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【イベント報告】ブッポウソウの観察会

梅雨の真っ只中で天候も悪く,参加者があるのだろうかと思いながら,受付を開始しました.13名の参加があり,またブッポウソウの飛翔も観察でき,まずまずの観察会でした. 今年3月6日に研究会で暮町先生の指導により,ブッポウソウ用の巣箱を10個製作し,4月3日に芸北地区の電柱に巣箱を架けました.しかし,今年の入巣がなく,今回の観察会は数年前に架けられた別の場所の巣箱に営巣しているブッポウソウを観察することにしました. 靄(もや)が出て視界が悪いという天候が幸いしたのか,巣箱周辺を飛翔するブッポウソウ(♂)を観察することができましたが,逆に構造色である濃青緑色や白い斑紋・朱色の嘴(くちばし)は今一歩でした. 観察を終え,文化ホールでブッポウソウの生態や食性について説明がありました. まず,巣箱をかけるようになった経緯を上野先生が説明されました.それによると,以前は電柱が木製であったが,コンクリート柱に取り替えられるにしたがって営巣が少なくなり,それらを補完するために中国電力やNTTなどの支援により,巣箱の設置が推奨されたということです.ブッポウソウは東南アジアから「夏鳥」として日本に渡る希少種で,環境省の絶滅危惧Ⅱ類,広島県の絶滅危惧Ⅰ類に選定されており,県内では約150ペアと推測され,個体数の少ない種であるが,中部以北では県当たり数ペアと少なく,中国地方は比較的観察しやすいという説明がありました.ヒトに依存した繁殖場所が,ヒトによって改変され,保護すべき野鳥であることの説明でした. 県内では,三次市吉舎地区や作木地区でもその取り組みがあることが紹介され,また温井ダム周辺での巣箱架けの説明もありました.温井ダム周辺では,警報灯に巣箱が取り付けられ,繁殖期の生態や雛の成長の様子が図版を使って説明されました.ブッポウソウは巣材を運ばない野鳥なので,巣箱の底には大鋸屑を敷き,卵が転がらないようにされたそうです.餌はコガネムシ類が主なもので,薄明薄慕の時間帯に活発になり,約30秒~1分の間隔で,雛に餌を運んだ観察例を紹介されました.また,胃内容物から,プラスチツク・貝殻・プルトップなどが確認され,それらが臼としての役割についても説明されました.主食がコガネムシ類であることから,比較的標高の低い地域に営巣し,コガネムシが活動する日没後に活動する夜行性であることも納得できました.昼間はトンボ類やセミ類を捕食し,夜間にコガネムシ類を捕食するそうです. また,暮町先生からはブッポウソウの鳴声について説明がありました.特に「声のブッポウソウ」と呼ばれるコノハズクと間違われていることの説明でした.また巣箱の入り口が80mmであること,ヤマガラやシジュウガラは27mm,スズメは30mmであることなどの生態的説明があり,古木が不足している現状では「巣箱架け」は必要な行為であることが説明されました.最後に,今回の観察会により営巣場所がわかり,日を改めて観察することにより,子育てや雛の巣立ちが観察できることを知り,野鳥保護にも興味・関心が高まりました.

フィールドスコープを使って,観察開始. フィールドスコープを使って,観察開始.約50メートルまで接近できた.

約50メートルまで接近できた.雨が降る中,ブッポウソウの濃紺色は確認できなかったが,思ったより近くで見ることができよかった! 雨が降る中,

ブッポウソウの濃紺色は確認できなかったが,思ったより近くで見ることができよかった!文化ホールにもどり,上野先生,暮町先生から,資料を見ての説明があった.

文化ホールにもどり,上野先生,暮町先生から,資料を見ての説明があった.

