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【イベント報告】霧ヶ谷の観察会 秋のいきもの観察会

早朝から激しい雨が降る中,17名の参加者が自然館に集合しました.夏の観察会に続き,植物担当の和田先生,昆虫の岩見先生が講師です.自然館で湿原の概要についてお話頂いた後,霧ヶ谷湿原へ移動し,今年度の工事予定地で木道をつけるルートを歩きました.雨が降っているため,歩きにくい場所もありましたが,目に入ってくる植物や昆虫の説明を聞いていると,時間が経つのがとても早く感じました.ツリフネソウの蜜を吸うマルハナバチと花のつくりとの関係や,アケボノソウの蜜線が花びらにあることなど,植物と昆虫の密接な関係をユーモアを交えてのお話で,楽しみながら観察することができました.葉の裏でトンボが休んでいたり,しずくが付いたカンボクの実を眺めたりと,雨の中ならではの発見があった観察会となりました.夏と秋の観察会で,霧ヶ谷湿原の中を歩いてみると,湿地生の植物や動物が増えていることを感じることができました.来年には観察路が完成する予定なので,霧ヶ谷湿原はもっと身近な場所になることと思います.帰り道に見たオオヘリカメムシの匂いは,思った以上にいい匂いで驚きました.[こうのやよい]

最初に自然館の中で,自然再生事業についての説明があった.
最初に自然館の中で,自然再生事業についての説明があった.
霧ヶ谷湿原は工事中のため,ヘルメットを着用した.
霧ヶ谷湿原は工事中のため,ヘルメットを着用した.
雨の中イザ出発!
雨の中イザ出発!
雨で増水した水路.ごうごうと音をたてていた.
雨で増水した水路.ごうごうと音をたてていた.
キセルアザミの名前の由来「煙管」を実演しながら説明する和田先生.
キセルアザミの名前の由来「煙管」を実演しながら説明する和田先生.
ネナシカズラ!
ネナシカズラ!
強めの雨の中,活動している虫もわずかながら観察できた.
強めの雨の中,活動している虫もわずかながら観察できた.
イナゴにのど仏があることを初めて知った.
イナゴにのど仏があることを初めて知った.
サクラバハンノキの幼木.
サクラバハンノキの幼木.ヘラオオバコの葉は,本当にへらのようだ.
ヘラオオバコの葉は,本当にへらのようだ.ウナギをつかめるトゲがある、アキノウナギツカミ.みんなでトゲをさわってみた.
ウナギをつかめるトゲがある、アキノウナギツカミ.みんなでトゲをさわってみた.
ツリフネソウの花の中を観察する.雨宿りをしている虫もいた.
ツリフネソウの花の中を観察する.雨宿りをしている虫もいた.
真っ赤な実を多数つけたカンボク.雨の中で映える赤色.
真っ赤な実を多数つけたカンボク.雨の中で映える赤色.ミヤコグサの花.図鑑で調べると「脈根草」が名前の由来だった.
ミヤコグサの花.図鑑で調べると「脈根草」が名前の由来だった.
虫がとまると花粉がつくのか,ハギの花をさわって実験してみる.
虫がとまると花粉がつくのか,ハギの花をさわって実験してみる.
青リンゴのように甘酸っぱい香りがしたオオヘリカメムシ
青リンゴのように甘酸っぱい香りがしたオオヘリカメムシ
最後に,芸北で開催される草原サミットのご説明があった.
最後に,芸北で開催される草原サミットのご説明があった.

【イベント報告】カワシンジュガイの観察会

前日の観察会でオオサンショウウオに人気を取られたのか,参加者8名での観察会となりました.雲行きの怪しい日でしたが,大雨にならないかぎり観察会は決行です.前日に続き,講師は内藤先生です.現地に出発する前に,芸北文化ホールでカワシンジュガイの生態や生息環境についてのお話を聞きました.カワシンジュガイの幼生は,アブラボテに寄生して子孫を増やすと考えられていましたが,カワシンジュガイの個体が確認されている北海道にアブラボテは生息していませんでした.そこで研究を進めていくと,アマゴに寄生することがわかったそうで,その研究過程が面白いと感じました.アマゴの採取によるカワシンジュガイの寄生先の減少や, シンジュガイ人気による過剰な採取という人間の都合による理由から,絶滅の危機になっているというお話を聞き,保護の重要性が分かりました.先生からのお話が終わると,車で現地へ移動しました.きたひろネットの方が取材される中,観察もはじまりましたが,みなさんカメラを気にせずジャブジャブと川に入り,カワシンジュガイを探しはじめました.数個のカワシンジュガイを見つけましたが,死骸も多くありました.なんとか長生きしてほしいものです.泳いでいる魚の中にアブラボテがいました.二枚貝に卵を生み付ける彼らも,カワシンジュガイなどの二枚貝の減少により絶滅の危機にあります.
一つのいきものを守る事は,他のいきものを生かす事にも繋がることを実感しました.一度手を加えてしまった環境は難しく,これからも今の環境を維持するのは難しいのかもしれません.芸北に生息するカワシンジュガイを守っていくためにも,多くの人達に現状を知ってもらいたいと思います.(しんぽゆうすけ)

