8月22日(金)に実施された講座について、レポートします。
広島県野生生物保護推進員で、NPO法人西中国山地自然史研究会副理事でもある内藤順一先生が、今回の講師です。広島県域で長年調査を続けておられる専門家の内藤先生から、「水辺の多様性」について学びます。
最初に生物多様性に由来する歴史や動きについてお話がありました。
世界的な動きから、日本での動き、そして広島県での生物多様性に関するの取り組みの紹介もありました。
「広島県は南方系・北方系の動物の交差点」と内藤先生は話されました。
長年調査されているいきものの中から、ゴキ、サツキマス、オヤニラミ、イシドジョウ、カワシンジュガイなど淡水魚や貝について、豊富な写真や分布資料をもとに、お話をいただきました。
サツキマスが「ひらべ」カジカが「ごり」アブラボテが「にがふな」と呼ばれているなど、方言での名称が残ってる事から、地域で身近な存在であることが伺えました。
広島県で個体数が減っている「スイゼンゼニタナゴ」は危機的であることも知りました。
サンショウウオやカエル・ヘビなど両生類・爬虫類の詳しい解説もありました。調査を続けておられる内藤先生ならではの貴重な情報がたくさんありました。
参加者からは「ヘビの脱皮はどうやってしているんですか?」「個体数が減っているスイゼンゼニタナゴはどんな貝に産卵するんですか?」「カワシンジュガイ・アブラボテ・アマゴの関係を詳しく聞きたい」といった質問がとびだしました。
最後に生物多様性を脅かしている要因の一つである外来種についてのお話です。
人間の都合で移入されたものが、在来種を脅かすという例が多く、驚きました。在来種との交雑があることや、駆除できる範囲を超えているものもいるとのことで、危機感を覚えました。
どのいきものが外来種を知るかということの重要性も感じました。
今回の講座では、生物多様性を支える考え方や方針に加え、水辺に生息するいきものの種類や生態について学びました。広島県域で保全すべき種も知る事ができました。
図鑑での検索方法などやおすすめの図鑑も教えていただきました。実践の中で役に立ちそうです。
先生のお話の中で、「関心をもってもらうことがいきものを守る第一歩だ」という言葉が印象に残りました。
この講座で学んだ事を、様々な人に話す事で、少しでもいきものに興味を持ってもらい、どんなことを大切にするかを広めるお手伝いができれば、と感じました。