっただなかの八幡高原は、積雪が120センチを越えています。雪が降り続く中での開催となりました。
最初に高原の自然館を見学し、おーいの丘を経由し、山際を通り、千町原を通るコースです。その中で、見つけた生き物やフィールドサインを観察します。 講師は生き物の専門家2名です。2班に分かれ出発しました。
雪上の歩き方、普段歩けない所を歩ける反面危険があることなどのの注意点を共有しました。
かんじきの履き方は、芸北でガイドをしている2名が上手に誘導することができました。
テンの足跡、ウサギの足跡・食跡など、姿はみえないものの、サインがところどころにあります。
よーく見ると雪の上には小さな小さな生き物もいます。
「これは、トビムシの仲間。おなかにバネのようなものがあって飛び跳ねるんだよ」と、小さな子どもでも分かるような説明で始まりました。
最初に講師がめあてとして、「冬に見れる繭があるので、みんなで探そう!」のミッションが発令!
その通りに、山際ではクリの木にヤママユという蛾の仲間の繭を見つけました。黄緑色のきれいな繭で、そこで講師からヤママユの生活史などの説明がありました。
図鑑で見たよりも少しくすんだ色にみえましたが、フィールドで見る事ができた喜びが伝わってきました。

そのように、最初に自然館の中や図鑑で観察できるものを示し、実際にフィールドで見て詳しく説明する、という手法は子どもから大人にしっかりと伝わり、見つける楽しさも与えられるということがわかりました。
これより講師の知識を、工夫次第でより効果的に伝えることができるという学びになりました。
野外活動の課題の一つ、一列になってしまい声が聞こえにくくなることは、雪の上でも同じでしたが、間に伝達者としてスタッフが入ったこともよかったようです。
後の振り返りの場で、受講生からは「初心者と経験者での別プログラムの提案」や「生き物だけでなく雪や天気に関する知識」「子どもが飽きた時の対処法」など様々な意見が出ました。
雪上という通常とは違った状況で、楽しく安全に自然について学べる場を設け、専門的な知識をもって講師の知識や技術で、冬ならではの生物の多様性が感じられた観察会、そして講座となりました。

ウサギが食べた跡

ウサギが食べた跡

おーいの丘に向けて出発!!

おーいの丘に向けて出発!!

後ろのグループにもわかるように、キツネの足跡

後ろのグループにもわかるように、キツネの足跡

ヤママユの繭を発見!

ヤママユの繭を発見!

テンの足跡を示す講師

テンの足跡を示す講師

「冬を生きる動物の生態」の中止のお知らせ

2015年1月17日(土)に実施予定の「冬を生きる動物の生態」について、都合により中止とさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、ご了承ください。
参加申し込みをいただいていた方には、個別に通知をしています。
次回の観察会は、2月8日(日)となります。

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シンポジウム「北広島の未来を語る」@大朝

11月30日(日)「北広島の未来を語る」が大朝にて開催されましたので、レポートします。
シンポジウムに先立ち、エコロジーツアーも行なわれ、芸北せどやま再生事業の見学がトップバッターでした。

定員を超えた30名のみなさんが、バスにてせどやま市場まで来てくださいました。NPO法人西中国山地自然史研究会の近藤理事長から事業の説明、芸北せどやま再生会議の上田代表からせどやま市場の状況説明がありました。

町内外から集まった参加者は熱心に聞き入り、興味深く見学されていました。
計量のデモンストレーションでは、原木を見て「1トンくらい?」「いやいやそんなに重たくないだろう」とコナラの重さを予想されていました。(実際は770kgでした)
薪割りの様子も見ていただきました。

受け入れた木の販売先として、芸北オークガーデンの薪ボイラー設置の様子も見に行きました。
ここでは芸北オークガーデンの松田支配人が、わかりやすい解説をしてくださいました。
今薪のストックヤードに置いてあるのは約4ヶ月分で、ひと束が約600kgだとのこと。来春からこの薪でわかした温泉に入れるかと思うと、とっても楽しみです。
レストラン内にある薪ストーブも見学しました。

