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【イベント報告】可愛川の水生生物観察会

長かった梅雨が明け,久しぶりとなる晴天のもと,観察会が行われました.千代田中央公民館には27名の参加者が集合し,今回の講師である内藤先生より,スライドをみながらオオサンショウウオの生態のお話を聞きました.広島県には5種類のサンショウウオが生息していること,オオサンショウウオは国の特別天然記念物に指定されていること,オオサンショウウオがどんなものを食べているのかなどを写真を交えてお話してくださり,とても興味深く聞くことができました.参加者からも質問が飛びだし,現地でオオサンショウウオに会うのがさらに楽しみになりました.30分ほどお話を聞いた後,観察する場所へと移動しました.7月後半の長雨の影響でしょうか.例年よりも川は水量が多く,オオサンショウウオを観察するにはよい環境でした.気温が高いうえに日差しも強く,子どもたちはもちろん大人も川の水の冷たさが気持ちよく,ざぶざぶと川に入りました.内藤先生のあとについて川の右岸のツルヨシのしげみを探ると,次々とオオサンショウウオが出てきて,計6個体捕獲することができました.網に入れ,岸に戻って観察と個体識別のチェックをしました.子ども達はおそるおそるオオサンショウウオをのぞき込み,つぶらな目や可愛らしい手を見つめていました.参加者からは「こんなに大きいと思わなかった」「たくさんの個体を間近に見ることができて嬉しい」という声があがりました.いつまでも観察してたかったのですが,調査に必要なチェックをしたあとは,もとの場所に戻しました.オオサンショウウオの捕獲と同時に,子ども達は箱メガネや網を使って,他の生き物も捕まえていました.内藤先生に見ていただくと,ムギツクとイトモロコという魚,そしてマシジミという小さな貝だということがわかりました.可愛川の環境のお話を聞くとオオサンショウウオにとってよい生息地のように感じましたが,内藤先生の調査からは,この場所ではオオサンショウウオの産卵は確認されていないそうです.いつまでもオオサンショウウオの姿を見ることができる川であってほしいと願いながら,観察会を終了しました.[こうのやよい]

子供達も興味津々でスライドを見つめる.
子供達も興味津々でスライドを見つめる.
オオサンショウウオを探しに出発!
オオサンショウウオを探しに出発!
水かさがあるので歩くのも一苦労だった.
水かさがあるので歩くのも一苦労だった.
川で死んでいたヌートリア.
川で死んでいたヌートリア.
結構重たいオオサンショウウオ.
結構重たいオオサンショウウオ.
ちょっと狭そうなオオサンショウウオたち.
ちょっと狭そうなオオサンショウウオたち.
赤ちゃんの手のようなカワイイ足.
赤ちゃんの手のようなカワイイ足.
オオサンショウウオよりも,魚に夢中・・
オオサンショウウオよりも,魚に夢中・・
入念な個体チェックを行った.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入念な個体チェックを行った.
滝のような水に大人も子どもも大喜び.
滝のような水に大人も子どもも大喜び.
ムギツクとイトモロコ.
ムギツクとイトモロコ.
食用にもなるマシジミ.
食用にもなるマシジミ.

【イベント報告】霧ヶ谷の観察会 夏のいきもの観察会

雨が心配だった観察会ですが,よく晴れた絶好の観察会日和となりました.植物から昆虫まで,幅広い分野の観察会だったためか,参加者は33名となり,多くの方が自然館前に集合しました.テレビ局の取材もあり,賑やかに出発しました.今回の講師は,植物担当の和田先生,昆虫担当の岩見先生,高原の自然館の白川学芸員です.霧ヶ谷湿原は,湿原の再生事業中であるため普段は入ってはいけない場所ですが,今回は広島県の許可を受け,特別に入ることができました.湿原に生息するグンバイトンボや草地のヒメシジミ,沢山咲いていた外来種のフランスギクなど,湿原特有の生物から外来の植物など様々なものが見られ,講師の先生方がわかりやすく説明してくださいました.モリアオガエルや昆虫などが多く見られたため,子供達も大喜びでとても楽しんでいました.列になった最後尾の方では,ヤマカガシがカエルを食べていた様子が観察できたようで,それを見られなかったのが残念です.
午後からは水口谷湿原に行くことになり,こちらは木道を歩くので,長靴をはいて来られなかった方は安心していました.入り口付近で見た,ススキの葉を巻いた巣の中に,カバキコマチグモという,刺されると死に至る可能性のある毒グモがいることに驚きました.湿原の木道では,大きな黄色い花を咲かせていたハンカイソウ,有名な有毒植物のトリカブト,ピンク色が可愛らしいビッチュウフウロなどを観察し,霧ヶ谷湿原とはまた違った風景を楽しみながら,進んで行きました.人数が多かったため,先生方の説明を常に聞くことはできませんでしたが,近くの人と話をしながらワイワイと観察していきました.工事予定地だからこそ入ることができた霧ヶ谷湿原.工事後は木道が作られ,いつでも見られるようになるかもしれませんが,今の状態は来年には見られないかもしれません.9月にも「霧ヶ谷の観察会 秋のいきもの観察会」がありますので,またこちらへの参加もお待ちしております.[しんぽゆうすけ]

