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【イベント報告】八幡高原の野鳥観察会

  • 開催日時:2013年11月17日(日) 9:00
  • 講師:上野吉雄

前日までの快晴から一転,雨が降る冷たい気温の中,八幡高原の野鳥観察会が行われました.今回の講師は上野先生です.丘陵,湿原,田園,溜め池と色々な場所を巡りながら鳥類を観察します.
自然館前に19名が集合し,近くにいたオオマシコを観察しました.幸先良くスタートを切り,最初のポイントである,おーいの丘へと向かいました.丘の上では飛行するアトリの群れにホオジロ,ツグミ等の鳴き声を聞きました,丘から戻る途中ではキレンジャクが私達の頭上を通過していきました.小鳥はタカ等の猛禽類狙われないように場所を移動しながら餌を食べることを上野先生が話されました.近くのキハダの枝に留まって実を食べる姿を,双眼鏡やスコープを使って観察しました.
霧ヶ谷湿原では,少数のカシラダカを見つけました.カシラダカはロシアから渡ってくる冬鳥ですが,ロシアでの開発が進み,繁殖地が減りつつあることを聞きました.
続いて田園に向かいます.刈り取りの終えた田んぼに餌を求めてやってくる鳥を観察します.ハシブトガラスやアトリの他に,少数の群れを発見しました,上野先生が確認をしたところ,今回のお目当ての1種のシラガホオジロだと判明しました.早朝,餌を食べたあとはすぐ山に戻りますが,雨天のためこの時間にも田園にいることや,近くを通りがかる人が少ないことも幸いだったそうです.今回の観察会では7羽のシラガホオジロが確認されました.参加者は,図鑑と実物で細部を確認しながら「見られて良かった」「スコープに入っているのでどうぞ」と,和気あいあいと観察を続けました.この他にも八幡高原の野鳥観察会では10年ぶりの確認となったミヤマガラスなど,充実した出会いがありました.
最後は尾崎谷湿原の溜め池に向かいました.まずは堤の端からそっと池を眺めました.鳥を驚かさないようにするためです.池の奥にはコガモの群れや,そこに混じっているカイツブリ,池から出ている杭の上に留まって羽づくろいをしているカワウの姿を確認しました.
溜め池から戻り,今日の観察会での鳥合わせとまとめを行い,26種類の野鳥が確認されました.雨にも関わらず,色々な野鳥と出会えた参加者からは,たくさんの明るい笑顔が見られた野鳥観察会となりました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「久々にキレンジャクが見れたこと」「シラガホオジロ,キレンジャクを見る事ができた」「たくさんの取りを教えてもらえた」「シラガホオジロに会えたこと」「シラガホオジロ7羽見た」「シラガホオジロ」「キレンジャク初めて見ました」「キレンジャクの群れを見られたこと」「キレンジャクの群れ,数羽しか見たことがなかった」「キレンジャク,ミヤマガラス,シラガホオジロ」「シラガホオジロの観察」「シラガホオジロ7羽」「シラガホオジロ確認」「シラガホオジロの観察」「シラガホオジロ」「シラガホオジロ.雨降りでも多くの鳥が見られる」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「26種と思ったより多く確認でき良かった」「雨が降ったが,たくさんの鳥を見る事ができて楽しかった」「雨も気にならないくらい充実してました」「楽しかった」「美しい紅葉の中,今季初の鳥が見れた」「寒い中ありがとうございました」「雨にもかかわらず鳥が良く出ました」「木の実と野鳥の関わりが聞けてタメになりました」「今年もシラガホオジロが見られてよかった」「雨でもけっこう鳥を見れてよかった」「高原の自然と種々赤い実」「又来ます.晴れるといいですね」「勉強になることが多くとても楽しかったです」「素晴らしい会でした」「いろんな鳥をいっぺんにみれてラッキー」

