【研修レポート】平成27年度太田川流域子ども交流事業自然体験学習リーダー研修

11月10日(火)に休館日を利用して,豊平のろうきんの森で行われた「平成27年度太田川流域子ども交流事業自然体験学習リーダー研修」に参加してきました.
講師は人間科学研究所所長の志賀誠治先生です.
実際にプログラムを体験して,自然体験学習とはどのようなものなのか,どのように参加者が楽しみながら学習できる,プログラムを作ればいいのかを学びました.
まず,1時間弱の座学で自然体験学習とは一体どのようなものなのかを簡単に学び,早速外に体験プログラムを体験しに出かけました.
一番最初に行ったのは,3つのグループに分かれての10thingsという,触感をつ買って遊ぶアクティビティでした.紙製の卵パックの裏に「つるつる」「ざらざら」などといった感触の擬態語が書いてあり,その感触のものを自然の中から探して,他チームに,その言葉を当ててもらうというゲームです.
私が入ったチームの擬態語は「ねばねば」と「さらさら」.さっそくみんなで分かれて自然界のねばねばとさらさらを探しますが,ねばねばがなかなか見つからない!!蜘蛛の巣を探して,小枝に絡め取ってみたり,うさぎのフンを見つけて「これ触れないけど,見た目がねばねばだよね?」とお互いに確認したりと,なんとか頭をひねって卵ケースを埋めることに成功.しかし他のグループの人たちから当ててもらえずで,感触の表現の難しさや面白さを改めて感じました.
次は,周囲を移動しながら自分が気に入った葉っぱを1枚見つけておくというゲーム.なんのためだろう?と疑問に思っていたのですが,途中でこれを「道を通過できるチケット」として扱い,それぞれのチケットを配布された,小さな正方形の空いた黒いスライドに挟み込み,チケットを光に透かして見てみるという「スライドショー」を行いました.自分が拾った葉っぱだけではなく,円になり順番にスライドを回し見していくという,まさに自然の「スライドショー」.光に透かして見る葉っぱは,思った以上に色とりどりで鮮やかであり,新しい発見となりました.
自然の色の多種多様さに驚いた後は,「色つながり」ということで,日本に古来からある「日本の伝統食」を名前と,その説明文から想像し,周囲の自然のなかからそれに近いだろうと思われる「色」を探し出してくるというゲームをしました.
与えられた色の名前は「洗朱(あらいしゅ)」「今様色(いまよういろ)」「利休鼠(りきゅうねず,りきゅうねずみ)」という色です.「洗朱は朱色よりも薄い朱色で,黄色味を帯びている」「今様色は平安時代に流行った赤系統の色で,紅梅よりも濃い色」「利休鼠は緑みがかった灰色.『利休鼠の雨が降る』と歌にも歌われたことがある」という文字だけのヒントで色を推測するというのは思った以上に難しくて,グループ内の全員が納得する色を見つけるのに一苦労.
答え合わせのときに想像していた色と全く違った!と,驚いた色もありました.
他の日本の伝統色の名前や,その色についての様々なバックグラウンドなどを教わり,日本人の感性の深さについて話が盛り上がったところで,本日最後のアクティビティが発表されました.「自然の中で俳句を作ろう」.自分の気に入った場所(他の場所と違うと感じられ,何かが降りてきそうな場所.マジックスポットというそうです)を見つけ,そこでしばらくパワーをもらって俳句を一句詠むというものです.作った後は,みんなで発表しあい,今日のまとめをして午前中の「体験」は終わりました.
午後からは,午前に行った「体験学習」を元に,体験学習の作り方を学びました.
実際に体験してからの座学だったので,「あのときのやり方はここに繋がっていたのか」「あの動きはこういう考えがあったのか」と,納得しながら学ぶことができ,大変勉強になりました.
人間の学習の仕方には,今回学んだ「体験学習」や,教室の授業で行われるような「系統学習」があるそうです.
体験学習とは,先に先生や講師が理屈や理論で教えてしまう系統学習とは違い,まず,受講者が「する」「みる」「考える」ことを行い,そして自分で「理解する」学習の方法で,実際に系統学習で学ぶよりも,体験学習で学んだことの方がしっかりと身につくそうです.
ただ,その体験学習も実施する人や団体が,体験学習というものをしっかりと理解し,きちんとプログラムをデザインしていなければ,身に付くものも身に付かないものになりかねません.プログラム(本体)は,それを作り上げる1つ1つのアクティビティ(パーツ)の組み合わせからなり,そのパーツの選び方や組み合わせ,順番や,その繋ぎも,自然体験学習プログラムをデザインするには重要だと教わりました.
例えば最初から難しいアクティビティにしてしまうと,受講生が付いていけないこと.受講生の年齢層によって,アクティビティを変えることなどです.
午前中に行った4つのアクティビティを振り返ると,最初は見知らぬメンバー同士が協力しあってできる単純な10thingsから入り,色への興味を誘い出し,日本の伝統色で古来からの日本文化を考え,最終的に俳句を詠むという,だんだんと大人ならではの高等なものへと変わっていっています.この繋ぎがとても自然で,改めてプログラムをデザインされた志賀先生の手腕に感銘を受けました.
座学でしっかりと体験学習について知識を深めたあとは,自分たちで体験学習プログラムのパーツとなるアクティビティを考案し,「自然あそび図鑑」を作るという実習を行いました.
森の中でヒントを探し,実習や座学で学んだことをしっかりと思い出しながらそれぞれのグループで案を出し合い,今回の研修の集大成である立派(?)な,あそび図鑑が完成しました!
落ち葉を使ってのファッションショーというものから,葉っぱで手紙を出すというものまで,多種多様のアクティビティがぎゅっと詰まっています.この図鑑は自然館に置いてあるので,興味のある方は是非おっしゃってくださいね.
今回の研修で,体験学習という学習法,その上手なプログラムの作り方やアクティビティの作り方などしっかりと学べたと思います.この経験をいかして,これからの活動に役立てていければと思います.[まえだふさ]


クマの爪痕の残る木を発見


さらさらとねばねばと…?


日本の伝統色を「文字」からだけで探すのは、案外難しい


こんな図鑑ができました!!