夏休み真っ盛り,快晴の観察会日和となりました.集合場所の文化ホールには日焼けした子どもたちが,元気よく集まってくれました.今回の講師は内藤先生です.20名の参加者のみなさんと,文化ホールの一室でスライドを見ながら,カワシンジュガイの生活史などを内藤先生よりレクチャーしていただきました.カワシンジュガイは北広島町の天然記念物となっています.カワシンジュガイの生息地は全国でも大変少なく,貴重な生き物だということが,配られた資料からもよくわかりました.今回観察する草安川では,近年の調査の結果,1200個体確認されているそうです.
お話を聞いた後,車で草安川に向かいました.去年より少し下の位置です.一面張りの川で,幅が細いため,一列になって進みます.ヘビの抜け殻やオタカラコウの大きな葉っぱなど,目を惹くものもたくさんありましたが,目指すのはカワシンジュガイ!川のはしっこの茂みの下を手で探ると,石のようなものが手に当たります.「あっ!」と思い,つかんでみるとやはりカワシンジュガイでした.手触りはかたい石のような,濃い茶色の貝です.スライドでみていたものの,やはり実物を手にするとうれしさがこみ上げてきました.どんなところに生息しているのかじっくり見た後,貝の観察もしました.少しあけていた口から中の様子も見ることが出来ました.観察後,元通りにもどすため,貝の向きや立て方を先生に聞き,水に手を入れ,そっと貝を砂に立て,上流に口をむけて置きました.そうする間も,参加者の表情は真剣で,貴重な体験をしている緊張感が伝わってきました.川に入っている時間は短かったですが,現地でカワシンジュガイと出会うことができました.またカワシンジュガイに産卵するアブラボテも,今ではこの川で一番多い種類の魚となったそうです.カワシンジュガイが産卵し,幼生が育つために必要なアマゴだけは姿を見ませんでした.毎年アマゴの放流をしているそうですが,近年増えているアオサギに食べられて,いなくなるのだろうということでした.カワシンジュガイが生存していく環境には,様々な課題も見えてきましたが,氷河期の生き残りとして芸北に生息しているこの現状を,大切に守っていきたいなぁと切に感じる観察会でした.
カワシンジュガイの分布についてのお話から始まった.
アマゴ・カワシンジュガイ・アブラボテの三者の必要性の資料を見ながら,それぞれの役割のお話を聞く.
カワシンジュガイの調査地の様子の写真を見る.立ち貝の別名の通り,川の中では縦に立っている様子がよくわかった.
いよいよ川に入る.先週の千代田の可愛川とはうってかわり,水が冷たく感じた.
川岸でヘビの抜け殻を発見.子ども達は大喜びだった.
上から見守るお父さん.すすめ,すすめ〜.
カワシンジュガイがいそうな場所に手をさしこみ,探してみる.
見つけた個体をじっくり観察.大きさもいろいろだった.
砂の中から半身を出し,少し口をあけている個体.昔は,ネコジャラシのような長い穂を差し込み,貝を釣っていたというお話も聞いた.
魚を追って,深いところまでやってきた.
こちらは口を閉じている個体.自らはほとんど動かず,省エネ作戦.長生きするものは100年というから驚き!
集合し,まとめをした.これからのカワシンジュガイの生息環境についての質問や現状も参加者から飛びだした.