具体的に

「ゆったり,いろいろ見せてもらえ,ありがとうございました」「鳥,植物とてもくわしく,わかりやすく」「上野マジックです!」「親切,わかりやすい」

自由記入

「ありがとうございました」「ちょくちょくやってください」「ありがとうございました」「次回も参加したいです」

写真

集合し,雨対策をしているところに姿を見せたオオマシコを観察する.
集合し,雨対策をしているところに姿を見せたオオマシコを観察する.おーいの丘で熊棚を発見.幹をよく見ると,クマの爪痕がついていた.
おーいの丘で熊棚を発見.幹をよく見ると,クマの爪痕がついていた.田園の上を旋回していたトビ.
田園の上を旋回していたトビ.田園で観察.電線などに留まる個体を1羽ずつ観察する.
田園で観察.電線などに留まる個体を1羽ずつ観察する.見つけた野鳥を図鑑で解説する上野先生.解説しているのはシラガホオジロ.
見つけた野鳥を図鑑で解説する上野先生.解説しているのはシラガホオジロ.羽づくろいをするカワウ.水中へ潜ったカイツブリとは対照的に,こちらの事は気にしてない様子だった.
羽づくろいをするカワウ.水中へ潜ったカイツブリとは対照的に,こちらの事は気にしてない様子だった.最後に鳥合わせとまとめをする.26種類の野鳥が確認された.
最後に鳥合わせとまとめをする.26種類の野鳥が確認された.

【イベント報告】ゴギの繁殖観察会

  • 開催日時:2013年11月10日(日) 9:30
  • 講師:内藤順一

小雨が降り川の様子が心配される中,ゴギの繁殖観察会が行われました.
今回は内藤順一先生が講師の予定でしたが,都合により,奥山先生と白川学芸員が講師です.
ゴギはイワナの仲間で,頭部の白い斑点が特徴であること,主に中国山地の標高の高い冷水域に生息しており,イワナ属の中では西限に生息していること,採集圧や放流されたヤマメとの競合などにより個体数が減少し,広島県では絶滅危惧I類に選定されていることなどを白川学芸員がスライドを使って解説しました.続いて,オスとメスがペアになって泳いでいる姿や,メスが体全体を使って砂礫(されき)を掘り,産卵床を作っている場面,「舞の行動」と呼ばれる産卵後にゆらゆらと産卵床の回りを泳いでいる様子などを,内藤先生が撮影していたビデオを見ました.
事前学習の後は,実際にゴギを観察します.水の流れがゆるやかで,砂礫が堆積している場所に産卵床を作ります.水深の浅い場所をゆっくりと泳いでいるので,姿を観察しやすくなっているそうです.
現地に到着後,上流側と下流側に分かれてゴギの姿を探しました.参加者は産卵場所を覗き込んだり,双眼鏡を使って水面を眺めましたが,観察を始める直前に雨脚が強くなり,川が濁り始めていて,下流側ではゴギが確認できませんでした.「川が濁るのは砂礫などがたくさん流れているためで,その状態で産卵床を作ってもすぐにまた埋まってしまいます.水の流れも速くなるので,産卵をしたいゴギは流れがゆるやかな上流へと登っているのでしょう」と,奥山先生が話されました.上流側では産卵行動は見られませんでしたが,単独で行動しているゴギの姿を確認でき,「見れた!」「また現れるかも」と,期待を込めて観察する場面もありました.
観察できた時間は短く,見れた方も少数だったのが残念ですが,幻の魚といわれる貴重なゴギの姿を見ることが観察会となりました.「来年こそは産卵行動を見るぞ!」いう期待を込めて現地を後にしました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「雨で川にごっていて何も見られなく残念です」「ゴギの産卵期に樹木の紅葉が彩りを増すベストタイミング.雨でゴギが見えなくて残念です.」「雨」「見れなかった」「ゴギを双眼鏡で見たこと」「ゴギの産卵」「ゴギを双眼鏡でのぞいたこと」「ゴギがいる場所がこんなに水たまりの様な所で川幅がせまいこと」「雨とイワナの分布についてと分類」「ゴギの産卵ビデオ」「にごりが出ると産卵床を作らないこと」「いい話が聞けてよかった」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「紅葉がきれいでしたが,雨で観察会が残念でした.子供達が沢山来てたのに残念でした」「限られた環境に生きていることに尊さを感じた」「双眼鏡の景色がよかった」「今日は雨の中ゴギは見られなかったが,上流の厳しい環境の中で,生きていることが良く解った」「生息環境が見れてよかった」「よかった」「むずかしかった」「むずかしかった」「とても勉強になりました.この様な環境がずっと残ってほしいです」「とてもためになった」「他のイワナのことや生息地,各地域のゴギの特徴が知れて楽しかったし勉強になった.また機会があれば見に来たいです」「先生がおられなったのは残念でしたが,いいお話が聞けました」「産卵の現場が見られなかったのが残念」「見れなかったので残念」

具体的に

「とてもよい」「楽しい」「悪天候にも関わらず,対応して下さりありがとうございました」「よかった」「はじめて知ったことがありました」「場所が分からなかった.会場案内がほしかった」