【イベント報告】龍頭山の野鳥観察会

早起きのおかげで,きれいな朝焼けを見ることができました.6時に豊平のどんぐり村に集合し,参加者がそろったところで龍頭山へ移動しました.今回の講師は上野先生です.車から降りるとすぐに鳥の声が聞こえてきました.アカマツやスギの混合林では,ヒヨドリ・カケス・ホオジロの姿が見えます.にぎやかな鳴き声はヒヨドリで,果実をエサにしていること,ホオジロは「一筆啓上・・」と鳴き,縄張りを主張して鳴いていること,カケスは小鳥の雛を食べること・・などそれぞれの鳥の特長やエサとしているものなどのお話を聞きました.しばらくこの場所から観察し.他にもエナガの群れやコゲラ,カワラヒワ,キビタキ,メジロ,シジュウカラなどを確認しました.キビタキのおなかの色がとても黄色く鮮やかなのが印象的でした.少しずつ上へと移動し,アオゲラのドラミングを聞いたり,キジバトのウォーキングを見たりしました.お目当てのアカショウビンはお天気が良すぎたためか,姿も声も確認できませんでした.しかし,ヒヨドリやカワラヒワの鳴き声を何度も聞くことができたので.鳴き声の特長がわかったようになった気がします.また,鳥を見るには林内より林緑の方がよいことも教えていただきました.登山口の小さな池では,今年もモリアオガエルの卵や幼生をねらうシマヘビの姿を見ることができました.そこから引き返して,前龍頭が見える大原堤という池に向かいました.去年は同じ場所でカワセミを観察しましたが,今年は確認できませんでした.しばらく池上のツバメや水辺のトンボを観察していると,道路向かいのスギ林の近くに黒いシルエットの鳥が見えました.ヒナのエサであるミミズを取りにきたクロツグミのオスでした.警戒しつつも土をつつき,ミミズを探しているようです.前回の苅尾の野鳥観察会ではクロツグミの美しい鳴き声を聞きましたが,今回の龍頭山では姿を見ることができました.時間になったので,もとの場所まで帰り,最後のまとめをしました.全部で21種類の野鳥を参加者で確認しました.毎年来る場所でも.ちょっとした気候の違いで,鳥の姿を見ることができたりできなかったりするんなだなぁと感じました.さわやかな空気の中,たくさんの鳥声を聞き,ひとときでも鳥博士になった気分の観察会となりました.

電線にとまっている鳥を観察.なんだろう? 電線にとまっている鳥を観察.なんだろう?
胸の模様がネクタイのようなシジュウカラ. 胸の模様がネクタイのようなシジュウカラ.
上野先生によると,林内より林緑の方が鳥の姿はよく見られるということで,この場所はベストポジション. 上野先生によると,林内より林緑の方が鳥の姿はよく見られるということで,この場所はベストポジション.
フィールドスコープをのぞくと,鳥の姿がすぐそこに! フィールドスコープをのぞくと,鳥の姿がすぐそこに!
きたひろネットも撮影中,鳥が撮れましたか?? きたひろネットも撮影中,鳥が撮れましたか??
にぎやかにさえずっていたヒヨドリ.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にぎやかにさえずっていたヒヨドリ.
ヒヨドリの羽が落ちていた.何者かに食べられた跡だ. ヒヨドリの羽が落ちていた.何者かに食べられた跡だ.
例年通り,モリアオガエルの卵塊,そしてそれをねらうヘビを見た.

例年通り,モリアオガエルの卵塊,そしてそれをねらうヘビを見た.

スイカズラのいい香りが漂う.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スイカズラのいい香りが漂う.
ヒヨドリの好物,サクラの実. ヒヨドリの好物,サクラの実.
え〜と,さっきの鳥は何だっけ!?と図鑑をめくる. え〜と,さっきの鳥は何だっけ!?と図鑑をめくる.
エサを求めて地面をつつくクロツグミがいた. エサを求めて地面をつつくクロツグミがいた.
黒い鳥がいる〜!との声があがり,参加者の視線の先には・・ 黒い鳥がいる〜!との声があがり,参加者の視線の先には・・

