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【イベント報告】サツキマス保全の試み

毎年続けているサツキマスの産卵行動の観察会は,八幡振興会館での講義から始まりました.内藤先生が資料やプロジェクタを使ってサツキマスについての説明をされました.資料では,アマゴ,サクラマス,ビワマス,ゴギなど,サケ科魚類の分類がどのように整理されてきたのかについて,また広島県での人との関わりなど,丁寧に説明していただきました.その後,たくさんの写真やビデオを使って,様々な産卵のパターンや,産卵前後の行動について見せて頂きました.撮影の苦労話を交えての説明は,臨場感があって興味深いものでした. しっかりと知識を詰め込んだら,いよいよ現地に出発です.今年は観察をするだけでなく,堰に遮られて遡上できないサツキマスを捕獲し,堰より上流に上っていく手助けをする計画です.現地では内藤先生がウェットスーツを,補助の田村さんがウェーダーを着込み,川に入って網を設置していきます.陽射しがあるとはいえ,10月の柴木川は寒そうです.しかし,手伝うことはできないので,ここは見守るばかりです.網を下ろしてほどなく,サツキマスがかかり始めました.20匹以上は見えていたので,メスも4匹くらいは居るはずです.降湖するサツキマスの性比は,オス:メス=2:8だそうです.最終的には24匹を捕獲し,そのうち3匹がオスでした.捕獲した全てのサツキマスについて全長・体重・性別を記録した後,コンテナで堰より上流に運び,すぐに放流しました.放流したサツキマスはすぐに散らばって行きました.後日,見回りをされた内藤先生によると,数箇所で産卵した形跡があったということです.今回の作業をしたことで,サツキマスの産卵場所が分散され,先に産み落とされた卵が,後から来たメスによって掘り起こされる事態が避けられました.ただ,見学者からは「刺し網にかかった小さな魚もなんとか殺さないようにできないものか?」との声もあり,捕獲方法の検討もしていきたいと思います.本当は,堰に魚道が付けられたら良いんでしょうね. 今回は遠くから眺めるだけでなく,重さや長さも計測したので,しっかりと近くで観察できました.サツキマスの運搬にあたっては,八幡の河野文夫さんに軽トラックを貸して頂きました.ありがとうございました.[しらかわかつのぶ]

※サツキマスの捕獲は広島県の許可をとって実施しました.

スライドを使って解説する内藤先生.
スライドを使って解説する内藤先生.

現地に移動し,堰の下,サツキマスが溜まっているところで網を張る.
現地に移動し,堰の下,サツキマスが溜まっているところで網を張る.

首まで水に浸かりながら網を引く内藤先生.
首まで水に浸かりながら網を引く内藤先生.

網にかかったサツキマス.
網にかかったサツキマス.

岸から捕獲作業を見学する.
岸から捕獲作業を見学する.

一匹ずつ,丁寧に網から外していく.
一匹ずつ,丁寧に網から外していく.

参加者は,ひたすら陸から見学.
参加者は,ひたすら陸から見学.

測定の様子を見学.
測定の様子を見学.

重さを計測する.
重さを計測する.

捕獲されたサツキマス.
捕獲されたサツキマス.

サツキマスはコンテナ2杯に入れて運んだ.
サツキマスはコンテナ2杯に入れて運んだ.

サツキマスのメス.今回は3匹.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サツキマスのメス.今回は3匹.

運ばれるサツキマス.
運ばれるサツキマス.堰の上流でゆっくりと放流した.
堰の上流でゆっくりと放流した.

キノコ観察会

雨が降る中,年に一度のお楽しみ「キノコ観察会」が始まりました.講師は昨年に続き川上先生です.今回の開催場所は聖湖キャンプ場です.キノコの採り方,カエンタケという危険なキノコには触れないことなど,先生のお話を聞いたあと,キノコ採取の開始です.参加者は19名でキャンプ場内を探し回りました. 「キノコってそんなにすぐ見つかるのかな?」と疑問を持っていましたが,そんな心配は無用で,少し歩くとしげみの下にキノコを発見!これは大きいぞ〜と嬉しくなりました.カゴを片手に,道路の側,木の下,笹の側,芝生の上と次々に見つかります.雨が降っていても気になりませんでした.子供の参加者も,こぞって探しています.おもしろいキノコや変わったキノコを見つけると,皆で集まり匂いをかいだり,手に取ったりしました. 1時間ほど歩き,キノコを探すという醍醐味をたっぷり満喫しました.さあ,持ち帰ったキノコを並べ,川上先生による鑑定タイムです!キノコを一つづつ手にとり,さっと名前をつけます.食べられるキノコは黒字,食毒不明は青字,食べられない毒を持ったキノコは赤字で名前が入ります.参加者も自分が採ったキノコにどんな名前がつくのか興味津々で見守ります.カボチャの形をしたカボチャタケ,食べられると聞いて意外なホコリタケ,根本が膨らんでいるフウセンタケの仲間,ホンシメジとよく似ているクサウラベニタケという毒キノコなどキノコの名前や特性を大変興味深く聞きました.中でも乳液が辛いといわれ試してみたケシロハツモドキ.これは本当に辛く,舌がびりびりとしました.こうやって試すことができるのも,専門家による観察会だからこそです.全部の鑑定を終えると,食用13種・食毒不明21種・毒8種と合計42種のキノコを観察したことがわかりました. 最後に白川学芸員から北広島町の生物多様性に関するお話がありました.キノコをはじめ,いつまでも豊かな生態系の恵みを受け取れるような環境を残したいものです.

雨が降る中,観察会開始. 雨が降る中,観察会開始.川上先生の作業道具.菌糸体(根っこ)まで掘るために小さなスコップ. 川上先生の作業道具.菌糸体(根っこ)まで掘るために小さなスコップ.たくさんあるなぁ,どれどれ・・ たくさんあるなぁ,どれどれ・・「卵が落ちているよ?」 「卵が落ちているよ?」「中身があるよー?こりゃなんだ?」 「中身があるよー?こりゃなんだ?」「匂いはあるかな?」くんくん・・ 「匂いはあるかな?」くんくん・・小さなカナヘビも発見! 小さなカナヘビも発見!名前をつけてもらうと・・見た目の通りの名前!“カボチャタケ” 名前をつけてもらうと・・見た目の通りの名前!“カボチャタケ”「はい!“ミヤマタマゴタケ”」 「はい!“ミヤマタマゴタケ”」キノコの種類を熱心にメモ. キノコの種類を熱心にメモ.図鑑と照らし合わせてキノコを調べる. 図鑑と照らし合わせてキノコを調べる.白川学芸員より,北広島町の生物多様性の保全に関するお話.パンフレットも配られた. 白川学芸員より,北広島町の生物多様性の保全に関するお話.パンフレットも配られた.このキノコは何だろう?もこもこがいっぱい. このキノコは何だろう?もこもこがいっぱい.ぬらぬらしている“ムラサキフウセンタケ” ぬらぬらしている“ムラサキフウセンタケ”近くで見ると・・表面がツブツブしている“ホコリタケ” 近くで見ると・・表面がツブツブしている“ホコリタケ”危険なキノコやまちがえやすいキノコも丁寧に解説してくださった. 危険なキノコやまちがえやすいキノコも丁寧に解説してくださった.川上先生がひとつづつ名前をつけつつ,生態を紹介. 川上先生がひとつづつ名前をつけつつ,生態を紹介.全部で42種類! 全部で42種類!

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査 秋

団体での参加も含め,19人での調査になりました.講師はお馴染みの和田さん,大竹さん,佐久間さん,そして白川の4人です.現地に移動する前に,高原の自然館前で植生調査の方法について説明しました.不明な点への質問もあり,参加者のやる気が伺えました.現地では,はじめにパネルを使って,自然再生事業の概要について説明しました.各班で調査道具を持ち,夏の調査記録を分配しました.この記録に従って,調査地へと移動していきます.霧ヶ谷湿原の木道には番号が振ってあるので,簡単に場所を特定できます.今回は初めて参加される方が多かったのですが,各班とも順調に進みました.調査区が進につれて,植物の名前だけでなく「被度」や「郡度」などの評価も参加者の方自身でされるようになり,手際が良くなっていきました.しかし,慣れた頃には予定していた地点の調査を終えてしまいました.早く終わった斑は,それぞれの斑の講師に連れられて植物観察をして,ツリフネソウやアキグミの実を見つけたようです.すべての斑が調査を終えて戻ってきたところで,和田さんから,八幡湿原自然再生事業のきっかけとなった,自然史研究会による実験について説明していただきました.最後に,各班の状況を紹介していただき,感想を言い合いました.「わずか1平方メートルの中に,たくさんの植物があって驚いた」という方が多かったようです.また,講師の佐久間さんからは,夏の調査時とずいぶん植物が変わったという指摘がありました.大人数の調査でしたが,木道があるおかげで,湿原を傷めずに植生調査を体験できました.

夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
各班に別れて調査を進める.
各班に別れて調査を進める.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.小さな植物も見逃さないようによーく観察.
小さな植物も見逃さないようによーく観察.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.

【イベント報告】千町原の草刈り 夏

今年で4回目となった,“千町原 夏の草刈り”が行われました.早朝にもかかわらず30名の方が集まってくださいました.山麓庵で受付をすませ,川内さんや前さんのお話を聞き,句碑近くの現地へ移動します.白川学芸員より作業内容や注意点を聞き,いざ作業開始です.今回は三ヶ所に分かれ,オオハンゴンソウの除去,ヨシの刈り取り,木の伐採をしました.オオハンゴウソウの除去は,初めての試みでトラクターに機械をつけたもので刈り取りを行いました.八幡の高木さんが提案・実行をしてくださいました.おかげで短時間で広範囲の刈り取りができました.ヨシの刈り取りは,精鋭草刈り隊2名が手早く動き,午前中の前半で大方の刈り取りが終了しました.その他の参加者で,木の伐採を中心に,草刈り,草集めを行いました.以前から木の侵入と成長が気になっていた場所で,今回はこの場所を草原にもどすための作業を行いました.作業に慣れている参加者が多く,どんどんと作業が進みました.休憩時には作業の途中で見つけた鳥の巣やクモの巣がエイドに持ち込まれ,参加者のみなさんから楽しい話を聞くことができました.また草刈り隊の中では機械談議も行われていたようです.お楽しみのおやつは,毎年恒例のスイカはもちろん,冷え冷えの八幡産の完熟トマトとキュウリが大人気でした.高木さん,美味しい提案をありがとうございました.一方,こどもの参加者のためのキッズプログラムも行われ,草原を歩き,キッズたちは楽しく満足気な表情をしていました. とても暑い日が続いた中での開催だったので,天候やみなさんの体調が気になっていましたが,ケガや事故もなく無事草刈りは終了しました.仕上げに出された八幡の手作り甘酒が,疲れた体にはぴったりの甘みでした.山麓庵でのお弁当タイムでは,涼をとり,仲間たちと充実感を味わえるぜいたくな時間でした. 毎年継続して作業を行い,草原を保全していくことはたくさんの人の協力なしでは行えません.お仕事や用事で参加できなかった方もいることでしょう.みなさんの自然への想い,草原への関心などの大きな気持ちを感じながら,今回も草刈りが行えたことに感謝します.物品を貸し出してくださったカキツバタの里作り実行委員会,八幡小学校にはお礼申し上げます.

早朝,山麓庵に集合. 早朝,山麓庵に集合.現地でも作業の説明を聞く.G_0361 現地でも作業の説明を聞く.G_0361きれいなお花畑に見えるが,実は外来種のオオハンゴンソウ. きれいなお花畑に見えるが,実は外来種のオオハンゴンソウ.高木さんのアイデアでトラクターを使用.広範囲を刈り取れる. 高木さんのアイデアでトラクターを使用.広範囲を刈り取れる.草刈り精鋭隊のおふたり.作業が早い! 草刈り精鋭隊のおふたり.作業が早い!こちらは草集め隊. こちらは草集め隊.今回草を刈るメインの場所. 今回草を刈るメインの場所.太い木はチェンソーで切る. 太い木はチェンソーで切る.日射しが強くなってきたのでパラソルを使用.草刈りはどんどんと進んでいる. 日射しが強くなってきたのでパラソルを使用.草刈りはどんどんと進んでいる.丘の上でキッズを発見. 丘の上でキッズを発見.何を見ているのかな?笑顔がいい!! 何を見ているのかな?笑顔がいい!!草や木を集め運ぶ. 草や木を集め運ぶ.手持ちの道具で参戦.力はいっています! 手持ちの道具で参戦.力はいっています!休憩時間はお楽しみのスイカ!暑い中,冷たいスイカは嬉しい. 休憩時間はお楽しみのスイカ!暑い中,冷たいスイカは嬉しい.キッズプログラムは毎回違う内容で工夫されている. キッズプログラムは毎回違う内容で工夫されている.若手コンビ,がんばっています! 若手コンビ,がんばっています!わぁ!頼もしい!! わぁ!頼もしい!!キッズもお手伝い.楽しそうに草集め♪ キッズもお手伝い.楽しそうに草集め♪ナナフシが草刈り隊を眺めていた. ナナフシが草刈り隊を眺めていた.草刈り後.きれいになりました. 草刈り後.きれいになりました.

【イベント報告】こども観察会〜植物標本をつくろう〜

「夏休み企画」ということで,子ども限定の標本作り教室を開催しました.講師の佐久間先生は,普段から,お仕事でも自分の調査でも標本を作っている専門家です.今回は北広島町内外から6組9人の子どもさんと保護者の方たちが参加されました. はじめに,山麓庵で植物標本についての説明を聞きました.標本を作る目的や,どのように活用されるのかなど,実際に携わっている佐久間先生の話は,とても興味深いものでした.特に「標本にすれば100年でも保存できる」ということに,子ども達もびっくりしていたようです.実物の植物標本も見せて頂き,花や種が付いている方が良いこと,葉の裏側も見えるように工夫することなどを説明していただきました. 一通りの説明を聞いたら,いよいよ植物体の採取です.草本は根から掘り取ること,樹木は適当な大きさで枝を切り取ることなど,実演を見せてもらった後は,親子で力を合わせて標本を集めました.一人20種が目標です.大きな草本は腕の長さで折れば新聞に収まること,よけいな木の枝を切り落とす時には,枝の付き方が分かるように少し残して切り落とすことなど,ちょっとした工夫も守りながら採取しました. 採取ができたら,もう一度山麓庵に戻って,いよいよ標本を挟んでいきます.ただ挟むのではなく,新聞紙の破り方,置くときの新聞紙の向き,葉の広げ方など,細かい点にも注意しながら進めていきます.保護者の方に手伝ってもらいながら,みんな頑張っていました.大きな草がとくにたいへんそうでした.標本が出来上がったら,挟んだ標本の管理や台紙への張り方について説明があり,最後に先生から全員にラベル用紙が配られました.このラベル用紙は,先生が実際に使っているもので,参加者からは「カッコイイ」という声も上がっていました.それぞれの家で,きっと良い標本が出来上がったことでしょう.

山麓庵で説明をする佐久間先生. 山麓庵で説明をする佐久間先生.
実物の標本を持ってきてくださった. 実物の標本を持ってきてくださった.初めて見る植物標本に,みんな興味津々.

初めて見る植物標本に,みんな興味津々.
並べると,植物標本はやっぱり美しい. 並べると,植物標本はやっぱり美しい.
講義を受けたら,いよいよ植物採取. 講義を受けたら,いよいよ植物採取.
採取のしかたをしっかり聞く. 採取のしかたをしっかり聞く.草本は根から掘り取る. 草本は根から掘り取る.
長い標本は腕の長さで折る. 長い標本は腕の長さで折る.
子どもの腕はまだ短いので,お母さんの腕を拝借. 子どもの腕はまだ短いので,お母さんの腕を拝借.標本が集まったら,もう一度山麓庵へ.

標本が集まったら,もう一度山麓庵へ.新聞を破ることから開始.

新聞を破ることから開始.説明通りにできるかな... 説明通りにできるかな...半分にした新聞紙に挟んでいく.

半分にした新聞紙に挟んでいく.
大物は,みんなで力を合わせて. 大物は,みんなで力を合わせて.
完成したら,ダンボールで挟んで縛ってできあがり. 完成したら,ダンボールで挟んで縛ってできあがり.
上手く挟めているかな・・・? 上手く挟めているかな・・・?