自由記入

「ゴギだけでなく,色々な川に棲む生き物についてもっと知りたいです」「またこういう機会があればぜひ参加したいです」「色んな催しに参加したい」

写真

観察会には子供達がたくさん参加した.
観察会には子供達がたくさん参加した.講師の奥山先生と白川学芸員.
講師の奥山先生と白川学芸員.スライドを移しながら解説する白川学芸員.
スライドを移しながら解説する白川学芸員.色と記号でイワナ属の種類を解説中.「隣合ったものは似ていますが,両端のものはかなり違います」
色と記号でイワナ属の種類を解説中.「隣合ったものは似ていますが,両端のものはかなり違います」内藤先生が撮影されたビデオを見る.メスが産卵床を掘る姿が鮮明に映っていた.
内藤先生が撮影されたビデオを見る.メスが産卵床を掘る姿が鮮明に映っていた.傘や合羽を装備して観察開始.
傘や合羽を装備して観察開始.下流を探す奥山班.奥山先生から産卵に適した場所を教えていただく.
下流を探す奥山班.奥山先生から産卵に適した場所を教えていただく.産卵床はあの辺りかな.
産卵床はあの辺りかな.観察会には良くない天気だが,カエルには絶好の活動日和.
観察会には良くない天気だが,カエルには絶好の活動日和.観察会終了後もゴギを探す.雨が弱まりゴギの姿も見られた.
観察会終了後もゴギを探す.雨が弱まりゴギの姿も見られた.

【イベント報告】紅葉と冬芽の観察会

  • 開催日時:2013年11月4日(月) 9:30
  • 講師:斎藤隆登

出発直前まで小雨がふったりやんだりと,天候が心配される中,紅葉と冬芽の観察会が行われました.今回の講師は斎藤先生です.
高原の自然館に13名が集合し,観察前に事前学習を行いました.冬芽の多くは芽鱗(がりん)と呼ばれる厚い皮や毛に覆われて冬の寒さから芽を守っていること,春になり,芽が成長すると芽鱗が剥がれ落ちて芽鱗痕(がりんこん)ができ,それを辿ることで枝が1年でどれだけ成長したかが分かることなど,冬芽を観察するときのポイントを,斎藤先生が丁寧に描かれた図鑑を見ながら教えていただきました.
植物の冬の姿や紅葉の様子に期待をふくらませながら,現地へ車で向かいました.臥竜山の中腹から降車し,雪霊水まで歩きながら観察を行います.途中,千町原に立ち寄り,粘つく樹脂に覆われたトキノキの冬芽や,落葉したケヤキの葉を観察しました.参加者は指に残る樹脂の感触を楽しんだり,ルーペを使ってじっくりと眺めるなど,斎藤先生が解説されたことを実際に確かめながら,植物を観察していました.
千町原での観察を終えると,臥竜山に向かいました.山中はガスが薄くかかり,ひんやりとした空気に包まれていました.高い場所や離れた場所にある枝を,先生お手製の道具を使い,手元に引き寄せて観察します.1つの枝先から複数の冬芽をつけた後,効率よく日光を受けられる枝以外を落とすことで,枝が波打つように伸びていくリョウブやヤマボウシ,丸い花芽(かが)と細長い葉芽(ようが)をつけるクロモジなど,冬芽や樹皮での植物の見分け方を解説されました.「花や葉と一緒に冬芽や樹皮を覚えると,どの季節でも植物を楽しめますよ」と,この時期ならではの楽しみ方を教えていただきました.雪霊水付近では,あまりなじみのないクロカンバを観察しました.葉脈が目立つ特徴的な葉は落ちていましたが,黒い樹皮と対生する冬芽から見分けることができました.
秋の紅葉を楽しみながら,植物の冬の過ごし方を確認できた観察会となりました.[ありみつまさかず]

みなさんの印象に残った物

「葉がなくても,冬芽をしっかり観察することで,種がわかること」「クロカンバの冬芽が見れたこと」「クロカンバをみたこと」「クロカンバの木が見られたこと.特徴的な冬芽と枝でした.葉も見たかったです」「クロカンバが見られたこと」「クロカンバが見られたこと」「種によって冬芽がいろいろ違っていることに興味がわいた」「トチノキの冬芽」「クロカンバ発見!」「クロカンバの冬芽」「植物は冬の寒さにいろんな工夫をして頑張っている姿に感動」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「クロカンバ,とても勉強になりました」「寒かったが,参加してよかった」「冬芽のつき方にもいろいろあり,それぞれの特徴をくわしく説明していただきよく分かりました」「寒かったけど,熱心に教えていただいた事に感謝します」「寒かった」「楽しかった」「冬芽をあんまり見る機会がなかったので,おもしろかったです」「楽しかった」「紅葉が美しかった」「もっと時間をかけてゆっくりと先生の話を聞きながら歩きたい」