その後、一行はわさ環境講演見学メガソーラ&BDF燃料見学へと向かわれました。

このシンポジウムと同時開催で、「わさまち通り商店街プロジェクト」もあり、大朝の商店街を復活させる取り組みも熱く進んでいました。
少しおじゃましたのですが、人の多さ、楽しそうな笑顔、活気にあふれていました。
大朝はアートな方が多い印象でしたが、その方たちの作品の展示、ワークショップ、カフェなどが存分に味わえ、また商店街の建物の特性を活かしたすばらしいプロジェクトだと感じました。

午後からは、シンポジウムです。
NPO法人INE OASA堀田さんの言葉で開会しました。
オープニング、エンディングともにメッセージ性があり、クオリティの高いビデオが流され、ここでも「田舎のよさ」がしっかりとPRされていました。

今回のシンポジウム開催となったメガソーラ設置の事業効果などの説明が、広島県の方からありました。
「地域と連携し、これからの事業を進めていきたい」と述べられていたのが印象的でした。

次の発表は、北広島町長から、新エネビジョンの取り組みとして、北広島町が取り組む政策や地域資源の活用についてお話がありました。
今からの具体的な事業として、「エコツアー事業」を挙げられており、これからの取り組みに期待がふくらみました。

3番目に、高原の自然館のしらかわハカセから「芸北せどやま再生事業と生物多様性」というテーマで発表がありました。
芸北で始まった「薪活!」や全国の自治体に先駆けて始まった「北広島町の生物多様性の取り組み」について、具体的な例を挙げながらの紹介は、会場の参加者みんなが話に引き込まれました。「ふるさと教育」についても、芸北の子ども達の授業風景が紹介され、状況や特性がとてもよくわかりました。
地域活性化に重要な「深み」のお話では、とても重要なことがお話されたのではないかと思います。
最後の5つの問いかけ、とてもよかったですね。このことは高い関心が寄せられたように感じました。

発表の最後は、NPO法人INE OASAの堀田さんから「おおあさの未来」と題して、大朝の状況や、ふるさとを大切に思い、その思いをどうやって未来につなげていくか、どうやっていい未来を実現させていくか、といったお話がありました。
視察にいった報告や、NPOで進められている事業を例に示しながら、参加できる場づくりから人とのつながりが生まれ、みんなが元気にがんばれる地域になるように、考えて動かれている事がわかりました。
また、たくさんの仲間に恵まれていることもわかりました。

会場からはいくつか質問もあがりました。
このシンポジウムで、地域での取り組みや、町の政策にも関心が寄せられ、そこでがんばっている方々の姿が見えたのではないかと思います。
きたひろしまスタイルで、自然資源を活かした持続可能な取り組みが実現し、町民のみなさんが本当の意味での「豊かな生活」が送れることになりますよう、もう一度しっかりと今日のお話を思い返しながら、シンポジウムの会場をあとにしました。

開催にあたって準備などをしてくださったみなさま、お世話になりました。
すばらしい機会をありがとうございました。
商店街のにぎわいも、続きますように。

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第10回全国草原サミット・シンポジウムin阿蘇

西中国山地自然史研究会の大きな事業の柱のひとつに草原保全活動があります。
草原保全の活動は、全国で行なわれており、仲間もたくさんいます。減り続ける草原の保全や活用を考え、未来に草原を残していくため、第10回全国草原サミット・シンポジウムが開催され、西中国山地自然史研究会も理事長をはじめ3名で出席しました。

1日目はエクスカーションで、草千里の見学、輪地切りの現場、草泊まりの見学に参加しました。雄大な阿蘇の自然の中でも、草原がある風景は絶景で、草千里では広さやどこまでも続く草原にため息がでました。
その草原を支える活動の紹介もあり、実際に輪切りをしてる現場を見させていただきました。ボランティアさんの中でもリーダの方が集まっていました。この現場はかなりの急傾斜で、経験が必要です。講習を重ね、経験年数もかなり多いボランティアがおられました。夜峰山から見る景色もこれまたすばらしかったです。
最後に草泊まりを紹介いただき、昔からの知恵や技を受け継ぐ大切さを肌で感じました。草泊まりは素朴な作りですが、広大な草原での草刈りには欠かせないものです。カヤを利用して宿泊テントを作れるなんて、すばらしいと思いました。小学生の学習などに使われていると聞いてうらやましく感じました。

