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【イベント報告】こども観察会〜植物標本をつくろう〜

「夏休み企画」ということで,子ども限定の標本作り教室を開催しました.講師の佐久間先生は,普段から,お仕事でも自分の調査でも標本を作っている専門家です.今回は北広島町内外から6組9人の子どもさんと保護者の方たちが参加されました. はじめに,山麓庵で植物標本についての説明を聞きました.標本を作る目的や,どのように活用されるのかなど,実際に携わっている佐久間先生の話は,とても興味深いものでした.特に「標本にすれば100年でも保存できる」ということに,子ども達もびっくりしていたようです.実物の植物標本も見せて頂き,花や種が付いている方が良いこと,葉の裏側も見えるように工夫することなどを説明していただきました. 一通りの説明を聞いたら,いよいよ植物体の採取です.草本は根から掘り取ること,樹木は適当な大きさで枝を切り取ることなど,実演を見せてもらった後は,親子で力を合わせて標本を集めました.一人20種が目標です.大きな草本は腕の長さで折れば新聞に収まること,よけいな木の枝を切り落とす時には,枝の付き方が分かるように少し残して切り落とすことなど,ちょっとした工夫も守りながら採取しました. 採取ができたら,もう一度山麓庵に戻って,いよいよ標本を挟んでいきます.ただ挟むのではなく,新聞紙の破り方,置くときの新聞紙の向き,葉の広げ方など,細かい点にも注意しながら進めていきます.保護者の方に手伝ってもらいながら,みんな頑張っていました.大きな草がとくにたいへんそうでした.標本が出来上がったら,挟んだ標本の管理や台紙への張り方について説明があり,最後に先生から全員にラベル用紙が配られました.このラベル用紙は,先生が実際に使っているもので,参加者からは「カッコイイ」という声も上がっていました.それぞれの家で,きっと良い標本が出来上がったことでしょう.

山麓庵で説明をする佐久間先生. 山麓庵で説明をする佐久間先生.
実物の標本を持ってきてくださった. 実物の標本を持ってきてくださった.初めて見る植物標本に,みんな興味津々.

初めて見る植物標本に,みんな興味津々.
並べると,植物標本はやっぱり美しい. 並べると,植物標本はやっぱり美しい.
講義を受けたら,いよいよ植物採取. 講義を受けたら,いよいよ植物採取.
採取のしかたをしっかり聞く. 採取のしかたをしっかり聞く.草本は根から掘り取る. 草本は根から掘り取る.
長い標本は腕の長さで折る. 長い標本は腕の長さで折る.
子どもの腕はまだ短いので,お母さんの腕を拝借. 子どもの腕はまだ短いので,お母さんの腕を拝借.標本が集まったら,もう一度山麓庵へ.

標本が集まったら,もう一度山麓庵へ.新聞を破ることから開始.

新聞を破ることから開始.説明通りにできるかな... 説明通りにできるかな...半分にした新聞紙に挟んでいく.

半分にした新聞紙に挟んでいく.
大物は,みんなで力を合わせて. 大物は,みんなで力を合わせて.
完成したら,ダンボールで挟んで縛ってできあがり. 完成したら,ダンボールで挟んで縛ってできあがり.
上手く挟めているかな・・・? 上手く挟めているかな・・・?

【イベント報告】霧ヶ谷の植生調査 夏

昨年度に自然再生工事が完了した霧ヶ谷湿原で,工事直後の状態を調べるための植生調査を行いました.昨年にも,木道設置予定ルートに沿って調査をしましたが,木道設置工事のために重機が動いた影響が見られるため,今回の調査を「工事完了直後の調査」と位置付け,今後続けられるモニタリングの基礎データとすることにしました. 参加者9人が3つの斑に別れて,調査を進めていきました.今回は,大竹邦暁さん,佐久間智子さん,白川の3人が班長です.1m×1mの調査枠を設置し,枠の中に生えている植物を全て記録するとともに,種ごとに被度(どのくらい覆っているか)・郡度(どのくらいまとまって生えているか)・高さを記録し,写真を撮影しました. 同じように重機の影響を受けているように見えても,プロットごとに生えている植物の種類や繁茂状況は少しずつ異なっていたようです.多くの調査区で見られたのがミゾソバとイでした.また,アメリカセンダングサやフランスギクなど,外来種が多く生育する調査区もありました.一方で,外来種がほとんど見られない場所もあり,工事直後にも多様な植物群落が見られることが分かりました. 調査の後,調査をしながら感じたことを話し合いました.昨年は広く繁茂していた外来種が少なかったこと,水の流れが変わった場所があったことなどが感想として上がりました.雨の心配をしていましたが,ほとんど降られずに,12プロットの調査を1時間30分ほどで終えることができました.今後は,もう重機が入ることは無いはずです.今日の結果をもとに,静かに霧ヶ谷湿原の変化を見守って行きましょう.

赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる. 赤ちゃんがいても,木道沿いなら調査に参加できる.
3斑に別れて調査を進めた. 3斑に別れて調査を進めた.
小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす. 小さな植物も見逃さないよう,じっくりとさがす.
植物の高さを測る. 植物の高さを測る.
最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した. 最後に,それぞれ感じたことを共有して解散した.
プロット1(木道No.118番付近) プロット1(木道No.118番付近)
プロット2 プロット2
プロット3(木道No.107番付近) プロット3(木道No.107番付近)
プロット4(木道No.96番付近) プロット4(木道No.96番付近)
プロット5(木道No.86番付近) プロット5(木道No.86番付近)
プロット6(木道No.82番付近) プロット6(木道No.82番付近)
プロット7(木道No.77番付近) プロット7(木道No.77番付近)
プロット8(木道No.71番付近) プロット8(木道No.71番付近)
プロット9(木道No.68番付近) プロット9(木道No.68番付近)
プロット10(木道No.63番付近) プロット10(木道No.63番付近)
プロット11(木道No.47番付近) プロット11(木道No.47番付近)プロット12(木道No.51番付近)

プロット12(木道No.51番付近)

【イベント報告】大潰山の春植物観察会

1週間前の天気予報では雨の予報でしたが,幸運にも予報が外れ集合時は快晴となりました.今回で4回目となった大潰山の春植物観察会,参加者は28名です.ダイセンミツバツツジの満開に逢うのはむずかしく,今回も講師の佐久間先生による里山の植物全般の観察会となりました.集合場所の大佐スキー場では,もう一人の講師である暮町先生によるタンポポ類の説明がありました.続いて,白川学芸員より,タンポポ調査のリーフレットが配布され,その主旨や参加方法の説明もありました.駐車場脇には,セイヨウタンポポと日本産のタンポポが自生しており,区別点や種子の採集方法について説明を受けながら,実際に参加者で比較し観察をしました.その後車で水越林道の登山口(標高710m)に移動しました.佐久間先生から「大潰山のスミレ」の資料が配布され,スミレの仲間には5種が基本型であることや,開放花と閉鎖花の繁殖戦略の説明がありました.参加者より,「この資料はわかりやすい」との声が多くあがりました.登山口から800m付近までは谷筋を進み,渓流ではオオルリの姿を見たり,鳴き声を聞くことができました.また,伏流水の噴出口ではタゴガエルの抱接を観察することができました.産卵の様子を見ることができたのは,貴重な機会でした.大潰山山頂(標高997.5m)で,昼食をとり,恒例の記念写真を撮りました.ここではガマズミの仲間やカスミザクラなどを見ることができました.北西登山道を下山し,鞍部(960m)付近では,マムシグサ・アケボノスミレ・コタチツボスミレなどを観察しました.今回の観察会で印象に残ったことは,佐久間先生からの「コナラとミズナラの違い」の説明です.見分けかたのひとつに,コナラは標高の低いところ,ミズナラは標高の高いところに分布するということがあるそうです.しかし,展葉の時期は,標高の高いところにあるミズナラが先で,コナラが後だそうです.この違いについて,とても興味を持ちました.山頂付近では蕾であったダンセンミツバツツジも大潰山を下るに従って,北西部の林床では満開で,ツツジも満喫することができました.今回確認できたのは,ツツジは4種類,スミレは10種類でした.最後に,内藤研究員が駐車場付近の湿地(745m)で採集した,カスミサンショウウオの越冬幼生や今春孵化した幼生の説明をしました.来春の成体確認が課題となりました.