出発前に事前学習をした.
出発前に事前学習をした.
新種のコガタカワシンジュガイ.
新種のコガタカワシンジュガイ.
目的地へ到着した.
目的地へ到着した.
汚れを気にせず探索開始!
汚れを気にせず探索開始!
「何処にいるかな〜?」
「何処にいるかな〜?」
潜ってしまいそうな勢いの子どもたち.
潜ってしまいそうな勢いの子どもたち.
カワシンジュガイを発見.「大きい!!」
カワシンジュガイを発見.「大きい!!」
多数のアブラボテが潜んでいた.
多数のアブラボテが潜んでいた.

【イベント報告】可愛川の水生生物観察会

長かった梅雨が明け,久しぶりとなる晴天のもと,観察会が行われました.千代田中央公民館には27名の参加者が集合し,今回の講師である内藤先生より,スライドをみながらオオサンショウウオの生態のお話を聞きました.広島県には5種類のサンショウウオが生息していること,オオサンショウウオは国の特別天然記念物に指定されていること,オオサンショウウオがどんなものを食べているのかなどを写真を交えてお話してくださり,とても興味深く聞くことができました.参加者からも質問が飛びだし,現地でオオサンショウウオに会うのがさらに楽しみになりました.30分ほどお話を聞いた後,観察する場所へと移動しました.7月後半の長雨の影響でしょうか.例年よりも川は水量が多く,オオサンショウウオを観察するにはよい環境でした.気温が高いうえに日差しも強く,子どもたちはもちろん大人も川の水の冷たさが気持ちよく,ざぶざぶと川に入りました.内藤先生のあとについて川の右岸のツルヨシのしげみを探ると,次々とオオサンショウウオが出てきて,計6個体捕獲することができました.網に入れ,岸に戻って観察と個体識別のチェックをしました.子ども達はおそるおそるオオサンショウウオをのぞき込み,つぶらな目や可愛らしい手を見つめていました.参加者からは「こんなに大きいと思わなかった」「たくさんの個体を間近に見ることができて嬉しい」という声があがりました.いつまでも観察してたかったのですが,調査に必要なチェックをしたあとは,もとの場所に戻しました.オオサンショウウオの捕獲と同時に,子ども達は箱メガネや網を使って,他の生き物も捕まえていました.内藤先生に見ていただくと,ムギツクとイトモロコという魚,そしてマシジミという小さな貝だということがわかりました.可愛川の環境のお話を聞くとオオサンショウウオにとってよい生息地のように感じましたが,内藤先生の調査からは,この場所ではオオサンショウウオの産卵は確認されていないそうです.いつまでもオオサンショウウオの姿を見ることができる川であってほしいと願いながら,観察会を終了しました.[こうのやよい]

子供達も興味津々でスライドを見つめる.
子供達も興味津々でスライドを見つめる.
オオサンショウウオを探しに出発!
オオサンショウウオを探しに出発!
水かさがあるので歩くのも一苦労だった.
水かさがあるので歩くのも一苦労だった.
川で死んでいたヌートリア.
川で死んでいたヌートリア.
結構重たいオオサンショウウオ.
結構重たいオオサンショウウオ.
ちょっと狭そうなオオサンショウウオたち.
ちょっと狭そうなオオサンショウウオたち.
赤ちゃんの手のようなカワイイ足.
赤ちゃんの手のようなカワイイ足.
オオサンショウウオよりも,魚に夢中・・
オオサンショウウオよりも,魚に夢中・・
入念な個体チェックを行った.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入念な個体チェックを行った.
滝のような水に大人も子どもも大喜び.
滝のような水に大人も子どもも大喜び.
ムギツクとイトモロコ.
ムギツクとイトモロコ.
食用にもなるマシジミ.
食用にもなるマシジミ.