具体的に

「お天気がもっと良いといいですね」

自由記入

「このイベント,また参加したいです.」「お世話になりました」

写真

まずは千町原から観察開始.
まずは千町原から観察開始.トチノキの冬芽.触ってみるとネバネバしていた.
トチノキの冬芽.触ってみるとネバネバしていた.ルーペを使ってヤマザクラをじっくりと観察
ルーペを使ってヤマザクラをじっくりと観察きれいな状態で落ちていたケヤキの葉.
きれいな状態で落ちていたケヤキの葉.臥竜山の中腹から雪霊水へ歩く.道は落ち葉で彩られていた.
臥竜山の中腹から雪霊水へ歩く.道は落ち葉で彩られていた.丸い花芽と細長い葉芽の2つの冬芽をつけるクロモジ.
丸い花芽と細長い葉芽の2つの冬芽をつけるクロモジ.車道脇の小さなブナ.周りの大きなブナより一足早く黄葉を終えていた.
車道脇の小さなブナ.周りの大きなブナより一足早く黄葉を終えていた.雪霊水付近を歩く.中腹と比べて黄色の葉が目立つ.
雪霊水付近を歩く.中腹と比べて黄色の葉が目立つ.

【イベント報告】キノコの観察会

  • 開催日時:2013年10月12日(土) 9:30
  • 講師:川上嘉章・新谷正信

急に気温が下がり,風が冷たいお天気のもと,キノコ観察会が行なわれました.全部で25名の参加者が聖湖キャンプ場の駐車場に集まり,今回の講師である川上先生,新谷先生からキノコの採集の注意点を聞きました.細部までの同定が必要な際があるので,地中部からとっておくとよいことや,ナイロン袋などではなく,カゴにいれたほうが痛みにくいこと,強い毒性を持つ「カエンタケ」は触れるだけでも危険であるので注意すること,ということでした.
採集時間を設け,キャンプ場内をキノコ探しに出かけます.1時間後に集合した時には,参加者はみんなかご一杯にキノコを持ち帰ってきました.
今回の観察会では,58種のキノコが確認されました.
おいしいといわれるハタケシメジ,一本で致死量となる毒性を持つドクツルタケ,英名では「天使の翼」と言われるように美しい姿をしているスギヒラタケ,モグラのトイレに発生するナガエノスギタケ,その姿から名前がついたスリコギタケなど個性あふれるキノコについて先生方から詳しい解説を聞き学びました.どのような場所に生育しているのかや,名前の由来.分類の難しさなどを知ると,本当にキノコの世界も深いなぁと感じました.
今回は夏と秋のキノコの狭間の時期ということで,種類は少なかったそうですが,専門家の先生の解説により,大人から子どもまで楽しめる観察会となりました.
キノコの世界ではまだ名前のついていないものもあるということです.新しい種が発見できる機会があるかもしれません,というお話も印象に残りました.[こうのやよい]

みなさんの印象に残った物

「食用のキノコが少ないこと」「種類が多い事にびっくり」「さすがに涼しかった」「キノコの種類が多い」「食用は少ない」「食べられそうにないと思ったのが意外と食用で,食べられそうなのが不食だったこと」「無差別にキノコ採取でき,楽しかったです」「みんなで散策しながら,いろんなキノコを見つけたこと」「サナギタケ・スリコギタケなど,すべてがめずらしかったです」「こんなにたくさんの種類があるのかと思いました」「ハタケシメジがとれたこと」「もう少し時間がほしかった.静かな林の中で気持ちがよかった.初めて会った方々と楽しく過ごせました.珍しいキノコが採れて勉強になりました」「図鑑でしか見たことがなかった冬虫夏草を発見できて興奮しました」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「涼しい森の中を歩けて気持ちよかった」「余りよく判らない」「もう少しキノコを探す時間がほしい」「さわやかな散策ができました」「あまり見つけられなかったが,楽しかった」「すぐに見わけて食べられるものを取って食べられる様になるのは,まだまだ道のりが長そうです」「食用が意外に少ない」「キノコについて,何も知らないで参加したのですが,いろいろ教えてくださって,興味が湧きました」「楽しかったです」「いろいろのキノコをみれてよかった」「初めてキノコの観察会に参加しました.いつも1人で図鑑を見ても分からないことが多かったので,大変勉強になりました」「時間が短い」