大佐スキー場駐車場で,本日の行程と目的を確認した. 大佐スキー場駐車場で,本日の行程と目的を確認した.
集合場所の大佐スキー場駐車場で,在来のものらしいタンポポが見つかったので,早速観察. 集合場所の大佐スキー場駐車場で,在来のものらしいタンポポが見つかったので,早速観察.
登山道に入って,すぐに迎えてくれるのは「距が白い」オオタチツボスミレ. 登山道に入って,すぐに迎えてくれるのは「距が白い」オオタチツボスミレ.
ハウチワカエデの赤い花が,まだ残っていた. ハウチワカエデの赤い花が,まだ残っていた.
湿地に生える子のう菌類,カンムリタケ.浅い水の中からも生えている. 湿地に生える子のう菌類,カンムリタケ.浅い水の中からも生えている.
ダイセンミツバツツジの特徴,葉の裏の毛を観察した. ダイセンミツバツツジの特徴,葉の裏の毛を観察した.
登山道のダイセンミツバツツジは,まだつぼみが多かった. 登山道のダイセンミツバツツジは,まだつぼみが多かった.
山頂にあってもフモトスミレ. 山頂にあってもフモトスミレ.
エゾユズリハの花は地味だが,これだけ集まると遠目に美しい. エゾユズリハの花は地味だが,これだけ集まると遠目に美しい.
大潰山では山頂付近に多いメギ.今年もしっかり花が付いていた. 大潰山では山頂付近に多いメギ.今年もしっかり花が付いていた.
山頂では山並みを見ながら昼食.暑くも寒くも無く,休憩するのに良い気候. 山頂では山並みを見ながら昼食.暑くも寒くも無く,休憩するのに良い気候.
気持ちの良い山頂に,みんなニッコリ. 気持ちの良い山頂に,みんなニッコリ.
なぜか山頂にあるキシツツジ. なぜか山頂にあるキシツツジ.
日当たりが良いからか,山頂尾根のダイセンミツバツツジはたくさんの花を付けていた. 日当たりが良いからか,山頂尾根のダイセンミツバツツジはたくさんの花を付けていた.
展葉が始まり,様々な緑を見せる雑木の山. 展葉が始まり,様々な緑を見せる雑木の山.
昔草原だった名残か,ニオイタチツボスミレも多い. 昔草原だった名残か,ニオイタチツボスミレも多い.
一つの個体でも,開花が同調しないものが多かった. 一つの個体でも,開花が同調しないものが多かった.
アケビもたくさんの花を付けていた.このうちいくつが実になるのだろう? アケビもたくさんの花を付けていた.このうちいくつが実になるのだろう?
下りは少し急になる. 下りは少し急になる.
ふもとの駐車場に咲いていたスミレを見て,観察会終了. ふもとの駐車場に咲いていたスミレを見て,観察会終了.

【イベント報告】山焼き後の植物観察会

早朝はマイナスの冷え込みでしたが,観察会の始まる頃には太陽も高く青空で,気持ちのいい雲月山の植物観察会の始まりとなりました.あいにく今年の山焼きは中止になりましたが,人が手を加えることで維持される草原の重要性について,まわりの山々を見ながら,和田先生に説明していただきました.広島県で火入れがされている雲月山・千町原・深入山の植物の種数について佐久間先生から,今回は調査結果の初資料について説明していただき,貴重な植物が生息する環境だと言うことを改めて実感できました.そして,登山の始まりです.まずヤマヤナギの雄花・雌花,キジムシロ,センボンヤリ.草丈の低いこの時期に一生懸命咲いている花.オトコヨモギ・リュウノウギクの新芽を観察しました.以前参加した山焼きの経験談などを話しながら,稜線づたいに散策しました.タイムスケジュール通りに山頂で昼食をとることができました.放牧準備の電柵用の杭が所々においてありました.牛が放牧されることで,畑の草がびっしり生えてきている所,緑の色が違いました.ショウジョウバカマがずら〜と咲いている所はショウジョウバカマの小道と名付けて歩き,ニオイタチツボスミレのにおいをかいだり,ゆっくり山歩きを楽しんだ観察会でした.