テレビ局クルーも含めて大勢での観察会の開始.
テレビ局クルーも含めて大勢での観察会の開始.
オタマジャクシが元気に泳いでいた.
オタマジャクシが元気に泳いでいた.
グンバイトンボを観察中.
グンバイトンボを観察中.
大きな泡で包まれたモリアオガエルの卵
大きな泡で包まれたモリアオガエルの卵
双眼鏡でモリアオガエルのメスを観察中.
双眼鏡でモリアオガエルのメスを観察中.
ハンノキにくっついていた,大きなモリアオガエル
ハンノキにくっついていた,大きなモリアオガエル
岩見先生による,ゴミムシの紹介
岩見先生による,ゴミムシの紹介
お花畑のようなフランスギクの大群生.
お花畑のようなフランスギクの大群生.
各自観察を終え,午前は終了
各自観察を終え,午前は終了
水口谷湿原の木道を歩く.
水口谷湿原の木道を歩く.
バッタの仲間を見ながら,不完全変態についての説明を聞く.
バッタの仲間を見ながら,不完全変態についての説明を聞く.
虎の尻尾に似ている,オカトラノオ.ビッチュウフウロも咲いていた.
虎の尻尾に似ている,オカトラノオ.ビッチュウフウロも咲いていた.
花も葉も大きい,ハンカイソウ.
花も葉も大きい,ハンカイソウ.
霧ヶ谷湿原の自然再生事業について説明する和田先生.
霧ヶ谷湿原の自然再生事業について説明する和田先生.

【イベント報告】霧ヶ谷湿原の植生モニタリング 夏

霧ヶ谷湿原の再生地で行う,はじめての植生モニタリングには,6人の参加者が集いました.調査に入る前に,高原の自然館内で,これまでの調査結果や,今日の調査目的を確認しました.参加者の認識を共有した後,快晴の空の下,現地に向かい,打合せをした後で,3つの班に分かれました.少人数だったこともあり,慣れた調子で調査を進めました.今回の調査は,秋以降も,年2回の頻度で続けていく予定なので,散策道の設置が予定されているルートに添って,行われました.これは,工事完了後も,湿地にできるだけ踏み込まずに調査ができるように,という配慮からです. 13時近くに,予定していた14地点の調査を終えました.各班の状況を報告し,それぞれの印象を発表しました.イが優占する場所や,工事後のような場所でも,見た目よりもかなり種数が多いことが分かりました.全ての班を通じて,最も種数が多い地点では,1m×1mの中に26種が確認されました.一方,最も種数が少なかったミゾソバの群落では,わずか6種が確認されたのみでした.実際に調査してみると,実験地とも状況がかなり異なることが分かりました.特に,工事の際に重機で土を動かした場所ではイが繁茂し,土を動かさずに水が廻った場所ではマアザミ群落に近づいていることが分かりました.今後も,どのように植生が変化していくか楽しみです.第1回の調査として,良い調査ができたと感じました.

ミゾソバが占有していたプロット. ミゾソバが占有していたプロット.
フランス菊のお花畑.外来種の強さに驚く.見た目はきれいでも,思いは複雑. フランス菊のお花畑.外来種の強さに驚く.見た目はきれいでも,思いは複雑.
水辺には,工事の影響が見られた. 水辺には,工事の影響が見られた.
1m×1mの中にある植物を,全て記録した. 1m×1mの中にある植物を,全て記録した.
右側が1班,左側が2班のメンバー.気温が高く,日差しも強い日だったので汗だくになりつつ調査した. 右側が1班,左側が2班のメンバー.気温が高く,日差しも強い日だったので汗だくになりつつ調査した.
傍らのノイバラにとまっていた,小さなゾウムシ. 傍らのノイバラにとまっていた,小さなゾウムシ.
最後に各班の様子を発表しあった. 最後に各班の様子を発表しあった.