具体的に

「初参加なので覚えられないので」「その場で教えていただいたのがよかったです」

自由記入

「またいろんなイベントに参加できたらいいと思います」

写真

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【イベント報告】サツキマス保全の試み(2)

  • 開催日時:2013年10月6日(日) 9:30
  • 講師:内藤順一

サツキマス保全の試みの第二弾の観察会です.先週は産卵床の整備をしました.
今回はサツキマスの親魚を上流へ移動する予定でしたが,本流ではサツキマスの遡上が全くなかったので,急遽場所を変更して,サツキマスの生態観察を行なうことにしました.
サツキマスはアマゴの降海型であることからお話が始まり,生息分布や生活史を詳しく解説いただきました.
広島県のサツキマスというトピックでは,江戸時代の書物「芸藩通誌」の中では,志計魚(しけぎょ)という記載があることが紹介されました.
サツキマスが湖の中で性成熟して,産卵の直前に上流部に還り,農業堰を越え,産卵床を作り産卵しするという流れも,写真を見ながらしっかり教えていただきました.
座学の最後に,産卵の様子がわかるビデオを見せていただきました.その中で,産卵行動にも様々な場面があり,オスがオスを追い払うシーンや,メスになりすましたオスが他のオスの放精を誘うことがあるなど,調査を重ねておられる内藤先生ならではの考察を聞きました.それらの行動がサツキマスが自身の遺伝子を残すための行動と聞き,参加者からは感心の声がありました.
その後,実際の産卵を観察するため,木束原川に向かいました.先週,テグスを張った場所です.産卵床整備が功を奏したようです.サツキマスを驚かさないよう,そっと見守るようにとの注意を守り,そろそろと川面をみつめると,オスとメスのペアと,スニーカーとよばれるアマゴのオスがいました.
メスが体をひねっていることから,産卵が近いのだと教えていただきました.
ビデオで見てはいましたが,オスの背びれが痛んでいるのが見え,実際の観察ならではの気づきがありました.昼前に解散しましたが,16時42分,同じ場所で2回目の産卵を確認しました.
川の環境の変化や,アオサギの増加など,サツキマスの産卵をとりまく状況は年々厳しくなってきていることから,テグスを張り産卵床の整備を行う保全活動を行い,サツキマスのいのちの受け渡しを見守っていきたい,と内藤先生はお話されました.
地域の大切な生き物のことをまず知ることから始め,そして様々な工夫を重ねて,これからも観察会や保全活動をしていきたいと思います.[こうのやよい]

みなさんの印象に残った物

「産卵床現場が見れたこと」「久しぶりに内藤先生に会えた事」「パネルディスカッション」「ビデオ撮影がよく分かりました」「サツキマスが見れた事」「サツキマスの動画」「サツキマスがメスだけ(ペアではなくメス単独)で産卵床をつくっていたところ.調査状況,写真」

参加したみなさんの感想(抜粋)

「今日の参加者は,魚に詳しい方がほとんどで,釣りも詳しそうで微妙な感じ」「来年も参加したい」「とても勉強になりました.これからも続けてください」「サツキマスの生態の不思議に感動しました」「サツキマスを見て,ここまで上がってくるのは大変だということが分かりました」「色々な情報交換ができて楽しかったです」「勉強になりました」

具体的に

「初めての参加でしたが,とても親切にありがとうございました」

自由記入

「来年は活動ができるとよいですね」

写真

現地に向かう前に座学を行う.
現地に向かう前に座学を行う.川の近くに車を止めて徒歩で向かう.
川の近くに車を止めて徒歩で向かう.前回の保全活動で整備した産卵床の1つ.下流にはサツキマスが確認された.
前回の保全活動で整備した産卵床の1つ.下流にはサツキマスが確認された.観察場所に到着.ここから先はより慎重に近づく.
観察場所に到着.ここから先はより慎重に近づく.体を横にして,尾びれで産卵床を掘るメス.
体を横にして,尾びれで産卵床を掘るメス.産卵床にいるサツキマスを驚かせないように,田のあぜからそっと覗き込む.
産卵床にいるサツキマスを驚かせないように,田のあぜからそっと覗き込む.サツキマスのオスとメスのペア.近くにはアマゴの姿もあった.
サツキマスのオスとメスのペア.近くにはアマゴの姿もあった.