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【活動報告】チェンソー安全講習STEP2伐倒編(2024/9/28・29)

林業舎 雨と森のみなさんをパートナーに、毎年安全講習会を企画しているのですが、中級編を企画してみよう!ということになり、ひろしまの森づくり事業のご支援をいただき、STEP2伐倒編を実施しました。
今回の参加者は、せどやま市場を運営するスタッフを含めて5名です。
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参加の理由は
・仕事や自分の家庭用で薪作りをしているため、広葉樹の伐倒方を知りたい
・自宅の薪ストーブ用にせどやまを伐っている。掛かり木の処理や大きな木の伐り方が知りたい。
・地域で木を伐り玉切りにして薪作りをしている。枝が降ってきて危なかった経験がある。
・仕事で広葉樹の伐倒をしている。重心の見極めなどを知りたい。
・自宅用の薪を作っている。目立ても課題だが、樹種による伐り方の違いなども知りたい。
というもので、「薪をつくっている」という共通点がある参加者たちでした。
全員STEP1を受講しており、伐倒の経験もあり、知りたいことやお悩みが具体的でした。
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1日目は座学です。 一般財団法人セブン-イレブン記念財団の助成金を活用し、林業舎雨と森の監修で作成した力作!!のテキストを使います。
テキストの目次に添い、後藤さんが解説をしながら、田丸さんがイラストを使い補足をしてくれます。
とにかく「安全に勝るものはない」ということで、基本中の基本である、服装やチェンソーの準備から入ります。もちろん心構えも必要です。
参加者は雨と森のおふたりの経験からの注意点やアドバイスも真剣に聞いています。
どの木を伐るかという「選木」「伐倒木や周辺の観察」、そして「伐倒方向の決め方」と続きます。
安全な伐倒のためには、ロープやハンドウインチを使うことも必要で、そのレクチャーもありました。
受け口・追い口・ツルの作り方のおさらいをした後は、伐倒のポイントをいくつか聞きます。
質問の多かったかかり木についても学びました。
1日目の最後は、実習として目立てのおさらい、そして立木を固定したものに受け口・追い口をつくり、狙った方向に実際倒れるかを講師に見てもらいました。
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2日目は朝から実習です。(雨と森の藤山さん、下刈りありがとう!)
とてもユニークだったのは、まず伐倒する場所をみんなで歩いて、気づきを共有したことです。「枯れ木があった」「つるが巻いてある木があった」「けっこうな斜面だった」など口々にコメントします。そこでは、危険な植物や生き物がわからない、見たことがない、という参加者もいたので、テキストに反映したいと思います。
お手本を見せてもらったあとに、各自選木をし、伐倒します。チェーンがはずれていたり、チェンソーのトラブルがあったりもして、実際の現場でも起こりうることが体験・対処できました。
また、自分の癖や忘れがちなことも講師にコメントをもらえます。
午後は、牽引伐倒も体験しました。安全帯を身につけハシゴを使い、ロープもかけ、滑車も使います。参加者たちは真剣に取り組み、実際の現場でも使えるよう講師に質問を重ねていました。
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里山での整備作業は、毎日違う危険がさまざまなところに潜んでいます。林業のプロの視点で解説・体験できるこのSTEP2伐倒編。参加者の声は次のようなものでした。
・STEP1から待ちに待ったSTEP2でした。経験をある程度積んだことで、講習会の内容についての理解が深まった。
・少ない参加者でマンツーマンに近いことで、疑問もすぐ解決できてよかった。
・牽引を使った伐倒、重心(大きな要素)の動かし方が勉強になった
・基本が学べてよかった
・実践的でよかった
・牽引伐倒の仕方がうよかった。受追口の作り方の理解が深まった
・ロープワークをもう少し復習して欲しかった
テキストにもありますが「こう伐れば必ず安全」というものはないそうです。小さな木を伐ることからはじめて、経験を積み、毎回振り返りをしてほしい、という言葉がとても印象的でした。
これからも、芸北せどやま再生事業を進めていく上で一番大切な「安全」を講習会という形で支援・実施していければと感じた二日間でした。

【おしらせ】採って押して貼る 植物標本の作り方(2024.10.27、2024.11.24/12.1.開催)