佐久間先生から初公開の資料を使って,説明があった.
佐久間先生から初公開の資料を使って,説明があった.
晴天に恵まれ,いざ出発!
晴天に恵まれ,いざ出発!
キジムシロに出会った.
キジムシロに出会った.
おなじみ,旧芸北町のマーク.「北」に見えるかな?
おなじみ,旧芸北町のマーク.「北」に見えるかな?
山肌の横線についての説明.たたら製鉄かんな流しの跡を見る.
山肌の横線についての説明.たたら製鉄かんな流しの跡を見る.
カラマツの枝振りは,風の吹く影響を受けている.
カラマツの枝振りは,風の吹く影響を受けている.
昼食後山頂で記念撮影.
昼食後山頂で記念撮影.
山焼きをされているところ・されていないところの違いを比べる.
山焼きをされているところ・されていないところの違いを比べる.
いろいろな色のショウジョウバカマ.
いろいろな色のショウジョウバカマ.
「三本でもセンボンヤリ」(和田先生)
「三本でもセンボンヤリ」(和田先生)
車道の脇にも様々な植物があった.
車道の脇にも様々な植物があった.

【イベント報告】自然再生勉強会

2007年から始まった広島県による自然再生事業の工事が完了しました.この機会に自然再生事業の全容や現地の様子,湿原の動植物についての勉強会を開催しました.47名の参加者のみなさんと,高原の自然館を出発し,水口谷湿原を通り,一旦道路にでて霧ヶ谷湿原のオープニングセレモニーに参加し,霧ヶ谷湿原の木道を歩くというコースで歩きました.昆虫担当の岩見先生は,湿地になっているところや,水路にザルをいれ,水中にすむいきものを紹介してくださいました.中でもサナエトンボとオニヤンマのヤゴが印象的でした.両生類・魚類担当の内藤先生からは,カスミサンショウウオの卵塊やヤマアカガエルのオタマジャクシを教えていただいたり,シマヘビやジムグリの赤ちゃんをつかまえ,生態を教えていただきました.ヘビにさわっているときの子どもたちの瞳は真剣で.きらきらと輝いていました.動物担当の上野先生からは,湿原の上を飛ぶハイタカを教えていただきました.植物担当の暮町先生,佐久間先生,和田先生からは,歩きながら見ることのできた,植物の名前や生態を教えていただきました.高原の自然館の白川学芸員は,工事による場所の変化やいきものの生息の変化など,自然再生事業全体のお話や,湿原の成り立ちやそこにすむいきものの生態など多くのことを説明しました.途中に雨が降り,大変寒い中での勉強会となりましたが,それぞれの専門の先生から.興味深いお話が聞けたり,寒い中だからこそ春を感じることができたりと,湿原の恵みを大いに体感しました.途中で参加したオープニングセレモニーでは,霧ヶ谷湿原の入り口のテープカットも行われ,完成した喜びをみんなで分かち合いました.様々な方に楽しんでもらえる場所,さらには湿原や自然について考えたり感じたりできる場所であり続けるよう,みんなで知恵と力を出し合い.この霧ヶ谷湿原を見守っていきたいと願います.

水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった. 水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった.
ハンカイソウのつぼみが少しだけ. ハンカイソウのつぼみが少しだけ.
ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった. ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった.
細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した. 細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した.
カスミサンショウウオの卵塊を発見. カスミサンショウウオの卵塊を発見.
霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった. 霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった.
オープニングセレモニー会場に着くと,あたたかい甘酒が迎えてくれた.かりお茶屋にて販売中. オープニングセレモニー会場に着くと,あたたかい甘酒が迎えてくれた.かりお茶屋にて販売中.
霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった. 霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった.
霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ. 霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ.
はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!? はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!?
岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生. 岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生.
まだ動きの鈍いカナヘビ. まだ動きの鈍いカナヘビ.
主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中. 主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中.
水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ. 水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ.
ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ. ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ.
丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ. 丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ.