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【イベント報告】千町原と霧ヶ谷湿原の観察会

野焼きから2週間後の千町原で,いったい何が見られるのか,期待半分,不安半分の気持ちで観察会が始まりました.
自然館から道路を歩いて千町原まで行くと,早速,まだ葉のないノイバラの茂みの中に草原性の鳥,ノビタキとツグミがいました.火を付けた辺りから中へ入って行くと,ハルガヤなどの牧草がもう青々と新芽を伸ばしていました.防火帯として草刈りをした場所では,ゲンノショウコ,ヨモギ,ヒメジョオンなどが新芽を出していました.防火帯では,ハルガヤなどの牧草が少なく,火入れを行った場所とは,少し様子が異なるようでした.林のそばではコタチツボスミレが咲いていました.火入れを行った場所に生えている木を見ると,アカマツやイヌツゲの葉は茶色に変色していました.火の熱で茹で上がったのだと思われます.ノイバラの枝は黒く焦げていました.防火帯を通って進んで行くと,掛頭山の方向にノスリを見ることができました.さらに奥に進んで行くと,山からの水がたまって水たまりができていました.水の中には,ニホンヒキガエルやヤマアカガエル,カスミサンショウウオの卵がありました.とてもたくさんの卵がありましたが,この中で大人になれるのはほんのごく一部だと思うと自然の厳しさを改めて感じました.水たまりではない場所にもニホンヒキガエルの卵がありました.卵は一直線に伸びていて,測定したところ,長さは3.9m,約3,000個の卵がありました.お昼は句碑の周りでお弁当を食べて,
午後から霧ヶ谷に移動しました.霧ヶ谷は水路に沿って水が流れ,靴では歩きにくいほど湿った状態になっていました.水のたまったところにはヤマアカガエルの卵があり,すでに孵化したオタマジャクシもたくさんいました.最後に実験地も観察しました.手作業で掘った水路は少し埋まっている箇所も見られましたが,中央には水がたまっており,ちゃんと機能しているようでした.早くも生きものたちが動き出している千町原と霧ヶ谷の今後の変化が楽しみです.

スタートしてすぐ,草原にてノビタキを観察.
スタートしてすぐ,草原にてノビタキを観察.
野焼き後に雨が降ったので,炭を触っても手に煤が付かない.
野焼き後に雨が降ったので,炭を触っても手に煤が付かない.
防火帯を歩きながら観察.
防火帯を歩きながら観察.
もともとササが茂っていた防火帯では,様々な草が芽を出していた.
もともとササが茂っていた防火帯では,様々な草が芽を出していた.カナヘビ登場.千町原ではたくさん見られる.
カナヘビ登場.千町原ではたくさん見られる.
見晴らしが良くなって,高台から鳥が見やすい.
見晴らしが良くなって,高台から鳥が見やすい.
ススキの株が焼けたあとに,キツネの糞があった.
ススキの株が焼けたあとに,キツネの糞があった.
薮の中にメジロの巣.昨年のものだ.
薮の中にメジロの巣.昨年のものだ.
新しい,苅尾の風景.これも防火帯を作ってできたもの.
新しい,苅尾の風景.これも防火帯を作ってできたもの.
空高く,ノスリ.
空高く,ノスリ.
山裾の湧き水に,ヒキガエルの卵塊がたくさんあった.ここにはカスミサンショウウオも産卵していた.小さいけれど,だいじな湿地.
山裾の湧き水に,ヒキガエルの卵塊がたくさんあった.ここにはカスミサンショウウオも産卵していた.小さいけれど,だいじな湿地.
湿地帯に落ちていたヒキガエルの卵を見つけた.仕方なく産んでしまった未受精卵だろう.長さは3m90cm,2列になっていて,10cmに約40個の卵があるので,一匹のヒキガエルが産むのは(3.9÷0.1)×2×40≒3,120個くらいだと分かった.
湿地帯に落ちていたヒキガエルの卵を見つけた.仕方なく産んでしまった未受精卵だろう.長さは3m90cm,2列になっていて,10cmに約40個の卵があるので,一匹のヒキガエルが産むのは(3.9÷0.1)×2×40≒3,120個くらいだと分かった.
ノイバラの株は燃えていないけど,熱で新芽は死んでいる.
ノイバラの株は燃えていないけど,熱で新芽は死んでいる.
自然館に戻る前に,もう一度鳥見.
自然館に戻る前に,もう一度鳥見.
夏羽のノビタキ.
夏羽のノビタキ.続いて霧ヶ谷の再生地を見学.どんな鳥が来るのだろう?
続いて霧ヶ谷の再生地を見学.どんな鳥が来るのだろう?
側溝でカスミサンショウウオの成体を見つけた.再生事業が進めば,こうして側溝に落ちてはい上がれなくなるということも無くなるだろう.
側溝でカスミサンショウウオの成体を見つけた.再生事業が進めば,こうして側溝に落ちてはい上がれなくなるということも無くなるだろう.
湿原再生のために掘られた水路には,ヤマアカガエルの卵塊がたくさんあった.
湿原再生のために掘られた水路には,ヤマアカガエルの卵塊がたくさんあった.

【イベント報告】スノートレッキング

積雪はまだ1メートルはあるかと思われましたが,気持ちのいい晴天で,かんじきかスキー板か考えるところでした.朝の冷え込みで表面はカチカチ.でも,ズボズボうまる所もあり,雪原を歩くのは大変で,さすがに3月の雪質だなと感じました.ウサギのフン・足跡があり,カラコギカエデにはウサギの食痕が多数ありました.ホオジロがさえずり,まだ雪がたくさんあるのに産卵のための良い縄張りを確保するために早くから鳴き始めるのだそうです.カワゲラやガガンボの仲間を雪上で見ることができました.ニワトコの花芽やハンノキの雄花がずいぶん膨らんで春への準備は確実に進んでいるようです.エナガやウソが灌木の茂みの中を忙しく動き回っていました.コナラにはハチが寄生してできた虫こぶの跡,クリにはクリタマバチの寄生した虫こぶの跡がありました.アセビにはヤマドリの食痕があり,鳥にはアセビの毒は関係ないのかなと思いました.昨年のクスサンやウスタビガの繭が枯れ枝にぶら下がっており,夏の時期に目にすること少ない昆虫の繁殖の痕跡を,葉のないこの時期ならではと観察することができて楽しかったです.カンボクの実はなくなっていましたが,ヤドリギにはまだ実がついていて,今冬は木の実が豊作だったので食べ残しがあるのかなということでした.

自然館の裏,パークゴルフ場の斜面を登って出発!
自然館の裏,パークゴルフ場の斜面を登って出発!
雪の上に,ポツリと落ちたウサギのふん.
雪の上に,ポツリと落ちたウサギのふん.
扇谷の上から見渡す千町原.とても良い天気で,みんなの影もクッキリ.
扇谷の上から見渡す千町原.とても良い天気で,みんなの影もクッキリ.
千町原の谷部では,もう雪が解けていた.
千町原の谷部では,もう雪が解けていた.
ノウサギが囓った跡.囓った時にはこの高さまで積もっていたはずなので,ずいぶん雪が解けたことが分かる.
ノウサギが囓った跡.囓った時にはこの高さまで積もっていたはずなので,ずいぶん雪が解けたことが分かる.
ノウサギの足跡がくっきりと残っていた.
ノウサギの足跡がくっきりと残っていた.
句碑近くの道路の上には,まだたっぷりの雪.
句碑近くの道路の上には,まだたっぷりの雪.
ハンノキの花は,もう咲きそう.
ハンノキの花は,もう咲きそう.
句碑の頭も見えてきた.
句碑の頭も見えてきた.
ナラエダムレタマバチがコナラの枝に作る虫えい(むしこぶ),「ナラエダムレタマフシ」.
ナラエダムレタマバチがコナラの枝に作る虫えい(むしこぶ),「ナラエダムレタマフシ」.
ネコヤナギの冬芽が膨らんでいた.
ネコヤナギの冬芽が膨らんでいた.
ヤマドリが囓ったエゾユズリハ.
ヤマドリが囓ったエゾユズリハ.
雪の上に落ちていたヌルデの実.冬鳥の食べ物になる.
雪の上に落ちていたヌルデの実.冬鳥の食べ物になる.

【イベント報告】スノートレッキング

ビュウビュウと風が吹き,大きな綿雪が舞っていました.普通に考えるととてもトレッキング日和とは言えない天気でしたが,参加者の皆さんは全く気にしていない様子です.自然館で全体の行程を確認した後,かんじき,スノーシュー,スキーなど,各々の装備を身につけて出発しました.
水分が多い雪がたくさん降っていたので,動物の足跡はほとんど見られませんが,東屋の柱にはたくさんのテンの足跡が見られましたし,ノウサギが食べたノイバラも見られました.扇谷の上ではウソが8羽で群を作って,鳴きながら飛んで行きました.水口谷ではルリビタキがすぐ近くまで寄ってきて,しっかりと姿を見せてくれました.水口谷から水が垰を超えて,霧ヶ谷に進んでいきました.雪の無い季節には薮になっているところも,雪が積もっているので楽に歩いていけます.地下水観測地点の目印に立てられているポールを見ると,雪の深さは120cmほどあることが分かりました.カンボクの枝にはメジロの巣が掛けられており,近くでじっくりと見ることができました.最近では,巣材にビニールテープなどが使われることもあるようですが,この巣はクモの糸などの天然素材で作られていました.小鳥の巣ひとつをとってみても,周りの環境がよく分かるんですね.ゆるやかに弧を描く導水路は,湿原の再生を予感させてくれました.春の観察を楽しみにしながら,霧ヶ谷を後にして,お昼過ぎには自然館にもどりました.
【スノートレッキング俳句】
スノートレッキング恒例の俳句です.
雪山を歩きて探す春の音
大雪の千町原にウソ8羽
山野草雪の下で春を待つ
カンジキをはいて楽しい風吹やま
雪の中鳥の声聞きトレッキング
わた雪にやわらかな筋導水路
チッチッチ春のおとずれ知らせたね
メジロの巣ゆらゆらゆれてハンモック
冬山はあたたかくってつめたくて
大雪は八幡の自然の物語

集合したときには,大きな雪がどんどん降っていた.
集合したときには,大きな雪がどんどん降っていた.
意を決して出発!
意を決して出発!
扇谷上からの景色.やっぱり雪が強い.
扇谷上からの景色.やっぱり雪が強い.
ノリウツギの花殻.雪が重そう.
ノリウツギの花殻.雪が重そう.
東屋の柱には,テンが登った爪痕があった.
東屋の柱には,テンが登った爪痕があった.
水口谷のミズキについたツキノワグマの爪痕を観察.
水口谷のミズキについたツキノワグマの爪痕を観察.
水が垰に向かう時には晴れ間も見られた.
水が垰に向かう時には晴れ間も見られた.
ルリビタキはすぐ近くまで寄ってくる.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルリビタキはすぐ近くまで寄ってくる.
雪に押さえられたアカマツの枝.こうして盆栽のような枝振りになる.
雪に押さえられたアカマツの枝.こうして盆栽のような枝振りになる.
クモの糸などで上手に巣材を編み込んでいる.最近はビニール紐などが使われていることもあるというが,この巣は健全.
クモの糸などで上手に巣材を編み込んでいる.最近はビニール紐などが使われていることもあるというが,この巣は健全.
メジロの巣を発見.ハンモックのようにぶら下がっていた.
メジロの巣を発見.ハンモックのようにぶら下がっていた.
湿原再生のために掘られた補助導水路が,緩やかな弧を描く.
湿原再生のために掘られた補助導水路が,緩やかな弧を描く.
溝に注意しながら歩く.
溝に注意しながら歩く.
取水堰では順調に水が取られていた.
取水堰では順調に水が取られていた.
2mポールの上部60cmだけが見えた.積雪は120cmくらいだろうか.
2mポールの上部60cmだけが見えた.積雪は120cmくらいだろうか.
道路づたいに自然館へと戻った.
道路づたいに自然館へと戻った.

【イベント報告】アニマルトレッキング

前日からの積雪で,雪のあるアニマルトラッキングができました.しかも朝から雪の降る中での観察会となり,なんとか八幡にたどり着いた人もあったのでは.20名で雪原へと出発しました.朝からの新雪で,新しくてくっきりとした足跡というのは難しかったのですが,ウサギは軟便と固い便の2種類のフンをして,軟便はもう一度食べることや,前足の丸い跡・後ろ足の長い跡がどのように付くのかを,実演しながらの説明がありました.その後もウサギの足跡は比較的たくさん見ることができました.エゾユズリハにはヤマドリの食痕があり,ネズミの足跡はくっきりと付いていておそらくツルウメモドキを食べに来たのかな?と推察しました.木上で採餌できる鳥は,雪が降っても留鳥でとどまることができるそうで,実際にカラ類やアカゲラ・ツグミ・ジョウビタキを観察できました.また,先生も今冬初めてというキレンジャク・ヒレンジャクの混群を見ることもできて感激でした.ツルウメモドキを食べたツグミのフンも確認でしきました.積雪で判別が難しかったのですが,おそらくテンと思われる足跡もたくさんありました.イタチの仲間は指が5本,イヌの仲間のキツネやタヌキは指が4本と説明してもらいました.クリの木にクリタマバチの虫こぶがあり,ヤママユガの繭も枯れ葉にくるまって残っていました.腹のバネで飛ぶ原始的な生物トビムシや,羽が2枚の昆虫ガガンボなども教えてもらってやっと見ることができました.雪の中にもたくさんの生物の痕跡を観察することができて,やっぱり楽しい観察会でした.