2日目はシンポジウムで、基調講演・事例報告・分科会などがありました。西中国山地自然史研究会ではパネル展示、書籍販売をしました。
シンポジウムの中では、草原の価値や各地の活動紹介、課題などが取り上げられました。草原をとりまく大きな話題から、小さな動きまで知る事が出来ました。
芸北からは芸北小学校6年生が第5分科会内の子ども草原サミットで発表し、次世代の担い手として「環境保全の活動を続けること・自然資源の利用のしくみを見つけること」を体験を通して学び、そこからの提案を堂々と発表しました。他地域の子どもたちも、地域の活動を通して、草原の必要性や野焼きの大切さなどをそれぞれの視点で発表しました。
最後は「第2回全国子ども草原サミット宣言」が採択され、分科会は幕を閉じました。
続いての全体討論会では、パネラーとしてしらかわハカセも登壇しました。各分科会からの報告はどれも興味深く、体が5つあったら全部聞けたのになーと思いました。これからの担い手である子どもたちから、大変積極的な意見も飛び出し、会場の参加者からは大きな拍手がわき上がりました。そして最後に全国草原シンポジウム阿蘇宣言が読み上げられました。阿蘇宣言には、草原の経済的価値を明らかにしたり、「残したい日本の草原100」の選定に取り込むことなどが盛り込まれていました。

この夜の交流会では、各地からの参加者と懇親が計られ、草原の話題を中心に多いに盛り上がりました。

最終日は草原サミットの開催です。各自治体の首長が一堂に会し、各地の報告や課題などを紹介したあと議論をされました。私たちの町、北広島町も箕野博司町長がプレゼンテーションをされました。「ふるさと学習」での草原利用などの話題をお話され、会場の参加者はメモを取ったり、北広島町の取り組みに熱心に聞き入っていました。
サミットの最後は、草原サミット宣言の採択です。
第8回のシンポジウム宣言は北広島町で採択されており、宣言は「草原はいつも私たちのそばにありました」と始まります。草原がある暮らしが当たり前だった時に比べ、社会や文化の変化で環境も変化しています。残さなければならないものは何か、その為には何ができるのか、という意識を持つ重要性を認識した思い出深い宣言です。同時のサミット宣言も安全確保や継承にも触れ、持続可能な取り組みである続けるよう支援やしくみの再築を願い、後世に引き継ぐことを宣言しています。

第9回を経て、第10回の阿蘇宣言では草原の役割や価値を広め、保全や再生を具体的に取り組む5つの提言が宣言されました。
テーマである「守りつなごう草原の恵み!おとなも子どもも!」が実現し、多様な恵みある草原の価値が高まり、次世代へ引き次がれることを願ってやみません。

ボランティアさんと一緒に撮ってもらったよ。福岡から参加されているとのこと。

ボランティアさんと一緒に撮ってもらったよ。福岡から参加されているとのこと。

芸北では「火道をきる」というが、阿蘇では「輪地切り」という。

芸北では「火道をきる」というが、阿蘇では「輪地切り」という。

ボランティアさんの活動について説明中。野焼・輪地切りには延べ14000人が参加するとか。スケールの違いにびっくり!

ボランティアさんの活動について説明中。野焼・輪地切りには延べ14000人が参加するとか。スケールの違いにびっくり!

ブースでは西中国山地自然史研究会の理事による説明も。

ブースでは西中国山地自然史研究会の理事による説明も。

第5分科会は「第2回全国子ども草原サミット」。 ふるさとの草原は宝の山!ぼくたち草原まもるモン(草原守人)がテーマ。 芸北小学校6年生も登場。つなぎがいいね!

第5分科会は「第2回全国子ども草原サミット」。
ふるさとの草原は宝の山!ぼくたち草原まもるモン(草原守人)がテーマ。
芸北小学校6年生も登場。つなぎがいいね!

くまモンとはらっぱー。

くまモンとはらっぱー。

各地から自己紹介@北広島町

各地から自己紹介@北広島町

第2分科会コーディネーターしらかわハカセが、報告する。

第2分科会コーディネーターしらかわハカセが、報告する。

阿蘇で神楽が見れるとは!八岐大蛇。

阿蘇で神楽が見れるとは!八岐大蛇。

全国草原サミット内で北広島町の取り組みを発表された箕野町長。

全国草原サミット内で北広島町の取り組みを発表された箕野町長。

大阪自然史フェスティバルにてブース出展

11月16日(日)に行なわれた大阪自然史フェスティバルでのブース出展の模様をレポートします。
西中国山地自然史研究会の情報発信事業として、大阪市立自然史博物館にて開催される「大阪自然史フェスティバル2014」にてブースを出す事となりました。
大阪自然史フェスティバル」は、自然関連のサークル、地域の自然保護団体等が一堂に会して出展する文化祭だそうです。
関連の企業や団体が、活動紹介やワークショップ等を通じて、来場者に大阪の自然の現状や自然に関わる楽しさを知っていただくために、博物館と認定特定非営利活動法人大阪自然史センターの共催で開催するイベントと聞きました。
今回は「里山の利用と生物多様性」をテーマにしたブース展開やシンポジウム「2010年代の里山管理シンポジウムII 薪のある暮らしは何を変えるのか」が開催され、その中でしらかわハカセが発表をするとのことで、応援がてら、理事2名と事務局1名で、遠征しました。
二日間の日程で行なわれるフェスティバルなのですが、千町原の草刈りがあったため、一日のみの参加となりました。
とにかく驚いたのは、博物館の大きさと、人の多さ、そして自然に関わる団体の熱気です。
地域の自然保全、特定のいきものを守る会、企業など本当に様々な団体がブースを出展し、それぞれの活動や商品をPRしていました。
ずっとみていたかったのですが、私たちの研究会では、団体のPRに加え、フェスティバルのテーマである「里山の利用と生物多様性」に合わせ、「芸北せどやま再生事業」に関連した展示をしました。
丸太のくらべっこや、ネームプレート作り、年輪さがしを通して、地域の森林の利用や状況をお伝えすることとしました。
親子連れの方を中心に、年輪を見てもらった小さな輪切りの木材に、名入れをしてもらうのが好評でした。
せどやまの材で作った1/f(エフぶんのいち)さんの雑貨も、みなさん手にとって見てくださいました。
大阪といういつもとは違うフィールドでしたが、博物館の学芸員さんや、NPOのスタッフの方が暖かく迎えてくださり、安心しました。

そして、しらかわハカセの講演にも応援にいきました。高原の自然館のフィールドミュージアムとしての役割や、保全活動の数々、芸北せどやま再生事業や、行政が始めた薪活!の取り組みについて、テンポよく紹介がありました。
「せどやま」という地域に根付く里山を指す言葉ばあったからこそ、「どんな里山にしたいか」という共通の認識を持つ事ができ、めざす生態系の姿も共有できたことや、木材の利用の出口を作り、個々のつながりをつなげる事でいっそう木の利用が促されること、そして子ども達に「体験」させる場面を作ることが重要だというまとめがありました。
その後のディスカッションは見る事ができませんでした。
「薪のある暮らしは何を変えるのか」というテーマの結論が出たのかどうか気になるところです。

一日だけの参加でしたが、他の団体の展示を見させていただいたことは大きな糧となりました。
西中国山地の豊かな自然の中で、地域の方たちと連携しながら里山文化を継承し,持続可能な地域社会の実現できるよう、この経験をしっかり活かしたいと思います。

西中国山地自然史研究会のブースの様子 

西中国山地自然史研究会のブースの様子

せどやまの木を使った雑貨

せどやまの木を使った雑貨

人だかりのブース

人だかりのブース

親子連れが多かった

親子連れが多かった

今回のテーマ

今回のテーマ

シンポジウム「2010年代の里山管理シンポジウムII 薪のある暮らしは何を変えるのか」

シンポジウム「2010年代の里山管理シンポジウムII 薪のある暮らしは何を変えるのか」

薪活!はっぴでPR

薪活!はっぴでPR

しらかわハカセの発表

しらかわハカセの発表

ディスカッションは森林組合の方も参入

ディスカッションは森林組合の方も参入