【イベント報告】霧ヶ谷の観察会 夏のいきもの観察会

雨が心配だった観察会ですが,よく晴れた絶好の観察会日和となりました.植物から昆虫まで,幅広い分野の観察会だったためか,参加者は33名となり,多くの方が自然館前に集合しました.テレビ局の取材もあり,賑やかに出発しました.今回の講師は,植物担当の和田先生,昆虫担当の岩見先生,高原の自然館の白川学芸員です.霧ヶ谷湿原は,湿原の再生事業中であるため普段は入ってはいけない場所ですが,今回は広島県の許可を受け,特別に入ることができました.湿原に生息するグンバイトンボや草地のヒメシジミ,沢山咲いていた外来種のフランスギクなど,湿原特有の生物から外来の植物など様々なものが見られ,講師の先生方がわかりやすく説明してくださいました.モリアオガエルや昆虫などが多く見られたため,子供達も大喜びでとても楽しんでいました.列になった最後尾の方では,ヤマカガシがカエルを食べていた様子が観察できたようで,それを見られなかったのが残念です.
午後からは水口谷湿原に行くことになり,こちらは木道を歩くので,長靴をはいて来られなかった方は安心していました.入り口付近で見た,ススキの葉を巻いた巣の中に,カバキコマチグモという,刺されると死に至る可能性のある毒グモがいることに驚きました.湿原の木道では,大きな黄色い花を咲かせていたハンカイソウ,有名な有毒植物のトリカブト,ピンク色が可愛らしいビッチュウフウロなどを観察し,霧ヶ谷湿原とはまた違った風景を楽しみながら,進んで行きました.人数が多かったため,先生方の説明を常に聞くことはできませんでしたが,近くの人と話をしながらワイワイと観察していきました.工事予定地だからこそ入ることができた霧ヶ谷湿原.工事後は木道が作られ,いつでも見られるようになるかもしれませんが,今の状態は来年には見られないかもしれません.9月にも「霧ヶ谷の観察会 秋のいきもの観察会」がありますので,またこちらへの参加もお待ちしております.[しんぽゆうすけ]

テレビ局クルーも含めて大勢での観察会の開始.
テレビ局クルーも含めて大勢での観察会の開始.
オタマジャクシが元気に泳いでいた.
オタマジャクシが元気に泳いでいた.
グンバイトンボを観察中.
グンバイトンボを観察中.
大きな泡で包まれたモリアオガエルの卵
大きな泡で包まれたモリアオガエルの卵
双眼鏡でモリアオガエルのメスを観察中.
双眼鏡でモリアオガエルのメスを観察中.
ハンノキにくっついていた,大きなモリアオガエル
ハンノキにくっついていた,大きなモリアオガエル
岩見先生による,ゴミムシの紹介
岩見先生による,ゴミムシの紹介
お花畑のようなフランスギクの大群生.
お花畑のようなフランスギクの大群生.
各自観察を終え,午前は終了
各自観察を終え,午前は終了
水口谷湿原の木道を歩く.
水口谷湿原の木道を歩く.
バッタの仲間を見ながら,不完全変態についての説明を聞く.
バッタの仲間を見ながら,不完全変態についての説明を聞く.
虎の尻尾に似ている,オカトラノオ.ビッチュウフウロも咲いていた.
虎の尻尾に似ている,オカトラノオ.ビッチュウフウロも咲いていた.
花も葉も大きい,ハンカイソウ.
花も葉も大きい,ハンカイソウ.
霧ヶ谷湿原の自然再生事業について説明する和田先生.
霧ヶ谷湿原の自然再生事業について説明する和田先生.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生モニタリング 夏

霧ヶ谷湿原の再生地で行う,はじめての植生モニタリングには,6人の参加者が集いました.調査に入る前に,高原の自然館内で,これまでの調査結果や,今日の調査目的を確認しました.参加者の認識を共有した後,快晴の空の下,現地に向かい,打合せをした後で,3つの班に分かれました.少人数だったこともあり,慣れた調子で調査を進めました.今回の調査は,秋以降も,年2回の頻度で続けていく予定なので,散策道の設置が予定されているルートに添って,行われました.これは,工事完了後も,湿地にできるだけ踏み込まずに調査ができるように,という配慮からです. 13時近くに,予定していた14地点の調査を終えました.各班の状況を報告し,それぞれの印象を発表しました.イが優占する場所や,工事後のような場所でも,見た目よりもかなり種数が多いことが分かりました.全ての班を通じて,最も種数が多い地点では,1m×1mの中に26種が確認されました.一方,最も種数が少なかったミゾソバの群落では,わずか6種が確認されたのみでした.実際に調査してみると,実験地とも状況がかなり異なることが分かりました.特に,工事の際に重機で土を動かした場所ではイが繁茂し,土を動かさずに水が廻った場所ではマアザミ群落に近づいていることが分かりました.今後も,どのように植生が変化していくか楽しみです.第1回の調査として,良い調査ができたと感じました.

ミゾソバが占有していたプロット. ミゾソバが占有していたプロット.
フランス菊のお花畑.外来種の強さに驚く.見た目はきれいでも,思いは複雑. フランス菊のお花畑.外来種の強さに驚く.見た目はきれいでも,思いは複雑.
水辺には,工事の影響が見られた. 水辺には,工事の影響が見られた.
1m×1mの中にある植物を,全て記録した. 1m×1mの中にある植物を,全て記録した.
右側が1班,左側が2班のメンバー.気温が高く,日差しも強い日だったので汗だくになりつつ調査した. 右側が1班,左側が2班のメンバー.気温が高く,日差しも強い日だったので汗だくになりつつ調査した.
傍らのノイバラにとまっていた,小さなゾウムシ. 傍らのノイバラにとまっていた,小さなゾウムシ.
最後に各班の様子を発表しあった. 最後に各班の様子を発表しあった.