自然館の中で出発前のレクチャー.
自然館の中で出発前のレクチャー.
マイナス1.5℃の世界に出発!
マイナス1.5℃の世界に出発!
さっそくテンの足跡を見つけた.
さっそくテンの足跡を見つけた.
鋭く切った切り口はうさぎの食痕.
鋭く切った切り口はうさぎの食痕.
常緑のエゾユズリハは,冬の重要な食料になる.
常緑のエゾユズリハは,冬の重要な食料になる.
ヤマドリが囓ったあとが見られた.
ヤマドリが囓ったあとが見られた.
苅尾の山頂は遠くに霞んでいた.
苅尾の山頂は遠くに霞んでいた.
千町原の扇谷を降りていく.
千町原の扇谷を降りていく.
ハンノキ林に続く足跡をたどると,またもや何かを見つけた.
ハンノキ林に続く足跡をたどると,またもや何かを見つけた.
ツグミのフンのようだ.
ツグミのフンのようだ.
フンには,ツルウメモドキの実が入っていた.
フンには,ツルウメモドキの実が入っていた.
ヤママユガのまゆ.夏に羽化するので,この時期のまゆはからっぽだ.
ヤママユガのまゆ.夏に羽化するので,この時期のまゆはからっぽだ.
秋に草刈りをした場所を歩いて戻った.
秋に草刈りをした場所を歩いて戻った.
自然館に戻って,今日観察した生き物を図鑑で確認した.
自然館に戻って,今日観察した生き物を図鑑で確認した.
観察会終了後,雪と戯れる人たちも・・・.
観察会終了後,雪と戯れる人たちも・・・.

【イベント報告】八幡高原の冬鳥

「今年は暖かいので,まだ来ていない鳥もいます」と,ここにも温暖化の影響がでているような始まりでした.ツグミがツルウメモドキを群れでついばんでいるところから始まり,今年は液果類が多く,木の実の赤は植物が鳥に食べてもらって種子散布に協力してもらうためとの説明がありました.マヒワの群れはキハダやスギの実に群がり,向きを変えるとヤマガラ・エナガ・シジュウカラの混群.群れることにより,ハイタカなどにねらわれるリスクを少なくするということでした.実際にハイタカが現れるとエナガが警戒声を発して小鳥たちは散り散りでした.さえずっているホオジロは留鳥で,その他渡りで越冬に来ている群れもあり,いろいろだそうです.自然再生事業の進む霧ヶ谷では残念ながら,お目当てのマシコ類を見ることはできませんでしたが,草原生のオオジシギの話など,再生による変化について興味深い話を聞くことができました.大歳神社付近に移動して,タシギ・カワラヒワ・コガモを見ることができました.社そう林ではノスリが徘徊しているので,小鳥が近づかず,カシラダカなどは見ることができませんでした.新川ため池ではアカマツでコゲラ・キクイタダキが虫をついばんでいる様子が観察でき,溜め池にはコガモがす~いす~いと浮かんでいました.時間もゆったり,環境のちがう4カ所でそれぞれ観察ができてみなさん楽しめたのではないでしょうか?

自然館裏のパークゴルフ場で,いつのまにか観察会が開始
自然館裏のパークゴルフ場で,いつのまにか観察会が開始
すると,みんなワラワラと集まってきた.
すると,みんなワラワラと集まってきた.
いつもなら,指さす方向にレンジャクの群が見えるのだけど・・・.
いつもなら,指さす方向にレンジャクの群が見えるのだけど・・・.
駐車場にて,あらためて観察会を開始.オオアカゲラが見えた.
駐車場にて,あらためて観察会を開始.オオアカゲラが見えた.
ひとしきり,自然館のまわりで観察した後,霧ヶ谷湿原に移動した.
ひとしきり,自然館のまわりで観察した後,霧ヶ谷湿原に移動した.
このやぶが湿原に変われば,オオジシギが戻ってきてくれるかも!?
このやぶが湿原に変われば,オオジシギが戻ってきてくれるかも!?
当日はテレビ局も取材に来ていた.
当日はテレビ局も取材に来ていた.
次にやってきたのは八幡盆地の中の水田.
次にやってきたのは八幡盆地の中の水田.
水路ではコガモが群れていた.
水路ではコガモが群れていた.
大歳神社の方へと行くが,期待したノスリは見られず.
大歳神社の方へと行くが,期待したノスリは見られず.
続いて訪れたのは尾崎谷.あれ?別のものを見ている人がいますよ...
続いて訪れたのは尾崎谷.あれ?別のものを見ている人がいますよ...
水面に浮かんだカモが見えるかな?
水面に浮かんだカモが見えるかな?
堰堤で,本日のまとめをした.
堰堤で,本日のまとめをした.