【イベント報告】ブナ林の野鳥観察会

早起きのプレッシャーと風の音であまり眠れないまま,早朝5時に雪霊水前へと集合しました.悪天候のためか,参加者は6人と少人数でした.観察会を始めるとすぐにキビタキの鳴き声が聞こえました.車道をゆっくりと歩きます.次第にクロツグミ,ミソサザイ,コルリの鳴き声も聞こえました.今回の講師である上野先生いわく,クロツグミは「深みのある声」だそうで.他の鳥の鳴き声を真似て鳴くというおもしろい特性を持っています.ミソサザイは,高い声で賑やかに「ピピピ,チリリリ」とさえずりを繰り返していました.コルリの鳴き方もおもしろく,鳴き声に慣れてくると,虫の鳴き声のような「チ,チ,チ・・」という前奏が聞こえてきます.これは繁殖期の雄のさえずりだそうです.日本三鳴鳥のオオルリとウグイス,カラ類ではヒガラ・シジュウカラ・ゴジュウカラ,キツツキの仲間のアオゲラの鳴き声も確認できました.最後に雪霊水前まで帰ってくると,「キョロロロ・・」というアカショウビンの鳴き声も聞くことができました.雨が降る中だったので,鳥の姿をあまり見ることができないのが残念でしたが,鳥のすんでいる環境や,習性のお話をたくさん聞くことができました.また,雨の中で見たブナ,ユキザサの花は大変きれいでした.上野先生が「マミジロやジュウイチは今回確認できなかった.少なくなっているのだろうか」ということをお話されました.鳥をとりまく環境が悪くなっているのかなぁと気になりました.このブナ林で,たくさんの鳥が生息し続けるようにと願います.

参加者からの質問に答える上野先生. 参加者からの質問に答える上野先生.車道沿いを耳をすませて歩く.

車道沿いを耳をすませて歩く.ウリハダカエデの芽鱗がたくさん落ちていた.

ウリハダカエデの芽鱗がたくさん落ちていた.

鳴き声だけじゃなく,姿が・・見えるかな? 鳴き声だけじゃなく,姿が・・見えるかな?

影は見えたが,確認できず.残念・・!? 影は見えたが,確認できず.残念・・!?雨の中,木々が美しい.

雨の中,木々が美しい.ブナ林をゆく.

ブナ林をゆく.

ウグイスの鳴き声がきこえたところ.ササがあるところに生息している. ウグイスの鳴き声がきこえたところ.ササがあるところに生息している.ユキザサが咲いていた.

ユキザサが咲いていた.最後のまとめ.今日確認できた鳥は11種類.(鳴き声だけも含む)

最後のまとめ.今日確認できた鳥は11種類.(鳴き声だけも含む)

【イベント報告】自然再生勉強会

2007年から始まった広島県による自然再生事業の工事が完了しました.この機会に自然再生事業の全容や現地の様子,湿原の動植物についての勉強会を開催しました.47名の参加者のみなさんと,高原の自然館を出発し,水口谷湿原を通り,一旦道路にでて霧ヶ谷湿原のオープニングセレモニーに参加し,霧ヶ谷湿原の木道を歩くというコースで歩きました.昆虫担当の岩見先生は,湿地になっているところや,水路にザルをいれ,水中にすむいきものを紹介してくださいました.中でもサナエトンボとオニヤンマのヤゴが印象的でした.両生類・魚類担当の内藤先生からは,カスミサンショウウオの卵塊やヤマアカガエルのオタマジャクシを教えていただいたり,シマヘビやジムグリの赤ちゃんをつかまえ,生態を教えていただきました.ヘビにさわっているときの子どもたちの瞳は真剣で.きらきらと輝いていました.動物担当の上野先生からは,湿原の上を飛ぶハイタカを教えていただきました.植物担当の暮町先生,佐久間先生,和田先生からは,歩きながら見ることのできた,植物の名前や生態を教えていただきました.高原の自然館の白川学芸員は,工事による場所の変化やいきものの生息の変化など,自然再生事業全体のお話や,湿原の成り立ちやそこにすむいきものの生態など多くのことを説明しました.途中に雨が降り,大変寒い中での勉強会となりましたが,それぞれの専門の先生から.興味深いお話が聞けたり,寒い中だからこそ春を感じることができたりと,湿原の恵みを大いに体感しました.途中で参加したオープニングセレモニーでは,霧ヶ谷湿原の入り口のテープカットも行われ,完成した喜びをみんなで分かち合いました.様々な方に楽しんでもらえる場所,さらには湿原や自然について考えたり感じたりできる場所であり続けるよう,みんなで知恵と力を出し合い.この霧ヶ谷湿原を見守っていきたいと願います.

