活動報告」カテゴリーアーカイブ

【イベント報告】紅葉と冬芽の観察会

午前の観察会から引き続きの方も含め17名の参加です.まず斎藤先生が作成された広島県産落葉樹木冬芽図譜を資料としていただき,冬芽を観察する際に参考になる図鑑の紹介していただきました.事前に何種類かの冬芽の枝を持参されていて,それを見ながら説明を受けました.それから,「葉が付いているとそれに頼ってしまうので,すでに落葉している苅尾に登りましょう」とお話しされ,現地へ移動しました.そこでは,次のようなお話を聞きました.「ウリハダカエデの枝の成長と樹皮の特徴」「リョウブの枝ぶりと日当りなど条件によるその後の成長」「タンナサワフタギの樹皮は縦に裂け目があり,冬芽はつるつるしている事」「ハクウンボクは2段構えの芽で樹皮がはがれる事」「ミズキは樹形と赤い枝が特徴的,長枝短枝が有る.」「ノリウツギは葉痕が三角で対生,時には輪生する」「コシアブラは維管束痕(いかんそくこん)が11個以上で幹は白っぽい」また参加者の方からは経木帽子の材料として出荷されていたことも聞きました.キブシには花芽ができていて,「春一番にかんざしのように黄色にぶらさがって咲く花だけど・・なんだっけ?」と,皆さんわいわい話しながら観察しました.資料によるとマタタビは冬芽がちょっとのぞいている,資料にはないけれどサルナシはのぞいていない(めりこんで見える)という事でこちらはサルナシとわかりました.皆さんやさしい気持ちで木の芽の観察をしました.先生の話し方からも大切に観察されている様子がうかがえて,冬の植物の楽しみ方はなかなか奥が深く,興味深い観察会となりました.[やなぎざきのぶこ]

斎藤先生作の図譜を資料として配布された.
斎藤先生作の図譜を資料として配布された.冬芽を勉強する際に役立つ図鑑の紹介.
冬芽を勉強する際に役立つ図鑑の紹介.事前に持参された冬芽を見ながらの説明される斎藤先生.
事前に持参された冬芽を見ながらの説明される斎藤先生.実物をみながらコナラ・ミズナラの説明があった.
実物をみながらコナラ・ミズナラの説明があった.芽鱗痕(がりんこん)から木の成長年を考える.
芽鱗痕(がりんこん)から木の成長年を考える.リョウブについての説明中.皆熱心に聞いていた.
リョウブについての説明中.皆熱心に聞いていた.キブシ.すでに花芽がぶら下がっている.
キブシ.すでに花芽がぶら下がっている.落ちた枝を拾って冬芽を確認する.
落ちた枝を拾って冬芽を確認する.ブナとイヌブナ,イヌシデ・クマシデとアカシデ.タカノツメとコシアブラ.マルバトネリコ,ツノハシバミなど
ブナとイヌブナ,イヌシデ・クマシデとアカシデ.タカノツメとコシアブラ.マルバトネリコ,ツノハシバミなど

【イベント報告】ゴギの観察会(大朝)

