【研修報告】真庭市バイオマスツアー

12月22日に、岡山県の真庭市で開催された「森里川海シンポジウム in 真庭」に参加、午前中のバイオマスツアーにも参加しました。10時集合ということで、芸北を出たのは朝の6時過ぎという早朝でしたが、その価値があったツアーでした。
真庭市に着いたのは9時ぐらいで、インターを降りてから、材木屋や工務店をとても多く目にし、昔から木材で栄えてきている場所なのだと景色から実感しました。集合時間まで少し時間があるから、周囲を散策しようということになり、街並み保存地域を全員で見学しました。歴史を感じられる、綺麗な街並みにも感銘を受けましたが、それよりも印象に残ったのは、各家々の玄関にかけられている「のれん」でした。それぞれに個性があって、のれんだけを見ているだけでも貴重な時間となりました。
最初に、環境省から趣旨説明があり、その後真庭市のバイオマスを担当されている職員のお話を聞きました。
真庭市役所はバイオマス燃料(ピンチップとペレット)を使った冷暖房設備を採用しているそうです。実際に使っているというチップとペレットをも見学しました。他にもヒノキの微粉末や、それをを利用した、車の部品に採用されて、軽量化や燃費の向上にも役立っているというバイオマスプラスチックというものも見ました。良く見れば、確かに木の微粉末かな?というものが混ざっていました。このようにプラスチックに木の微粉末を混ぜ、軽量化させても強度には全く問題がないということも聞き、木の万能さに驚きを隠せません。
このように、バイオマス燃料やプラスチックに使われている木材の大部分は、以前は捨てていた木材の端材や樹皮、あるいは製品にならないからと、山にそのまま打ち捨てられていた不要だった木から作られていると聞きました。かつては不用品だったものの活用法を見つけ、価値をつけた部分は、規模は全く違うけども、間伐材や、杉などと違って木材としてあまり利用のない広葉樹を、薪や椎茸の原木などに加工している、せどやま事業と少し似たところがあるなと感じました。
いろいろとお話を聞いた後は、実際にバイオマス燃料が利用されている場所や、木からバイオマス燃料へと加工されている場所などの見学ツアー開始です。
最初に訪問したのは、真庭市役所です。市役所に到着した私たちを出迎えてくれたのは、木で作られた大きなモニュメントでした。樹齢100年近いヒノキもあるという真庭市。そのヒノキを加工して作られたものだそうで、9本ある柱は、大合併前の9町村を表しているそうで、それぞれの柱の元に「八束村」「中和村」などといった旧町名、旧村名の描かれた石板がありました。これには合併後に生まれた子供たちにも、自分たちの生まれた場所の、かつての町村の名前を知っておいて欲しいという意味があるそうで、ふるさとを大切に思うこの発想に関心させられました。
モニュメントを見学した後は、CLT(集合材)で日本初となる建造物のバス停や、市役所の冷暖房を支えているというチップボイラーとペレットボイラーの見学をしました。ボイラーが設置されているところは、イラストが描かれたガラス張りとなっており、イラストとガラス越しに見る装置とで、ボイラーによる空調装置の仕組みがとても簡単に理解することができました。市役所の中にも少し入らせていただき、空調装置が実際に稼働しているところも見学させてもらいました。上からではなく、足元から温めるという仕組みを取っており、女性には大好評だそうです。
市役所を見学し終わった後は、ちょうどお昼時。少し移動して、地元の食材をふんだんに使ったお弁当をいただきました。おいしいものばかりでしたが、ツアーがかなりぎりぎりの行程で開催されているため、30分で食べてくださいというお達しがあって、あまりじっくりと味わえなかったのが残念です。
午後に一番にいった場所は、材木を加工し、チップを生産する工場です。第一工場と第二工場があるそうですが、今は第二工場がメインで稼働中ということで、車などの安全面を考慮して、バスを降車し、現場見学をしたのは第一工場のみでした。ここで作られているチップはかつては製紙用のチップだったそうですが、針葉樹は油分で製紙工場から嫌われる傾向にあるそうで、今ではバイオマス発電施設の燃料とするチップのみを生産しているというお話でした。ちょうどチップを積みにトラックが来ており、トラックへどのようにチップを積むのか実際に見ることができました。
トラックなど車の交通が多く危険だということで、バスの中からの少しだけ第二工場を見学し、次に向かったのは、1日の発電量で、真庭市の1日の電気使用量を賄える量を発電できるという、バイオマス発電所でした。1日に使うチップの量は、なんとせどやま事業で扱われる1年分相当の木材の量=300tと同じ量!規模の大きさに驚きつつも、現場のガイドに、運ばれてきたチップの量り方や発電の仕組みなどをしっかりと教えていただきました。発電所内の見学中、チップを燃やしているところを、小さな覗き窓を通して見させていただいたのですが、燃えるチップのなんとも言えない美しさに思わず感嘆。チップを包み込みながら燃え盛る、オレンジ色の炎が本当に綺麗でした。床が、目では確認できないくらいの速度でゆっくりと動いているそうで、3つのチップ投入口から、できるだけ遠くへ飛ばされたチップが効率よく燃えるようにきちんと考えて作られているということも説明していただきました。
規模の大きさやチップと薪という違いはあれど、地元の木材が、燃料として加工され、それがきちんと仕組みとしてなりたち、地域に受け入れられているというところは、芸北のせどやま事業と似通っていると感じました。
この後、森里川海シンポジウム in 真庭も開催され、リレーフォーラムでも学びの多い1日となりました。体験したバイオマスツアーの意義やテクニックを、芸北せどやま再生事業でも活かしていきたいです。


様々なのれん。中にはこんな個性的なのれんも。


今回のツアーで使用した資料。ツアーで行く予定の場所の紹介もしっかり載ってあり便利。


バイオマス燃料に使われているピンチップ。

これがペレット。木の匂いがふわっと漂ってきた。


木粉を混ぜてあるというプラスチック。車の部品にも使われているそうだ。


真庭市役所の前には木のモニュメントが。木の杜だということが一目瞭然ですね。


市役所で使われている、チップボイラーとペレットボイラーも見学。ガラスのイラストでとてもわかりやすい。


これが市役所の暖房装置だそうだ。足元からだととてもよく温まりそう。


第一工場を見学。後ろにある大量の木のクズにみえるものは、すべてチップとなり、バイオマス発電所の燃料になるのだとか。


ちょうど、発電所にチップを運んでいくトラックがやってきた。


これがバイオマス発電所。迫力がすごい。1日で、真庭市の1日分のエネルギーをまかなえるほどの発電が出来るそうだ。


発電所のチップ置き場。ここからベルトコンベヤーで発電室に運ばれていく。そして次々とトラックに積まれて新しいチップもやってくる。


赤々と燃えるチップ。とても綺麗だった。


午後からのシンポジウムにはたくさんの人が出席。


シンポジウム後半のパネルディスカッションも、色々と勉強になりました。

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