【イベント報告】苅尾の昆虫観察会

17時に高原の自然館に集合し,観察会を行う臥龍山の雪霊水前まで移動してもまだ日は高く,ライトトラップの準備をしても十分時間がありました.近くにいる昆虫を捕まえたり,臥龍山の山頂まで登ったり,講師の清水先生にガのお話を聞いたり,良く鳴いているアカショウビンの声に耳を傾けたり,と思い思いの時間をすごしました.19時半を過ぎると暗くなり始め,ライトトラップのライトが点灯され,さあ,観察開始です.おなじみ大きな白いガのオオミズアオや,とにかくたくさん集まったカクモンヒトリ,ビロード模様がきれいなビロードナミシャクなど,次々とライトに集まってきました.めずらしそうなガを見つけると,先生に「これはなんですか?」と質問して名前や生態を教えてもらいました.子どもの参加者も,それぞれお目あてがあるらしく,じっと集まってくるガにじっと見入ったり,おそるおそるさわってみたりと,観察会でしか体験できないことを満喫していました.そろそろ終了しようか・・との声があがりだした頃に,コクワガタやミヤマクワガタが姿を現し,また参加者のテンションは上昇しました.子どもたちだけでなく,男性の参加者からも「クワガタカッコイイ!」という声があがっていました.夜に活動する虫がたくさんいることがわかり,ブナ林の種の豊かさを感じた観察会となりました.[こうのやよい]
苅尾山の特別保護地区での観察会とのことで期待して参加しました.夜の昆虫観察として月令,気温,無風等の条件は申し分なく,楽しい観察会ができるものと大いに期待して雪霊水まえの駐車場にライトトラップを設置しました.期待どおり多数の蛾が飛来し,今までの観察会のなかでは最多の飛来でした.やや時期が早いかと思っていたクワガタムシもミヤマクワガタが多数飛んできて子供さん達は大喜びでした.そのなかでも白くて黒い斑紋があるカクモンヒトリと,止まっていると細長く,黄色い緑取りのあるマエキクロホソバの2種類の蛾が目につきました.いつもどおり大きな我,ハネナガブドウスズメ,数は多くはなかったがオオミズアオ等が人気ありました.参加された方々には十分満足のいく観察会であったと思っています.苅尾山は植物の種類も多く,それらの植物の生活を託す蛾類も多いことがお分かりいただけたと思います.
苅尾山の蛾については,高原の自然史(創刊号)に相良・桑原・宮川氏による広島県芸北町の蛾類目録のなかに苅尾山産の蛾類として132種類が報告されています.その後,清水により広島虫の会会報47号に苅尾山の蛾類として420種を報告されています.両報告には重複している種類もあると思われますので,おそらく500種前後報告されたことになると思います.豊かな自然と相俟ってまだまだ多くの蛾が記録されるものと思います.今回,採集した蛾のなかに上記二つの報告に含まれていない,新たな種類があればと思っています.いずれにしても,もう少し標本を調べて見なくてはいけません.いずれ標本を整理して,来年は高原の自然館に持参いたしますので,興味がおありならまた見にきてください.
終わりに皆様も感じられたとおもいますが,多数の蛾と大勢の人達では仕方なかったと思っておりますが,大量の蛾が踏み潰されたことで蛾好きには少し心が痛みました.[清水健一]
注:臥竜山特別保護地区での無断採取は禁止されています.
今回の採取は,北広島町自然学術調査に伴う許可を得て実施しました.