曇り空の中,10名の参加者が大朝公民館に集合しました.ゴギの観察会は大朝地区では今回が初めてです.どんな観察会になるのかわくわくしながら,まずは室内で内藤先生からお話を聞きました.ゴギとは中国山地の源流に生息するイワナ類で,体に有する瞳大の白い斑紋が頭部まであるのが特長です.資料を見ながら,ゴギの発見,他のイワナ類との区別,名前の由来などのお話を聞きました.続いて,生息地域の様子や,産卵の様子をビデオに撮ってある映像を見ながら,詳しく解説していただきました.メスが産卵床を作るため,流れの淀むような場所を選び,尾びれを使って懸命に砂などを取り除いている場面があり,産卵の準備の様子が大変よくわかりました.オスとペアになってからも,産卵までに長い時間をかけるそうで,内藤先生の撮影は時には10時間にも及ぶと聞きました.そのご苦労のおかげで,産卵の映像も見ることができました.メスが産卵床に尻ビレを埋め込むようにして産卵し,オスがそれにあわせて放精します.オスが産卵を促すために何度も側に行っては離れ・・を繰り返していたのが印象的でした.メスは産卵が終わるとその周りを体をくねらせるようにして泳ぐ「舞の行動」が始まります.現地でもこの様子をみることができ,幸運でした.知識を得た後は,実際のゴギを観察にいきました.紅葉がピークを迎え,とても気持ちのいい空気の中,ゴギに出会うことができました.ゴギが生息できる環境は限られており,小渓流の中でも小さな淀みがあること,ゴギのえさとなる昆虫の棲む広葉樹の森が必要であることと教えていただきました.ゴギが生息していることは,生き物の多様性があるという証だとわかりました.参加者からの質問より,ゴギの寿命はほぼ4年であること,オスが川をパトロールしてメスを探すこと,産卵後オスは次のメスを探しにいくことなど,ゴギの生態を詳しく知ることができ,大変有意義な観察会となりました.「幻の魚ゴギ」といわれるゆえんにも触れることができました.

内藤先生のお話を資料を見ながらじっくりと聞く.
内藤先生のお話を資料を見ながらじっくりと聞く.調査中の体験や苦労話など,内藤先生ならではのエピソードもあり興味深かった.
調査中の体験や苦労話など,内藤先生ならではのエピソードもあり興味深かった.内藤先生作成の資料.種名の考察や地方名などがあげられておりおもしろい.
内藤先生作成の資料.種名の考察や地方名などがあげられておりおもしろい.「あ,おるおる!」と静かに興奮.
「あ,おるおる!」と静かに興奮.そおっと観察.肉眼でも見えるくらい近く,観察にはぴったりの場所だった.
そおっと観察.肉眼でも見えるくらい近く,観察にはぴったりの場所だった.葉の色と似ていてわかりにくいが,ペアのゴギがいる.
葉の色と似ていてわかりにくいが,ペアのゴギがいる.寄り添うようにして泳ぐオスとメス.
寄り添うようにして泳ぐオスとメス.ゴギの生息環境は小さな渓流で,小さな淀みがあるところ.
ゴギの生息環境は小さな渓流で,小さな淀みがあるところ.取材中のNHKの撮影クルーが水中カメラでゴギを撮影中.水中での様子がよくわかった.
取材中のNHKの撮影クルーが水中カメラでゴギを撮影中.水中での様子がよくわかった.最後にアンケートを実施.いつもご協力ありがとうございます.
最後にアンケートを実施.いつもご協力ありがとうございます.

【イベント報告】サツキマス保全の試み

毎年続けているサツキマスの産卵行動の観察会は,八幡振興会館での講義から始まりました.内藤先生が資料やプロジェクタを使ってサツキマスについての説明をされました.資料では,アマゴ,サクラマス,ビワマス,ゴギなど,サケ科魚類の分類がどのように整理されてきたのかについて,また広島県での人との関わりなど,丁寧に説明していただきました.その後,たくさんの写真やビデオを使って,様々な産卵のパターンや,産卵前後の行動について見せて頂きました.撮影の苦労話を交えての説明は,臨場感があって興味深いものでした. しっかりと知識を詰め込んだら,いよいよ現地に出発です.今年は観察をするだけでなく,堰に遮られて遡上できないサツキマスを捕獲し,堰より上流に上っていく手助けをする計画です.現地では内藤先生がウェットスーツを,補助の田村さんがウェーダーを着込み,川に入って網を設置していきます.陽射しがあるとはいえ,10月の柴木川は寒そうです.しかし,手伝うことはできないので,ここは見守るばかりです.網を下ろしてほどなく,サツキマスがかかり始めました.20匹以上は見えていたので,メスも4匹くらいは居るはずです.降湖するサツキマスの性比は,オス:メス=2:8だそうです.最終的には24匹を捕獲し,そのうち3匹がオスでした.捕獲した全てのサツキマスについて全長・体重・性別を記録した後,コンテナで堰より上流に運び,すぐに放流しました.放流したサツキマスはすぐに散らばって行きました.後日,見回りをされた内藤先生によると,数箇所で産卵した形跡があったということです.今回の作業をしたことで,サツキマスの産卵場所が分散され,先に産み落とされた卵が,後から来たメスによって掘り起こされる事態が避けられました.ただ,見学者からは「刺し網にかかった小さな魚もなんとか殺さないようにできないものか?」との声もあり,捕獲方法の検討もしていきたいと思います.本当は,堰に魚道が付けられたら良いんでしょうね. 今回は遠くから眺めるだけでなく,重さや長さも計測したので,しっかりと近くで観察できました.サツキマスの運搬にあたっては,八幡の河野文夫さんに軽トラックを貸して頂きました.ありがとうございました.[しらかわかつのぶ]

