芸北で研究をされていた大西舞さんが、大学院卒業後JICAの青年海外協力隊としてモロッコ王国に派遣され、環境教育のボランティアに2年間取り組まれ、帰国されましたので、お話を聞かせていただきました。
大西さんをよく知っている人から、はじめましての方まで、参加者14名で支所カフェはスタートしました。
異文化・「インシャーラーとマシムシュキル」「水の大切さ」という三つの視点でのお話となりました。
モロッコ王国について、気候や国民性、暮らしなど写真や質問を交えて教えていただきました。
衣食住と紹介がありましたが、一番わかりやすかったのは「衣」です。実際に大西さんが着て登場され、また参加者にも女性用のジェラバという民族衣装を貸していただきました。刺繍の美しさや、肌を隠すための長さある丈など、お話と合わせて聞くと興味が高まります。
また思った以上の気温(最高は50度!)にもびっくりでした。
JICAボランティアとは、「自分の持っている技術・知識や経験を開発途上国の人々のために生かしたい」という強い意欲を持つ20〜39歳の方が応募できるものだそうで、大西さんは「環境教育」という分野での挑戦でした。モロッコに行ってみると、色々な経由があり「子どもの障害者支援」の仕事からスタートしたそうです。苦労されたのは、言葉でのコミュニケーションで、研修で勉強をしていったフランス語ではなくアラビア語やベルベル語などを使われたそうです。
また、廃材をつかった教材の開発では、学校の先生にとても感謝されたそうで、「「舞が来てくれたおかげで多様な価値観を学んだ」という印象的なやりとりを聞きました。「ものや技術などやり方を持ち込んだのではなく、考え方が伝えられた」と聞き手の白川学芸員が高く評価していました。
また、大西さんより「インシャーラー」という言葉を教えていただきました。「神様の御心のままに」という意味で、特別なことばではなく日常的なもので、最初は魔法のような言葉だな、と感じましたが、最後に大西さんが話してくれた「モロッコに行って自分がどう変わったか?」の答えでわかりました。
イスラム教が優しい宗教だとわかり、モロッコ人の優しさや大らかさを体験で得て、「インシャーラー」「マシムシュキル」(問題ないよ)という言葉が響いたそうです。
「歓迎してくれるあたたかな人柄」といった芸北とモロッコの共通点もあったようです。
「芸北での研究がモロッコで役に立ちましたか?」という質問に対しては、「芸北の人たちのように地域に愛着をもってもらう、という方向性でボランティア活動にのぞむことができた」という答えをいただきました。
「水の大切さ」については、以前オーストラリアの報告会をしてくれた北広島町地域おこし協力隊の山口さんからも同じことを聞いた記憶があります。
世界的にみると日本は恵まれた環境にあるのだなぁと感じます。
異文化に触れ体験を聞くことで、視野が広がる時間となりました。
大西さんは、春からまたモロッコへ旅立たれるそうです。ご活躍を願っています。