- 開催日時:2013年11月4日(月) 9:30
- 講師:斎藤隆登
出発直前まで小雨がふったりやんだりと,天候が心配される中,紅葉と冬芽の観察会が行われました.今回の講師は斎藤先生です.
高原の自然館に13名が集合し,観察前に事前学習を行いました.冬芽の多くは芽鱗(がりん)と呼ばれる厚い皮や毛に覆われて冬の寒さから芽を守っていること,春になり,芽が成長すると芽鱗が剥がれ落ちて芽鱗痕(がりんこん)ができ,それを辿ることで枝が1年でどれだけ成長したかが分かることなど,冬芽を観察するときのポイントを,斎藤先生が丁寧に描かれた図鑑を見ながら教えていただきました.
植物の冬の姿や紅葉の様子に期待をふくらませながら,現地へ車で向かいました.臥竜山の中腹から降車し,雪霊水まで歩きながら観察を行います.途中,千町原に立ち寄り,粘つく樹脂に覆われたトキノキの冬芽や,落葉したケヤキの葉を観察しました.参加者は指に残る樹脂の感触を楽しんだり,ルーペを使ってじっくりと眺めるなど,斎藤先生が解説されたことを実際に確かめながら,植物を観察していました.
千町原での観察を終えると,臥竜山に向かいました.山中はガスが薄くかかり,ひんやりとした空気に包まれていました.高い場所や離れた場所にある枝を,先生お手製の道具を使い,手元に引き寄せて観察します.1つの枝先から複数の冬芽をつけた後,効率よく日光を受けられる枝以外を落とすことで,枝が波打つように伸びていくリョウブやヤマボウシ,丸い花芽(かが)と細長い葉芽(ようが)をつけるクロモジなど,冬芽や樹皮での植物の見分け方を解説されました.「花や葉と一緒に冬芽や樹皮を覚えると,どの季節でも植物を楽しめますよ」と,この時期ならではの楽しみ方を教えていただきました.雪霊水付近では,あまりなじみのないクロカンバを観察しました.葉脈が目立つ特徴的な葉は落ちていましたが,黒い樹皮と対生する冬芽から見分けることができました.
秋の紅葉を楽しみながら,植物の冬の過ごし方を確認できた観察会となりました.[ありみつまさかず]
みなさんの印象に残った物
「葉がなくても,冬芽をしっかり観察することで,種がわかること」「クロカンバの冬芽が見れたこと」「クロカンバをみたこと」「クロカンバの木が見られたこと.特徴的な冬芽と枝でした.葉も見たかったです」「クロカンバが見られたこと」「クロカンバが見られたこと」「種によって冬芽がいろいろ違っていることに興味がわいた」「トチノキの冬芽」「クロカンバ発見!」「クロカンバの冬芽」「植物は冬の寒さにいろんな工夫をして頑張っている姿に感動」
参加したみなさんの感想(抜粋)
「クロカンバ,とても勉強になりました」「寒かったが,参加してよかった」「冬芽のつき方にもいろいろあり,それぞれの特徴をくわしく説明していただきよく分かりました」「寒かったけど,熱心に教えていただいた事に感謝します」「寒かった」「楽しかった」「冬芽をあんまり見る機会がなかったので,おもしろかったです」「楽しかった」「紅葉が美しかった」「もっと時間をかけてゆっくりと先生の話を聞きながら歩きたい」
具体的に
「お天気がもっと良いといいですね」
自由記入
「このイベント,また参加したいです.」「お世話になりました」
写真
まずは千町原から観察開始.
トチノキの冬芽.触ってみるとネバネバしていた.
ルーペを使ってヤマザクラをじっくりと観察
きれいな状態で落ちていたケヤキの葉.
臥竜山の中腹から雪霊水へ歩く.道は落ち葉で彩られていた.
丸い花芽と細長い葉芽の2つの冬芽をつけるクロモジ.
車道脇の小さなブナ.周りの大きなブナより一足早く黄葉を終えていた.
雪霊水付近を歩く.中腹と比べて黄色の葉が目立つ.