※サツキマスの捕獲は広島県の許可をとって実施しました.

スライドを使って解説する内藤先生.
スライドを使って解説する内藤先生.

現地に移動し,堰の下,サツキマスが溜まっているところで網を張る.
現地に移動し,堰の下,サツキマスが溜まっているところで網を張る.

首まで水に浸かりながら網を引く内藤先生.
首まで水に浸かりながら網を引く内藤先生.

網にかかったサツキマス.
網にかかったサツキマス.

岸から捕獲作業を見学する.
岸から捕獲作業を見学する.

一匹ずつ,丁寧に網から外していく.
一匹ずつ,丁寧に網から外していく.

参加者は,ひたすら陸から見学.
参加者は,ひたすら陸から見学.

測定の様子を見学.
測定の様子を見学.

重さを計測する.
重さを計測する.

捕獲されたサツキマス.
捕獲されたサツキマス.

サツキマスはコンテナ2杯に入れて運んだ.
サツキマスはコンテナ2杯に入れて運んだ.

サツキマスのメス.今回は3匹.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サツキマスのメス.今回は3匹.

運ばれるサツキマス.
運ばれるサツキマス.堰の上流でゆっくりと放流した.
堰の上流でゆっくりと放流した.

キノコ観察会

雨が降る中,年に一度のお楽しみ「キノコ観察会」が始まりました.講師は昨年に続き川上先生です.今回の開催場所は聖湖キャンプ場です.キノコの採り方,カエンタケという危険なキノコには触れないことなど,先生のお話を聞いたあと,キノコ採取の開始です.参加者は19名でキャンプ場内を探し回りました. 「キノコってそんなにすぐ見つかるのかな?」と疑問を持っていましたが,そんな心配は無用で,少し歩くとしげみの下にキノコを発見!これは大きいぞ〜と嬉しくなりました.カゴを片手に,道路の側,木の下,笹の側,芝生の上と次々に見つかります.雨が降っていても気になりませんでした.子供の参加者も,こぞって探しています.おもしろいキノコや変わったキノコを見つけると,皆で集まり匂いをかいだり,手に取ったりしました. 1時間ほど歩き,キノコを探すという醍醐味をたっぷり満喫しました.さあ,持ち帰ったキノコを並べ,川上先生による鑑定タイムです!キノコを一つづつ手にとり,さっと名前をつけます.食べられるキノコは黒字,食毒不明は青字,食べられない毒を持ったキノコは赤字で名前が入ります.参加者も自分が採ったキノコにどんな名前がつくのか興味津々で見守ります.カボチャの形をしたカボチャタケ,食べられると聞いて意外なホコリタケ,根本が膨らんでいるフウセンタケの仲間,ホンシメジとよく似ているクサウラベニタケという毒キノコなどキノコの名前や特性を大変興味深く聞きました.中でも乳液が辛いといわれ試してみたケシロハツモドキ.これは本当に辛く,舌がびりびりとしました.こうやって試すことができるのも,専門家による観察会だからこそです.全部の鑑定を終えると,食用13種・食毒不明21種・毒8種と合計42種のキノコを観察したことがわかりました. 最後に白川学芸員から北広島町の生物多様性に関するお話がありました.キノコをはじめ,いつまでも豊かな生態系の恵みを受け取れるような環境を残したいものです.