悪天候により、延期となった植物標本の作り方のお知らせです。
植物分類学では、葉や花の形の変異を比較したり、特定の地域に生育するすべての植物(植物相)を調査するために、標本が重要な役割を果たします。
半永久的に保管される標本は、誰もが後世で検証でき「証拠標本」とも言われます。
みなさんも、身近な植物を標本にしてみませんか?
昨年に続き、採集はみどりの広場にて行います。

講師:佐久間 智子(西中国山地自然史研究会専門員)
参加費:無料
定員:各回10名程度
対象:小学校高学年以上、2回とも参加できる方
※このイベントはひろしまの森づくり事業の支援を受けて実施します。

1回目 (採集編)
日時:10月27日(日)9:30〜15:00
場所:北広島町役場芸北支所集合
みどりの広場で採集後、芸北支所で押葉作業 内容:専門家より採集の方法を習います。
採集後は押葉にして自宅に持ち帰り、2回目まで養生していただきます。

2回目 (貼り付け) 日時:11月24日(日)、または12月1日(日)9:30〜11:30
場所:北広島町役場芸北支所
内容:押葉標本貼り付け、専用の道具を使い、押葉標本を台紙に貼り付けます。

お問い合わせ・申し込み:
NPO法人西中国山地自然史研究会
電話:080-6334-8601
メール:staff@shizenkan.info

【報告】自然と地域の関わりを考えたい 大学生のためのスタディーツアーin芸北

2024年9月13日・14日に受け入れをしました。
このツアーは、学生団体の「緋熊と黒潮」(通称:くましお)が運営するもので、北海道から福岡まで全国の大学から16名の大学生が2泊3日で実施され、その中の2日間を西中国山地自然史研究会が担当しました。
募集要項には「開催地となる広島県北広島町は、中国山地のふもと、広島県と島根県の県境に位置します。地域経済の活性化と環境保全を両立する「芸北せどやま事業」や、自治体による生物多様性地域戦略の策定などの取り組みが高く評価されています」という案内が掲載され、それを体験したい、学びたいという大学生が集まってくれたようです。
最初に、原さん(北広島町環境生活課)の案内で、おーいの丘、高原の自然館、霧ヶ谷湿原にてフィールドワークを行いました。土砂降りに遭い、濡れながらも八幡の自然や環境に触れていただきました。
その後、山麓庵で、学生も受け入れ側も自己紹介をします。
大学生たちの学んでいる分野は「プログラミング」「建築」「化学」「農業と観光」「都市と農村のデザイン」「地学・地理」「ライフサイクルマネジメント」「まちづくり」「グリーンインフラ」「雪崩と森林」「昆虫の行動」「理科教育」「世界遺産学」「ブナ林の回復」「景観と郷土愛」など多岐にわたって、これを聞くだけでもわくわくしました。
今回の芸北での滞在で期待していることとしては、「現代での自然資源の活用法」「里山の復興や持続性」「自然と人間の共生」「この場所のファンに会う」「湿原の生態系の復元」などがあげられてました。特に、「オオサンショウウオに会いたい」というリクエストの多さにびっくりし、その人気の高さは活動のヒントになるなぁと感じました。
こちらからは、原さん、上野理事長、スタッフ河野も自己紹介をしました。
どんなメンバーで二日間すごすのか共有したところで、原さんより北広島町の自然と環境の取り組みのレクチャーがありました。
生物多様性条例やカーボンニュートラル宣言、森林ビジョンなど北広島町の取り組みを広く紹介いただきました。
芸北での1日目は、周囲の自然環境を体験し、自治体としての取り組みを知ってもらうところで終了しました。
芸北での2日目は、芸北支所会議室からスタートしました。
受け入れメンバーが少し代わり、上野理事長・スタッフ河野に加え、スタッフ八木・山岸専門員、芸北出身大学生の河野小雪さんの5名です。
西中国山地自然史研究会の取り組みの紹介、具体的な事例として「芸北せどやま再生事業」「芸北茅プロジェクト」をスタッフ八木から説明しました。
また、専門員の役割紹介を山岸専門員(昆虫分野)が担当し、生物多様性の保全(資源の利用と循環・観光・教育・景観の保全・暮らしの豊かさ)の根拠や土台となる自然史研究を専門員が中心となって行っている、という紹介がとてもよかったです。
そして、せどやま教室や茅プロジェクトの一期生となる河野小雪さんからは、授業で学んだことの紹介がありました。小中学生だった当時の思い、そして現在振り返ってみると感じたことが等身大の言葉で紹介され、参加の大学生にも響いたようです。
座学が終わると、芸北オークガーデンにて、食事をしました。ゆっくり話せる機会で、大学で学んでいること、これからのことなど対話することができました。本気で里山の再生や地域の魅力づくりに取り組む姿、そしてその原点となる出来事などを聞くと、これからの社会で活躍する世代に期待が高まりました。
せどやま市場では、担当スタッフの曽根田が案内役となりました。「価格変動などがある中、なぜ買取額をずっと一定にしているのか?」という質問に対して「木を集めるために必要なことだし、NPOがやっているという意味がそこにあるから」という回答がありました。この言葉が一番印象に残った、という大学生もいたようです。
一通りの見学が終わると、会議室に戻り、二手にわかれて座談会となりました。最終日に、①芸北の里山の現状を踏まえた上で予想される未来と芸北の里山の理想的な未来について考える②二つの未来を比べて、そのギャップを埋めるためにしなければいけないこと、できることを施策を発表する、という時間があるそうなので、その材料になる疑問や質問を座談会形式で1時間ほど話しました。
最終日の発表は、大学生だけで行なったようですが、後日動画や成果物を見せていただきました体験したことや、自分たちの経験やアイデアを盛り込んだものとなっており、もっと深掘りして聞いてみたいなという感想を持ちました。
二日間という短い期間でしたが、芸北での取り組みや、活動を実際のプレイヤーを交えて紹介、そして交流できたことは、私たちにとっても大きな学びでした。
里山の課題はたくさんありますが、このようにフォールドワークや対話を通じて、専門的な視点、多様なアイデアを出してもらい、実践者を育てていく取り組みにも力をいれたいと思います。
今回、くましおの事務局を担う大朝出身の大学生掘田まる美さんの企画でしたが、「私の仲間たちに地元を紹介したい!」という情熱で実現したスタディツアーです。「郷土愛」というテーマをこれからもしっかり追いかけてほしいです。