水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった. 水口谷湿原へいく道から,急にお天気が崩れ,カサやカッパが必要となった.
ハンカイソウのつぼみが少しだけ. ハンカイソウのつぼみが少しだけ.
ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった. ハンノキ林の中で,ハンノキや湿原性の植物について説明があった.
細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した. 細い木道を歩ききったところで,ヤドリキを見つけ観察した.
カスミサンショウウオの卵塊を発見. カスミサンショウウオの卵塊を発見.
霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった. 霧ヶ谷湿原の観察路入り口のササのなかから,内藤先生が見つけた,シマヘビの幼蛇.ウロコの数を数えたり,模様をじっくり眺めたり,ちらちら出ている舌先が二つに分かれているのを確認したりと,子どもたちは大忙しだった.
オープニングセレモニー会場に着くと,あたたかい甘酒が迎えてくれた.かりお茶屋にて販売中. オープニングセレモニー会場に着くと,あたたかい甘酒が迎えてくれた.かりお茶屋にて販売中.
霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった. 霧ヶ谷湿原の完成を祝って,テープカット.大きな拍手がわきあがった.
霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ. 霧ヶ谷湿原の広い木道をすすんでゆく.全体が見渡せるよい場所だ.
はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!? はらっぱーバッジも発見!近々仲間が増えるとか!?
岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生. 岩見先生がザルを使って水の中をすくうと・・トビケラが見つかった.「見た目には何もいないかのように見えますが,実は水の中には多くのいきものがいるんですよ」と岩見先生.
まだ動きの鈍いカナヘビ. まだ動きの鈍いカナヘビ.
主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中. 主水路の上流では,堰をつくり,土砂の流出を防ぐ工夫がされている.自然再生事業にてどのような工法が使われたのかを白川学芸員が説明中.
水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ. 水辺をザルですくってみると,ヤゴを発見.大きい方がオニヤンマ.小さい方がサナエトンボ.
ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ. ジムグリの幼蛇.成体と比べると色が鮮やかだ.
丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ. 丘の上から千町原を望む.気持ちのいい場所だ.

【イベント報告】雪原のトレッキング

日焼けしそうなほど良く晴れた中,32名もの参加者が高原の自然館へ集合しました.講師は前回に続いて上野先生です.1月の観察会では,千町原方面を歩いたので,今回は自然再生事業が行われている霧ヶ谷湿原方面に行くことになり,スキー板を履いた子供達を先頭に,賑やかな出発となりました.前日まで雪が降っていたので,足跡が見つからない心配がありましたが,多くの足跡が見つかりました.前回の観察会で多く見られたウサギの足跡はあまり見つかりませんでしたが,テンの足跡を見つけることができ,テンが活発に動いている姿が思い浮かびました.同じように見えるフンでも別の動物のフンであったり,別の物に見えても同じ動物であったりと,動物の食事や体調により違っている事がわかりました.昨年工事が行われた霧ヶ谷湿原では工事が終わっており,新たに設置された木道を歩いて行きました.しばらく進んでいくと鳥の羽が沢山落ちており,上野先生に調べてもらうと,ツグミのようでした.弱っているところをテンに捕まってしまったらしく,羽以外は綺麗に食べられていました.自然館に戻る途中,大きなノウサギが木の陰で休憩していたようですが,すぐに逃げてしました.ノウサギが休んでいた木の根元を見てみると,そこから大きな足跡が続いており肉球の形がよくわかりました.日差しが強く,戻るときは汗をかくほどでしたが,雲一つない青空,真っ白な雪景色を歩くのは気持ちがよく,とても良いトレッキングとなりました.(しんぽうゆうすけ)

自然館の裏の丘に上がる.クロカンスキー,かんじき,スノーシューなど,装備はさまざま. 自然館の裏の丘に上がる.クロカンスキー,かんじき,スノーシューなど,装備はさまざま.
サロンパス臭がするというミズメの臭いをかぐ.「ちょっとくさいー」 サロンパス臭がするというミズメの臭いをかぐ.「ちょっとくさいー」
テンがツグミを食べた跡があり,子どもたちはびっくりした顔をしていた. テンがツグミを食べた跡があり,子どもたちはびっくりした顔をしていた.
振り返ると霧ヶ谷湿原が広がり,奥には苅尾山が見えた. 振り返ると霧ヶ谷湿原が広がり,奥には苅尾山が見えた.
雪の上をよーくみると,トビムシがたくさんいた.小さすぎてよく見えないので,ルーペで観察. 雪の上をよーくみると,トビムシがたくさんいた.小さすぎてよく見えないので,ルーペで観察.
ウサギが飛びだしてきた木の根元.少し隙間があり,そこで休んでいたらしい. ウサギが飛びだしてきた木の根元.少し隙間があり,そこで休んでいたらしい.
点々と続くテンの足跡. 点々と続くテンの足跡.