清水先生が準備をしている間,参加者同士で虫や花の情報交換.
清水先生が準備をしている間,参加者同士で虫や花の情報交換.
「あの虫とって〜」とのリクエストに応え,キャッチ!
「あの虫とって〜」とのリクエストに応え,キャッチ!
暗くなるまでのひととき,臥竜山山頂まで足をのばした参加者も.少しの時間で登ることができ,達成感があったそう.
暗くなるまでのひととき,臥竜山山頂まで足をのばした参加者も.少しの時間で登ることができ,達成感があったそう.
ライトトラップのセッティング終了!あとは暗くなるのを待つだけだ.
ライトトラップのセッティング終了!あとは暗くなるのを待つだけだ.
自然館の新人スタッフはブナについて研修中.
自然館の新人スタッフはブナについて研修中.
柄が伸びるネットで高いところを飛んでいる虫もキャッチ!
柄が伸びるネットで高いところを飛んでいる虫もキャッチ!
ビーティングネットが登場.木をたたき,落ちてきた虫を観察する.なんとこのネットは手作りだそう!!
ビーティングネットが登場.木をたたき,落ちてきた虫を観察する.なんとこのネットは手作りだそう!!
オオミズアオに触れてみる.近くでみるとユーモラスな顔つきだ.
オオミズアオに触れてみる.近くでみるとユーモラスな顔つきだ.
19時45分頃になり,ライトを点灯し観察が始まった.
19時45分頃になり,ライトを点灯し観察が始まった.
たくさん集まってきた虫.よく見かけるガや初めて見るガに大興奮だった.
たくさん集まってきた虫.よく見かけるガや初めて見るガに大興奮だった.
子どもにも大人にも大人気のクワガタムシ.威嚇しているようだ.
子どもにも大人にも大人気のクワガタムシ.威嚇しているようだ.
最後のまとめで清水先生に質問する小学生.清水先生に教えてもらった「チョウとガの違いや見分け方」を小学校でも発表したそう.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後のまとめで清水先生に質問する小学生.清水先生に教えてもらった「チョウとガの違いや見分け方」を小学校でも発表したそう.

【イベント報告】聖・高岳の植物観察会

今年が初めての企画となる聖・高岳の植物観察会です.当日の飛び込み参加が多く,全人数38人を確認し,事務局も3人で先頭,中程,最後尾と配置しての出発です.講師の斎藤先生以外にも,植物に詳しい方が多数いらっしゃるので,とにかく誰かに声をかけて聞いてみて見て下さいということでした.まず,聖湖湖畔から中之甲方面へ向かう道をゆっくり聖山登山口まで歩き,観察しながら移動しました.ツクシミノボロスゲ・ヤマジスゲ・サワヒメスゲ・ショウジョウスゲ等々,普段あまり耳にしないスゲの名前がたくさんでてきてびっくりです.オオナルコユリの花,フウリンウメモドキの小さい花,ウワミズザクラの幹のクマの爪痕などを観察し,全体が到着するまで,登山口で待つことしばし.ソウシチョウが笹原でさえずり,タゴガエルが「ガ,ガ,ガ」と鳴き,ハルゼミが「ムゼームゼー」と鳴いていました.先の行程を考えると,少しスピードアップしないと帰れなくなるということで,聖山頂まで一列縦隊になり,早足の観察会です.フタリシズカやイチヤクソウのつぼみ,コショウノキ,クモキリソウのつぼみ,コナスビの黄色の花などがありました.聖山の山頂で,登山観察会では恒例の記念撮影をし,高岳への分岐までもどって昼食です.皆さんまわりにある植物を観察したりと楽しい休憩時間でした.が,これからがアップダウンの厳しい縦走路でした.その中でもササユリやツクバネウツギ・オオイワカガミ・オオトンボソウ・サルメンエビネなど,心を和ませてくれる草花にたくさん出会えました.高岳の山頂からは聖湖も展望でき,ここでも遠くにかすむ苅尾をバックに記念写真です.ナツハゼの花が可愛らしく,皆さん写真を撮られていました.山岳連盟の斎さんを先頭に,15時半の目標のとおり,下山することができました.湖畔をゆっくり歩きながら,ハンショウヅルやササユリ・マムシグサ(雄・雌)など観察しながら駐車場まで帰り,アンケートの記入と次回観察会の予告をして終わりました.内藤先生にモリアオガエルを見せてもらいました.

38人という大人数で出発!
38人という大人数で出発!
スゲを説明中の斉藤先生.
スゲを説明中の斉藤先生.
花を咲かせていたヤマウルシ.
花を咲かせていたヤマウルシ.
よく咲いていたウツギ.
よく咲いていたウツギ.
聖山山頂にて記念撮影.
聖山山頂にて記念撮影.
細い道が続いた,聖山から高岳への縦走.
細い道が続いた,聖山から高岳への縦走.
咲いたばかりの綺麗なササユリ.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲いたばかりの綺麗なササユリ.
事務局も含め、じっくりと観察中.
事務局も含め、じっくりと観察中.
木の下で咲いていたギンリョウソウ.
木の下で咲いていたギンリョウソウ.
総苞片が花弁に見えるヤマボウシ.
総苞片が花弁に見えるヤマボウシ.
高岳山頂からの眺め.聖湖がよく見えて気持ちよかった.
高岳山頂からの眺め.聖湖がよく見えて気持ちよかった.