高知大学植物地理学実習受け入れ(2017.8.25)

高知大学の植物地理学実習の受け入れを行いましたので、報告します。
大学生6名と、先生3名の合計9名で、高知から来てくださいました。
北広島町の半自然草地、二次林とその利用見学、湿地、ブナ林の観察が主な実習内容です。

8/21(月:植生についての講義や、湿原での観察を実施しました。

8/22(火):「芸北での里山保全」について、高原の自然館 白川 勝信ハカセより講義がありました。
サイエンスカフェ方式での講義としたため、気軽にお話を聞いてもらえたように思います。
高知大学の石川先生が聞き手となり、講義が進みます。
「フィールドミュージアムの役割」「自然保護を進めるための指針」「地域づくりとの関わり」などをテーマに、写真や図でのわかりやすい解説がある中で、次のような質問が出ました。
・「どんなことが美しいか」というのはとても難しい。
・C材って何ですか?
・里山保全のために、クマとの関係はどのように考えているのか?
・自然再生をするときにめざしているのは、緊急度なのか?規模なのか?
・地域へのアプローチでの苦労はどんなところか?どのように解消しているのか?
しらかわハカセは、ひとつずつ丁寧に答えていました。
自然保護について、全体の1パーセントの人がするのではなく、全員が1パーセントの時間を使う、例えれば「歯磨きをすること」のように進めていければいいと思う、というお話が、印象に残りました。
また、「人間の営み」についても触れ、このあとの実習にも関わる大きな視点が示されました。
学生からは、里山の利用や教育との関わりを聞き、お金だけではない価値観を見つけることができた、との感想がありました。
その後、せどやま市場の様子、炭焼き小屋、使われているせどやま、茅葺き民家、テングシデを周り、実際の活動の場所や、地域の暮らしを学びました。

8/23(水:雲月山へ行き、火入れ草地での植生や、人と自然の関わりを学びます。
ストレッチをして、まずは車道を歩きます。
しらかわハカセからの「みんな秋の七草は知ってる?」の問いかけに、答えはかえってきませんでした。ということで、テーマを「自分たちの秋の七草見つけ」として、学生同士でバディを組み、最後に発表することとしました。
車道を抜けると、景色が広がり、雲月山が見え、歓声があがります。秋晴れの空と、気持ちのいい風が吹き、日差しはつよいものの、最高の登山日和です。植物を観察したり、たたらあとの解説を聞いたりしました。しらかわハカセからは、「植物を見て写真をとるだけではなく、触れてみよう」との促しがあり、オミナエシの匂いを嗅いだり、サルトリイバラの葉をさわったりしました。
同行していた職場体験中の中学生からは、オトギリソウの名前の由来の解説があり、黒点を見て関心を寄せていました。
植生の違いや、火入れの効果がどのようなものか、を実際の場所に立ち、そこで考える時間があり、生きた授業になったのではないでしょうか。
アサギマダラが舞い、マルバハギ、サイヨウシャジン、オミナエシ、ゲンノショウコ、ホソバシュロソウ、オケラ、リュウノウギクなどなど、たくさんのいきものを観察しました。
それぞれの「秋の七草」を発表では、「印象が強かった」「たくさんあった」「先生のテンションがあがっていた」花がそれぞれ選ばれました。
万葉でも歌われる花たちに思いを寄せ、観察を通して知識を得て、この地域ならではの自然環境や人の暮らしにも触れていただきました。

植物学を地理学的,地史学的,または生態学的に研究するみなさんに、北広島町の自然環境や、人と自然の関わりを実際にみていただき、その背景にあるものを講義を通じて学ぶ時間をご案内させていただきました。
学生のみなさんの学ぶ姿勢や、先生方の自然に対する熱意がとてもうれしかったです。
遠いところまで実習に来ていただき、ありがとうございました。