【定員になりました/イベント案内】苅尾山の植物観察会(2024.10.6.開催)


※写真はイメージです。

標高1,223m、北広島町最高峰の苅尾(臥龍山)。山頂付近はブナの原生林が広がっています。
初秋の山を歩きながら、葉っぱの色づきや木の実の形を観察します。お弁当を持ってご参加ください。

  • 開催日時:2024年10月6日(日)9:30〜15:00頃まで
  • 集合場所:高原の自然館
  • 講師:佐久間智子・中島康弘
  • 準備物:基本セット(山を歩ける服装,雨具,飲み物,おやつ,筆記用具,メモ帳)、お弁当、自然観察手帳
  • 定員数:15名
  • 参加費:小中学生・観察手帳をご持参の場合:無料
    一般:500円

 

\知事との昼食懇談会に参加!!/(2024.8.23(金))

広島県森林保全課からお声掛けいただき、知事昼食懇談会へ西中国山地自然史研究会のスタッフの八木、曽根田が参加しました。
これは県民起点と現場主義の県政を推進するため、現場の第一線で活躍する方と昼食をとりながら対話するものだそうです。

県の施策の現場で活躍する方や団体、施策や制度の参加者、利用者である県民4団体が参加しました。

広島県内の森林課題解決するため各方面からアプローチするメンバーが、日頃取り組んでいる内容などを、知事と食事をしながら楽しく報告しました。

曽根田からは、芸北の山林、土地をどうやったら、みんなで守り、利用し続けることができるのか「芸北せどやまコモンズ事業」について、八木からは、茅プロジェクトの取り組みをどのように展開していくかの報告をしました。

森林整備、森づくりといっても、その方法手段は、多岐に渡ります。
熱意を持ったメンバーの取り組みを聞き、視野が広がったと共に、湯崎知事の一人一人に共感する姿勢と、「皆さんがいて心強く思う」とかけてもらった言葉が心に残っています。
貴重な機会をいただき、ありがとうございました。