【活動報告】シンポジウム2017開催(2017.5.21)

2017年5月14日(日)に、認定NPO法人西中国山地自然史研究会のシンポジウムを西区民センターで開催しましたので、報告します。

シンポジウムのタイトルは、「再考、八幡高原の自然と暮らし」として、八幡高原の自然やいきものの調査をする研究者、八幡高原に住む住民の声を聞きながらもう一度、八幡高原の自然と暮らしを一緒に考えてみることを目的に、開催されました。

シンポジウムのナビゲーターは、芸北 高原の自然館の学芸員であるしらかわハカセにお願いしました。
中国新聞で告知していただいたおかげもあり、51名の方に集まっていただいきました。

最初に近藤理事長よりなぜ今八幡高原を考える機会なのか、という趣旨説明がありました。
副理事長でもある内藤順一氏から「八幡高原の水辺の生きもの」の講演からスタートです。
スナヤツメやカスミサンショウウオをはじめ希少な生き物が八幡高原には生息していることはよく知られていますが、これらの生きものがどう貴重なのか、その生きものの生活史がどうなっているのか、ということを詳しくお話しいただきました。

続いて「八幡高原の鳥とけもの」のテーマで理事の上野吉雄氏よりお話がありました。
クマタカやハチクマなど猛禽類と言われるこちらも希少な鳥類について、そしてコウモリのお話も教えていただきました。
鳥の分布の調査を進めるうちに、クマタカのつがいがいなくなったゾーンもあるそうで、それらの理由を解説していただきました。

休憩を挟み、日本山岳会広島支部の斎陽氏より「八幡の山を楽しむ」と言うお話を聞きました。ご自身の八幡高原との関わりや、八幡を中心とした周辺部の主な山の説明、登山の楽しみ方を、経験をもとにお話しされました。
ブナ科の木の覚え方や、山にまつわるエピソードなどを交え、とても楽しそうな斎さんのお人柄が表れた講演でした。
続いて「八幡高原に暮らす」を事務局河野が発表しました。
八幡の景色の中を、独自の暦で紹介したところ、四季の移ろいや八幡ならではの文化を皆さんが真剣に聞いてくださり、とてもうれしかったです。

プログラムの最後には、講演者全員でのパネルディスカッションです。
最近、地元にも説明があった風力発電についての説明があり、各自どのような意見を持っているかを発表しました。
自然エネルギーの推進には賛成だが、生きものや人の暮らしのことを考えると、建てる場所を考えてほしい、というのが全員の意見でした。
生き物の生息や景観だけでなく、健康被害に関する不安があることが地元住民の声です。
専門科お二人方の講演でもあったように、豊かな自然があるこの八幡高原は住民が苦労を重ねながら維持してきたものです。
このシンポジウムでは、八幡高原とは、どんなところなのか、どう大切なのかということを改めて考える機会とありました。
ご来場いただいた皆様ありがとうございました。