雨が降る中,観察会開始. 雨が降る中,観察会開始.川上先生の作業道具.菌糸体(根っこ)まで掘るために小さなスコップ. 川上先生の作業道具.菌糸体(根っこ)まで掘るために小さなスコップ.たくさんあるなぁ,どれどれ・・ たくさんあるなぁ,どれどれ・・「卵が落ちているよ?」 「卵が落ちているよ?」「中身があるよー?こりゃなんだ?」 「中身があるよー?こりゃなんだ?」「匂いはあるかな?」くんくん・・ 「匂いはあるかな?」くんくん・・小さなカナヘビも発見! 小さなカナヘビも発見!名前をつけてもらうと・・見た目の通りの名前!“カボチャタケ” 名前をつけてもらうと・・見た目の通りの名前!“カボチャタケ”「はい!“ミヤマタマゴタケ”」 「はい!“ミヤマタマゴタケ”」キノコの種類を熱心にメモ. キノコの種類を熱心にメモ.図鑑と照らし合わせてキノコを調べる. 図鑑と照らし合わせてキノコを調べる.白川学芸員より,北広島町の生物多様性の保全に関するお話.パンフレットも配られた. 白川学芸員より,北広島町の生物多様性の保全に関するお話.パンフレットも配られた.このキノコは何だろう?もこもこがいっぱい. このキノコは何だろう?もこもこがいっぱい.ぬらぬらしている“ムラサキフウセンタケ” ぬらぬらしている“ムラサキフウセンタケ”近くで見ると・・表面がツブツブしている“ホコリタケ” 近くで見ると・・表面がツブツブしている“ホコリタケ”危険なキノコやまちがえやすいキノコも丁寧に解説してくださった. 危険なキノコやまちがえやすいキノコも丁寧に解説してくださった.川上先生がひとつづつ名前をつけつつ,生態を紹介. 川上先生がひとつづつ名前をつけつつ,生態を紹介.全部で42種類! 全部で42種類!

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生調査 秋

団体での参加も含め,19人での調査になりました.講師はお馴染みの和田さん,大竹さん,佐久間さん,そして白川の4人です.現地に移動する前に,高原の自然館前で植生調査の方法について説明しました.不明な点への質問もあり,参加者のやる気が伺えました.現地では,はじめにパネルを使って,自然再生事業の概要について説明しました.各班で調査道具を持ち,夏の調査記録を分配しました.この記録に従って,調査地へと移動していきます.霧ヶ谷湿原の木道には番号が振ってあるので,簡単に場所を特定できます.今回は初めて参加される方が多かったのですが,各班とも順調に進みました.調査区が進につれて,植物の名前だけでなく「被度」や「郡度」などの評価も参加者の方自身でされるようになり,手際が良くなっていきました.しかし,慣れた頃には予定していた地点の調査を終えてしまいました.早く終わった斑は,それぞれの斑の講師に連れられて植物観察をして,ツリフネソウやアキグミの実を見つけたようです.すべての斑が調査を終えて戻ってきたところで,和田さんから,八幡湿原自然再生事業のきっかけとなった,自然史研究会による実験について説明していただきました.最後に,各班の状況を紹介していただき,感想を言い合いました.「わずか1平方メートルの中に,たくさんの植物があって驚いた」という方が多かったようです.また,講師の佐久間さんからは,夏の調査時とずいぶん植物が変わったという指摘がありました.大人数の調査でしたが,木道があるおかげで,湿原を傷めずに植生調査を体験できました.

夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
夏に続き,霧ヶ谷湿原のいきもの観察会です.秋の気配に包まれた湿原ではどんな花や昆虫を見ることができるのでしょうか?遊歩道を歩きながら,ゆっくりじっくりと観察しましょう.
各班に別れて調査を進める.
各班に別れて調査を進める.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.
木道の上から植生高や被度・郡度を測る.小さな植物も見逃さないようによーく観察.
小さな植物も見逃さないようによーく観察.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
夏には植生が疎だった場所も,草に覆われていた.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.
全ての調査が終わった後,全員で報告し合った.